天を舞う大嵐、英雄とならん   作:桐谷 アキト

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サンブレイクの新情報がやばすぎギィ!!
復活モンスターとか亜種モンスターも嬉しかったけど、なによりエスピナスってマジか。まさか、フロンティアのモンスターが家庭用に参戦するとは夢にも思いませんでした‼︎‼︎
フロンティアは出来なかった私としては、もう二度と戦うことができないと諦めていたモンスターだったのでマジで感激です。
それに、他の復活モンスターもグラフィックが綺麗だから、めちゃくちゃ綺麗かつカッコ良く映りましたね。特にゴアさんとナルガ希少種は一層カッコよかったし綺麗でしたね。ナルガ希少種が思ったよりも白くてビックリしましたね。いやほんと楽しみですわ。サンブレイク。




24話 疾風怒濤

 

 

 

『よぉーし組み終わったな‼︎?準備はいいかなんて聞かねぇぞ‼︎いくぜ‼︎残虐バトルロイヤルカウントダウン‼︎』

 

早速プレゼントマイクのカウントが始まる。

 

『3‼︎‼︎』

「狙いは……」

 

轟が嵐を見ながら視線を鋭くする。

 

『2‼︎‼︎』

「ただ一つっ」

 

爆豪もまた嵐を睨み意気込みを表すかのように掌を何度も爆破させる。

 

『1‼︎‼︎』

「………」

 

全ての騎馬から殺気に近い視線を向けられる嵐は、静かに闘志を研ぎ澄ましていく。

 

 

『スタァァァトッッ‼︎』

 

 

試合開始の合図が響いた瞬間、全ての騎馬が揃って嵐達へと襲い掛かる。

 

「実質それ(1000万)の争奪戦だ‼︎‼︎」

「はっはっは‼︎八雲くんいっただくよ———‼︎‼︎」

「1000万寄越せやぁぁッッ‼︎‼︎」

 

開始の合図が出た瞬間、ほぼ全ての騎馬が嵐達へと襲いかかる。先頭をかけてくるのは歯が剥き出しの顔つきの少年骨抜を前騎馬に、左右に髪が薔薇の蔓の少女塩崎、逆立てた黒髪にヘアバンドをしている少年泡瀬を騎馬にしている強面が特徴な銀髪の少年鉄哲が騎手のB組チームの一つと前騎馬に耳郎、左右に体格のいい砂藤と口田で固めた葉隠チームだ。その少し後ろからは、前騎馬に切島、左右に芦戸と瀬呂の爆豪チームだ。

最前線を駆ける三騎だが、嵐は葉隠の上半身が完全に透明であることから、早々に上着を脱ぎ捨てたのだろう。やっちゃったかぁと嵐は苦笑する。

 

「ま、そりゃ全員来るわな。……てか、葉隠、お前脱いじゃったのかぁ」

「八雲どうすんのっ‼︎」

 

苦笑しながらも全く動じない嵐に、拳藤が片角を掴みながら初手をどうするか問う。嵐は不敵に笑い答えた。

 

「開幕は派手に行くぞっ‼︎全員耳を塞げっ!」

「「「っっ!」」」

 

チームメイトの三人に警告すると事前に作戦会議をしていた三人はすぐさま両手で耳を塞ぐ。そして、嵐は体を逸らすほどに大きく息を吸ったのだ。

 

「えっ、アレって…⁉︎」

「やばっ、止まって!」

「アレをモロ喰らうのはもうごめんだっ‼︎」

「やっべぇ‼︎」

 

その動作に、A組メンバーがギョッと青ざめ騎馬全員がブレーキをかけて嵐への突撃をやめたその瞬間、

 

 

 

キイイィィィィ———————————ァァアアッッ‼︎‼︎‼︎

 

 

 

大咆哮が轟く。

ビリビリと大気を揺るがすほどの凄絶なる咆哮がスタジアム中に響き渡った。

観客達はあまりの声量に目を見開いて反射的に耳を塞いでしまう。距離が離れている観客達はそれだけで十分なのだが、嵐により近かった騎馬達は違った。

 

 

「「「「「「〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッッ!!!?!?!?!?」」」」」」」

 

 

B組の約半数の騎馬が大咆哮をモロに喰らって完全に身動きが取れなくなる。騎手は揃って耳を抑えて、騎馬は抑えれないために顔を顰めて苦悶の表情を浮かべ膝をついてしまった。

 

『うおぉぉっ、や、八雲、とんでもねぇ大咆哮で群がる騎馬の動きを止めたァ‼︎てか、なんだよその声量⁉︎俺の立場がねぇじゃねぇかっ‼︎‼︎』

『知るか。あいつの咆哮は特殊だからな。開幕としてはいい判断だ』

 

個性“ヴォイス”という声量を増幅させる個性を使うプレゼントマイクが自身の十八番でもある大声の攻撃を嵐が使ったことに自分の得意分野が奪われたと抗議の声を上げるが、隣に座る相澤には呆気なく一蹴されてしまう。

嵐は未だ轟音に悶える騎馬達を確認すると、拳藤に向けて声を張り上げる。

 

「拳藤っ‼︎振り落とされるなよ‼︎‼︎」

「うんっ‼︎」

「《疾風瞬天》ッ‼︎‼︎」

 

嵐は暴風を纏って未だ硬直している他の騎馬達へと突撃する。まず狙うのは、A組とは違い嵐の大咆哮を知らずに突撃したせいでより距離が近いB組の騎馬達だ。

三人を運んでいるとは思えない速度で手前の騎馬二つに肉薄した嵐は、彼らの間を縫うように駆け抜けていった。そして、嵐達がB組の騎馬二騎の間を駆け抜けた後、彼らの頭にハチマキはなかった。

