はい。というわけで新シリーズ『天を舞う大嵐、英雄とならん』始まりました!!
元々、大好きなモンスターハンターをクロスさせたかったのですがなかなか決まらなくて、今までずっと温めていたものだったんですがこうして形にできて投稿することができました!!
個性はタイトルやタグからも分かる通り、嵐龍アマツマガツチ様です‼︎‼︎モンハン作品で一番のお気に入りモンスターです!!
3作品連載という中々にキツ面白な状況ですが、頑張って執筆していきますのでこれからもよろしくお願いします‼︎‼︎
というわけで、記念すべき1話どうぞ‼︎‼︎
空が………啼いていた。
黒く濁った空に渦巻く赤紫の妖雲。
暴風が吹き荒れ、豪雨が降り注ぎ、遠雷が鳴り響く。
太陽の光は閉ざされ、空は暗く翳り今にも泣き出しそうだ。
大地は暗く淀み、降り注ぐ豪雨が大地を濡らし、川を氾濫させて大地を呑み込まんと荒れ狂っている。
天地を駆け抜ける暴風が木々を揺らし、根こそぎ吹き飛ばさんと轟音を鳴らしながら吹き荒れる。
遠くでは雷鳴が鳴り響き、天と地を幾度となく稲妻で結んでいた。
天が啼き、地が苦しむ光景はまさしく惨禍。
そんな光景を僕はぼんやりとした意識で見ていた。それと同時に何か浮いているような感覚があって、全身には風が当たる感触があって包まれているようでとても心地よかった。
僕の視線は何故か高い位置にあって、周囲の光景を上から眺めることができた。
どこかの山脈だろうか?周囲には木々や山が広がるだけで、大きな街が遠くに見えるだけだった。
あそこには何があるのだろうと思った時、どこからか小さな声が聞こえてきた。それは悲鳴のようで、同時に何かに怯えるような声でもあった。
声の方向に振り向けば、何故か自分にはとても小さく映る女性が一人僕から少し離れた場所にいた。
「……ぁ………あぁ………」
金の狐耳と八本の尻尾を持つ金髪の少女は恐怖に満ちた表情で自分を
何故この人が自分を見てあんなにも怯えているのか分からない。
そんなまるで
その時見た彼女の揺れる翡翠色の瞳には、とある姿が映っていた。
———それは、人の形をしていなかった。
金の角に黒い鱗に白い飛膜を持つ巨大な———龍。それが、橙色に輝く瞳で彼女と目をあわせていたのだ。
どうして?なんで、自分と目があってるはずなのに、彼女の瞳にはあの怪物のような龍が映っているんだろうか?
そこまで考えて漸く気づいた。この龍は、僕なんだと。
だから、この日僕は———
———俺は人間ではなくて、怪物だという事実を。
▼△▼△▼△
この世界には“個性”という名の異能が存在している。
事の始まりは中国 軽慶市。
“発光する赤子”が生まれたというニュースが始まりだった。
それ以降、世界各地で『超常』の力を振るう人物達が次々と発見されるようになった。
どうしてそんなことが起きたのか、原因も判然としないまま時は流れ、いつしか『超常』は『日常』へと変わり、今や世界総人口の約八割が“個性”という名の超常能力を持つ超人社会へとなった。
そんな世の中で、超常的な力を持っていれば当然悪用する無法者も現れる。
彼らは『
そして、今や『ヒーロー』は職業の一つとなり、現代において最も人気があり、名誉のある華々しい職業になっている。
▼△▼△▼△
とある秋の早朝。
上を電車が走る音が断続的に聞こえる薄暗いトンネル。外に見える空は、トンネルの様相に反して雲一つない澄み渡った蒼穹だ。
そんなトンネルでは異様な光景が広がっていた。
「ぐっ、がぁっ」
「ぐそっ、つよすぎんだろっ」
広がっているのは30人以上の不良が地面に転がる光景。意識が残っているものがいるのか、小さな呻き声をあげるもの達が数人おり、他は完全に気絶していた。
死屍累々と転がる不良達の中で、ただ1人大柄な体躯の青年が佇んでいた。
