スライムですが、なにか?   作:転生したい人A

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お酒には気を付けようね

 ある日、町に行ったアリエルさんが大量の酒を買って戻って来た。

 

「今日は気分を変えて、お酒行ってみよう!」

 

 最近、メラの影響で微妙な空気になってるからかな?

 だからって、樽単位で買ってくるかな?

 

「ほい、白ちゃんと青ちゃんも」

 

 まさか、私達全員で飲むために買って来たのか。

 

 アリエルさんに手渡されたお酒の入ったコップを見ながら考えていると、隣で白ちゃんが飲み干してしまった。

 

 まあ、折角だし飲んでみますか。

 初めて飲むお酒の味はどんなものかねぇ。

 

 手渡されたお酒を一気飲みする。

 そこから脳が麻痺したような感覚と共に思考に靄がかかったような感覚に陥った。

 思考がまとまらないことを少し不快に感じたが、何となく心地よい感覚を抗うことなく受け入れた。

 

 頭がフワフワする。

 あはは、なんか少し楽しいかも。

 

「おかわり」

 

 近くにあった酒樽を取り、空になったコップにお酒を注ぐ。

 注いだお酒を一気に飲み干してはまた注ぐ。

 

「まだまだあるからねー!」

 

 アリエルさんも私以上のペースでお酒をコップに入れるとすぐ一気飲みして、あっという間にお酒が入った樽を空にしている。

 

 アリエルさんペース早いなぁ。

 

「ふふっ、ふふふ・・・・・・」

 

 白ちゃんもお酒を飲んで気分が良くなったようだ。

 白ちゃんもアリエルさんに対抗して早いペースでドンドン樽の中身を少なくしていく。

 お酒に慣れていないせいか、顔を真っ赤にして目をぐるぐる回している。

 そしてテンションがいつもより高い。

 

「あはは、白ちゃん、顔真っ赤!」

 

 目がぐるぐるしてる。

 

 ソフィアはお酒を一口飲んで倒れている。

 

「う、ううぅ・・・・・・」

 

 そしてメラゾフィスが泣いている。

 

「あははあはははは、メラが泣いてる!」

 

 おっかしいの!メラ、泣いてる!

 

 腹を抱えて笑う私とは別に、白ちゃんは無理矢理メラにお酒を飲ませる。

 無理矢理飲まされて慌てるメラ。

 それを見て私と白ちゃんはケラケラと笑う。

 

「ゲホッ、ゲホッ!」

 

 あははあははは!メラが怒ってる!

 おっかしいの!バッカみたい!

 

 睨まれた白ちゃんは、のほほんと笑って返す。

 同じく睨まれた私は、腹を抱えて笑い転げる。

 

「うん、そっちの方がいい顔だぁ。ウジウジしてるよりよっぽどマシ」

「あなた達に・・・・・・、何がわかるッ!」

「あはは!怒ってる怒ってる!」

 

 メラの怒鳴り声に対して私は腹を抱えて笑いながらお酒を飲む。

 

「何もかも失って、その上吸血鬼になってしまった私の気持ちが、あなた達にわかるか!?」

「うるさい!」

「ぐぅ!?」

 

 私の重魔法でメラが倒れる。

 大の字で地面に倒れたメラは修行の時以上に強力な重魔法に立ち上がることが出来ずに這いつくばっている。

 そんなメラに近づいて私は頭を掴んで持ち上げる。

 

「メラ、何馬鹿なこと言ってんの?」

「馬鹿なこと!?・・・・・・、あなたに私の何がわかる!?」

「分かんないよ。そんなくだらないことで思い悩んでる、メラの気持ちなんて分かるわけないでしょ?」

「なら!?」

 

 私の言葉を聞いて何か言おうとするメラの顔を無理矢理ぶっ倒れているソフィアに向ける。

 

「何もかも失ったって言ってるけど、あれは?」

「!?」

「あれは、メラにとって大切なものにすら入ってないの?」

「そんなことは!?」

 

 何か言おうとするメラの頭を手放して落とす。

 地面に頭を打ち付けられて言葉が途切れるが、構わず私は続ける。

 

「吸血鬼になった程度で、あれを守ることを諦めるの?」

「吸血鬼になった私の気持ちなんて・・・・・・」

「はあ、メラの信念はその程度なんだ」

「!?」

 

 メラにかけた重魔法を解除し、お酒の樽を持って白ちゃんの背中に乗る。

 そしてコップに入れずに樽のまま飲んでメラに視線を向ける。

 

