スライムですが、なにか?   作:転生したい人A

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UFO出現!?

 戦車を塵に変えてアリエルさん達に振り返る。

 

「これは、また・・・・・・」

 

 アリエルさんが塵になった戦車の残骸を見て顔を引きつらせている。

 人形達の表情も心なしか引きつり気味だ。

 

「どうかしました。アリエルさん?」

「な、なんでもないよ。青ちゃん」

 

 私がアリエルさんに問いかけると、アリエルさんは私から視線を逸らす。

 

 ん?どうしたんだろう?

 

 アリエルさんの背後、廊下からソフィアが顔をのぞかせる。

 キョロキョロ辺りを見回し、危険がないことを確認してから広間に入ってくる。

 さらに後ろからサエルとメラが続いて入ってくる。

 サエルは怪我こそしなかったが、先ほどの戦車の砲弾を受けていれば無事では済まなかっただろう。

 サエルが他の人形より弱いわけではない。

 そんなサエルでも危なかったとなれば、ここは意外と危険な場所のようねぇ。

 

「これから、どうします?」

「うーん。思った以上にここはやばそうだねー。サエルも危なかったし、ソフィアちゃんとメラゾフィスくんは地上に戻った方がいいかも」

「そうですねぇ。サエル達も危ないでしょうし、メラ達と一緒に地上に戻った方がいいでしょう」

「そうだねー」

 

 私とアリエルさんの意見に反対する者はいなかった。

 私がアリエルさん達の傍まで来ると、地面が揺れ始めた。

 揺れが大きく、メラやソフィアは立っていられずに床に手をついて座り込んでいる。

 人形達もバランスを崩してフラフラしている。

 さらに、警報の音量も一段階上がり、照明が赤く点滅を繰り返す。

 

「なんか、やばげ?」

「どう考えてもやばいでしょうねぇ」

「前言撤回。みんなで逃げるよ!」

 

 アリエルさんがメラとソフィアを脇に抱え、廊下に向かって駆け出す。

 その後を人形達がふらつきながら追いかけていく。

 

 あのペースだと危ないかなぁ。

 

「白ちゃん、二人お願いねぇ」

「了解、青ちゃん」

 

 白ちゃんにお願いし、サエルとアエルを両脇に抱えてアリエルさんの後を追う。

 白ちゃんはリエルとフィエルを抱えて私を追い抜いていく。

 

 やっぱり、私が一番遅いよねぇ。

 まあ、人形達に走らせるよりは速いけどさぁ。

 

 ステータスでも平均速度3万を超えている私より圧倒的な二人を見ながらも最高速で走る。

 エレベーターを越えて長い廊下を走っていると、大きな揺れと一緒に背後から轟音が響いた。

 私が背後を振り返ると、物凄い勢いでこっちに迫ってくる炎が見えた。

 

 あれに飲まれるとやばいよねぇ。

 

 迫りくる炎よりも速く長い廊下を駆け抜け、破壊された扉を潜り抜ける。

 白ちゃんやアリエルさんが来た道の穴を上がっている間に、私は走り始めた時から構築していた転移魔法を発動させる。

 遺跡内では妨害される恐れもあったので、遺跡から出た瞬間に発動させた。

 私はアリエルさん達より早く地上に戻る。

 

「危ない危ない。空間魔法が使えなかったら飲まれてたかもねぇ」

 

 地面に立っていると危ない気がしたので、空間機動で空中に避難する。

 私が空中に避難すると、穴からアリエルさんが出て来た。

 

「あれ?青ちゃん?なんで?」

「遺跡を出た直後に転移しただけですよ。私はアリエルさんや白ちゃんほど速くないんでねぇ」

「ああ、なるほどねー」

 

 私の言葉にアリエルさんが納得していると、白ちゃんも穴から出て来た。

 白ちゃんが穴から出て来た勢いで空中を飛んでいく。

 次の瞬間に地面が爆発して火柱が上がり、白ちゃんの鼻先数センチをかすめる。

 

