スライムですが、なにか?   作:転生したい人A

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魔王と新しい呼び名

 エルロー大迷宮から転移した私は燃える町の中を歩いて進んでいた。

 そこら中で燃える町に泣き叫ぶ人や逃げ惑う人達で溢れていた。

 町を襲撃したであろう兵士が私に斬りかかって来たので頭を吹き飛ばして殺し、死体を空納にしまう。

 

「蜘蛛子ちゃん、また面倒なことに巻き込まれてるんだねぇ」

 

 燃えている町の様子を見ながら万里眼で蜘蛛子ちゃんを探す。

 万里眼を使ってすぐに蜘蛛子ちゃんを見つける。

 どうやらこの領地の領主が住んでいる館にいるようだ。

 

「他にも誰かいるし、今回は何をしたんだろう?」

 

 館に向かってゆっくりと歩く私に襲い掛かってくる奴らがいるが、気にせずに殺す。

 そしてその死体を空納にしまいながら移動を続ける。

 私が館の扉を開けて中に入ると、館の中にいた蜘蛛子ちゃんと黒い少女、吸血鬼と吸血鬼を抱きかかえている男の四人が私に視線を向けて来る。

 四人が私のことを警戒しているが、私はそんなことを気にせずに蜘蛛子ちゃんに近づいて手を上げる。

 警戒して身構える蜘蛛子ちゃんと黒い少女を無視して私は手を振る。

 

「蜘蛛子ちゃん、お待たせ」

『・・・・・・!?もしかして、スラちゃん!?』

「そうだよ。驚いた?すごいでしょ、この和服」

 

 蜘蛛子ちゃんは私の変化にかなり驚いているようだ。

 ふふっ、苦労して作った甲斐があったね。

 蜘蛛子ちゃんの目の前でクルクルと回って和服を見せつける。

 

『和服って言うより、その姿の方がよっぽど驚いたよ!?え!?人化出来るようになったの!?』

「当然、蜘蛛子ちゃんと美味しいもの食べ歩くのには必要でしょ」

『おお!?けど、私は人の姿なの上半身だけだけどねぇ』

「きっと蜘蛛子ちゃんならすぐに人の姿になれるようになるって」

『ん~、けど、これ以上進化先ないんだよねぇ』

「ああ、じゃあ、スキルポイントで人化のスキル取るしかないねぇ」

『やっぱりかぁ』

 

 私と蜘蛛子ちゃんが話していると、私達の会話に困惑していた黒い少女が蜘蛛子ちゃんに問いかける。

 

「えっと、知り合い?」

 

 黒い少女の問いに対して蜘蛛子ちゃんは頷いて返す。

 蜘蛛子ちゃんの反応を見て私に視線を向けて来るが、私は蜘蛛子ちゃんに問いかける。

 

「ねえ、この人誰?」

『えっと、簡単に言うと魔王で蜘蛛の魔物の頂点。後、ステータスが平均九万あるから喧嘩売らない方がいいよ』

「え!?」

 

 蜘蛛子ちゃんの言葉に私は蜘蛛子ちゃんと魔王を交互に見る。

 蜘蛛子ちゃんがそんな嘘を吐くとは思えない。

 

 魔王はどうでもいいとして蜘蛛の魔物の頂点でステータス平均九万?

 何それ、化け物じゃん。

 もしかして、Dが蜘蛛子ちゃんに言ってた彼女ってこの少女のことか。

 Dもまた随分と酷い無茶ぶりをしたことで。

 まあ、こうやって一緒に居るってことは和解したのかな?

 ん~、けど、蜘蛛の魔物かぁ。

 

「ん~、蜘蛛ってことは蜘蛛子ちゃんだとどっちか分からなくて紛らわしいなぁ。よし、今日から蜘蛛子ちゃんのこと白ちゃんって呼ぶね」

『もしかして色が白いから?』

「そうだよ」

『せめて、もう少し考えようよ』

「シンプルイズベストって言うでしょ」

『ああ、うん。そうだね、もう白ちゃんでいいよ』

 

 どうやら蜘蛛子ちゃんも納得してくれたようなので、今日から蜘蛛子ちゃん改め白ちゃんに改名。

 折角だし、私も呼び方変えて貰おうかなぁ。

 私も眷属が出来てスラちゃんだと紛らわしいし。

 

「折角だし、私の呼び方も変えよ。私も眷属のスライムが出来たからスラちゃんだと紛らわしいし」

『ええ、急に言われてもねぇ』

 

 私達の会話に周りはかなり困惑しているようだけど、気にしない。

 話があるなら話しかけてくればいいだけだしねぇ。

 白ちゃん、すこし考えすぎじゃない?

 

「シンプルでいいんだよ?」

『じゃあ、青ちゃんで』

「青?・・・・・・ああ、なるほどね」

 

 前世の名前からとったのか。

 まあ、見た目も青系統の色結構入ってるし、見た目的にも間違ってないね。

 

「えっと、そろそろいいかな?」

「ん?いいですけど、どうしたんです?」

「えっと、君はこれからその子と一緒に行動するの?」

「その予定ですけど、どうしてですか?」

「いや、良かったら二人とも私と一緒に魔族領に来ない?」

 

 魔族領ねぇ。

 私はどっちでもいいから白ちゃん次第かなぁ。

 

「白ちゃん、どうする?私はどっちでもいいけど」

『私も行ってもいいけど』

 

 白ちゃんもどっちでもいいかぁ。

 お互いどっちでもいいなら、このまま変わらない日常を過ごすより行った方が面白そうだよねぇ。

 

「じゃあ、行くってことでよろしくお願いします」

「オッケー、これからよろしくね」

 

 魔王が手を差し出してきたので、手を握っておく。

 それで満足したようでうんうんっと頷いていて口を開く。

 