「私はスライムだし」

「私は蜘蛛だよ」

「ちょっと、生き方が変わった程度で揺らぐ程度の信念なら捨てちゃえば?」

「そんなに嫌なら死ねばいいじゃん」

「メラが望むなら私達が殺してあげるよ?」

 

 メラが答えを出すまでの間、私はお酒を飲み続ける。

 

「死ねない!私はお嬢様のためにも死ぬわけにはいかない!」

「生きる意味とか、誇りとか信念があるなら何迷う必要があんの?吸血鬼になったらそれに影響あんの?ないならそんなの些事だよ些事、くだらない」

「あははあはははは!!!」

 

 白ちゃんの言葉に悩みを一刀両断されたメラが崩れ落ちる。

 それを見て私は声を上げて笑う。

 

「メラ、強くなりたい?」

「はい、お嬢様をお守りするために強くなりたいです」

「そっかそっか!」

 

 強くなりたいんだ。

 

「けど、あれ、君よりずっと早く成長して強くなるよ」

「!?」

 

 メラの驚いた表情を見て私は笑う。

 何がおかしいのか分からないが、腹を抱えて笑い続ける。

 

「これまでの修行だと、君はあれより弱いままだよぉ。どうする?」

「お嬢様をお守り出来るだけ、強くなる方法があるのですか?」

「それは君次第だよぉ。ずっと死に続けるような、辛い辛い修行なんだけどぉ。やるぅ?」

「お嬢様のためなら、やらせてください」

「あははは!いいよ!死ぬ寸前、ギリギリまで追いつめてあげるよぉ」

 

 メラの答えを聞いて私は腹を抱えて笑う。

 お酒の樽を一つ空にし、腕を伸ばして別の樽を取り飲み始める。

 

 あははは!明日からが楽しみだねぇ。

 これで容赦なく鍛えられるよぉ。

 

「白ちゃん、柔らかくて気持ちぃ」

 

 特に、この胸が良いよねぇ。

 大きくて、柔らかくて、程よく弾力があって。

 あの子達に似てて、ずっと触ってたくなるくらい触り心地が良いよねぇ。

 

 新たに取った樽も飲み干して白ちゃんの体を触り続ける。

 そんな私の和服の襟をつかんで持ち上げた白ちゃんは、私の両手を背中でまとめると糸で拘束する。

 私を拘束した白ちゃんは私が空にした樽に糸で貼り付けにする。

 

「白ちゃん?」

「青ちゃんが触ってくるんだから、私が触ってもいいよねぇ」

「え?」

 

 白ちゃんの和服の中に手を突っ込み体中を触り出す。

 お腹を撫でられたり、脇をくすぐられたり、胸を揉まれた。

 

「白ちゃん!?くすぐったいよ!」

「スキンシップ、スキンシップ」

「触るのはいいけど、あんまりくすぐらないで!」

 

 白ちゃんに触られるのがくすぐったいせいで笑いっぱなしの私は最終的に笑いつかれて気絶するように眠った。

 私が気絶しても触り続けた白ちゃんは満足すると、やめて簡易のベッドを出して気絶するように寝た私と一緒にベッドで眠る。

 アリエルさんとメラは私達から目を逸らしてお酒を飲んで寝ていた。

 

 次の日の朝。

 

「あれ?私いつの間に寝たんだっけ?」

 

 アリエルさんから手渡されたお酒を飲んだ後の記憶がない。

 飲みすぎちゃったのかなぁ。

 

 私が周りを見渡すと、空になった樽が大量に転がっている。

 白ちゃんは私の隣で寝ている。

 他の皆もそれぞれちゃんと簡易の寝床で寝ているようだ。

 私が視線を自分の体に移すと、和服がはだけて色々見えている。

 

「?なんで、はだけてるんだろう?」

 

 和服をしっかりと着なおし、皆が起きるまで空納から果物を取り出して食べる。

 しばらくして、皆が起きると私が朝食を作り配る。

 朝食後、メラに声を掛けられる。

 

「昨日のこと覚えておられますか?」

「ああ、ごめんねぇ。全く覚えてない」

「そうですか。では、改めて、お嬢様を守れるように鍛えていただけないでしょうか?」

「転生者のソフィアとメラじゃ成長の速度が違う。まともな修行じゃなくなるよ?」

 

 私の言葉にアリエルさんが目を見開いてこっちを見て来るが、どうかしたのだろうか?

