スライムですが、なにか?   作:転生したい人A

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古代遺跡って楽しいねぇ

 文明崩壊前の遺跡の金属扉の前で私達は立ち止まった。

 白ちゃん達は金属扉にどうしたらいいか分からずに固まっている。

 そんな白ちゃん達を置いてアリエルさんが金属の扉に近づいていく。

 そして金属の扉を無理矢理こじ開けてしまった。

 

 うわぁ、すっごい力技。

 まあ、アリエルさんはこんな遺跡放っておけないんでしょうねぇ。

 

 扉を壊された遺跡が、ビーッ、ビーッっと警報を鳴らし始める。

 そんな警報も気にせずにアリエルさんが遺跡の中に入っていく。

 

「みんな、何が起きてもいいように身構えておいて」

「アリエルさん、これって」

「うん。古代文明の遺跡。まさか、こんなものが残ってるなんて思わなかったけど、調査しないといけない。何が出てくるかわからないから、警戒しておいて」

 

 アリエルさんは私を見ながら言ってくる。

 

 言われなくてもちゃんと白ちゃんから降りるつもりでしたよ。

 

 私が白ちゃんの背中から降りるのを見てアリエルさんが遺跡の中に視線を向ける。

 遺跡の中に入る前に、私は顔を覆ている布を取り空納にしまう。

 アリエルさんが先頭に立って進み。

 その後ろに私がついて行く。

 そして私の後ろにソフィアとメラ、人形達が続く。

 白ちゃんも仕方なくといった様子で最後尾について来る。

 

 さて、何が出て来るかなぁ。

 

 私の希望に応えてか、壁が音を立てて開いて細長い筒が出て来る。

 どう見ても銃口なそれらは、私達に照準を定める。

 しかし、アリエルさんが両手の指から糸を出して一瞬で全て壊してしまう。

 恐ろしく早い糸裁きで、しっかりと見えたのは私と白ちゃんくらいだろう。

 アリエルさんが一瞬で壊してしまった転がっている銃口に視線を向ける。

 

 この程度だとアリエルさんが全部潰しちゃいそうだねぇ。

 

 私が転がっている銃口をつまらなさそうに見ていると、後ろから音が聞こえて来た。

 どうやら白ちゃんが地面に落ちた銃口を拾っていじっていたら暴発したらしい。

 

「何してんのさ?」

 

 アリエルさんが呆れた目で白ちゃんを見ながら問いかける。

 ソフィアは銃弾を受けても平然としている白ちゃんに驚いている。

 そんな彼女達を置いておいて白ちゃんに近づいて銃弾が当たったであろう額を撫でる。

 

「白ちゃん、大丈夫?」

「大丈夫」

 

 白ちゃんが恥ずかしそうに呟いて視線を逸らす。

 

 うん、可愛い可愛い。

 それにしてもしっかりと、銃弾は出るようだねぇ。

 

 遺跡の防衛システムがしっかりと生きているということを確認してソフィア達の前に戻る。

 まだ、奥に進むようだし、ソフィアとメラは自分で身を守ることが出来ないだろうからねぇ。

 メラはまだまだ鍛えないといけないんだから死なれたら困る。

 しばらく、廊下を奥に進むと、行き止まりに到着した。

 行き止まりは、天井や左右の壁、床に微妙な隙間があり違和感がすごい。

 

「いや、まさかねぇ。そんな馬鹿な設計にはなってないよねぇ」

 

 思わず声に出してしまったが、仕方がない。

 この廊下の長さと地上までの距離。

 この空間から予想できる仕組みが一つしか思いつかないのだから。

 どこの馬鹿が考えたのか知らないが、非効率この上ない設計に頭を抱えてしまう。

 

「青ちゃん、どうしたの?」

「これ、エレベーターですよ」

「え?」

 

 私の言葉に全員が驚いたような顔で視線向けて来る。

 アリエルさんは思い当たることがあるのか、確認するために壁をぶん殴り穴を開ける。

 そして穴の縁を掴み力任せにこじ開ける。

 アリエルさんがこじ開けた穴を覗いてみると、小さな部屋があった。

 そして私の予想通りに天井にはエレベーターのような扉がついていた。

 

「これは古代文明の時代にちょっと流行った隠しエレベーターでさ。普段はこうやって地下深くに埋もれてるんだけど、出入りする際は持ち上がって地上に繋がるようになってんの。で、地下にある秘密基地に繋がる」

 

 アリエルさんがこのエレベーターについて説明してくれる。

 予想通り過ぎて頭が痛くなってきた。

 

 誰よ、この無駄な仕組み考えた馬鹿は?