 

「え?あれ?ハチマキがねぇっ」

「え、あ、俺もだっ」

 

それぞれの騎手であるB組の鉄哲、鱗がいつのまにか自分達の頭からハチマキが消えていたことに驚く。一体どういうことかと思った瞬間、彼らの後方から話し声が聞こえてくる。

 

「拳藤、よく対応したな。一個でも十分だったが、二つ獲れたのは上々だ」

「な、なんとかね。てか、疾いのはわかってたけど、体感するとここまで違うもんなんだな…」

「は、はやっ、ちょっ八雲疾すぎないっ⁉︎」

「……っっ」

 

聞こえてきたのは余裕な声と安堵する声、驚愕の声が一つずつ。何事かと振り返ればそこには嵐達がいて、取陰や心操が嵐の高速移動に驚愕が冷めやらない様子で目を丸くしており、彼らの上には冷や汗をかいて胸を撫で下ろしていた拳藤が立っており、彼女の手にはハチマキが二つ握られていたのだ。そう、嵐達は早速二つの騎馬のハチマキの奪取に成功したのだ。

 

『うおおぉぉぉ八雲チーム‼︎開始10秒でいきなりハチマキを二つ強奪っ‼︎‼︎速攻にも程があるだろうがぁっ‼︎‼︎』

『一応三人で騎馬を組んではいるが、尻尾で後ろの二人を巻き付けて運んでいる以上実質騎馬一人に騎手三人だな。だが、アレが一番八雲の並外れた身体能力を活かせる最適な形だ』

『さぁ超高機動戦闘機と化した八雲が暴れるぞ‼︎‼︎やっぱ1番の要注意人物はコイツだなぁ‼︎‼︎』

 

プレゼントマイクの声を聞き流しながら、嵐は一瞬でハチマキを奪われて唖然としているB組の面々に獰猛な笑みを向ける。

 

「1000万持ってるから逃げに徹すると思ったか?んなわけねぇだろ。テメェらのポイント全部奪って完全勝利だ」

 

嵐は挑発的な笑みを浮かべると、彼らに背を向けながらチームメイトに声をかける。

 

「お前らのポイントは貰ったからもう用はねぇ。次行くぞ」

「そうだね」

 

嵐は拳藤達にそう言うと完全に用済みと言わんばかりに鉄哲達に背を向けて風を纏って飛翔する。そんな彼らの背中に鉄哲は慌てて声を張り上げる。

 

「っさせっかよ‼︎骨抜奪い返すぞっ‼︎」

「よせ鉄哲っ。俺の個性的にあいつとは相性が悪すぎるっ‼︎ここは他の騎馬のポイントを狙った方がいいっ‼︎」

「けどよっ‼︎」

「鉄哲さん、ここは骨抜さんの言う通りです!取り返すよりも他の方々のを取りに行った方がいいです‼︎」

「〜〜〜〜っっ、くそっ、なら他の騎馬に行くぞっ‼︎」

 

最初こそ嵐達を追撃しようと指示を出した鉄哲だったが、クラス内でも冷静で視野が広い二人にそう悟られては反論できずに、二人に大人しく従い狙いを他の騎馬へと移す。もう一チーム、鱗と騎馬である獣化の個性で二回りほど大きくなった体躯を有する宍田も同じことを考えており、各々別のチームへと狙いを定める。

 

「……なんだ、追ってこないのか。張り合いがないな」

「まぁお前を追うよりかは他を狙った方が堅実だしね」

「てか、私ら空飛んでるから、あいつらは追ってこれないよ」

「……すげーな。空を飛ぶって、こんな感じなのか」

 

二騎とも追ってこなかったことに若干残念そうに呟く嵐に拳藤と取陰がそう答える。心操は初めて空を飛んでることに若干緊張している。

現在嵐達は上空15mの所を飛翔しており、戦場を俯瞰していたのだ。

 

「さぁて、しばらく様子見としてどこから狙っていこうか」

「なるべく手薄な所を狙いたいけど……どこも密集してるね」

「うん、それにまだ序盤だから無理に動かなくてもいいんじゃない?」

「俺も同意だ。こっちには1000万もあるわけだし、しばらくは防衛戦で良くないか?」

「そうだな。これからはしばらく防衛か回避だけにしよう。そんで早速……」

 

嵐がそう呟いた直後、爆発音が聞こえてくる。そして、嵐の視界に色の薄い金髪が映った。

爆発に続いて金髪など、嵐は一人しか知らない。嵐は笑みを浮かべながらそちらへと振り向いた。

 

「お前なら来るよな‼︎爆豪‼︎」

「1000万よこせやぁぁ‼︎‼︎クソ白髪ぁ‼︎‼︎」

 

爆発音の正体は爆豪。彼は掌からの爆発で空へと飛び上がり嵐達へと強襲したのだ。こめかみに青筋を浮かべ、血走った目を向ける様はまさに鬼の形相。

 

『おいおいおい‼︎あいつ騎馬から離れたぞ⁉︎良いのかあれ⁉︎』

「テクニカルなのでオッケー‼︎地面に足ついてたらダメだったけど‼︎」

 

爆豪が騎馬から離れて空を飛んで嵐達へと襲いかかることにプレゼントマイクが抗議の声を上げるが、審判であるミッドナイトの判断でセーフと判定された。

 

「だからって、こんなのアリなのかっ⁉︎」

「落ちなきゃなんでもありだからねっ。実際私らも空飛んでるわけだしっ‼︎」

 

心操にやるしかないと言う風にいいながら、取陰は自分の両腕をバラバラにして爆豪へとけしかけるが、

 

