スライムですが、なにか?   作:転生したい人A

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UFO撃墜作戦

 風龍を食べれなかったことで、私は空納から蟻を出して食べる。

 ソフィアは白ちゃんにギュリギュリが誰なのか聞いている。

 白ちゃんは普段まともに話さないのに、なぜか、白ちゃんに問いかけている。

 

 普段は私に聞いて来るのに、どうしたんだろう?

 私が蟻を食べてるからかな?

 

 ソフィアの行動に首を傾げるが、聞いてこない理由があるのだろうと問いかけずに蟻を食べる。

 なぜか、人形達も私に近づいて来ないし、白ちゃんも私に助けを求めてこないので大丈夫なのだろう。

 ソフィア達の話を聞き流して、超巨大UFOの方に視線を向ける。

 蟻を食べながら、超巨大UFOについて考え始める。

 

 あのUFO、どれだけのMAエネルギーを使ってるんだろう。

 戦車でさえ、私の体を壊せるほどの威力があったよねぇ。

 ステータスだけでなくスキルがあるからダメージはほとんど入らなかったけど、危険なことに変わりないわよねぇ。

 平均ステータスが万を超える相手にダメージを与えられるってことは、人形達以上のエネルギーを保有してるのは間違いなさそう。

 なら、あのUFOは戦車よりはるかに多いエネルギーが使われているわよねぇ。

 それにあれだけ多くの戦闘機を飛ばすエネルギーもあるわけだから、合計するとかなりの量になるのは間違いなさそうだねぇ。

 ん?空間の揺らぎ?けど、ギュリギュリじゃなさそうだけど、誰だろう?

 

 私や白ちゃんよりも拙い術式での転移の反応。

 こんな荒野、しかもあんなものが出現している場所に好き好んでくるような奴はいないだろう。

 そんな奴がいるとしたらただの自殺志願者か命知らずの大馬鹿のみだ。

 

 さて、誰が転移してくるのかなぁ。

 

 私達が空間の揺らぎに視線を向けると、空間を渡って二人の男が出て来た。

 一人は空間転移を実行したと思われる、顔を布で隠したいかにも怪しい風体の男。

 もう一人は、豪華な法衣っぽい服を着た老人。

 明らかに怪しい二人。

 

 目的によっては殺した方がいいかな。

 まあ、私の目的の邪魔になるようなことはないと思うけどねぇ。

 

「失礼。非常事態と見て目の前に突然現れた非礼を謝りましょう」

 

 お爺さんが場を和ませるかのような穏やかな笑みを浮かべながら謝罪する。

 好々爺然としたその笑みを浮かべているが、こんな場所で浮かべている時点で普通ではない。

 

 まともな精神の爺さんではないみたいねぇ。

 実力も大したことなさそうだし、本当に精神のおかしい爺さんか。

 

「ダスティン。神言教の教皇がこの忙しい時に何の用?」

 

 アリエルさんの知り合いだったんだ。

 神言教の教皇とはまた随分と偉い人が出てきたものだねぇ。

 

「忙しい時だからこそ馳せ参じたのですよ。思うところはあるかもしれませんが、今はあれをどうにかするために一時休戦しませんか?」

「で?確かに今見たまんまやばい状況だけど。今さらあんたがしゃしゃり出てきて何ができるの?あれを相手にさあ」

 

 アリエルさんが遠くの空に浮かぶUFOを指さしながら言う。

 

 確かに、精神がおかしかろうが、ただの人間にあれをどうにかする手段など無いだろう。

 そもそも一国を余裕で滅ぼせる戦力である私、白ちゃん、アリエルさんの三人が揃っても厳しいのだ。

 私達どころか人形でさえまともに対処できない人間に何ができるというのだろうか?

 

「私に出来ることでしたらなんでも。あれを放置しておくことはできないでしょう」

「え?今なんでもって言った?」

「ええ」

 

 何でもねぇ。

 

「なら、私のレベル上げに十万単位の人が欲しいんだけど出来る?」

「!?」

 

 私の言葉に教皇は目を見開いて黙り込んでしまった。

 何でもと言ったから提案したのにその反応はどうなんだろう。

 

「レベル上げって、十や二十上げても変わらないと思うんだけど?」

「そんなことも無いですよ。二十くらい上がればアリエルさんと同格か少し下くらいにはなれると思いますよ」

「え?」

 

 アリエルさんの問いに答えると、アリエルさんの顔が引きつる。

 

 どうしたのだろうか?

 事実を伝えただけなんだけれど。

 

 白ちゃんを除いて全員が驚き目を見開いて私を見ている。

 本当にどうしたのだろう?

