スライムですが、なにか? 作:転生したい人A
さて、ようやく私もカグナとゲエレを倒す作戦を考え付いた。
といっても蜘蛛子ちゃんの作戦に比べればとても単純なものだけれどねぇ。
参考になるかと思って聞いてみたが、怠惰とかいうチートスキルが無いと真似できない。
いや、そもそも私のスピードだと逃げ回ることが出来ないか。
『蜘蛛子ちゃん、行ってくるね』
『うん、私も行ってくる』
それだけ言って私はカグナとゲエレの元に転移する。
目の前に急に転移して来た私に二匹は驚いて一瞬固まる。
その一瞬で私は目隠しをするように暗黒弾を広範囲に放つ。
カグナとゲエレが暗黒弾に対処している間に耐性を大量に盛った万能糸で周囲を囲む。
私が糸を張っていると、ゲエレが暗黒弾を回避しながら私に迫ってくる。
待ってました!
空間転移でカグナとゲエレの背後に回り込み万能糸で巣を張る。
もう一度ゲエレが近づいてくる前に、巣は何とか完成した。
私が一生懸命に作った巣にカグナがブレスを放ったことで、巣に穴が開き糸が垂れる。
それも予想済み。
私の巣はあまり移動しないカグナにとっては特に意味をなさない。
けど、強力な粘着性を持った強度の高いこの糸は体に着いたらまず取れない。
スピード型のゲエレにとっては邪魔でしかない。
けど、ゲエレの動きを制限できるようになっただけで、まだ準備が完了したわけじゃない。
そこからさらに粘着性の高い糸を壁や天井に大量に張り、広い洞窟で動き回れるスペースを奪っていく。
カグナとゲエレのブレスや魔法攻撃を未来視で先読みして躱しながらの作業は大変だったが、無事に終了する。
そして粘着性の糸に属性攻撃を付与した糸を大量に絡ませてようやく私が戦いやすいテリトリーが完成した。
私スライムなのに蜘蛛子ちゃん以上に戦うための巣を作るの上手い気がする。
そんなくだらないことを考えているとカグナの広範囲ブレスが来るのが見えたので転移で移動する。
即席の巣だが場所によっての戦い方など、しっかりと考えこんで作られているため転移で移動先も最初から決まっている。
カグナの強力なブレスで一部の糸と壁が壊れたことで粘着性の高い糸がさらに道を塞ぐように垂れ下がる。
蜘蛛の糸に触れることが危険だと本能的に気づいているのか、ゲエレは土魔法で糸を無理矢理避けて道を開けて通ろうとする。
やっぱり、土魔法で糸の隙間を広げて来るよねぇ。
はい、もちろん読んでいましたとも。
ゲエレが糸の隙間を通り抜けようとする時に周囲の糸を操糸で操り、ゲエレの体に絡め付ける。
粘着性の高い糸が体に着いたことで近くに張られた糸が体に絡みついたゲエレは満足に動けない状態に陥った。
属性攻撃が付与された糸も絡みついたことでダメージを受けてはいるが、HP高速回復ですぐに回復されてほとんど減らない。
ん~、糸の属性攻撃だと地龍の防御力相手にほとんどダメージが入らないかぁ。
まあ、ゲエレの動きを封じることには成功した。
絡みついた糸から抜けだせてもこのテリトリーでは自由に動き回れない。
つまり、後は一方的な殺戮だぁ。
巨大化で体を五倍の大きさに変えた私は腕を伸ばして糸の隙間を縫うようにしてカグナとゲエレに攻撃をする。
私の攻撃力ならカグナはともかくゲエレにはかなりのダメージが入る。
最初は打撃のみで削っていく。
あれだけスキルポイントがあると、対策される可能性がある。
対策されても大丈夫なように必要以上に耐性を盛っているから自由に行動できるようにはならないだろうけど、私もかなり消費した。
糸のおかげでカグナもゲエレも私を直視できない。
おまけに体をこれだけ伸ばしている以上、気配感知でも腕を伸ばしている私の位置を特定するのは難しいはず。
よし、今のうちに手軽に食べれる魔物を空納から出して食べよう。
予想通り、ゲエレはスキルポイントを使って火炎耐性と火炎魔法を取得して絡みついた糸を必死に焼き切ろうとしている。
高い耐性が付与されているため、簡単には燃えないが燃えないわけではない。
時間がかかるものの確実に抜け出してくるのは確実。
それでも抜け出すまでにかなり消費しているはず、それまでに出来るだけダメージを与えればゲエレはもう怖くない。
ゲエレが抜け出すか、カグナが私の位置を特定するまでに出来るだけ食べて回復しないといけない。
幸い、ゲエレは抜け出すのに手こずっているし、カグナはこの糸が張り巡らされた空間を気にせずに動き回る私の腕が時間を稼いでくれている。
ああ、カグナが硬いなぁ。
平均攻撃能力がカグナの防御力の倍以上あるけど、腕を伸ばすとどうしても攻撃力が落ちるんだなぁ。
それでも十分に防御力以上の攻撃力はあるはずなんだけど、スキルのせいでダメージがほとんど入らない。
入ってもHP高速回復のせいですぐに回復される。
スキルポイントを使って耐性を獲得されないように、得意属性は隠して置かないとだめだねぇ。
やばい、ブレス!?