 

「青ちゃん、よく分かったねぇ。これ知ってたの?」

「知るわけないじゃないですか。構造的に他に思いつかなかったんですよ」

「構造ってそんなに分かりやすいかな?」

「この構造考えた馬鹿が誰なのか知りませんが、底抜けの馬鹿なのは確実ですねぇ。正直、自分の考えを否定したくなったのは初めてですよ」

 

 私が頭を抱えて盛大にため息をつくと、アリエルさんが苦笑して説明を続ける。

 

「まあ、このエレベーター持ち上がる時に、一時的に土をドロドロにする機能があって。それがメッチャ無駄にエネルギー無駄にするバカみたいな機能だから間違ってないけどね。なんて言っても考えたのがポティマスだからねー」

「なるほど、ポティマスは相当の馬鹿なんですねぇ。私の予想を超えて来るとはすごい馬鹿ですよ。ええ、今までに出会ったことのない馬鹿さです。どうやら、私はポティマスのことを過小評価していたようです。彼は世界一の馬鹿と名乗ってもいいほどの馬鹿ですよ。私が保証します」

「青ちゃん、すっごい言うねー」

 

 私のポティマスに対する評価にアリエルさんだけでなく全員が呆れたような視線を向けて来る。

 

 どうしたのだろうか?

 私は思ったことをそのまま言っただけなのに。

 私にここまで言わせるなんて相当の馬鹿であることは確実だよ。

 

 私が全員の視線に不思議そうに首を傾げて返すと、目を逸らされた。

 

「と、取り合えず、奥に進もうか」

 

 アリエルさんがそういうと、こじ開けた穴の反対側の壁も同じようにこじ開ける。

 そして壁の先には扉があり、それをアリエルさんが力技でこじ開けて中に入る。

 相変わらず鳴り響いている警報がうるさいが、廊下に入るがすぐに突き当りになっている。

 突き当りは壁ではなく、一面が両開きのスライド式の扉のようだ。

 

 また、アリエルさんがこじ開けるのかなぁ。

 

 そんなことを思っていると、扉がひとりでにスライドして開いた。

 扉が勝手に開いたことには驚いた。

 そして扉の先には無数の無機質な目が待ち構えていた。

 無数のロボットが私達に銃口を突きつけている。

 

 数多いなぁ。

 

 どうでもいい感想を思い浮かべていると、無数の銃口が一斉に光を放つ。

 無数の光の弾丸をアリエルさんが両手の指から出した糸で払いのける。

 それで大半の光の弾丸が払われるが、いくらか流れ弾がこちらに向かって飛んでくる。

 流れ弾は人形達が武器で払いのける。

 

 流石、魔王とその配下だねぇ。

 

 アリエルさん達のスペックを眺めていると、白ちゃんがソフィアの頭にチョップを落とした。

 そしてソフィアに氷の壁を出すようにいう。

 

「防壁は私が作るよ」

 

 空納から取り出した神珍鉄でロボットとソフィア達の間に分厚い壁を作る。

 ソフィアが魔法で氷の壁を作るより、圧倒的に物理防御は高い。

 私が神珍鉄の壁を作ると、アリエルさんがロボットの最前列に突っ込んでいった。

 正面からアリエルさんがロボットを蹂躙していく傍らで、撃ちもらしたロボットを人形達が処理していく。

 隠し腕を解放して、六本の腕でそれぞれの武器を振るう人形達。

 アエルはロボットを淡々と処理していく。

 それに対してサエルは見ていて危なっかしい感じで処理していく。

 戦っている最中いっぱいいっぱいになってるのが見ていてよく分かる。

 

 サエル、頑張れー。

 

 他の人形達と大して変わらないので心配は特にしてないが、心の中で応援しておく。

 リエルは天然ボケの不思議ちゃんで、たまにドジするのでハラハラする。

 フィエルは猪突猛進のお調子者なので何も考えずに突っ込むので危なっかしい。

 アエル以外に不安しかないのは考えないようにしよう。

 