身長は180は超えており、肩まで伸びた純白の髪を結び、黄金色の瞳に縦に割れた瞳孔。尖った耳が特徴の青年だ。
「はぁ……めんどくせぇなぁ」
青年は心底めんどくさそうにため息を吐くと、不良達を見下ろしながらそう呟く。
不良達は青年と着ている制服が違うし、ましてや彼らは全員高校生で、青年は中学生だ。つまり、ここにいる高校生の不良連中は中学生にのされたというわけだ。
青年はもう一度ため息をつくと、とある場所に視線を向ける。そこにいたのは、二名の女子中学生だ。二人とも、彼が通う中学の一年生だ。
青年は彼女らに振り向くと、声をかける。
「君達は……一年だよな?大丈夫か?怪我はない?」
「えっ…は、はいっ、だ、大丈夫、です」
「た、助けてくれて、ありがとう、ございますっ、八雲先輩っ」
怯えながらも少女達は彼に礼を言う。
青年ー
「いいっていいって、それよりも早く行きな。まだ時間あるけど万が一遅れるとキリ先怖ぇから」
「「は、はいっ‼︎‼︎」」
同じ中学であるが故に、学園事情も把握している彼女達は嵐の言葉の意味を正確に理解して、一度お辞儀をすると慌てて通学路に戻っていった。
それを見送った嵐は「さてと」と呟きながら、不良達に視線を戻す。不良達は動けない体でも視線だけを動かして嵐を恨めしそうに見上げていた。嵐はそれを見下ろすと、呆れが十二分に混じる視線を向けると呟く。
「毎度毎度懲りないよな、お前らは。いい加減学習してくれないか?うちの生徒に絡むのやめてくれよ、マジで」
「うる、せぇな……テメェは目障りなんだよっ」
「テメェを、潰さなきゃ……俺らの、メンツがたたねぇっ‼︎」
「……やっぱりこうなるかよ。もうほんと面倒くせぇなぁこいつら」
半ば予想していた返事に、やっぱりかーと嵐は盛大にため息をついた。
彼の発言にもあった通り、こう言ったことは今回が初めてではない。
彼らは、嵐が通う中学の近所にある、
今日も、一年生女子二人が人気のない場所に連れ込まれようとしていたぐらいだ。
嵐との因縁もあり、嵐がまだ一年生だった頃に、生意気というくだらない理由で集団で襲いかかってきたのだが、ソレをことごとく返り討ちにしてしまったので、以降目をつけられている。
だが、襲い掛かってくるたびに返り討ちにしているので、余計に目の敵にされているのだ。
今日は通学路を歩いている時に、女子生徒達が囲まれているのを見て止めに入って乱闘騒ぎになった結果、仲間を呼ばれて30以上対1人という状況になったのだが、嵐はたった一人で全員をボコった。
そして、嵐の眼前で数名の不良がゆっくりと立ち上がり、身構える。
ある者は右手の手首から先を刃に変えたり、ある者は岩のようなゴツゴツした体を二回りほど大きくしたり、ある者は脚を棘の生えた棍棒のように太くしたりと、各々が己の肉体を変化させていた。
これこそが、いわゆる『個性』と呼ばれている特殊能力だ。そして、彼らはその中でも自分の肉体を変形させることができる変形型と人間離れした姿の異形型に分類される個性をそれぞれ有していた。
個性を発動した彼らは叫び声を上げながら、嵐へと襲い掛かる。だが、
「チッ、馬鹿が」
嵐は小さく舌打ちすると、ゆらりと体を揺らして動き、まず刃の男との距離を詰めると肘を掴んで右手を横へと強引に広げさせて腹部に強烈な蹴りを叩き込む。
「ぶべっ⁉︎」
そうすれば、刃の男は奇妙な声をあげて吹き飛び壁に叩きつけられてズルズルと落ちて気絶。
ついで、棍棒脚の男に肉薄すると、まず顔面を狙って振り上げられた一撃を身を屈めることで容易く回避して、軸足を払って体を浮かせると頭部を掴み地面に叩きつけた。
「ぁがっ⁉︎」
ガァンと音を立てて小さなクレーターを作る程の威力で頭を叩きつけられて、男はすぐに意識を失った。
この間、僅か4秒だ。
「……は……?」