「そんなもん当たるわけねぇだろうがっ‼︎ギザ歯‼︎」

「くっ」

 

爆豪は空中で細かい爆破を繰り返して体勢を変えて器用に取陰の攻撃を全て巧みにかわしたのだ。しかし、それは簡単にできることではない。空中での移動にもブレない強い体幹と、どこに爆破を向ければ良いかなどの把握能力も求められている。

 

(言動はクソだけどっ……センスは本物ってわけねっ‼︎)

 

嵐からも聞かされていたが、爆豪はA組有数の実力者で、個性の使い方が上手い。それを言葉だけでなく、身をもって体感した取陰は歯噛みしたのだ。そして、器用にかわして拳藤からハチマキを奪おうと手を伸ばした時だ。

 

「させねぇよ」

「ぐぉっ⁉︎」

 

伸ばした手は拳藤から数十cm離れた空中で見えない壁に阻まれたかのように大きく弾かれたのだ。軽く吹っ飛ばされた爆豪はなんとか体勢を立て直して空中で再び爆破で浮かぶ。

 

「てんめぇぇっ」

 

上げた彼の顔は更に獰猛になっており、今自分を弾いた存在を睨む。睨まれた存在ー嵐はフンッと鼻を鳴らして不敵に笑う。

 

「この俺がいる限り、拳藤には指一本も、火花一つも触れさせやしねぇよ」

「こっんの、白髪野郎がぁぁっ!」

 

爆豪は嵐の挑発的な言葉に怒りと苛立ちに吼えながら、再び両手から爆破させて迫る。対する嵐は爆豪から距離をとる。

 

「っっ、テメェっ逃げんじゃねぇっ‼︎‼︎」

「なら追いかけてこいよっ‼︎」

「っっ、上等だぁっ‼︎‼︎」

 

当然爆豪はそれを追撃。スタジアムの空を嵐と爆豪が飛ぶ。騎馬戦のはずが空中戦のドッグファイトへと変わった。

 

『ちょっと待てぇ‼︎‼︎お前らなんでドッグファイト始めてんのっ⁉︎競技間違えてんぞっ‼︎』

『いくら飛べるとは言え、これだと確かに騎馬戦じゃねぇな。まぁ、審判が何も言ってない以上アリなんだろうな』

 

プレゼントマイクの抗議の声に、相澤は若干諦めたような口調でそう返す。確かにルールに抵触していない以上、セーフなのだろう。ミッドナイトも面白そうに眺めているだけだった。

 

「おいおい、爆豪の奴落ちたら失格ってわかってんのかよっ⁉︎」

「と、とにかく、爆豪の真下にいないと落ちた時がやばいよ‼︎」

「あぁもうっ、勝手すんなって言ったのによぉっ‼︎」

 

爆豪チームの騎馬である切島、芦戸、瀬呂にとっては無関係でいられるわけもなく、地面に落ちたら失格である以上、万が一に備えて爆豪を確実に拾えるように忙しなく駆け回っている。

そして、審判が止めないことをいいことに嵐と爆豪は空中で激しい攻防を繰り返す。と言っても、爆豪がひたすら爆破してくるのに対して、嵐は風の防御壁で防ぐと言う攻防が完全に分かれているが。

 

「おらおらどうしたぁっ‼︎防いでばっかじゃねぇかっ‼︎‼︎」

「…………」

 

爆豪の爆破を完全に凌いでいるがいつまでも防戦一方であることに爆豪はわざとらしく挑発する。だが、嵐はそんな挑発を受け流しながら冷静に風壁を維持し続けている。

 

(クソがっ、硬すぎんだろうがっ‼︎)

 

爆豪は自分の攻撃を涼しい顔で凌ぎ続ける嵐に苛立ちを感じると同時に、突破できない事実に内心悪態をつく。

自身の爆破の攻撃、その悉くが鉄壁と思うほどの堅固な風の防壁によって凌がれている。打てども打てどもその風が揺らぐことはなく、目の前にいるはずなのに、一向に手が届きそうになかったのだ。

 

(最大威力でぶっ壊すかっ?だが、それは……)

 

爆豪とてこの程度の爆破が最大威力ではない。しかし、最大威力はリスクがあるため乱発はできない。一度で敗れるならばそれでいい。だが、それで無理なら自分は無防備になる。

粗暴だが実は冷静な判断ができる爆豪は短い間で策を必死に練る。そんな中、不意に嵐が口を開いた。

 

「なぁ爆豪。一つ忘れてないか?」

「あぁ⁉︎」

 

眉を顰める爆豪に嵐は口の端を吊り上げて笑いながら言った。

 

「これは……チーム戦だぜ?」

「そーゆーこと」

「っっ⁉︎」

 

嵐の言葉に相槌を打つように、()()()()()()()()()()()()に爆豪は勢いよく後方に振り向く。

 

「あ?口だぁっ⁉︎」

 

振り返った先にいたのは、特徴的なギザ歯の口だ。ケタケタと笑うそれに一瞬困惑するも、爆豪はすぐに気づく。この歯の形、気のせいでなければ嵐のチームにいるギザ歯の女と同じ形だと。

 

「っっ⁉︎」

 

そこまで考えて、爆豪は自分が罠に嵌ったことに気づき急いでその場から離脱しようとしたが、時すでに遅し。その一瞬が仇となった。

 

「俺を相手に余所見とは随分と余裕じゃねぇか」

「ぐぉっ⁉︎身体がっ、動かねぇっ⁉︎」

 

爆豪の体がその場で固定される。

《空絶・風縛牢》。かつてUSJで黒霧を拘束した風の牢獄を、爆豪の意識が逸れた一瞬で展開して爆豪を内側に閉じ込めて空間に固定したのだ。

 

