スライムですが、なにか?   作:転生したい人A

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化け物と人形と進化

 蜘蛛子ちゃんと一緒に森の中で見つけた果物を食べながら散歩している。

 何となく、すごく嫌な予感がした私が、エルロー大迷宮の方に視線を向けると、エルロー大迷宮がある辺りから紫の奔流が天に昇って行った。

 それを見た瞬間に私は顔を逸らした。

 

 ああ、やばい。

 上層から下層で生きて来た私でも迷宮内であんなふざけたことが出来る存在を一体しかしらない。

 まさか、通れる道を自分の力で作ってくるなんて・・・・・・

 

『蜘蛛子ちゃん』

『ん?どうしたの、スラちゃん?』

『マザーが来る』

『スラちゃんのマザー?』

『ううん、蜘蛛子ちゃんのマザー』

 

 私の言葉に蜘蛛子ちゃんの足が止まる。

 気のせいか蜘蛛子ちゃんが震えているような気がする。

 

『いやぁ、まさかぁ、だってあの巨体じゃあ外になんて・・・・・・』

『さっき、迷宮をとんでもない太さのブレスがぶち抜いてたよ』

『・・・・・・マジ?』

『まじです』

『あれ?なんか揺れてない?』

『まずいね。急いで逃げないと』

 

 蜘蛛子ちゃんが後ろに跳び退くと、そこに巨大な蜘蛛の足が振り下ろされた。

 視線をゆっくりと上にあげると、いつの日か中層で見た巨大な蜘蛛がそこにいた。

 

 やばいなぁ。

 クイーンタラテクト(弱体化中)って・・・・・・

 何が弱体化してるんですかねぇ。

 弱体化してなお、私より攻撃力高いってなんなの?

 これ、逃げ切れるかなぁ。

 

『蜘蛛子ちゃん、転移魔法は私が構築するから逃げることだけに集中して』

『分かったよ、スラちゃん!』

 

 私の言葉を聞いてすぐに蜘蛛子ちゃんが全速力で逃げ始めるが、普通について来るマザー。

 早く転移魔法を構築しないと本当に死んじゃう。

 範囲転移で巣に逃げないと、早く早く早く。

 

 うわぁ!?

 

 魔法を構築している私の真横をマザーのブレスが通り過ぎる。

 ブレスが地面に直撃すると、地面が爆散する。

 蜘蛛子ちゃんが必死に避けながら逃げているため、ギリギリ当たらずに済んでいる。

 

 これ、蜘蛛子ちゃんいなかったら死んでるなぁ。

 あんなのまともに食らったら確実に無事じゃ済まないだろうしねぇ。

 

 魔法の構築を急いで行いながら何となく後ろを振り向くと、平和な森の光景がぐちゃぐちゃにされていた。

 木々はなぎ倒され、地面は抉れ、先ほどまでの森の光景などどこにもない。

 

 うわぁ、移動する大災害だぁ。

 これは本当にやばいなぁ。

 

 マザーの振り下ろした足を蜘蛛子ちゃんが回避するが、少しかすり体の一部が削られる。

 蜘蛛子ちゃんも足をやられたようで、避けた先に撃ち込まれたブレスは回避できそうにない。

 ブレスが直撃する寸前で何とか魔法が完成して巣に戻ることが出来た。

 

 危なかったぁ。

 後、少し構築が遅かったら直撃してたぁ。

 かすっただけとは言え、HPかなり削れたからなぁ。

 少し巣でゆっくり休んでから外に出よぉ。

 

『しばらくは古巣で休もうかぁ』

『そうだねぇ!?』

 

 蜘蛛子ちゃんが私の言葉に返事を返す途中で、目の前に白い鎌のような前足が振り下ろされた。

 私達が視線を上げると、アークが二体と大量の小さい蜘蛛が私達の目の前にいた。

 

 ああ、ここに逃げ込むことも読まれてたのねぇ。

 けど、アーク二体くらいならぁ。

 

 背後で聞こえた足音に私達が振り向くと、アークが八体と大量の蜘蛛が居た。

 