岩男は一連の攻防に目が追いついていなかったのか、一瞬で沈んだ仲間2人を見て動揺の声を隠せなかった。
そして、唖然とする岩男に、嵐は一気に肉薄すると鳩尾に掌底を叩き込んだ。
生身の柔らかい皮膚がゴツゴツとした岩の皮膚とぶつかれば、生身の皮膚の方が負けるはず。
だが、そんな予想とは反して、嵐の掌底は岩肌に突き刺さり岩を砕きながらめり込んだ。
「ゴッ、ハァッっ⁉︎」
岩男は体に伝わる衝撃に肺の中の空気を全て吐き出し、堪らず両膝をつく。そこをすかさず、嵐が右脚を振りかぶり踵落としを決めた。
ドガッと嫌な音が響いて、岩男は顔面を地面に盛大に打ち付けて気絶した。
今度こそ、完全に不良達を叩き潰した嵐はつまらなそうに鼻を鳴らすと、脇に置いてあった鞄を手に取る。
そして、腕時計の時刻を見て、少し焦った表情を浮かべる。
「やべ、急がねぇと」
嵐はその場に倒れ伏す不良達を残したまま学校へと駆けていった。
▼△▼△▼△
区立・
この中学のレベルは全国で見ても下の上。毎年進学校に数名の生徒を輩出している程度の、最底辺ではないものの、何の取り柄もない普通の中学校だ。この中学に彼は通っている。
「……ふぅ、間に合った間に合った」
次々と生徒達が登校して校門脇で立つ先生に挨拶をしながら校門を通る中、持てる身体能力を駆使して、猛スピードで駆けて嵐はなんとか登校時間に間に合った。
そうして安堵の息をつく彼に、声をかける者がいた。
「今日は遅かったですね。嵐君」
校門の脇でこちらを見ながら佇むのは、鞄を両手で持つ長い黒髪を三つ編みにして、眼鏡をかけた清楚な印象のある一人の女生徒だ。
「おー、おはよ、見利」
「ええ、おはようございます」
彼女に気付き手を振る嵐に
眼鏡の奥に見える瞳は、無言の圧があった。その圧に、嵐は気づいてしまったのか乾いた笑みを浮かべる。
「………あ〜、もしかしなくても、バレてる?」
「えぇ、洗いざらい全て。一年生の子達が話してくれました」
「……oh」
嵐は思わず目元を手で抑えながら空を仰ぎ見てしまう。今の時期的に喧嘩してることが学校にバレて仕舞えば、不味いはずだからだ。
きっと一年生達も悪気はなかったんだろう。だが、正直に言えばバレてほしくはなかった。
そして、天を仰ぎ見る嵐に見利はそれはもう深いため息をつくと、呆れ混じりの視線を向ける。
「全く、受験までもう3ヶ月を切っているんですよ?こんなくだらないことで受験取り消しになったらどうするつもりですか?
驚くことに、今朝方不良数十人を叩き潰した嵐こそ、この紅城中学校の生徒会長なのだ。
嵐はいわばこの学校では文武両道の優等生である。成績は常に学年トップをキープしており、運動神経もいい。更に言えば、蒼賀高校などの不良に絡まれている生徒達を度々助けていたことから、慕われるようになって二年生の時には生徒会入りして冬にはすでに会長になっていたのだ。
そして、今は11月。高校受験がある2月までもう3ヶ月を切っている。
だからこそ、不良との喧嘩というくだらないことで受験が取り消しになるかもしれないと見利は指摘しているのだ。
「あ、いや、ソレはわかってんだけどさ……一年二人危ない目に合ってんなら、見て見ぬ振りなんて出来ないし……えと、そのだな……」
「……………」
「だから……危なかったわけで……」
「……………」
「………すんませんした」
あれやこれやと言葉を並べていた嵐だったが、見利が何も言わず無言のままジト目を向け続けていたことから、やがて観念して素直にそう謝罪する。
その謝罪がおかしかったのか、見利はジト目をやめてくすくすと笑った。
「ふふ、反省したのならいいです。
それに、一年生の子達が必死に説明してくれましたので、事情は理解してますよ。先生方も流石に内申点を引くなんてことはしないと思いますよ。そうですよね?