 

「いやいやいや、そんな訳ないでしょ!二十レベルで私に追いつけるなんていくら何でもおかしいでしょ!?」

「可能ですよ。けど、今の私がレベルを上げようとすると、たくさん殺す必要があるんですけどねぇ」

 

 私の言葉にアリエルさんは白ちゃんに本当か確認するために視線を向ける。

 白ちゃんは私の悟りの支配者について知っているので、アリエルさんに頷いて返す。

 私のことをよく知っている白ちゃんが頷いて返したことで本当のことだと理解したようだ。

 アリエルさんが私に視線を戻す。

 

「もし、三十レベル上げたらどうなるの?」

「どうでしょう。全ステータスがカンストするんじゃないですか?」

「・・・・・・」

 

 最近はレベルがほとんど上がらないので何とも言えないが、ステータスの伸び方から考えておそらくカンストするだろう。

 アルティメット・スライムになってからレベルアップのボーナスが異常に増えてきている。

 どういう計算で増えているのか分からないが、この最近のレベルアップのボーナスから考えれば間違いないだろう。

 

「ダスティン。用意しないでね。絶対に用意しないでね」

「言われなくとも、十万単位の人の命を捧げさせるなど、無理です」

「やっぱり、無理なんだぁ」

「分かっていたのですか?」

「何となくですけどねぇ。まあ、あんまり人を殺すとうるさい人がいるので、やりませんから安心してください」

「ありがとうございます」

 

 礼を言う相手が私なのはどうしてだろう。

 普通は、私に人を殺させない人に対して言うべきじゃないかなぁ。

 

「あれは私が対処すべき案件で、貴様らが憂慮すべき事柄ではない」

 

 私達が話していると、ギュリギュリが転移してきたようだ。

 

「あなたに任せられるなら苦労しないんだけどねぇ」

「どういう意味だ?」

「どこかの部外者から余計な干渉があるかもってことですよ」

 

 私の言葉に白ちゃんとギュリギュリは気づいたようだが、他の人達は首を傾げている。

 もしくは勘違いしているでしょうねぇ。

 

 まあ、やってくるとしたらギュリギュリが手伝えない状況に追い込むくらいかなぁ。

 つまり、あのUFOを私達の力で落とす必要が出てくると言うことになる。

 干渉してくれば、私達でもギリギリ落とせることの証明だろう。

 流石に不可能なことを押し付けて楽しみを減らすような真似はしないだろうからねぇ。

 

 私達が外部からの干渉について考えていると、空間の揺らぎを感知した。

 その揺らぎに私達が視線を向けると、耳の長いエルフと思われる男が出て来る。

 

「役者はそろっているようだな」

 

 現れた男に対して、この場にいる私以外の全員が殺気を向ける。

 

 すごい嫌われようだねぇ。

 アリエルさん達の態度から察するに、こいつがポティマスかな。

 

「そういきり立つな。今回は手助けに来たのだ」

 

 殺気を浴びても、ポティマスは平然としている。

 

「残念ながら、あれはギュリエディストディエスだけではどうにもできん。我ら全員が力を合わせる必要がある。大変遺憾なことであるがな」

 

 ポティマスがあの邪神の性格を知っているわけがないから、違う理由でギュリギュリが手出し出来ないのかな?

 

 私が知る限り最強の魔物、原初の蜘蛛にして魔王。

 人族最大宗教のトップ、神言教教皇。

 この世界の管理者にして神。

 そして古代機械技術を持つエルフの族長。

 

 そうそうたる面子が、そろったものだねぇ。

 

 彼らのせいで雰囲気が最悪、ピリピリした空気が漂う。

 その空気に耐えかねたのか、ソフィアや人形達は早々に離れたところに避難する。

 アリエルさんに捕まり私と白ちゃんはアリエルさんの傍にいる。

 私はどっちでも良かったから良いが、白ちゃんは嫌々参加しているために私の後ろに隠れている。

 そして何かしていないと落ち着かないのか、先ほどから私の髪をいじっている。

 

「で?ギュリエだけじゃどうにもできないってどういうこと?ていうか、なんであんたがここにいんのさ?あれか?私に殺されにノコノコ出てきたの?」

「アリエルさん、今はどうでもいいこと言わないでください。時間の無駄です。ポティマス、知っていることがあるなら情報の共有を」

「ふ。どうやら付き人の方が優秀なようだな」

 

 ポティマスが皮肉気な笑みを浮かべてアリエルさんに馬鹿にするような視線を送る。

 

「面倒なので煽らないでください。あなたが死んで戻ってくるまでの時間が無駄です」

「ふ。それもそうだな。これを見ろ」

 

 ポティマスが懐から手のひらに乗るくらいのボールっぽいものを取り出す。

 ボールの中心には丸い穴が開いていて、そこから光が漏れ出し、何もない空中に立体映像が映し出される。

 映し出された映像はあのUFO。

 

「これは?」

 

 ギュリギュリが困惑したように尋ねる。

 