 旅の途中もほとんど子守り気分だったなぁ。

 

 特にフィエルはよく白ちゃんの背中に乗っている私の膝の上に乗ってくる。

 白ちゃんが気にして無いみたいだから、私も気にして無いが少し白ちゃんに申し訳ない気分になる。

 フィエルは遠慮なく乗ってくるし、リエルは脈絡なく乗ってくる。

 サエルはチラチラこっちを見て乗せてくださいアピールをしてくるので、膝を叩いて許可を出している。

 正直、見た目は女の子だが、皮膚の下は神珍鉄で覆われた人形なので触り心地があまり良くない。

 それでも愛でる分には可愛いので良しとしている。

 

 特にサエルは控えめで可愛いので、お気に入りである。

 

 後ろから抱きしめてやると、恥ずかしそうに俯くのでよく頭を撫でてやっている。

 基本的には白ちゃんに触り過ぎて注意された後に、サエルを抱きしめて撫でている。

 アエルは一度だけしか乗ってこなかったので、妹達の世話を私に押し付けるためにやったのだろう。

 白ちゃんに注意された時に愛でれるものが出来たので気にしていない。

 

 ん?背後からも来たみたいねぇ。

 

 背後の廊下から出て来た二体のロボットに視線を向ける。

 対処しようか考えていると、メラが剣を抜いてロボットに肉薄する。

 そしてロボットが光の弾丸を撃つ前に銃口を剣で逸らす。

 もう一体のロボットがメラに銃口を向けると、ソフィアが銃身を氷の魔法で凍らせる。

 銃口が塞がれて、発射するエネルギーが内部で爆発したのか、ロボットが自爆する。

 

 うわぁ、くそみたいな設計してるなぁ。

 銃口が詰まった時の安全装置くらい付けとこうよぉ。

 

 ロボットの設計に呆れていると、メラがソフィアの真似をして銃口を凍らせる。

 先ほどと同じようにロボットが自爆した。

 

 本当にポティマスはどうしようもない馬鹿だねぇ。

 自分の技術に酔ってるから、こういう欠陥が出て来るんだよ。

 

 ロボットの設計に呆れながら視線を正面に戻す。

 アリエルさん達によってロボットがほぼ殲滅されていた。

 ロボットがほとんど殲滅されたからか、広間の奥の扉が開いて何かが姿を現した。

 私は誰も気づいてないそれを見て、私はそれに近づいていく。

 扉から出て来た戦車のような見た目のそれは、砲塔を近くにいたサエルに向けるのを見て一瞬で最高速度に至る。

 ロボットの殲滅を終えたところのサエルを右腕で抱き寄せ、左手で戦車が放った光の砲弾を受け止める。

 

 思った以上に威力が高いなぁ。

 

 砲弾を受け止めた左手が潰され大変なことになるが、スライムである私には関係がない。

 左手をスライム状に戻して光の砲弾を包み込んで砲弾を砕いて取り込む。

 そして左手を人の手に戻す。

 一瞬の出来事だったので、白ちゃんとアリエルさん以外には私が砲弾を握り潰したように見えただろう。

 

「サエル、大丈夫?」

 

 とっさに抱き寄せたサエルが無事なのを確認する。

 サエルはオロオロしながらも私の問いに頷いて返した。

 

「じゃあ、ソフィア達の場所まで下がってて」

 

 サエルは私の言葉を聞いてソフィア達の元まで下がっていく。

 それを横目で見送り、私は戦車に歩いて近づく。

 私が近づく間に戦車は私に光の砲弾を撃ち込んでくるが、全て握り潰して取り込んでいく。

 空納から大鎌を取り出して右手に持つ。

 

「消えなさい」

 

 大鎌の魔力を解放した一撃で戦車をスパンッと叩き斬る。

 大鎌で斬られた戦車は音もたてずに塵になっていく。

 

 あれ?腐食攻撃って死を司る属性じゃなかったけ?

 どうして生物じゃない戦車に効いてるんだろう?

 まあ、いいか。

 

 私は大鎌を空納にしまってアリエルさん達の方を向く。

 そして視界に白ちゃんが入る。

 

 あれ?白ちゃん、何もしてなくない?

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