スライムですが、なにか?   作:転生したい人A

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旅路の摸擬戦

 白ちゃんの分体が暴走した事件から数日たった。

 ソフィアとメラが私達と一緒に魔族領に行くことを決めたことで、私達は魔族領に向かっている。

 長い旅の間、私達は実践訓練のために摸擬戦をしている。

 今は私とアリエルさんとで摸擬戦を行っている。

 

「どうして攻めてこないんですか?」

「そのヤバい大鎌があるからに決まってるじゃん」

「白ちゃんの時は余裕で倒してたじゃないですか?」

「青ちゃんは白ちゃんと違って全ての攻撃が当たるとヤバいでしょ!?いくら私でも攻撃力8万越えの腐食攻撃くらったらやばいんだからね!?」

「いやだなぁ。当たったことないでしょ」

「当たらないように必死に避けてるの!」

 

 そんなことを言われても仕方がない。

 腐食は私の一番適性の高い属性なんだから。

 それに私の攻撃でアリエルさんに通じるのは腐食攻撃のみなのだから、勝つためにはそれしかないのだ。

 

 まあ、私もスキルで全ての攻撃をほぼ無力化しているので人のことは言えないかぁ。

 けど、アリエルさんの攻撃力高すぎてダメージ入りはするんだよねぇ。

 流石はステータス平均9万越えの化け物だねぇ。

 ごり押しでスキルの防御を突破してくるなんて、アリエルさんくらいだよぉ。

 

「アリエルさんに逃げられると、私追いつけないんですけどぉ」

「そりゃそうなんだけどさぁ。スキルの防御が硬すぎるんだよねぇ」

「それでもダメージ通してくるじゃないですか」

「自動回復ですぐに回復する程度じゃん!?削り切る間青ちゃんの傍にいるなんて無理だよ!?」

 

 このままだと私の訓練にならないんだよねぇ。

 いつもそういって逃げられてまともに摸擬戦をしてもらったことがない。

 白ちゃんもアリエルさんと同じで逃げ回るし、他の人だと弱すぎて摸擬戦にならない。

 これまで何度も摸擬戦をしているけど、未だにまともに訓練になる摸擬戦をさせてもらっていない。

 

「分かりましたよぉ。大鎌と腐食攻撃は使わないので、普通に摸擬戦しましょうよ」

「本当に?本当に使わない?」

「使いませんよ。じゃないと私の訓練にならないじゃないですかぁ」

「よし、それならちゃんとやるよ!」

 

 私が大鎌を空納にしまうと、アリエルさんがすごく元気になった。

 腐食攻撃と大鎌を封じると、私の勝ち目は完全になくなる。

 私の攻撃力が高いとは言え、アリエルさんよりは低いのだ。

 魔神法と神龍力で強化しても強化してないアリエルさんと互角。

 それなのに、アリエルさんには物理無効があるらしい。

 強化した私の攻撃力と同じくらい高い防御力を持ち、スキルの防御力まで高いのだ。

 

 はぁ、純粋なステータスが一番強いわけねぇ。

 

 攻撃力特化な私のステータスを恨みながらも空納から神珍鉄を取り出す。

 

「それは?」

「ただの神珍鉄ですよ。腐食属性なんてついてないので安心してください」

「おっけぇ。それなら使ってもいいよぉ」

「格下の私がハンデつけられるのおかしくないですか?」

「あははは、青ちゃんを格下だと思ってたら私今頃死んでるよ」

 

 笑いながら言うことではないと思うのだが?

 そもそも私が格下なのは確実だ。

 確かにスキルや攻撃力なら私は対等レベルに強いかもしれないが、それ以外の部分が低すぎる。

 世界基準で見れば間違いなく最強クラスだが、アリエルさんと比べれば差は圧倒的でしょうねぇ。

 攻撃力を除いた平均ステータスが倍以上違うのだ。

 いくら攻撃力やスキルが優秀でもその差が埋まるわけではない。

 

 では、その差を埋める方法は?