彼女がそう言って視線を向けた先には、3mは超えているであろうスーツ姿の長い首とキリン顔の教員がいた。
毎朝、校門に立っている生徒指導の教員の木里である。個性は見ての通り『キリン』だ。
「あ、キリ先生おはようございます」
「ああ、おはよう八雲君。話は途中から聞いていたよ」
木里は途中から話は聞いていたのか、上から二人を見下ろしながら見利の問いかけに頷いた。
「篠原君の言う通りだよ。
事情はこっちも聞いている。また、生徒を助けてくれたんだろう?なら、注意はすれど咎めることはしない」
「………」
見利と木里の言葉に嵐はあからさまに安堵の息を吐いた。副会長である見利や生徒指導の教員でもある木里の言葉があれば、内申に響くことはないはずだ。
だが、「でも」と見利が続けたことで嵐はあからさまにビクゥっと体を震わせた。
「貴方が受けるのはあの
『雄英高校』
ヒーローを養成する為の学科ヒーロー科を有する国立の高校であり、No. 1ヒーロー『オールマイト』を筆頭多数のスーパーヒーローを輩出した実績を持ち、ヒーローを目指す日本全国の中学生の憧れの的になっている名門中の名門。
その評判に違わず入試は普通科ですら高校最難関と呼ばれているほどだ。特にヒーロー科の入試においては、万単位の受験生達が僅か40しかない席を獲得する為に、鎬を削るという超狭い修羅の門でもある。
嵐はその雄英高校のヒーロー科を志望している受験生なのだ。
紅城中学からは雄英の合格者はヒーロー科どころか普通科でも一人も出ていない。
今年の倍率は300倍、偏差値は79だそうだ。
そして、そんな雄英高校のヒーロー科の入試はまさしくブラックボックス。
筆記試験は難易度が跳ね上がってるだけで他の高校と変わらないが、実技試験が毎年異なる内容なのだ。採点方式も不明であり、分かるのは点数に上限がないと言う青天井ということだけ。だからこそ、雄英高校ヒーロー科の入試は、筆記成績が良くても落ちてしまう生徒も多々いる。
そう言った中、生徒達の間ではもしかしたら内申点による足切りもあるのではないかと訝しむようになったのだ。
いくら入試試験の成績が良くても素行が悪い為に不合格になる、という憶測が飛び交うようになった。
その点で言えば、嵐は間違いなく引っかかるだろう。自分からふっかけたことはないが、他校の生徒との十数回の暴力沙汰はとてもじゃないが、素行がいいとは決して言えない。
とはいえ、ソレらの多くが自校の生徒達を助ける為であったので、紅城中の教員達での評判は決して悪くない。むしろ、生徒会長に抜擢されても不満の声はあがらないのだから、良い方には違いない。
しかし、見利は暴力は暴力なのでもしかしたらその可能性もあり得てしまうのではないかと憂慮しているのだ。
片手を腰に当てて、片頬を膨らませてこちらを見上げながらそう告げる見利に嵐は笑いながら頷いてみせる。
「わかってる。以後気をつけるよ」
「わかったのならいいんですけどね……」
信用できないのか、そう不満を呟く見利。まぁ、このやりとりは何度もあったので信憑性が低くなるのも仕方のないことだ。
そんな二人の様子を見て面白そうに笑った木里は二人に早く行くように促した。
「ほら、二人とも、話はそれくらいにしてそろそろ行きなさい。3年生はあまり授業はないが、HRはあるから急ぐといい」
「はい」
「うす」
二人は木里にそう頷いて一礼すると玄関口へと向かっていく。二人横に並んで歩く中、見利が彼を横から見上げて尋ねる。
「そういえば、調子はどうなんですか?」
「上々だな。模試ではA判定で上位40には入ってたから筆記はなんとかなる」
嵐の模試の成績はA判定であり、冊子にのる上位数十名にも名を連ねているほどの高水準。
知力補強系の個性ではない嵐が、この成績を維持しているのは本当に凄いことで、実質トップクラス。
だから、見利は嵐の言葉に流石だと微笑んだ。
「ふふっ、さすがは我らが生徒会長。筆記は自信満々というわけですか。では実技は?」
「さぁな。方法がわからんから、何とも。ただ、戦うだけならいけるかも」
「そうですか。まぁ貴方ならいけそうですよね」
見利は嵐の言葉に納得を示す。
戦闘力という一点においても嵐は十分に条件を満たしている。
彼の個性の詳細は知るものこそ少ないが、その個性の特性から外見は100%人間体でありながらも異形系を上回るほどの膂力と頑丈さを誇り、野生の勘と呼べるほどの異常なまでの直感力を有しており、その上数多の不良との大乱闘を制したほかに、卓越した武術。更に加えると
だから、実技試験も内容にはよるが戦闘力を問うのならば恐らく嵐は間違いなくクリアできる。少なくとも、見利はそう思っていた。
「応援してますよ。貴方は、私達紅城中の期待の星なんですから」
「おう、ありがとな」
大きな期待を寄せている見利は嵐にささやかなエールを送り、嵐はソレに笑みを浮かべて応えて、二人はその後も色々と話をしながら校舎の中に入っていった。
▼△▼△▼△
3年生は受験前である為、授業が午前中で終わった嵐は途中まで見利と帰った後真っ直ぐに自宅に帰る。
