Fate/Viridian of Vampire 作:一般フェアリー
この作品を書き始めて1ヶ月未満とまだまだですが、これからもよろしくお願い致します。
それでは本編をどうぞ。
妖精國で唯一人間の人権が認められ存在する町、ソールズベリー。
バーヴァン・シーがホープたちとこの町に来訪して半日。
早々に町の領主の側近に発見されて捕まり、大聖堂へと連行されていた。
「着きました。既に門に入る前から見えていたでしょうが一応改めて紹介しておきます。ここがソールズベリーの象徴であり、我らが長のオーロラ様が住まわれておられる大聖堂です」
「…町に入った時点で感じていたけど、こうして間近で見るとより漂う神秘の濃さがわかるわね」
彼女らの前にそびえるはソールズベリー名物の大聖堂。
大昔の女王暦元年より現存し、女王モルガンの戴冠式を行った由緒ある歴史的建造物である。
「そ、それにしても随分とあっさり通すんですね?しかも貴方の方からとは…」
「何を言っているのですハロバロミア?住民の不安を拭い去るのは町の治安を取り締まっている立場として当たり前でしょう?」
彼女―――コーラルはオーロラが領主として町の管理・運営をサポートする為、町の治安を乱す不穏分子に関しては敏感である。
故に察知次第すぐに行動を起こすので、ランスロットがモルガンの命で出勤している時は実質彼女がソールズベリーの平和を維持している状態だ。
「不安が生じているならその
「は、はい。わかりました…」
上司相手かつ追放された身というのもあるだろうが、コーラルに対してハロバロミアは少し弱気になっていた。
「ならば良し。他の皆さんも理解できましたね?では早く中へ入りますよ」
そしてコーラルの引率の下、一行は内部へと進んでいった。
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内部に足を踏み入れた一行の目に写ったのは、『絶景』だった。
一切のズレも傷も歪みも無い、完璧に計算された位置・大きさ・均一性の内装。
見る角度によって青や紫、ピンクなどの薄いグラデーションが掛かる鮮やかさ。
奥にあるステンドグラスもそれだけで一つの完成された芸術品と称されても納得が行く域の質の高さ。
宛ら美術館の如き荘厳さと美麗さの前に一行は目を輝かせ、特にバーヴァン・シーは呼吸を忘れかけるほど見入っていた。
「……………」
(すごい…ただすごい。周囲に漂う神秘は言うまでもないとして、これ全部大理石で出来ているのかしら?…外観とはまるで印象が違うわね……)
「聖堂の美しさに目を奪われているところ申し訳ないですがこのまま貴方たちをオーロラ様のところまで連れていきます。呉々も粗相など起こさないように」
そこへコーラルが話しかける。どうやらオーロラの部屋まで連行するつもりらしいが、いよいよご対面の時が来るようだ。
そんなこんなで奥にある階段を登っているとコーラルがふいに口を開く。
「因みに。私がこうして貴方たちを連行しているのは住民の不安払拭だけでなく、オーロラ様ご自身の為でもあるのです」
「オーロラ…様ご自身の為?それってどういう意味かしら?」
「ええ、オーロラ様は『珍しいもの』を好まれます。それを見たり会話するだけでもオーロラ様の妖精としての力になるのです。中でも異邦のトリスタン、貴方はまず間違いなくあの方の目に止まるでしょうね」
コーラルの言う通りオーロラはこと珍しいものに対しては何であれ気に入り、贔屓する傾向がある。
あわよくばそのまま自分の手中に納めて愛でるようとするので、たまにコーラルやランスロットから注意される事がある。
「えっと、それってつまり自分が興味を持ったものは取り敢えず何でも関わろうとする、或いは集めたり愛でることで美しさを保つとかそんな感じなの?」
「……………まぁ、当たらずも遠からず、とだけ言っておきましょう」
バーヴァン・シーの問いになぜか間を置いて意味深な返答を返して濁したコーラル。
それが気にかかったバーヴァン・シーはさりげなく妖精眼を発動させると、大半が真実で微妙に嘘の色も見受けられた。
この言う判定結果の場合は大体何かしらの隠し事などを抱えているのが殆どだ。
つまりコーラルの知っている本当のオーロラの性格は我々が思っているそれとは違う可能性が非常に高く、今の濁した様な返答もあって尚更拍車を掛けた。
(そう考えると皆が言う理想の聖女というのも面白いものを皆が貢ぐよう促す為の、単なる都合の良い姿。虫で言う擬態のそれに近いのかしら。とはいえ実際これから初めて会うわけだし、ただの推測に過ぎないけど…)
「着きましたよ」
