スライムですが、なにか?   作:転生したい人A

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大変遅くなって申し訳ありません。

忙しかったり、続きが思い浮かばなかったりしてると、二年も経ってました……
本当に投稿遅くなってすみません。


悟りの正体

 ソフィアやアリエルさんがエルフの襲撃を受けてから宿屋で暇している間、アリエルさんのスキル講座が開催されていた。

 

 スキル講座と言っても、アリエルさんがソフィアに対して行っているだけで、私と白ちゃんはほとんど聞いているだけで暇なことに変わりはない。

 そもそも私達は神になったことでスキルが使えなくなったから、今更講座を受けても意味がない。

 アリエルさんはソフィアの妬心のスキルレベルを上げないように講座しているみたいね。

 アリエルさん曰く、七大罪系や七美徳系のスキルの危険性を説明していた。

 

 けど、やばいって言ってる傲慢は白ちゃんが持ってたけど問題なさそうだったけどなぁ。

 傲慢の危険性は所有者の限界を考慮せずに無理矢理成長させ続けることだから、成長についていけば問題ないのね。

 これに関しては白ちゃんがすごいと考えた方がいいのかな?

 

 でも、傲慢より遥かに高い成長率の悟りは相当危険なスキルってことになるんじゃ?

 そんな危険なスキルを私に付けたのかDは……

 

 けど、Dの性格からして急成長して破裂させるよりも、ゆっくりと苦労する姿を見て楽しむと思うんだけど、私に成長を補助するようなスキルを付けた理由ってなんだろ?

 私が神になれる確信があったから短時間で神になれるように強制成長させた?

 けど、私が神になったからといってDが楽しめる訳じゃないし、短時間で神にする必要はないはず……

 となると、悟りのスキルを付けないといけない理由があった。

 スキルの内容的に私に支配者スキルを取得させたくなかったから?

 アリエルさんの話だと、支配者スキルは精神汚染があるらしいけど、Dが私の精神汚染を心配するとは思えないのよねぇ。

 むしろ、精神汚染される私を見て楽しむと思うんだけど……

 

 悟りを付けた理由として考えられる可能性が、Dの性格と合わない。

 つまり、私が知らない要因があるわけね。

 

 

 

 アリエルさんのスキル講座が行われた日の夜、全員が寝静まった後にスマホを持つような形にした手を見ながら呼びかける。

 

「D」

『はい。こんばんは、青織さん』

「こんばんは」

 

 まるで最初から持っていたかのように自然に手に収まったスマホを耳にあてながら返す。

 

『青織さんから声を掛けてくれるなんて珍しいですね。私に何か聞きたい事があるんですか?』

「私が何を聞きたいか分かっているんでしょ」

『ええ、分かっていますよ。悟りのスキルについてですよね』

「今日少し考えたけど、あのスキルって何だったの?傲慢と同じ成長系ならかなり危険なスキルじゃない?」

『はい。青織さん以外だと確実に破裂しますね。それはもう盛大にパーンと』

「私以外、ねぇ……」

 

 スキルに詳しいアリエルさんが悟りについて何も言わなかったから、もしかしたらと思ったけど。

 

「私に合わせて作ったスキルってこと?」

『はい。青織さん専用のスキルです』

「余計に分からないわねぇ。あなたが私に成長系スキルを渡す理由が分からない。それもチートクラスの成長系を」

『それは簡単ですよ。悟りの本来の効果は成長チートではないからです』

「え?」

 

 悟りが成長チートじゃないってことは、スキルの説明が嘘ってことね。

 私専用のスキルってことだし、説明通りの効果じゃなくても良いってことか。

 

『システム上は説明通りの効果はあるので、説明が間違っているわけではないですよ』

「システムの裏では全然違うのね」

『はい。詳しく説明しますね』

「よろしく」

『まず、青織さんは転生時のスキルポイントついて疑問に思ったことはありますか?』

 

 スキルポイントに疑問って言われてもねぇ。

 私が会ったことある転生者ってソフィアと白ちゃんだけだしなぁ。

 

「そういえば、ソフィアに比べて私のスキルポイントかなり少なかったのは、気になったかな」

『そうです。青織さんのスキルポイントは他の転生者に比べてかなり少なくしてあります』

「意図的に少なくしたのね」

『正確には、少なくする必要があったが正しいですね』

「スキルポイントをわざわざ少なくする必要って何なの?」

『青織さんの成長を遅くするためですよ』

 

 成長を遅らせようとしてたってことは、悟りはかなり特殊なスキルってことよね。

 

『そして悟りは青織さんの成長を制御するためのスキルです』

「制御?」

『はい。最初はゆっくりで徐々に早くなるように、成長をコントロールさせてもらいました』

「言うほど、ゆっくりでもなかったと思うけど?」

『本当にそうですか?』

「?」

 

 どういうことだろう?