住宅街の一角にある少し大きめ二階建ての和風の家。そこが、嵐の家だ。
門扉を開けて敷地内に入って、玄関のドアを開いた彼は中へと入る。
「ただいま——」
そして、靴を脱ぎかけながら中へ入ると、そこにはは一人の『鬼』が立っていた。
額から生える二本の赤黒い角、腰まである純白の長髪をポニーテールにし、赤い瞳に金の瞳孔のエプロン姿の妙齢の美女———文字通りの『鬼』が腕を組んで玄関先で仁王立ちしていたのだ。
「げっ」
その姿を視界に収めた瞬間、嵐はそんな声を思わず漏らしてしまう。そして、『鬼』ー否、嵐の
「お帰りなさい、嵐さん。帰って早速ですがお話があります」
「あ、はい」
「学校から電話がありましたよ。また他校の不良と乱闘したそうですね?あぁ、隠しても無駄ですよ?ちゃぁんと電話で全て聞きましたから」
「…………………ごめんなさい」
嵐は抗うこともせずに素直に謝った。
幼い頃から付き人として世話になっており、今では保護者としても嵐の面倒を見てくれていることから、嵐にとっては姉同然の人であり、頭が上がらない人物でもあるのだ。
だから、言い訳をしたところで怒られるのがオチだ。
そして、嵐の謝罪に巴はふぅと息をつく。
「……まぁ反省はしてるようなので、あまり怒りはしませんが“武”の力は無闇矢鱈と使ってはいけませんと何度も言っているではありませんか」
“武”の力を無闇矢鱈と使ってはならない。
“武”の力を使うと言うことは、個性を使用することと同様で相応の責任が付き纏うことを彼女は『力を扱う者の心得』として幼い頃から嵐に教えてきた。
「……それは、分かってるけど……」
嵐もそれは重々承知している。
幼い頃から叩き込まれてきたソレは一言一句ちゃんと覚えている。だが、言い訳にはなるが状況が状況だったから仕方ないとも言えてしまうのだ。
そして、目の前で困っている人がいて、自分がソレを止めれる力があるのに見捨ててしまってはヒーローどころか、人として最低な外道に堕ちてしまう。
顔を俯かせて言い淀む嵐に巴は困った子供を見るように笑う。
「ふぅ、今日はこれくらいにしておきましょうか。ですが、嵐さん」
そして、巴は玄関に立っていても自分より高い位置にある彼の頭にそっと手を伸ばすとくしゃりと純白の髪を撫でる。
「喧嘩をしたことはいけませんが、それでも女の子達を助けるために動いたその志はヒーローを目指す者としては立派ですよ」
「…………」
頭を撫でられ照れ臭そうにする嵐に巴は微笑むと、くるりと背を向けると顔だけをこちらに向けながら言う。
「では、部屋に戻って着替えたら早速今日のトレーニングを始めましょうか」
「……はーい」
嵐は巴の言葉にそう返事すると、自分も靴を脱いで上がった。そして、嵐が2階にある自室に行こうとした際、巴がふと思いついたかのように呟く。
「あ、そうそう、今日のメニューですが、普段の4倍にします」
「はぁっ⁉︎待った‼︎ソレは勘弁してくれ‼︎」
「問答無用です。さぁ、ヒーローを目指すなら限界を超えましょう‼︎」
「いや死ぬってマジで‼︎」
「死にはしませんよ。人がそう簡単に死ぬわけないでしょう?それに喧嘩するほど元気が有り余ってるんですから、多少キツくなっても大丈夫ですよね?」
「多少のレベルじゃねぇだろ‼︎てか、やっぱ怒ってるじゃねぇか‼︎」
ただでさえ彼女のトレーニングメニューはきついと言うのに、そのメニューが4倍になるなど地獄でしかない。
流石に体がもたないと抗議するものの、やはり反省しても怒ってはいたのだろうか巴は最後まで聞き入れてはくれなかった。
その日の夕方、とある住宅街の一角からは鈍い轟音と男の悲鳴が響いたそうな。
そして、残り3ヶ月の受験準備期間はあっという間に過ぎていき、ついに入試の日が来た。
———これは、厄災の力を持つ
未定ですが、一話ごとの字数は他の作品同様八千〜二万文字の間で済ませようかと考えています。話ごとに文字数はちまちまと変化しているのでそこはお気になさらず。
主人公の尖った耳ですが、モンハンでお馴染みの竜人族の外見を採用しています。しかし、手と足は普通の人間と同じ指が五本です。
主人公は物語スタートの時点で割と強いです。だってベースがアマツ様だし。古龍の中でも格上のやつだし。強いのは当然よ。
そして、後半に出てきた主人公の付き人兼保護者の旭 巴というオリキャラですが、モデルはズバリFGOの巴御前です。ゲーム通り優しいお方です。ゲーマーだったり、料理下手かどうかはおいおい明かしていきます。
この作品は数話ストックしてから順次投稿していくというスタンスでやっていきますので宜しくお願いします‼︎
誤字報告、感想などありましたらお待ちしております。
嵐のイメージCV誰がいいと思いますか?
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小野大輔
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諏訪部順一
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細谷佳正