 

「分かっています。どんなに辛い修行でも構いません」

「そう。じゃあ、これから始めよっか」

「!?」

 

 魔闘法と気闘法を使ったメラがギリギリ立っていられる重魔法を掛ける。

 

「さっさと、魔闘法と気闘法を使う」

「は、はい!」

「これ持って」

 

 メラに神重鉛の棒を持たせる。

 今のメラにとってはまともに振ることなんてできない重さの棒を必死に持つメラ。

 

「私が今から魔法を撃ち込むから迎撃して。いいね」

「はい!」

 

 メラが耐えれるギリギリの威力の闇魔法を大量に撃ち込む。

 HPが0になりそうになれば、すぐに奇跡魔法で回復させる。

 

「今は私が回復させてるけど、治療魔法を覚えたら自分でかけるのよ」

「はい!」

「それから体が壊れることなんて気にせず振りなさい。壊れた瞬間に治してあげるから、痛いだけよ」

「分かりました!」

 

 メラは私の闇魔法を撃ち落とすため、一振り一振り限界を超えて振り続ける。

 今は声を出して必死に振っているだけだが、いずれ一振りごとに体が壊れるくらいになってくれるでしょう。

 今でも限界を超えて振っていることに変わりはないため、数回振れば体の至る所が壊れてHPが減っていく。

 それを瞬時に治し、また壊れ、また治す。

 常に限界を超えるために力を振り絞っている上に、気闘法を発動させているメラのSPはすぐに尽きてしまう。

 

「そこまで、少し休憩」

「は、い・・・・・・」

 

 メラが休憩している間に私は調理をする。

 食材が限られているので、味は重視せずに毒を持つ魔物の肉を使って大量の料理を作る。

 料理が出来ると、メラの前に並べる。

 

「限界を超えて食べなさい。過食というスキルの獲得とレベル上げをするわよ」

「は、はい」

 

 普段とは違い明らかに美味しくない料理に顔を歪めながらも食べ続ける、メラ。

 先ほどの闇魔法でボロボロになった服の隙間からメラの背中に触れる。

 私の突然の行動にメラが驚き、食べる手を止めて私を見る。

 

「どうされましたか?」

「何があっても気にせずに食べ続けなさい」

「?は、はい」

 

 食べるのを再開したメラを見て私はメラの背中に触れた手から酸攻撃を行う。

 いきなり背中に焼けるような痛みが走ったメラは驚いて咽る。

 それでも痛みに耐えながら、私に言われた通りに食べ続ける。

 HPが危なくなればすぐに奇跡魔法で全快させ、また酸攻撃を行う。

 SPが全快してメラの食べる速度が遅くなるが食べ続け完食する。

 完食したのを確認して私は酸攻撃をやめ、HPを全開させる。

 

「少し休んだら最初の訓練ね」

「はい」

「今はこれの繰り返しだけど、魔法を使えるようになったら自分に魔法を撃ち込みながら最初の訓練をしてもらうから」

「わかりました」

「それから、移動中は重魔法を歩ける限界ギリギリで掛けるけど、魔闘法と気闘法は使わないでね」

「?わかりました」

「移動中はMPがあるうちはこれに魔力を流して形を変えるように頑張る」

「これは?」

「神珍鉄」

 

 私が渡した神珍鉄の棒に首を傾げるメラに教えてやる。

 そしてメラの目の前で神珍鉄に魔力を流して形を変える。

 

「これは一定以上の魔力を流せば形を自在に変えられる。形を思い描いた形に変えるには魔力操作技術が高い必要があるの。MPで言うと500くらいの魔力を込めれば柔らかくなり始めて、大体1000くらいの魔力を込めたら溶けた鉄くらいの粘度になるよ」

「1000ですか・・・・・・」

「言っておくけど、MP1000分の魔力を込めても粘度を保とうと思えば、常に大量の魔力を流し込み続けないといけない。少ないMPで望んだ形にしようと思えば高い魔力操作技術が要求されるってわけ。魔力量と魔力操作の訓練には最適の金属でしょ」

「魔力を込めて手で形を変えることは出来ないのですか?」

「出来ないわ。魔力に合わせて形を変えるだけで、物理的には硬いままだからねぇ」

「なるほど、わかりました」

「じゃあ、修行を再開しようか」

 

 その後、夕方になるまでメラをひたすらに鍛え続けた。

 移動を開始する前に一時間ほど睡眠をとらせ、移動中には魔力の修行と物理ステータスの修行と並列思考のスキル獲得を目指す。

 

 さて、慣れてきたら休憩の時間を減らして何をやらせようかなぁ。

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