 Dが言うほど成長が遅かったとは思えないけど、実際はそうじゃないのかな?

 比較対象が白ちゃんくらいしかいないから、分からないだけかな?

 

『最初から悟りのスキルと称号を持っていたにしては、遅いと思いませんか?』

「あっ」

『青織さんなら気づくと思いましたが、比較対象が少なかったためか気づきませんでしたね』

「確かに、称号で進化やレベルアップボーナスが上昇していってるにしては、遅かったのか、な……?」

『まあ、成長速度を制限するだけなので、頑張れば十分に早く成長はします』

「なるほど、確かに最初の頃かなり大変だったな」

 

 確かに、Dの言う通り過酷な環境で成長系のチートスキルと称号を持ってるわりには遅かったかな。

 まあ、そんなことは実際はどうでもいいんだけどね。

 

「どうして、そんなスキルを私に付けたの?」

『あなたに何の制限もつけずに転生させるわけにはいかなかったんですよ』

「私と他の転生者に大した差なんてないでしょうに」

『あまり適当なことを言わないでください。あなたと他の転生者では天と地よりも大きな差がありますよ』

「他の転生者、そんなに弱いの?」

『他の転生者達は、普通ですよ。あなた一人だけが、異常だったんですよ』

 

 異常って言うけど、人間をやめていたわけじゃないから、そんなに異常ではなかったと思うけど。

 

『平穏な地球で育ったただの人間でありながら、神話級の魔物に匹敵する魂を持っている方がおかしいんですよ』

「私の魂、そんなに強かったんだ」

『正直、何の制限も付けずに他の転生者と同じように転生させても良かったのですが』

 

 ん?制限を付けなくても良かったの?

 

『その場合、一年くらいで星に存在しているあらゆる生き物を食い尽くして神に至りそうだったんですよね』

「…………」

『私としては、突如現れた絶望と死の権化のような魔物に蹂躙されていく現地人がもがき苦しむ姿を見るのも楽しそうではあったんですがね』

「流石、世界最悪の邪神ね」

『あなたが、星を蹂躙することは否定しないんですね』

「まあ、やらないとは言い切れないからね」

 

 実際にやったかどうかは分からないけど、絶対にしないとは言い切れないのは確かね。

 

『ただ、そうなった場合、他の転生者は生まれて間もない頃に全滅していたでしょうから、流石にそれは可哀想だなっと思いましたので、制限を付けて他の転生者達と同じように頑張ってもらうことにしたんですよ』

「何が可哀想だな、よ。折角転生させたのに、何の面白みも無く死なれるのがつまらなかっただけでしょう」

『何にせよ。青織さんに制限を付けた方が、色々面白そうだなっと思ったからというのが、悟りを付けた理由になります』

「ふ~ん」

 

 まあ、Dらしい理由ね。

 私の無双に現地人が絶望する姿を見て楽しむくらいしかないより、私も含めてたくさんの人がもがき苦しむ方が楽しめるってことでしょ。

 まあ、私としてもそんなのつまらないから、制限を付けたことに関しては良いかな。

 

「ねえ、一つ気になることがあるんだけど」

『何ですか?』

「どうして悟りなんて名前にしたの?」

『私としてはあなたらしい名前だと思いますよ』

「私らしいねぇ。まあ、あなたが言うならそうなんでしょうね」

 

 聞きたい事も聞けたし、今日はもう寝ようかな。

 

「じゃあ、そろそろ寝るわ」

『はい、それではまたいつでも声を掛けてくださいね』

「気が向いたらね」

 

 私の返事を聞いたのか聞かなかったのか分からないが、スマホが手の中から消える。

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