 ・・・・・・アーク十体かぁ。

 大丈夫かなぁ、これ・・・・・・

 

 アーク十体に囲まれた状態をどうにかする手段なんて一つしかないだろう。

 

『蜘蛛子ちゃん、中層に行こう』

『そうだね。中層でこいつらをまとめて倒そう!』

『まずは、こいつらを突破しないとねぇ』

 

 アークの攻撃を蜘蛛子ちゃんが何とか回避してくれるが、数が多すぎる。

 蜘蛛子ちゃんがアークの攻撃を回避しきれずに噛みつかれた。

 背中に乗っていた私もろとも噛みつかれ、毒による攻撃をしてくる。

 

 状態異常は私には効かないけど、蜘蛛子ちゃんには効いてるよねぇ。

 

 アークの頭を伸ばした腕で殴り飛ばし、HPを一気に削ってやるが殺すまではいかなかった。

 それよりも蜘蛛子ちゃんのHPが危ないから先に治療した方が良さそうだねぇ。

 蜘蛛子ちゃんの治療を行いつつ、アークたちを伸ばした腕を振り回して追い払う。

 攻撃はほとんど当たらないが、近づけさせないことは出来た。

 

『ありがとう、スラちゃん』

『こっちは大丈夫だから、早く中層に!』

『分かった!』

 

 中層に向かう道の途中で私達の目の前にそいつは現れた。

 洞窟の天井に立っている腕が六本あるマネキンのような奴。

 そいつは私達が戸惑った一瞬で私が伸ばしていた腕と蜘蛛子ちゃんの鎌のような前足を斬り落とした。

 

 速すぎない!?

 複数伸ばしていた腕が一気に切り落とされたことでHPが一気に削れる。

 やばいなぁ。

 

 奇跡魔法で治療を行いHPを回復させながら背後に視線を移す。

 アーク十体と大量の蜘蛛がこちらに向かって来ている。

 

 人形一体だけでも厳しいのに、アーク十体同時に相手とか無理でしょ!?

 仕方ない、アークの足止めは私がするしかない。

 人形相手だと私の腕も意味ないし、アークを魔法で足止めしよう。

 

『私がアークを足止めするから蜘蛛子ちゃんは人形をお願い』

『お願いってどうすれば!?』

『取り合えず、攻撃を避けることを優先して!』

『分かった、避けるだけなら任せて』

 

 魔導の極みなんてチートは無いけど、私も魔法は得意なのよ。

 迫ってくる蜘蛛の群れに暗黒槍と暗黒弾の雨を降らせてやる。

 流石にアークを倒すことは出来ないだろうけど、足止めにはなる。

 

 問題は、アークどもの足止めに大量の魔法を撃ち込み続けてるから転移で逃げることが出来ないんだよねぇ。

 

『蜘蛛子ちゃん、転移で中層に跳べる?』

『すぐには無理、時間があれば出来るよ』

『分かった。人形の相手をしながらお願い、私はアークどもの足止めに集中するから』

『了解』

 

 問題は足止めの方だけど、このまま魔法を撃ち続ければアークは耐性を獲得してくるだろうしねぇ。

 蜘蛛子ちゃんが人形を何とかしてくれてる間にアークを削り切れればいいんだけど。

 こんなに動き回られたら腕を伸ばして攻撃するのも出来ないし、伸ばしたら人形に斬られるよねぇ。

 となると、切り札を使うしかないねぇ。

 

『蜘蛛子ちゃん、私が合図したら一瞬だけ止まって』

『え?よく分からないけど、分かったよ!』

 

 神龍力発動!