「くっ、そっがぁぁっ、離しやがれっ」

 

爆豪は結界を破る為に何度も爆破を放ちながら嵐に殺意がこもる視線を向けながら唸る。殺気が篭っており、気弱な人ならばビビってしまいそうなほどに凶悪だったが、当然嵐がビビって結界を解くわけもなく、不敵な笑みを浮かべながら動けない爆豪に忠告する。

 

「これはチーム戦だ。ワンマンプレーも結構だが、仲間との連携も大事だぜ?まぁなんだ、とりあえず一度堕ちろ。拳藤やれ」

「ああっ‼︎」

「っっ⁉︎」

 

嵐がそう言って爆豪との距離を詰めたのに合わせて、拳藤が右拳を構える。そして、無様にもがく爆豪に狙いを定めると距離が近づくに合わせて拳を振り下ろす。

 

「《風縛牢》部分解除」

 

拳藤の拳が風の結界に触れた瞬間、嵐は爆豪の固定を全体ではなく両腕のみへと変えて拳藤に風の影響を受けないようにし、爆豪の胴体を剥き出しにする。ガラ空きとなった爆豪の胴体に拳藤の拳は吸い込まれていき、インパクトの瞬間巨大化して人間大サイズの大きさになった大拳で爆豪を見事捉えた。

 

「はあぁぁぁっ‼︎‼︎」

「がぁっ⁉︎」

 

流石の爆豪も対応することができず、そのまま呆気なく殴り飛ばされて地面へと落ちていった。

 

『八雲チームの騎手拳藤‼︎‼︎容赦ねぇ巨大パンチで爆豪を撃墜‼︎‼︎ヒュ—!やるなぁぁ‼︎‼︎』

『今のは完全に爆豪の自業自得だな。いくら自分だけが空を飛べるとはいえ、独断専行で勝てるほど八雲チームは甘くない。対する八雲チームは、背後に意識を逸らさせた一瞬で拘束し、とどめのパンチ。即席とは思えんぐらいによくできた見事な連携だ』

 

プレゼントマイクが豪快な一撃で爆豪を殴り落とした拳藤に賞賛の声をあげて、相澤が爆豪に対し辛辣な評価を下し、嵐達の連携を褒める。

 

「ヤバッ、キャッチキャッチ‼︎」

「爆豪‼︎」

「お、おい、爆豪大丈夫か⁉︎」

「く……そ……がぁっ」

 

割と早い速度で落ちてくる爆豪を爆豪チームの騎馬の切島達が慌てて落下地点に駆け込んで瀬呂のテープも合わせて受け止めることで騎馬は崩れたものの爆豪の足が地に着くことはなく失格は免れた。

爆豪はチームメイトの言葉に応えずに無念の声を上げて上空から見下ろす嵐達を睨んだ。

しかし、嵐達はすでに爆豪からは完全に意識を逸らしており、ゆっくりと降下を始めていたのだ。

そして、降下を始める嵐チームだったが、周囲を警戒していた取陰が声を張り上げる。

 

「八雲っ‼︎他もくるよっ‼︎」

「取れ‼︎黒影‼︎」

『アイヨ‼︎』

 

取陰の警告とほぼ同時に聞こえてきた襲撃を命令する声。それは聞き慣れたクラスメイトのものであり、咄嗟に振り向いた先にいたのは黒い烏を模したようなモンスター黒影が襲い掛かる姿だった。

 

「《天嵐羽衣》っ」

 

嵐はすぐさま風の防壁を再展開。拳藤を守るように展開したソレは間に合い、黒影が伸ばした腕を弾いた。

腕を弾かれた黒影は腕を戻して後方に下がり常闇の眼前へと戻る。宙に飛び上がってきたのは常闇を前騎馬に左右を麗日とサポート科の発目を騎馬にしその上に乗る緑谷だった。

常闇は奇襲を弾かれたことに悔しそうに呻く。

 

「くっ、やはりそう簡単にはいかんか‼︎」

「常闇!それに、緑谷もかっ‼︎」

「僕も君に挑戦するよ!八雲くんっ‼︎」

 

緑谷がやる気十分と言うふうに嵐に挑戦することを堂々と宣言する。緑谷チームが襲いかかってくる中、嵐は緑谷がどうやってここまできたかを冷静に分析する。

 

(爆豪以外で、飛行できんのはA組にはいなかったはずだ。麗日も飛ぶと言うよりは浮かぶだけだが、どうやって?……っ、いや待て)

 

黒影の攻撃を風で防ぎつつ観察していた嵐は、緑谷が背中に装着しているバックパックに気づく。恐らくはサポート科のアイテムだろう。そして、あの形状はジェットのようなものだ。

 

(バックパック?…っそうか!麗日の個性に加えてバックパックのジェットで空に飛んだのかっ‼︎)

 

嵐はカラクリに気づく。彼の予測通り、サポート科の発目明が開発したアイテムの一つエアジェットのバックパックを緑谷が装着し、麗日が自分以外を浮かすことで浮かす重量を減らしつつ、バックパックで機動性を確保しているらしい。

これで麗日の無重力の個性による空中移動不可のデメリットが解決されたわけだ。

よく考えたなと嵐はほくそ笑みながらも、的確に仲間に指示を出していく。

 

「拳藤はハチマキを死守っ‼︎取陰は牽制だっ‼︎」

「了解っ‼︎」

「任せてっ‼︎」

 

拳藤が嵐の指示に従い自身の右手を大きくして自身のハチマキを取られないようにかつ、隙間から外を見えるようにしながら覆い隠し、更にはもう片方の手を盾のように構える。取陰は両腕だけでなく頭、胸部すらも二十個ほどに分離させて拳藤を守るように展開させた。