 危ないねぇ。

 

 しかし、目の前で上がった火柱とは比べられない大きな特大の火柱が上がった。

 その火柱に私達全員が驚いて固まってしまう。

 その特大の火柱の中を何かが空に向かって飛んでいく。

 その何かが上昇していくのを見送り、火柱が沈静化する。

 そして火柱の跡地からゆっくりとそれが姿を現す。

 全長がキロメートル単位でありそうな、超巨大な円盤型の飛行物体。

 それが悠然と空を飛んでいる。

 

 ああ、本物の馬鹿は何を考えるか分からない。

 

「ありえない」

 

 すぐ近くにいたアリエルさんの呟きが、呆然としている私達の総意だろう。

 私達が呆然として超巨大UFOを眺めていると、バッサバッサという羽音が聞こえてくる。

 

『オウ、ジーザス!こいつぁーどういう了見だー?蜘蛛の?』

 

 でかいプテラノドンのような外見の風龍がアリエルさんに詰め寄って来た。

 この荒野の支配者である龍、その中でも一番強い個体。

 

『何もしねえってんで通るの許してたが、話がちげーじゃんよぅ!どういうこった説明しくされ!』

「うるさい、食べられたくなかったら、黙ってなさい!」

『ひっ!?』

 

 三下口調で騒ぐ風龍を睨んで怒鳴る。

 風龍は顔を隠してない私の目を直に覗き込んで短い悲鳴を上げる。

 

 おっと、顔隠してなかった。

 空洞のような目で見られたら怖いわよねぇ。

 

 私が顔を白い布で隠して、周りを見る。

 風龍だけでなく、白ちゃん達も私を見て顔を引きつらせている。

 

「どうしたの?この風龍美味しくなさそう?」

『俺に手を出せばあのお方が黙っちゃいねーぜ!』

「アリエルさんが責任取るから関係ないわね。喋ったから食べていいわよねぇ」

『ひっ!?』

「青ちゃん、勝手に私のせいにしないでくれない。それと食べたらだめだよ」

「一匹くらい良いじゃないですか。火龍と地龍は食べたことあるんですけど、風龍はないんですよねぇ」

 

 私が風龍に一歩近づくと、風龍はアリエルさんの後ろに隠れるように移動してしまった。

 アリエルさんに視線を向けると、首を横に振ってだめだと言ってくる。

 

 食べれると思ったのに。

 

 白ちゃん達全員が私を呆れた顔で見て来るので、私は小さくため息をついて諦める。

 私が諦めたのを確認してアリエルさんが風龍に話しかける。

 

「ちょっと私達だけの手じゃ負えない気がするから、ギュリエを呼んできてくんない?」

『え、いいのか?あの方にかかれば蜘蛛のと言えどワンパンKOだぜ?』

「良いからはよ呼べ。あれが目に入んないの?」

 

 アリエルさんが超巨大UFOを指さしながら風龍を急かす。

 

『見えてるに決まってんだろー?ていうかあれなんだって聞いてんねや!なんだよあれ?』

「私が聞きたいわ!あれこの荒野の下に埋まってたんだよ!?なんであんなのが地下にあって気が付かなかったのさ!?」

『え?』

 

 風龍が口を開けて間抜けな顔になる。

 

 この風龍、無能かな?

 

「いいか。お前のちっぽけな脳みそでも分かるように簡単に説明してやる。システム稼働前の時代の遺跡がこの荒野の地下に眠ってるのを私らはたまたま発見して、その調査をした。そしたら出てきたのがあれだ。わかった?」

『わかんねー!』

 

 風龍は子供が駄々をこねるように、空中でもんどりうって全身で混乱してますって表現している。

 

 無能確定だね。

 

「わかんなくてもいいからさっさとギュリエ呼べ!」

 

 流石にイラっとしたのか、アリエルさんが風龍を軽く小突く。

 勢い的にはぺしっという感じの軽いどつきだったんだけど、アリエルさんのステータスでやられた風龍は見事に墜落していった。

 