 

 答えは簡単だ。

 システム外の力で埋めればいい。

 未来視のさらに先を読み、最小限の動きで攻撃を受け流し、最小限の動きで反撃する。

 倍以上離れているのならアリエルさんの半分以下の動きで攻撃し、守ればいい。

 どれだけ速かろうと、来ると分かっていれば対処できる。

 

 さあ、今回はちゃんと訓練に付き合ってよぉ。

 

 アリエルさんが私に向かってとんでもない速度で突っ込んでくる。

 

 

 

白視点

 

 神珍鉄の塊を右手に持った青ちゃんに魔王が突っ込んでいった。

 そして次の瞬間には魔王が空高くを舞っていた。

 

 うわぁ、ないわー。

 

 隣で吸血っ子とメラも口と目を限界まで開けて、空高くに放り投げられた魔王を見る。

 

『あいつ、本当にアリエルさんより弱いの?』

 

 吸血っ子の問いに対して頷いて返す。

 青ちゃんのステータスは一部を除いて私より低いから間違いない。

 攻撃力とMPとSPの三つだけが私より高い。

 特に攻撃力に関しては倍近く離れている。

 それでも魔王には届いていないのだから、魔王のステータスはバグってる。

 

 なのに、そんな魔王と互角にやり合えるのが青ちゃんなんだよねぇ。

 本当にどうなってるんだかねぇ。

 

 空間機動で青ちゃんに襲い掛かるが、青ちゃんは全ての攻撃を最小限の動きで避けている。

 ステータス的に青ちゃんと同格のはずの私は魔王に瞬殺されているというのに、この差はなんなのか。

 メラは先ほどから必死に青ちゃんの動きを見ようとしているが、まともに見ることはできないだろうに。

 青ちゃんの速度が遅いと言っても3万は超えている以上、今の吸血っ子とメラには目で追えるはずがない。

 

 といっても、見えたところで青ちゃんがやってることを真似できるとは思ないんだけどねぇ。

 魔王も可哀想にねぇ。

 唯一青ちゃんとまともに戦える相手ということで摸擬戦を強制させられて。

 え?私?

 私は絶対に青ちゃんとは戦わないって決めてるんだよ!

 並列意思を殺しまわる青ちゃんがどれだけ怖かったと思ってるの?

 怠惰のスキルがあっても絶対に戦いたくない!

 

 そんなことを考えていると、魔王の頭から首を青ちゃんが持っていた神珍鉄が覆う。

 魔王は慌てて暴食で顔を覆ている神珍鉄を食べるが、青ちゃんの左拳が顎を強打する。

 そして流れるような動作で左肘で魔王の鳩尾を突き。

 続けて左の裏拳で魔王の鳩尾を殴り、魔王を吹き飛ばす。

 魔王は吹っ飛びはしたがダメージは入ってないようだ。

 

 ないわー、あの魔王に三コンボ決めたよ。

 絶対に勝てるわけないじゃん!?

 いいか、私は絶対に青ちゃんとは戦わないからな!

 例え摸擬戦でも青ちゃんと戦わないからな!

 初めて青ちゃんに会った日に決めてるんだよ!

 青ちゃんは絶対に敵に回さないって決めてるんだよ!

 私はなぁ、死にたくないんだよ!

 

「青ちゃん、本当に何者なの?」

「何者って?私はただのスライムですよ」

「そういうこと聞いてるんじゃないんだけどなぁ」

 

 魔王の問いに関しては私も気になる。

 青ちゃんはどう考えても普通ではない。

 それなのに前世では普通の女の子だった。

 

「いやだなぁ。ただのどこにでもいる普通の女の子ですよ」

「青ちゃんみたいなのが何人もいるわけないでしょ!?」

「みたいなのは、失礼じゃないですかぁ」

「ごめんなさい。殺さないでください」

「まあ、そんなことはいいじゃないですか。それよりも続けましょう」

「そんなことって」

 

 圧倒的な強者であるはずの魔王が簡単に頭を下げたことに青ちゃんが呆れて肩を竦める。

 元体担当と融合したせいか、魔王までが青ちゃんを異常に怖がっている。

 

 まあ、エルロー大迷宮に居た頃に青ちゃんへの恐怖は刻み込まれているからねぇ。

 

 結局、魔王と青ちゃんの摸擬戦は魔王の勝利で終わった。

 魔王が最終的にステータスに任せてごり押した結果である。

 

 やっぱり、魔王もやばいわぁ。

 

 摸擬戦の後、青ちゃんに対して叡智を使って鑑定を掛ける。

 物理系のステータスが大体千以上上がってる。

 

 このペースだと、数年で魔王と同格のステータスになりそうだわ。

 今のステータスで互角なのにまだ異常な成長を続けるというのか!?

 Dの奴、なんでバグスキルを青ちゃんに渡したんだよ!?

 

 私も頑張らないと全ステータスで青ちゃんに負けちゃう。

 

 けどなぁ、傲慢の成長補正だけで青ちゃんの成長スピードから逃げ切れるかなぁ?

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