拳藤の大拳の盾、嵐の風壁、取陰の浮遊部位による防御。三重の障壁による完全な防御姿勢に緑谷達は呻く。

 

「くっ、ああも固められては黒影でも突破は難しいなっ」

「うんっ、分かってたことだけど八雲君達が一番手強いっ」

 

攻めあぐねていることに緑谷達がどうすればいいかと策を巡らせるが嵐がそんな悠長な隙を見逃すはずがない。嵐はガパッと口を開き、口内に白い渦を覗かせる。

ソレを見た瞬間、常闇はゾワリと湧き立つ悪寒に反射的に叫ぶ。

 

「っっ黒影‼︎受け止めろっ‼︎」

「ガァァっ‼︎」

『アブネっ‼︎』

 

間一髪。短い咆哮を伴って放たれた水の砲弾は真っ直ぐに緑谷へと襲い掛かるも、黒影がすんでのところで割り込んで防いだのだ。

だが、一発では終わらない。

 

「まだだ」

『グオッ⁉︎コノッ‼︎イデッ‼︎』

 

連続で砲弾は放たれる。しかも、嵐の水砲弾の威力は大砲以上だ。大砲以上の破壊力を秘めたブレスを嵐は連射したのだ。これには流石の黒影も防御で手一杯になってしまう。

 

「くっ、凄まじい破壊力だ」

「うっわぁ、あんなの喰らいたくないなぁ」

「大砲を連射してるようなもんだしね」

 

敵味方両方から驚愕の視線を向けられる中、無重力を維持し続けていた麗日が声を張り上げる。

 

「皆ごめんっ!一度着地してっ!」

「俺らも一度降りるぞ」

 

浮遊限界が近づいたのか、許容限界が来る前に降りることを提案した麗日に従い緑谷達は降下をしていく。対する嵐達も一度地上に降りることを選びほぼ同時に降下していく。だが、降下する速度は嵐の方が速い。

 

(着地した瞬間を狙うっ‼︎)

 

緑谷チームよりも一足先に着地した嵐は、そのまま暴風を纏って驀進。緑谷達が着地する瞬間という一番不安定な時を狙ってハチマキを奪おうと動こうとするも、嵐達の進路に黒影が立ちはだかった。

 

「黒影‼︎八雲を近づかせるな‼︎」

『アイヨ‼︎』

「チッ、やっぱ中距離ん時は面倒だな。ソレ」

「よく言う。全距離に対応できるお前がソレを言うか?」

 

黒影の妨害に止まらざるを得なかった嵐がわざとらしく悪態を突き、常闇が言い返す。

しかし、嵐の言う通り常闇の黒影は厄介な存在だ。まず物理攻撃が効かない。闇を媒介にしているためか、物理無効でダメージが一切入らない為、いくらでも攻撃や防御に使える。また影であるが故に伸ばせる距離に制限はほぼ無く、数十mでも数百mでも伸ばせるのだ。さらに言って仕舞えば、黒影には知性があり会話が成立する為、自律行動が可能。中・遠距離に対応できる攻防共に優れた個性なのだ。嵐の水球ブレスを防いだことからも防御力の高さは窺える。射程距離や威力もある為、なかなかに侮れない。

 

全距離に対応できる嵐に対抗する為に中・遠距離に特化している黒影をぶつけて様子を伺う。実に理に適った作戦だった。少し攻めあぐねている嵐は、小声で心操に話しかける。

 

「心操、悪いがお前まだだ。特に緑谷の前だと使うのはやめた方がいいな。アイツは観察力が並外れてる。下手したら一度で看破されるからな」

「いいさ、お前の指示に従う」

「悪いな」

「しばらくは警戒に徹する。その代わり、その時は俺をうまく利用してくれよ。リーダー」

「任せろ。最高のタイミングで使ってやるよ。お前は俺たちのジョーカーだからな」

「ああ。それで、この状況どうするんだ?」

 

言葉を交わした心操は嵐にそう尋ねる。今の状況は嵐チームと緑谷チームの間には一定の距離が開いており、間に黒影がいることで迂闊に近づけないような状況になっていた。

強引に突破しようと思えばできるが、その際の背後からの黒影の奇襲は油断できない。

どうする?という問いかけに嵐が答える。

 

「決まってる。速度で圧倒する」

 

そう短く答えて嵐は暴風を纏って驀進すると、緑谷達にまっすぐ迫る。対する緑谷チームも対抗すべく動き出した。

 

「発目さん早速使わせてもらうよっ‼︎」

「どうぞっ‼︎」

 

そう言って緑谷は懐から信号銃のようなものを二丁取り出す。しかし、通常のものよりも銃身は長く、銃口も太い。

何を撃つ気だ?と嵐達が身構える中、緑谷は嵐でもなければ騎手の拳藤でもなく、拳藤の左右に狙いを定めて引き金を引いたのだ。

 

「ッッ‼︎⁉︎」

 

ポンと甲高い音を響かせて放たれた弾は、瞬時に弾けて先端に重りのようなものがついた網へと変化したのだ。

 

(網?俺らを捕縛するためのものか?いや、ソレほど大きくもないし、狙いも逸れている。一体どこに狙って……っ‼︎⁉︎)

 

最初こそ狙いを外したのだと思った。だが、違う。緑谷の本当の狙いはーーー

 

「取陰避けろ‼︎」

「え?わっ!」

 

嵐が気づき声をあげるも間に合わず、宙に浮かぶ取陰の浮遊部位のほとんどがその網に囚われたのだ。

 

「やってくれんじゃねぇかっ」

 

