スライムですが、なにか?   作:転生したい人A

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さあ、外に出よう

 上層の巣で地龍を食べながら蜘蛛子ちゃんの帰りを待っていると、元気のない蜘蛛子ちゃんが帰って来た。

 

 どうしたんだろう?

 アラバは倒したんだろうけど、何かあったのかな?

 

『蜘蛛子ちゃん、元気ないけど、なんかあった?』

『スラちゃん・・・・・・実はさ』

 

 私が問いかけると、蜘蛛子ちゃんはアラバ戦で何があったのか教えてくれた。

 

 なるほど、アラバは全身全霊で挑んだ相手に自分なりの敬意を払ったわけかぁ。

 けど、いつも必死で生き残ることに全力な蜘蛛子ちゃんには逆効果だったわけかぁ。

 ん~、私が何か言って変わるものじゃないなぁ、これは。

 

『蜘蛛子ちゃん、世の中いろんな考えの奴がいるから、自分の価値観と違うことを気にしてもしょうがないよ』

『そうかもしれないけど・・・・・・』

『いいじゃない、勝ったんだから。世の中自分を貫き通した人の勝ちなんだよ。どんなに御大層な信念や理想を掲げても、貫き通せなければ敗者でしかない。相手の信念や理想を砕いて勝った勝者なら、敗者の考えに囚われちゃだめだよ』

『・・・・・・ちょっと何言ってるか分かんない』

『ありゃ?』

 

 ん~、もっとかみ砕いて伝えないといけないのかぁ。

 えっと・・・・・・

 

『勝者なら敗者に「私の方が正しかったじゃないか、バーカ」くらい言ってやればいいのよ』

『いい感じのこと言ってると思ったら全然違った!?』

『まあ、それは流石に冗談だけどねぇ。けど、そのくらいバッサリ斬り捨てる方が、これから先も迷わずに自分を貫けるよ』

『・・・・・・そうだよね。アラバがどんな価値観を持っていても勝ったのは私だもんね』

『じゃあ、念願の外に行こっか』

『美味しいものがいっぱい食べれる!?』

 

 美味しいものが手に入るか分からないけどねぇ。

 まあ、迷宮内には無かった木の実とかあるのは確かだろうけどねぇ。

 

『それで、出方分かるの?』

『うん、この前マーキングした人間のおかげで出口が分かったよ』

『へぇ、叡智って便利ねぇ』

『よし、スラちゃん行こう!』

『はーい』

 

 食べかけていた地龍を空納にしまうと、蜘蛛子ちゃんが背中に乗せてくれる。

 

 いやぁ、本当に移動が速いなぁ。

 まあ、平均速度能力が三倍以上離れてるから仕方ないんだけどねぇ。

 それにしても蜘蛛子ちゃん本当に強くなったなぁ。

 初めて会った時は速いだけで本当に弱かったのに、今では一人で地龍を倒せるなんてねぇ。

 それに支配者スキルを四つも持ってるなんて、本当にチートだなぁ。

 

『スラちゃん、出口見えて来たよ!』

『ようやく、迷宮を出られるねぇ』

『これで私達も自由だー!』

 

 蜘蛛子ちゃんが叫び声を上げながら迷宮の外に出ると、転生して初めて浴びる日の光と迷宮の出入り口を取り囲む砦が待っていた。

 砦にはたくさんの兵士達が武器をこちらに向けて攻撃してくる。

 攻撃は全く効いてないからどうでもいいが、どうしたものかねぇ。

 

『どうする蜘蛛子ちゃん?』

『いきなり殺すのもあれだから、めっちゃ力をセーブして』

 

 そう言いながら蜘蛛子ちゃんが撃ちだした魔法が砦に直撃すると、面白いくらい簡単に崩壊していく。

 あまりの惨状に蜘蛛子ちゃんは私は関係ないとそそくさとその場から離れていく。

 

『いきなり殺さないために力を何だっけ?』

『ちゃんと力はセーブしたよ!?それなのに簡単にぶっ壊れたんだ!』

『なるほどなるほど、それで?』

『砦が脆いのが問題だと思います!欠陥工事が崩壊の原因だと思います!』

『魔導の極みなんて持ってる龍を殺せる魔物の魔法に耐える建物があるなら見てみたいわ』

『・・・・・・それは・・・・・・スラちゃんが神珍鉄で作れば見れるよ!?』

『被告人が容疑を認めたため有罪とする。これにて閉廷』

『ノー!?』

 

 蜘蛛子ちゃんとふざけた会話をしながら山の中を進んでいく。

 正直、先に攻撃してきたのは向こうなので砦を壊されたくらいで済んだことを感謝してほしいくらいだ。

 私達の気まぐれ次第では皆殺しもありえたのだから、被害が少なくて良かったね。

 