 スピードが無くてもこんな狭い通路だと逃げ道は無いでしょう。

 

『今、止まって!』

『了解!?』

 

 私の合図で蜘蛛子ちゃんが動きを止めた瞬間に私は蜘蛛の群れにブレスを撃ち込む。

 腐食属性の強力な攻撃に避けれなかったアーク数体と蜘蛛の群れが塵になって消える。

 

『動いて良いよ』

 

 私が言うと、蜘蛛子ちゃんは動き出すが、転移の構築が終わったのか中層に転移で来た。

 

 いやぁ、今回は本当に危なかった。

 蜘蛛子ちゃんがいなかったら本当に死んでたねぇ。

 

『蜘蛛子ちゃん無事?』

『うん、大丈夫』

『良かった。で、これからどうする?』

『取り合えず、さっきの戦いでレベル上がったから進化かなぁ』

『そういえば、私もレベル上がってた。私も進化しようっと』

 

 蜘蛛子ちゃんに下ろしてもらった私は進化先の確認に入る。

 

《進化先の候補が複数あります。次の中からお選びください。

アストラル・スライム

エンペラースライム》

 

 ああ、前と似た感じだねぇ。

 前の時の上位種って感じかなぁ。

 となると、アストラル・スライムだねぇ。

 

『アストラル・スライム:進化条件:一定以上のステータスを持つ粘液状の魔物、魔法系スキル、物理無効、状態異常無効、全属性無効の所持:説明:物質を超越した高次元の体を得た粘液状の魔物』

 

 うわぁ、進化条件えげつないわぁ。

 物質を超越した超次元の体ってなによ。

 まあ、進化するんだけどね!

 アストラル・スライムに進化で!

 

《進化が完了しました》

《種族アストラル・スライムになりました》

《各種基礎能力値が上昇しました》

《スキル熟練度進化ボーナスを取得しました》

《進化によりスキル『不死』を獲得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『巨大化LV9』が『巨大化LV10』になりました》

《条件を満たしました。スキル『巨大化LV10』がスキル『超巨大化LV1』に進化しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『超巨大化LV1』が『超巨大化LV4』になりました》

《スキルポイントを入手しました》

 

 あれ?眠くならない。

 状態異常無効があるからかな?

 まあ、眠くならないのはいいか、ステータスの確認っと。

 

《アストラル・スライム LV1 名前なし(蓮見葵)

ステータス

HP:9560/9560(緑)

MP:650/18650(青)

SP:8240/8240(黄)

 :8030/8240(赤)

平均攻撃能力:18750

平均防御能力:10840

平均魔法能力:18320

平均抵抗能力:9640

平均速度能力:4260

スキル

『HP超速回復LV10』・・・・・・『天命LV10』『天動LV10』『富天LV10』『城塞LV10』『剛毅LV10』『天魔LV10』『天道LV10』『不死』『悟り』『n%I=W』

スキルポイント:2000

称号

『悪食』『暗殺者』『糸使い』『魔物殺し』『無慈悲』『魔物の殺戮者』『悟りの支配者』『竜殺し』『恐怖を齎す者』『龍殺し』『魔物の天災』『覇者』》

 

 おお、一部ステータスだけならマザーに届きそうだ。

 スピードは相変わらずだけどねぇ。

 進化によるステータスの上昇とスキルレベルの上がり方がついにおかしくなって来たなぁ。

 しかも、さっき明らかにおかしいスキル手に入ったよねぇ。

 

『不死:システム内において死ぬことが無くなる』

 

 わーい、もう防御力とか関係ないねぇ。

 深淵魔法使えるやばい奴と会わない限りは大丈夫だね。

 まあ、隣にいるんだけどねぇ。

 蜘蛛子ちゃんと敵対する予定はないし、大丈夫でしょう。

 さて、もう一つのスキルの確認っと。

 

『超巨大化:自身の体を大きく出来る。大きくなるとHPと攻撃力が上昇する』

 

 おお、巨大化だけでなくHPと攻撃力まで上げってくれるとは、これはいいスキルだねぇ。

 普通なら体が大きくなるせいで攻撃が当たりやすくなるけど、物理無効や全属性無効で攻撃のダメージなんて入らないし、不死で死なない。

 つまり、私にとってはデメリットにならない。

 

 ふふ、ちょっと、下層にこもって鍛えてもよさそうだねぇ。

 そうすれば、マザーが襲って来ようと怖くないでしょう。

 私と蜘蛛子ちゃんがステータスの変化を確認していると、ポトリという音を立ててスマホが落ちて来た。

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