「それで、気になってたんだけど、どうして顔隠してるの?」

「ん?ああ、これですか?」

「そうそう、ずっと布で顔隠してるけど、なんか理由があるの?」

『あ、それ、私も気になる』

 

 魔王の言葉に顔を覆っている布に触れて聞き返すと、白ちゃんまで気になっていたようで念話で問いかけて来る。

 私からしたら、白ちゃんが念話でしか喋らないのも気になるけどね。

 

「目と口の中を見られると人じゃないってバレるからですよ」

 

 二人の前で布をめくり、スライムの体と同じ色をしている目と口の中を見せる。

 私の目と口の中を見て二人は少し驚いたが、納得してくれたようだ。

 

「まあ、バレて騒がれたら国ごと消せばいいんですけどねぇ」

「ああ、うん、取り合えず、分かったよ」

「取り合えず、この町から出ません?」

「そうだねぇ。いつまでもここにいるわけにはいかないしね。君達も一緒においでよ」

 

 私の言葉に魔王が賛成し、この場にいるもう二人に話しかける。

 吸血鬼とその従者は戸惑いながらもついて来ることには賛成のようだ。

 

『食料とか必要そうなもの持ってこうよ』

「ああ、それもそうだねぇ。この館の食べ物持っていくけどいいよね?」

「は、はい、構いません」

「じゃあ、遠慮なく」

 

 従者の許可を貰ったので私と白ちゃんで館にある食料や調理器具などを全て空納に放り込んでいく。

 食料と調理器具の回収が終わると、館から出て町の外に出る。

 燃えている町が見える丘まで移動して、これからについて改め話し合うことになった。

 魔王と吸血鬼達が転生者について話しているが、特に興味が無かったので白ちゃんに話しかける。

 

「白ちゃん、どうして喋らないの?」

『青ちゃん以外に人がいるから、何となく』

「折角なんだし、喋ろうよ。どうせ念話だって盗聴されるんだし」

「・・・・・・まあ、頑張る」

「うん、これから慣れて行こうねぇ」

 

 私と白ちゃんが話していると、魔王達も話し終わったのかこちらに近づいて来る。

 

「話は終わったんですか?」

「青ちゃん、話聞いてなかったの?」

「はい、全く。彼女達の関係性とか興味ないですし、エルフのことも興味ないので」

「エルフが何をしてるのか知らないの?」

「知りませんよ。けど、禁忌の元凶とかそんなところでしょう」

「え?知ってるの?知らないの?どっち?」

 

 私の言葉に魔王が困惑しているが、何を困惑しているのか。

 今知らないと言ったじゃないか。

 

「知らないです。ただ、何をしてるのか予想できるってだけですよ」

「禁忌のことやエルフのこと分かってるなら何で興味ないのさ。世界が滅ぶかもしれないんだよ?」

「そんなすぐには滅びませんよ。本当に邪魔なら潰せばいいだけですしねぇ」

「随分はっきりと言い切るね。ポティマスをそんな簡単に潰せるとでも?」

 

 私の言葉に魔王は人が変わったように真剣な顔で私を見て問いかけて来る。

 冗談抜きで真面目に答えろという雰囲気を感じたので、少し考えて返す。

 

「そうですねぇ。そのポティマスがエルフの族長なんでしょうけど、そいつ、心底臆病で器が小さいようですから、何重にも保険をかけているでしょう。それもMAエネルギーを利用したシステムに頼らない保険がかなり多いでしょうね。しかも自分の技術以外何も信用してないでしょうし、守りを崩して保険を一つ一つ潰すのは骨が折れることでしょうねぇ。まあ、簡単に潰すのは無理な相手ですよ」

 

 ついでに、どこぞの邪神が簡単に潰せないように干渉してくるでしょうしねぇ。

 本当に潰そうと思うと骨が折れそうな相手だなぁ。

 

「青ちゃん、エルフについてどこまで知ってるの?」

 

 ポティマスとかいう世界の害悪について考えていると、白ちゃんが首を傾げて問いかけて来る。

 

「ん?ほとんど何も知らないよ」

「え?」

「私が知ってるのは、エルフの里が強力な結界で覆われていることとエルフが長寿であることくらいだね」

「それだけ?本当に?」

 

 白ちゃんは何をそんなに驚いているんだろう。

 いや、白ちゃんだけじゃないね。

 魔王もなんかあり得ないと言いたげな顔で私のことを見て来る。

 

「二人ともどうしたの?」

「確認だけど、青ちゃんはポティマスのこと知らないんだよね?」

「魔王から聞くまで名前も知りませんでしたよ。ついでに、エルフの知り合いもいません」

「じゃ、じゃあ、なんで、そんなにポティマスの性格が分かるの!?」

 

 そんな驚くようなことは何もないでしょうに。

 

「しっかりと考えれば分かることでしょう」

「考えれば分かるって、そんな・・・・・・」

「まあ、そんなことは置いといて、これからどうするんです?」

「そんなことって」

「今話してもどうにもならないことなんて置いておきましょうよ。今日すぐに移動するのか、今日はここらで休んで移動するのかを決めません?」

 

 ポティマスをどうするかなんてゆっくり考えればいいことは後にすればいいでしょうに。

 

「ああ、そうだね。今日はここで休んで、明日からサリエーラ国の首都を目指そう」

「じゃあ、休むために色々準備しましょうか」

 

 まだ、何か聞きたいような魔王を置いて私は糸でベッドを作り始める。

 白ちゃんも一緒に寝るだろうし、少し大きめに作ろう。

 私がベッドを作っている間に白ちゃん達もそれぞれに行動し始めた。

 

 思ってた以上に大人数で旅をすることになりそうだなぁ。

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