「あのUFOの設計図でしょうね。それで、あれの危険度と管理者にも対処できない理由は?」

「どうして貴様がそれを持っている?」

 

 私の問いを遮るように教皇がどうでもいいことをポティマスに問いかける。

 

 はあ、色々事情があるのだろうが、邪魔だなぁ。

 

「教皇、そんな分かり切った問いは後にしてください。あれの情報を聞くのが先でしょう。あれに暴れられて困るからここに来たんですよね。いつ暴れるか分からないのですから、時間の無駄は後にしてください」

「す、すまない」

「ふ。では、説明しよう」

 

 教皇に言いながら他の面子にも時間の無駄になるようなことはしないように忠告する。

 ポティマスは先ほどアリエルさんに向けたのと同じ笑みを教皇に向けた後に、UFOについての説明を始める。

 

「あれは開発コードGフリート。あれは放置しておくと、この星を壊しかねない」

「それはGフリートに搭載されている兵器によるものですか」

「Gフリート自体にそこまでの破壊性能はない。問題なのは、Gフリートに搭載されているであろう爆弾だ」

 

 ポティマスが手に持った立体映像を投影するボールを撫でる。

 すると、表示されていた立体映像が切り替わり、球体を映し出す。

 ポティマスが今持っている立体映像装置と大差のない、小さなボール。

 

「GMA爆弾。MAエネルギーを取り込み、その量によって破壊力が増減する」

 

 ポティマスが爆弾の説明を簡潔にする。

 MAエネルギーという単語にみんなが反応した。

 

「GMA爆弾はいくつあるか分かりますか?それと最悪の場合の威力も分かりますか?」

「個数に関しては一つは確実にあると考えていい。威力に関しては、シミュレーションの結果ではおそらくこの大陸が吹き飛ぶくらいで被害は抑えられる」

「なるほど。では、あれがGMA爆弾をすぐに落とす可能性は?」

「GMA爆弾はGフリートの予備燃料でもある。緊急の場合でなければ落とすことはないだろう。Gフリートが能動的にGMA爆弾を落とす場合、爆発に巻き込まれないように大気圏外のはるか上空に移動するように設計されている。それがないということは、能動的にGMA爆弾を落とそうとしてないということだ」

 

 なるほど、一応考えられて設計されているようだ。

 

 予備燃料を兵器として使う緊急の場合ねぇ。

 だから、ギュリギュリだと対処出来ないわけねぇ。

 

「真なる龍が近づく以外でGMA爆弾を落とす条件はありますか」

「龍と相対した時以外だと、Gフリートが撃墜された時だな」

 

 私とポティマスの会話に周りがついて来れてないようだが、気にせずに続ける。

 

「Gフリートについては分かりました。では、あれが出てくる前に空に昇って行ったものは何ですか?」

「話が早くて助かる」

「あまり時間はなさそうですからね」

 

 ポティマスが立体映像装置を操作して映像を切り替える。

 次に出てきたのはタコっぽい多脚の機械。

 

「あれはGメテオ。月と月の間にある小惑星を牽引してきて、この星に落とすという戦略破壊兵器だ」

「そういうことですか。ギュリギュリ、貴方はこの兵器を対処して来てください」

「Gメテオの対処はするが、Gフリートを処理してからではだめなのか?」

「GMA爆弾がある以上やめておいた方がいいでしょう。GMA爆弾でギュリギュリがどうこうなるとは思いませんが、下手に落とされて星のMAエネルギーを吸われるのは問題でしょう」

 

 私の言葉にギュリギュリは反論できずに黙る。

 ギュリギュリが黙ったのを確認して私は続ける。

 

「それに、私達で潜入して爆弾を処理すれば、後は問題なく対処できるでしょう」

「分かった」

 

 ギュリギュリが納得したのを確認してから私はポティマスに最後の質問をする。

 

「それで、Gフリートの軍勢は今どうしてますか?」

 

 ここに来る前に逃げて来た戦闘機の群れ、あれだけとも思えない以上確認は必要でしょう。

 私達を追ってきていないということは違う場所を襲っている可能性もあるしねぇ。

 ポティマスが立体映像装置を操作して映像を切り替える。

 映像はどこかのライブ映像のようだ。

 

「うわ」

 

 思わずと言った感じでアリエルさんが声を漏らす。

 映し出された映像には、地上に続々とロボットを排出するUFOの姿だった。

 地上ギリギリまで高度を落としたUFOが、ハッチを開けて地上への通路を伸ばし、そこからロボットが出て来ている。

 その中には戦車の姿もあり、ロボットの数は少なくとも数千、下手すれば万単位でいそうだ。

 外に出たロボットは隊列を組んで前進している。

 

「見ての通り、Gフリートの軍勢は進軍を開始している。進行方向、そして現在の速度から換算すると、半日後には人里に到着するな」

 

 ああ、やっぱりかぁ。

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