嵐はしてやられたことに笑いながらも悔しそうに呟く。

緑谷の狙いは、嵐でもなければ拳藤でもなく最初から取陰の浮遊部位を一網打尽にすることだったのだ。そんな緑谷の狙いにすんでのところで気づいたものの、結局取陰の浮遊部位のほとんどが網に囚われてしまい防御が一枚剥がされる。

 

『おぉーーっと‼︎緑谷チーム、サポート科のサポートアイテムで八雲達に一矢報いたぁぁぁ‼︎‼︎つぅか、まるで魚の網取りだなぁっ‼︎』

『ものは使いようだ。時にアイテムは個性に勝るからな』

「ふふふ、そのベイビーは特性の捕縛網です。簡単には千切れたり解けたりできないようにしていますので、これで貴方方の硬い壁を一枚剥がせました!」

 

一網打尽にして落ちる二つの袋を拳藤と心操がすぐにキャッチしたものの、網が複雑に絡んだことで簡単には解けず、網目も細かいため隙間から抜け出すこともできなかったのだ。

開発者でもある発目明がしてやったりと自慢する中、その隙をすかさず常闇が狙う。

 

「常闇くん‼︎」

「今だ‼︎行け!黒影‼︎」

『アイヨォッ‼︎』

 

常闇の命令に従い黒影が防御が薄くなった拳藤を狙う。だが、嵐が右脚に風を纏わせながら裂帛の声を張り上げた。

 

「舐めんなぁぁっっ‼︎‼︎」

『イッデェッ⁉︎⁉︎』

「黒影っ⁉︎」

 

嵐は雄叫びをあげて風を纏わせた右脚を振り上げて黒影を勢いよく蹴り飛ばす。ドゴォンッと蹴りとは思えないような轟音を立てて大きく弾かれて常闇達の眼前の地面に勢いのあまり叩きつけられる。

 

「一度距離をとるぞ‼︎‼︎」

 

黒影を蹴り飛ばし攻撃を防いだ嵐は緑谷達から大きく距離をとった。

 

「まさかっあの状況から反撃するとは。…どうする緑谷、追うか?」

「ううん、せっかくのチャンスを物にできないのは惜しいけど、追わなくていいよ。他に行こう」

 

常闇は追撃の可否を問うたが、緑谷はああなっては嵐の防壁を突破するのは相当骨が折れると判断して追撃はせずに他の騎馬からポイント奪取をすることを判断して、駆け出した。

 

「とにかく、《天嵐羽衣》で固めておこう」

 

一度退避した嵐は全員を竜巻で覆って外からの干渉の一切を断って完全防御体勢に入ってから心操に振り返る。

 

「心操解けるか?」

「駄目だっ、網が頑丈で解くのに時間かかる!」

「八雲ごめん。うっかりしてた」

 

心操が必死に網を解こうと専念する中、唯一頭だけは躱した取陰がしゅんと気落ちした様子で嵐に謝罪する。自分の不注意でチームに迷惑をかけたことを申し訳なく思ったのだ。

だが、嵐は気にするなと首を横に振る。

 

「いや、いい。あればかりは不意打ちだ。俺の不注意もある。それより、心操、まだ解けないならこっちに寄越せ。俺がやる」

「……すまん、頼む」

「拳藤、手を使うからしがみついとけ」

「うん」

 

嵐は拳藤にそう言って抱えていた脚を離す。脚を離された拳藤は嵐の腰に脚を回してしがみつく。そして、手が自由となった嵐は心操から網を二つとも受け取ると一つを両手で掴み強引に千切り、もう一つを網に牙を突き立てて咬み千切ったのだ。二つとも千切った嵐は網の強度に舌打ちする。

 

「チッ、相当強度高いな。増強型じゃねぇと破れねぇぞこれ」

「そんなに強度が高かったのか」

「ああ。だが、もう問題はねぇ。取陰大丈夫か?」

「うん、ばっちり。ほんとありがとね」

 

網の拘束から解き放たれた取陰は自由になった浮遊部位を本体に戻して、一度分離をリセットする。そして、取陰の拘束を解いた嵐は拳藤の膝裏に腕を回してしっかりと背負うと、改めてチームメイトに声をかけた。

 

「よし。防壁を解くぞ。こっからは取りに行く。全員気を引き締めろ」

「ああ」

「うん」

「おう」

 

三人が頷いた後、嵐は心操に視線を向けると、不敵に笑いながら更に告げた。

 

「心操。そろそろ出番だ。俺が合図したら頼むぞ」

「……ああ、任された」

「行くぞ」

 

そうして嵐は竜巻を解いて外へと飛び出したが、自身の足元含め周辺の地面に見覚えのあるモノがあるのを確認した。

 

「!…峰田のもぎもぎか」

 

嵐は峰田の個性である超高粘着性のもぎもぎが周辺の地面にばら撒かれていることを把握して、着地するのではなくそのまま飛び上がり浮遊する。

その時だ。

 

「八雲後ろっ‼︎」

「っっ‼︎」

 

取陰の声が響くと同時に、嵐は背後から何かが迫るのを察知。咄嗟にその場から移動しながら飛んできた『何か』を風壁で弾いてそちらへと振り向くと、そこには嵐達に迫る障子の姿があった。

 

「障子?あれ?ちょっ、騎手は!?」

 

拳藤が困惑の声をあげる。確かに彼女のいう通り、障子の背中には誰か乗ってる様子もテントのようなものを背中に背負っているのだ。

その異常に拳藤が目を丸くするが、嵐はそれに気付き興味深そうに笑う。

 

「……へぇ、面白いこと考えたな。人間戦車ってわけか?」

「流石だな。お前はすぐに気づくか」

 

