スライムですが、なにか? 作:転生したい人A
アリエルさん達が買い物に町に行っている時。
私と白ちゃんは一緒に人形達の改良を行う。
人形達は改良し過ぎて人間と区別をすることは普通の人には不可能だろう。
ただ、未だに声帯は実装出来ていないため、話すことが出来ない。
白ちゃんと二人で糸で疑似声帯を作る方法を考えているので、実装するのも時間の問題である。
少しお腹空いたなぁ。
空納から果物を取り出して白ちゃんに問いかける。
「白ちゃんもいる?」
「いる」
白ちゃんにも一つ手渡し、果物片手に疑似声帯の機構を考える。
そういう作業をしていると、空間の歪みを探知した。
この感覚は?ギュリギュリか?
何の用だろう?
私の予想通りにギュリギュリが転移して来た。
「久しいな」
ギュリギュリが突然現れたことで人形達に緊張が走った。
白ちゃんも、表情を消して観察するような視線を送っている。
誰も話しかけないので、私が話しかけようと口を開こうとすると。
「あまり時間が無いので本題だけ話そう。そっちの蜘蛛の方、君の分身が暴れているので何とかしてくれ」
「どういうことですか?」
先にギュリギュリが口を開いたので、私はギュリギュリにどういうことか問いかける。
「見せたほうが早いな」
そう言ってギュリギュリは腕を軽く振ると空中にスクリーンのようなものが出現する。
スクリーンにはソフィアとメラが住んでいた街と押し寄せる数え切れないほどの白い蜘蛛の大群が映っていた。
そして街を蹂躙させないと壁の上で戦う人たちの姿。
「見ての通りだ。これが君の意思によるものでないのなら止めてきて欲しい」
分身が暴走することってあるのかな?
しかし、白ちゃんがこんな命令を出すとは思えない。
どうなってるんだろう?
「止めてきます」
白ちゃんが真面目な口調でギュリギュリに返した。
「そうか。頼んだ」
白ちゃんが転移の構築を始めると、ギュリギュリは安堵の表情を浮かべる。
ギュリギュリは少し離れて木に寄りかかると、腕を組んだまま動かなくなる。
私が白ちゃんに視線を向けると、白ちゃんが手を差し伸べて来る。
「行くよ、青ちゃん」
「ああ、手伝わされるんだぁ」
「いいでしょ」
「まあねぇ」
白ちゃんの手を取るとほぼ同時に転移する。
転移後に場所を確認すると、町から離れた蜘蛛の群れの背後に転移していた。
他より明らかに強い蜘蛛が9匹いるねぇ。
白ちゃんがその9匹に近づいていくので、私もついて行く。
「へい貴様ら、どういう了見だ?」
私と話す時と同じように話しかける白ちゃん。
自分の分身だから普通に話せるのかな。
『げっ!?本体!もう嗅ぎつけてきたのか!?』
蜘蛛の一体が驚き、念話で返してくる。
どうやら、こいつら9匹が今回の主犯らしいねぇ。
「どういうつもりでこんな事しでかしている訳?ギュリギュリが私らのとこに文句言いに来たんだけど」
苛立ちながら白ちゃんが蜘蛛達に言う。
『ええー』
『ギュリギュリも動きはえーな』
「すぐこれを止めてくんないと殺されそうな勢いだったんですけど!ていうか止めろし。何してくれちゃってんのホント?」
本当に何がしたいんだろうねぇ。
苛立っている白ちゃんの隣で私が呆れて肩を竦める。
『えー。だって人族とか全部ぶっ殺したほうがいいじゃん』
「……は?」
『そうだ、そうだー』
『それで理解しない、そっちの方が意味わからん』
うわぁ、すごいくだらない理由だったぁ。
人類何て滅ぼしてどうするんだろうねぇ。
分体の言葉に呆然とする白ちゃん。
そしてヒートアップする分体の蜘蛛達を見て、白ちゃんも理解したようだ。
「どうする?殺す?」
「そうだね。もう、こいつらは私じゃない」
「そっか」
白ちゃんの言葉に私は空納から大鎌を取り出す。
「じゃあ、殺しちゃうねぇ」
大鎌の魔力を解き放ち攻撃力を上げて蜘蛛目掛けて振る。
躱すことの出来なかった蜘蛛は大鎌に斬り裂かれて塵になる。
一匹が塵となったことで蜘蛛達が騒ぎ出す。
『げぇ、青ちゃんがやばい武器持ってる!?』
『誰だ!?鬼に鎌持たせたのは!?』
「誰が、鬼だって?」
『『『青ちゃんが怒ったぁ!?』』』
顔を隠していた白い布を外し、蜘蛛達に微笑むとまた騒ぎ出す。
「失礼な、私はスライムだって言うのに」
「そういうことじゃないと思うけど」
「もしかして、白ちゃん?私のこと鬼だと思ってるの?」
私が目だけ白ちゃんに向けて問いかけると、白ちゃんは全力で首を横に振る。
そして蜘蛛達を指さして必死にあいつらだとアピールしてくる。
「まあ、白ちゃんがどう思ってるのかは後でゆっくり聞こうかな」
「えぇー。お前らのせいで、私まで疑われたじゃないかぁ!」
私の言葉を聞いて白ちゃんが大鎌で蜘蛛達に斬りかかる。
そんなに私怖いだろうか?