「・・・・・・」

 

 アリエルさんは墜落していく風龍にしばらく視線を向け、キリっとした表情でUFOに向き直った。

 どうやらなかったことにするつもりらしい。

 

「無かったことにするなら私が食べたのに」

 

 墜落していく風龍を見ながら呟いた私の言葉もアリエルさんは無視した。

 私もため息をついて視線をUFOに向ける。

 流石にあれを落とすのは私達の手に負えない。

 

「あの、アリエルさん。どうするんですか?」

 

 ソフィアがアリエルさんに抱えられたまま問いかける。

 

「どうしようか。ちょっとさすがにあれを落とすのは私でもきつい気がする。大人しくギュリエの到着を待つのがいいかも」

 

 アリエルさんも弱気な発言をしているし、本当に私達の手に負えそうにない。

 そもそもアリエルさんが無理ならシステム内の力ではどうしようもない。

 腕の中でゴソゴソとアエルが動く。

 視線を下げれば私の腕の中から脱出しようともがいていた。

 サエルはUFOをぽけーっと眺めたまま固まっている。

 アエルには悪いが離すわけにはいかない。

 

「しばらくじっとしててね」

 

 抜け出せないように腕の拘束を強くしながら声を掛ける。

 アエルが抗議するように上目遣いで見上げて来るが、離すわけにはいかない。

 UFOからこっちに何かが向かって来ている以上、人形達を解放するのは危険だからねぇ。

 さっきの戦車と大差のない大きさの戦闘機が、遠目に虫の大群に見える多さで飛んでくる。

 

「撤退!」

 

 アリエルさんが叫ぶと同時に私は戦闘機から遠ざかるように空中を駆け出す。

 流石に私とアリエルさんと白ちゃんでも、あの数で責めてこられたら無理。

 戦車に腐食攻撃が通じたことを考えると、私のブレスなら一撃で一部を消し飛ばせるだろうけど。

 

 あんなにたくさんいると、あんまり意味がないでしょうしねぇ。

 

「イヤー、参った」

『オウ。やべーわ。あれやべーわ。やべーって』

 

 戦闘機の群れを振り切った私達は、荒野の一角に着地してようやく一息ついた。

 風龍も何とかついてきて無事だったようだ。

 

「で、ギュリエは呼んだの?」

『あ』

 

 逃げるのに夢中で呼んでなかったみたい。

 風龍が気まずげな表情でそっと視線を逸らした。

 私は風龍の首を掴んでアリエルさんに問いかける。

 

「アリエルさん、食べていいですか?いいですよね?」

「落ち着こうか、青ちゃん。こいつにはまだギュリエ呼ぶ仕事が残ってるから!」

 

 風龍の首を握りしめて揺さぶると、アリエルさんが私を止めようとしてくる。

 

「大丈夫ですよ。龍が死ねばギュリギュリにも伝わるようですから、様子見に来ますよ。こいつに呼ばせるより早くて、こいつを食べれる。良い提案でしょ」

「ああ、確かに。それならいいかな」

『蜘蛛の!助けて!今すぐ呼ぶから食べないでください!マジお願いします!』

「君が死ねば来るから、呼ばなくても大丈夫だよ。君は私が美味しく食べるから、君の死も無駄にならない」

『俺美味しくないから食べないでください!すぐに呼びますから、マジお願いします!』

「青ちゃん、こういってるしやめよっか」

「・・・・・・」

 

 風龍のHPがかなり減ったのを見てアリエルさんが止めに入る。

 私が不満そうな顔をアリエルさんに向けるが、布で顔が隠れているので見えていない。

 それでも不満なことは伝わるほど、不満げな私に苦笑しながらもだめだと続ける。

 仕方なく私はHPが大分減った風龍を地面に投げ捨てて、空納から先ほどの蟻を取り出して食べる。

 

 龍全種食べたかったのになぁ。

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