障子はあっさりと認める。障子の背中にあるテント。それは障子の複製腕であり、後ろに腕を伸ばして一番下の左右の複製腕を後ろでくっつけることで皮膜と合わさってテントのような形状にできるというわけだ。

そして、そのテントの中にいるのが……

 

「くっそぉ‼︎なんでわかるんだよぉっ‼︎」

「ケロ。流石ね、八雲ちゃん」

 

複製腕の隙間から覗く二つの顔。それは峰田と蛙吹だった。そう、障子は自身の巨体を活かして二人をすっぽりと覆って人間戦車を実行していたのだ。

 

「うっそ‼︎すごいな障子‼︎」

「私らも中々だけど、一番奇抜じゃない?」

「本当に個性は使いようだな……」

 

拳藤達も障子達の作戦には純粋に驚いていた。三人が驚く中、障子が嵐と正面から対峙しながら力強い意志が宿る言葉で宣戦布告する。

 

「八雲、俺はお前に挑むぞ。無論、負けるつもりではない。勝つ気でお前に挑戦する」

「ケロ。取らせてもらうわね」

「オイラがモテるための犠牲になりやがれぇっ‼︎‼︎」

「ハッ、いいぜ、来いよ」

 

嵐の言葉に合わせて障子は一気に嵐へと駆け出す。蛙吹と峰田も攻撃を開始して長い舌の刺突と峰田のもぎもぎの連射を放つ。

 

『峰田チーム、圧倒的体格差を利用しまるで戦車のような攻撃で八雲チームに仕掛ける‼︎だが……』

 

プレゼントマイクが最初こそ威勢よく実況するも、次第に声のトーンは落ちていく。それもそうだろう。

なぜなら、峰田チームの攻撃。ソレら全てが尽く嵐の風壁の前に無に帰していたのだから。

 

『八雲チーム‼︎もはや鉄壁というべき、風の防壁で全て弾いたぁっ‼︎‼︎八雲の風、この競技じゃあ反則なんじゃねぇのっ⁉︎』

『個性の強さに加えてアイツの基礎能力は軒並み高い。一生徒をあまり依怙贔屓はしたくないんだが、既にあいつの実力は並のプロを超えている。騎馬戦だけでなく、全ての競技においてアイツが1番の障害になるのは確実だ。……来年からは騎馬戦と障害物競走は除いた方がいいか会議だな。いや、むしろアイツにハンデをつけた方がいいか?』

 

プレゼントマイクに加えて相澤までもがそう言う。プレゼントマイクが反則だと騒ぐ傍で、会議がどうこうで、面倒だといったぼやきまでもが聞こえてきた。

 

「くっ、やはり八雲の風をどうにかしないと突破は難しいかっ」

「ケロ。私の舌も弾かれるし、どうしようかしらね」

「つーか反則すぎんだろうが八雲のやつ‼︎‼︎」

 

嵐が操る風壁のあまりの堅固さに障子が悔しそうに歯噛みし、蛙吹がお手上げと言わんばかりに呟き、峰田がやけくそ気味に罵倒を吐き捨てる。

そんな彼らに、嵐は仁王立ちしながら不敵に笑う。

 

「無駄だ。俺の風を突破できねぇ限り、ハチマキには手は届かねぇよ」

「くそっ」

 

嵐の言葉に悔しそうにする障子。頼もしいクラスメイトであり、親しい友人であり、憧れた彼に守られたばかりなのが嫌で、対等に並ぶ為に挑戦したのだがその結果が近づくことすら叶わないという無様だった。

そして、睨み合う2チームの戦いに介入するチームが一つ。

 

「耳郎ちゃん、今だよ‼︎」

「わってる‼︎」

 

聞き慣れたクラスメイトの声が聞こえた瞬間、嵐と障子の二人めがけてプラグが伸びる。介入してきたのは葉隠を騎手とした、耳郎、砂藤、口田のチームだった。

 

「ウチもアンタに挑戦するって言ったこと、忘れてないよね!?」

「忘れてるわけがねぇだろ。どっからでもかかってこい‼︎」

「そのつもりだよ‼︎」

「はっはっはぁ‼︎八雲くん、ハチマキを寄越せぇー‼︎」

 

耳郎達も介入し三つ巴の戦いになる。いや、三つ巴というよりかは耳郎と障子チームが一時共闘し嵐チームを追いかけていると言った方が正しいだろう。障子達の攻撃に加えて、耳郎のプラグ攻撃や口田の個性『生き物ボイス』によって集められた鳥達による撹乱攻撃も加わる。

 

耳郎のプラグは機動性、速度共に高い。左右それぞれ6mまで伸ばせるし、彼女のプラグは人体にも突き刺すことが可能であるため、肉体内部に衝撃波を届かせることもできる。

肉体内部に浸透すると言う、嵐に通用する数少ない攻撃手段を持つ耳郎は正確さと不意打ちに優れた個性で嵐達に襲いかかる。

さらには、3チームの間には口田があらんかぎりの大声で呼び寄せた鳥が二十数羽ほど飛んでおり、周囲の妨害を行う他、嵐達への撹乱もおこなっている。

 

障子チームの手数の多さと拘束力に優れた攻撃。耳郎チームと正確さと不意打ちを活かした攻撃に、鳥達による撹乱。これらが揃えば他の騎馬であればハチマキを奪うことも可能だったかもしれない。

 

だが、それでも。

 

 

 

「———《天嵐羽衣》」

 

 

 

嵐の風壁は破れない。

 

渦巻く白き堅牢なる暴風の障壁は、あらゆる攻撃すべてを弾き、ひとつたりとも通さなかったのだ。鳥達もまともに近づくことすらできない。

 