『まあ、冗談はほどほどにして、これからどうする?』

『やっぱり、迷宮では食べれないものを食べたいよねぇ』

『じゃあ、山の幸でも探してみよっか』

『おー、筍とか茸、木の実、シカや猪いないかなぁ』

『私も甘いものが食べたいなぁ』

 

 蜘蛛子ちゃんと一緒に山の中をゆっくりと散歩しながら食べ物を探して回る。

 私は蜘蛛子ちゃんの背中に乗せられているので歩いていないが。

 

 しかし、思った以上に見つからないものだなぁ。

 まあ、動物は私達を恐れて逃げていくよねぇ。

 食べ物は空納に入ってるから焦る必要はないけど、折角外に出たんだから木の実とか食べたいよねぇ。

 

 しばらく、探したことで漸く果物を見つけることが出来た。

 私は腕を伸ばして果物を複数個取り、蜘蛛子ちゃんに少し渡す。

 

『いやぁ、見つかって良かったねぇ』

『ありがとう、スラちゃん。それじゃあ、いっただきまーす』

 

 美味しそうに桃のような果物にかぶりつく蜘蛛子ちゃんを見て私も同じようにかぶりつく。

 迷宮内では食べることが出来なかった果物の甘味に幸せな気分で食べ続けていると、探知に蜘蛛の魔物が大量に引っかかった。

 蜘蛛の魔物達は明らかにこちらに向かって来ている。

 

『何、あいつら?』

『ああ、多分、私を連れ戻しに来た奴らかも』

『ふーん、殺すの?』

『そうだね。向こうも殺す気で来てるだろうから、殺してもいいでしょ』

『了解』

 

 殺すのはいいけど、アークは少し厄介だなぁ。

 動きさえ制限できれば問題ないんだけどねぇ。

 

『蜘蛛子ちゃん、アークの足止め出来る?』

『足止めくらいなら出来ると思うけど、なんで?』

『いや、攻撃が当てられるなら簡単に倒せる相手だから』

『ああ、なるほどねぇ。なら、足止めは任せて!』

『お願いねぇ』

 

 蜘蛛子ちゃんと簡単な作戦を話し合って私達は罠を仕掛けて蜘蛛の魔物達の前に姿を現す。

 蜘蛛の群れは私達を前にして止まると、蜘蛛子ちゃんが仕掛けた罠を簡単に壊した。

 

 一応、頭はそこそこいいんだねぇ。

 

 罠は一つではないので二つ目の罠で動きを封じて蜘蛛子ちゃんと一緒に暗黒魔法を撃ち込んで雑魚を一掃する。

 しかし、グレーターとアークは流石にこのくらいでは倒せないようだ。

 腕で砂煙から出て来たグレーター二匹の頭を吹き飛ばす。

 

 まあ、グレーターなら問題なく殺せるね。

 問題はアークだけど、蜘蛛子ちゃんが動きを止めてくれれば余裕だね。

 

 アークとグレーターの攻撃を避けながら走って逃げる蜘蛛子ちゃんの背中からグレーターに腕を伸ばして頭を吹き飛ばす。

 残りはアーク二体とグレーターが三体。

 操糸でアークとグレーターの攻撃を防ぎながら腕でグレーターの頭を潰して殺す。

 アーク二体が残ったところで蜘蛛子ちゃんが木の上に飛び乗る。

 私達を狙ってくるアーク二体に私と蜘蛛子ちゃんの二人で操糸を使い身動きが取れないように拘束する。

 

『上手くいったね、蜘蛛子ちゃん』

『これくらい余裕ですよ、スラちゃん』

 

 蜘蛛子ちゃんの言う通りかなりの余裕があった。

 確かに一人だと倒すのが辛いが、二人で協力できるなら何の問題もない。

 私の最大の弱点であるスピードは蜘蛛子ちゃんが補ってくれるので、私は得意の攻撃に集中できる。

 私達が協力するのなら龍クラスでも何の問題もない。

 

『それじゃあ、止めを刺しますか』

『そうだね』

 

 私達の糸で満足に身動きの取れないアーク二体を余裕をもって殺す。

 アークを殺したことで一気にレベルが上がった。

 

 私の平均速度能力も大分上がったなぁ。

 まあ、それでも2000代なんだけどねぇ。

 

『それじゃあ、食べますか』

『折角、迷宮から出たのに食べてるものが迷宮にいた頃と変わらないのはどうしてなんでしょうね』

『まあ、食べ物を無駄にするわけにはいかないから仕方ないね』

『そうそう。お残しは厳禁』

 

 蜘蛛子ちゃんと一緒に蜘蛛の死体を食べる。

 迷宮内で食べれるものだが、意外と美味しかったので良しとしよう。

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