『血迷ったか!?本体!?』
『そっちに青ちゃんがいるとは言え、こっちの8体とやり合うつもりか!?』
『本体とはいえ、容赦はせんぞ!』
蜘蛛達は私から距離を取って魔法で攻撃してくる気のようだ。
「神龍結界」
『なら、こっちも!』
『『『神龍結界!』』』
どうやら向こうも発動させたようだが、私にはあまり意味がない。
けど、殲滅戦がやりにくくなったのは事実だ。
白ちゃんと同格だとすると、スピードが厳しいなぁ。
まあ、近づいて来る奴らは容赦なく斬り殺せるけど、逃げ回れると面倒だよねぇ。
「ねぇ、近づいてきてくれない?」
『青ちゃんに近づくなんて自殺行為誰がするか!?』
「はあ、スピード特化の相手は苦手だなぁ」
神龍結界を張りはしたが、向こうの方が数が多いせいか普通に魔法を撃ってくる。
スキルの耐性がカンストしている私には大したダメージはない。
私に効果がある魔法と言えば、深淵魔法だけだねぇ。
『だめだ。青ちゃんには深淵魔法以外通じないっぽい』
『じゃあ、深淵魔法を使う!蜘蛛達時間を稼げ』
蜘蛛達が深淵魔法の構築を始めると、蜘蛛達が大量に押し寄せて来る。
「作戦全部筒抜けなのにいいのかねぇ」
「そうだけど、あれは止めないとヤバい」
「分かってるよぉ」
襲い掛かってくる蜘蛛達を大鎌で斬り裂きながら神龍力を発動させる。
『げぇ!?』
今更気づいても遅い。
襲い掛かって来た大量の蜘蛛の群れ事と深淵魔法を構築している白ちゃんの分体を吹き飛ばす。
弱体化したマザーのブレスがエルロー大迷宮の最下層から地上までをぶち抜いて巨大な縦穴を作れた。
そんなマザー以上のステータスとレベルの高い神龍力を持つ、私。
そして私のブレスの属性は腐食。
全盛期のマザーを超える私のブレスに腐食属性がついているのだ。
いくら白ちゃんの分体でも耐えることが出来ずに蜘蛛の群れともども塵となって消える。
「私の前で動きを止めるなんて、殺して欲しいの?」
先ほどのブレスで白ちゃんの分体が3匹まとめて消し飛んだ。
最初に倒したのを入れて4匹、残りは5匹かぁ。
『これ、勝ち目無くない?』
『まだだ。いくら、青ちゃんでも怠惰には対抗出来ない!』
『だめだ!本体に怠惰のスキルを切られた!』
分体達の話を聞いて白ちゃんに視線を向ける。
「怠惰含めて色々スキルオフにしたから、ジャンジャン狩っちゃって」
「白ちゃんも少しは狩ろうよ。まあ、ステータス強化が無いなら、私でも追いつけるから助かるけどねぇ」
魔神法を発動させて白ちゃんの分体を追い回す。
途中で蜘蛛達が襲い掛かってくるが、弱すぎて足止めにもならない。
分体が魔法で攻撃してくるが、大鎌で薙ぎ払う。
たまに、直撃するが問題はない。
「全く、面倒だなぁ」
魔力を解放して攻撃力を上げ、分体を斬り裂く。
白ちゃんも2匹狩り、残り2匹になった分体。
『くっそー!』
『青ちゃんさえいなければ!』
「全く、ちょこまかと逃げないでよぉ」
『逃げるに決まってるでしょ!?』
「はあ、本当に面倒だなぁ」
神金生成を発動させて神珍鉄を大量に作り出す。
神珍鉄を伸ばして分体を追い回して貫く。
私が動くより、こっちの方が早かったねぇ。
神珍鉄を動かす速度に負けるってどうなの?
「まあ、これでおしまいだねぇ」
『や、やめ!?』
串刺しにされた分体に近づいて腐食攻撃で殴り付ける。
二匹とも塵となって消えてなくなる。
そして私は神珍鉄を大きい球体にして空納に放り込む。
「それでこの蜘蛛の群れどうするの?」
残った白い蜘蛛の群れを見て白ちゃんに問いかける。
「どうしよっか?」
「ん?魔法の反応があるね。ここも魔法の範囲みたいだし、魔法が撃たれたら迷宮に転移させる」
「おお、ナイス案!それ採用!」
そして白ちゃんは蜘蛛達と私達を対象に転移魔法を構築する。
町の方から魔法が放たれる。
それに合わせて白ちゃんが転移を発動させ、私達は蜘蛛の群れと一緒に迷宮に転移する。
迷宮に転移した後、私と白ちゃんだけで人形達が待つ場所に転移して戻る。