「……分かってたことだけど、やっぱり簡単に近づくことすらできないよね」

「口田くん‼︎もっと鳥は呼べないの⁉︎」

「…‥首を横に振ってるから、どうやら無理みたいだぜ」

 

口田の通訳をした砂藤が代わりに答えた。

嵐を前に攻めあぐねる現状でなんとか打開策はないかと必死に策を巡らせているものの、その打開策は一向に浮かばない。障子達も同様で嵐の暴風の障壁を前に足踏みをせざるを得なかった。

暴風の障壁を展開し、敵の攻撃の尽くを防いでいる嵐は、口田へとその黄金色の瞳を向けて静かに告げる。

 

「口田、悪いことは言わん。すぐにこの鳥達を退かせろ。お前ならわかってるはずだ。鳥達が俺の事を心底怯えてるってことを。このままだと恐怖でこいつら死ぬぞ?」

「っっ⁉︎」

 

嵐の指摘に口田があからさまに動揺する。

実のところ、嵐の指摘通りだった。口田が呼んできた鳥達は、口田が操ってるからこそ嵐の撹乱をおこなっているもののその内心は恐怖に満ちている。命令がなければ、即逃げ出すほどの大きすぎるほどの恐怖を鳥達は他ならぬ嵐から感じ取っていたのだ。

 

(でも、どうして八雲くんがそれを理解しているの?もしかして、初めからこうなることを分かっていたの!?)

 

口田は一つの可能性に至り青褪める。

普通の人間で野生動物に恐れられる存在はまずいない。個性という特異能力を持っていてもだ。

稀に異形型で肉食動物系の個性を持つ者であれば、その獣が持つオーラに鳥達が怯えるのも理解できる。だが、四六時中そうというわけではない。威嚇とか何らかの行動をとった時に発する威圧に小動物達が反応するのが常だ。

今の嵐はそれすらもない。威嚇などしておらずただその場に佇み風を纏っているだけ。それだけで鳥達が怯えるはずがないのだ。

 

だというのに、鳥達は逃げられない状況で圧倒的捕食者を前にしたかのように怯えきっている。

 

ここで、口田は一つの仮説に、可能性に行き着いた。

 

嵐の個性ー複合型個性と言われているが、その本質は異形型。しかも、彼がうちに秘める獣はただそこに存在するだけで、鳥達をはじめとした小動物達が逃げ出すほどの凶悪かつ強大な力を秘めているのではないのかと。生物としての格。その次元が違う事を嵐は自身が理解しており自分の周囲を舞う鳥達の身をも案じたのだ。口田と対峙した場合、こうなることが分かりきっていたからこそああ言ったのではないのだろうか。

 

そう、口田自身気づいていないうちに、嵐の個性の本質に誰よりも近くまで迫っていたのだ。嵐の個性がー嵐龍がどんな存在なのか。その一端を彼は確かに感じ取ってしまっていた。

 

「〜〜ッッ‼︎」

「………まぁ分からねぇよな。なら……」

 

それを知ってしまった口田が驚愕と恐怖に身を震わせる中、嵐はすぐには出来るわけないかと判断するとスッと目を細めながら牙を剥き出しにすると唸り声を上げる。

 

「……グルルルルル」

『『『ッッッ⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎』』』

 

龍の如き唸り声が発せられた瞬間、鳥達だけでなく口田達ー周辺にいた者達が全員、ゾワリと背筋を撫でられたような悪寒を感じてしまう。

人間である口田達はその威圧に身を振わせるだけだったが、鳥達は違う。

 

『『『〜〜〜〜〜ッッ⁉︎⁉︎⁉︎』』』

 

鳥達は我先にと嵐から逃げ出した。口田が操作しているのにも関わらずだ。

 

「ちょっ、口田君!?鳥逃げちゃったよ!?」

「口田!鳥呼び戻して!」

「……いや、どうも無理らしいぜ。鳥達がビビっちまって近づきもしないらしい」

 

葉隠、耳郎の言葉に必死に首を横に振っていた口田の通訳した砂藤がそう言う。彼の言う通り、鳥達はすでに口田が操作しようにも、本能的恐怖の方が優ってしまっていることで操作できないのだ。これで葉隠チームは手札の一つを失ったことになる。

 

「むむむ。八雲くんめぇ」

 

恨みがましそうに唸る葉隠。障子チームに続き葉隠チームも攻めあぐねる中、嵐は次の作戦へと動く。

 

 

 

「心操…最初の出番だ。準備はいいな?」

「ああ」

 

 

 

嵐の言葉に心操は不敵に笑った。

 

 

 

騎馬戦は更なる混戦へと突入する。

 

 





騎馬戦、嵐が騎手やったら強すぎるからと思って騎馬にしたんですけど、騎馬にしても強さは健在でしたね。
まぁ三人運んで移動できるし、風の防御壁に水のブレス。両手が塞がっていても攻撃と防御手段が封じられていない時点でこうなる気はしてましたよ。
それに、嵐自身の実力がオールマイトクラスな訳だし、トップヒーロー達だけでの騎馬戦なら嵐もいい勝負できてたんでしょうかね。
さて、自分の意思で嵐チームに参加した心操君。原作とは違いチームメイトを洗脳したわけでもなく、真っ向から堂々と利用する宣言しての次回ついに見せ場があるか!?

そして最後に、イメージCV誰がいいか、アンケートとってるんですけど見た限り諏訪部さんが大人気でしたので、諏訪部さんで行こうかなって思っています。とはいえ、アンケートはまだ続けるのでどうなるかわかりませんがね。

声のイメージ的にはFGOのジークフリートか食戟の葉山アキラでしょうかね。

嵐のイメージCV誰がいいと思いますか?

  • 小野大輔
  • 諏訪部順一
  • 細谷佳正
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