まあ、撃たせないけどね!
腕ではなく私の体に向かってブレスを放とうとするカグナに重魔法を掛ける。
その上でカグナの頭を複数の腕で叩いてブレスを自分の足元に撃たせる。
カグナが体勢を立て直す前に、腕を引っ込めて次の場所に転移する。
転移してすぐにカグナだけでなくゲエレにも重魔法による攻撃を行う。
出来ればスキルポイントを重魔法、糸、神珍鉄、酸攻撃くらいで使い切らせれば余裕そうね。
カグナは暗黒魔法まで対策されそうだけど、そこで使い切れればセーフかなぁ。
最悪なのは私の最大攻撃力である腐食属性まで対策された時だよねぇ。
そうなると、カグナとの持久戦が始まるなぁ。
また腕を伸ばして攻撃を再開するが、どうやらゲエレは糸から脱出したようだ。
重魔法の耐性も獲得したようで腕による攻撃を避けられる。
ゲエレの動きを封じるために腕から糸を出して逃げ道を塞いでいきながら、神珍鉄で腕を覆い斬撃による攻撃に切り替える。
カグナの方は操糸で周りの粘着性の高い糸を絡め付け、地面に縫い付けて固定する。
ブレスを撃たれると面倒なので腕から糸を新たに出してしっかりと塞いでおく。
そのうえで神珍鉄で覆われた腕による斬撃と刺突でHPを削っていく。
よし、頼むから腐食属性使うまでにスキルポイントなくなってくれよぉ。
ゲエレはかなりHPが削られていることで、斬撃と貫通の耐性のレベルを上げてくる。
狭い空間でもなんとか腕による攻撃を避けているが、HPの回復速度と同程度のダメージは常時入っている。
そしてゲエレのスキルポイントはほとんど尽きた。
これでゲエレを倒せる!?
その前にカグナを完全に封じて置かないといけないね。
糸の巻き付いていない隙間からカグナの体に神珍鉄の槍を十数本突き立てる。
そして体の中で反しを作り簡単に抜けないようにして反対側を周りの地面に突き立てて同じように反しを作り固定する。
そのうえでカグナの体を粘着性と強度の高い糸で覆う。
カグナが動けなくなったのを確認し、ゲエレに集中する。
ゲエレの周りの糸を操糸で操り、もう一度絡みつけて動きを封じる。
ゲエレもすぐに糸を燃やしにかかるが、燃やされる前に腕を引っ込めて空間転移でゲエレの前に移動する。
そして神珍鉄の槍で串刺しにし、腕を縮めたことで上がった攻撃力の上に酸攻撃を乗せて殴り付ける。
一気に畳掛けられたことでゲエレは何もできずにHPを削り切られて倒れる。
復活しないことを確認してカグナに視線を向ける。
かなり消耗したけど、一番厄介だったゲエレは倒せた。
後は、圧倒的な暴力でカグナをねじ伏せる。
ゲエレがやられたことでカグナは糸を火炎魔法で燃やし、地面を砕いて神珍鉄の固定具を引き抜く。
HPはかなり削れたけど、攻撃の手を一旦止めたせいでHPが7割くらいまで回復している。
糸対策をしたことでスキルポイントもかなり減っているが、物理攻撃に対する耐性とHP回復速度もかなり上がった。
もう普通の攻撃だとHPを削るのは難しそうね。
まあ、普通の攻撃なんてもうしないけどねぇ。
くらえ、暗黒槍!
ゲエレが死んだ以上糸で足止めする必要がなくなったため、糸もろとも暗黒槍で貫いて攻撃する。
カグナは大量の暗黒槍に対処することが出来ずにHPを一気に削られていく。
食べるなら腐食攻撃はやめた方がいいよね。
なら、耐性を獲得される前に暗黒魔法と酸攻撃で一気に削り切ろぅ。
巨大化して大量に腕を伸ばし、酸攻撃で全方位から殴り付ける。
暗黒槍と酸攻撃と打撃攻撃により、体力を一気に削られたカグナは成すすべなく倒れる。
ゲエレ同様に回復しないことを確認して腕を戻して巨大化を解除する。
ふぅ、無事に二匹とも倒せたなぁ。
じゃあ、巣に戻って食べながら蜘蛛子ちゃんが帰ってくるのを待ちましょうかねぇ。