バーヴァン・シーがそう考えに耽っているといつの間にかオーロラの部屋に着いたらしく、コーラルが続けて彼女らに注意を促す。
「皆さん、ここが我らが長の御部屋です。もう一度言いますが呉々も粗相の無きよう謹んでください」
コーラルはそう軽く釘を刺すとドアの前に立ち、丁寧にノックする。よく見るとドアも他の部屋とは違い煌びやかな飾り付けがされてあった。
「オーロラ様。失礼致します、コーラルです。つい先ほど住民たちの情報で妖精数名を捕まえたのですが、その中に大変珍しいものがありました。従って入室許可を」
彼女が懇切丁寧に用件を報告する。
「―――まぁ、そうなの?いいわ、どうぞ入ってきてちょうだい!あなたをしてそう言うんだもの、きっと素敵なモノに違いないわ!」
すると中から透き通る様なソプラノの柔らかい美声が聞こえてきた。
「御意に。では貴方たち、入りなさい」
コーラルがそれに答えてドアを開け、一行を招き入れる。
その先にいたのは―――――一つの完成された『美』だった。
「ふふ、初めまして皆さん!名前くらいはもう知っているでしょうけど一応自己紹介させてもらうわね。私はオーロラ、ここソールズベリーの領主であり同時に風の氏族の長もやっているわ!」
その妖精は皺一つ無き白く艶のある玉肌をしており、身に纏う衣服はシミの一つも無い。
長い髪はくせ毛一本目立たない流麗なるウェーブを描き、顔つきと体型も絵に描いた様な完璧な黄金比で構成されている。
何よりその背に伸びている翅は、正しく名は体を表すが如き色鮮やかな色彩で彩られていた。
今しがた当人が自己紹介した様に、彼女こそがこの町の主にしてブリテンで最も美しいとされている妖精―――――風の氏族長オーロラである。
「…オーロラ様。お久しぶりでございます。この身はとうに追放されたものですが、故あってこの者らと行動を共にする事になり、結果この場にいる次第でございます」
オーロラが挨拶を終えた直後に、ハロバロミアが元従者として真っ先に反応し言葉を返す。
無駄のないそのお辞儀と言葉遣いは嘗て彼女に仕えていたという発言が嘘ではないことを証明していた。
「あら、あなたは………あぁ!どこかで覚えがあると思ったらハロバロミアじゃないの!ええそうね。追放したことに関しては、多分あの時は私も少し気が昂っていたのよ。でも今はその子たちと一緒にいるみたいね…あぁ、あなたが素敵な出会いに報われて本当に良かったわ」
それに対してオーロラは盛大に彼に祝辞の言葉をかけながらも、しかしどこか他人事の様な雰囲気で話していた。
特にハロバロミアを視認した時は一瞬どこ吹く風といった感じで、思い出すまで時が止まった様に静止していた。
「……はい、勿体なき御言葉です。ありがとうございます」
対するハロバロミアは、これまたどこか諦観した様子で粛々と彼女に感謝を示す。
察するに、もしや彼も皆が知らないオーロラの姿を知っているのだろうか?
そう思ったバーヴァン・シーは早速妖精眼を発動させる。
すると――――。
(……………え?)
「ところで…もし、そこのあなた。その赤い巻き毛といい顔つきといい、女王陛下の愛娘にそっくりね。コーラル、珍しいモノとはこの子のこと?」
そんなバーヴァン・シーの考察を他所にオーロラが早速彼女に食い付き、コーラルに確認を問う。
「はい、仰る通り彼女がその珍しいもの――――外の世界から漂流物としてと流れ着いたと思われる異邦の妖精。こちらで言う妖精騎士トリスタンに該当する存在と予想されます」
主からの問いにコーラルは冷静に答える。彼女は住民からの情報を受けた時点でバーヴァン・シーもといトリスタンがこの世界の存在ではないと半ば勘づいていた。
「うふふ、やっぱりそうなのね!道理であちらの彼女みたいな刺々しさと悪辣さが感じられないもの。あなたの名前もトリスタンなの?」
「…………あ、すいません呆けてました。いえ、私はそのような名ではなくバーヴァン・シーという名でございます。お初にお目にかかります、美しき風の妖精オーロラ様」
少し予想外のことで動揺していたもののすぐに切り替えてコーラル及びハロバロミアみたいにこちらも丁寧な言葉で対応をする。
「ほう、それなりに礼節はできるようですね」
(バーヴァン・シー…。なるほど、グレイマルキンと共に彼の蘇りの厄災の一端を担った妖精の名ですか……)
その態度の変わり様にコーラルを始めとした他の五翅は感心したり驚いたりしているが、バーヴァン・シーにとって今はそんなことどうでもよかった。
(……妖精眼、ちゃんと発動しているはずよね?どうして心の声が聞こえないのかしら?)
先ほどから妖精眼を発動しているが、彼女の内心の声が聞こえないのだ。
感情の色や
(……いや、もう少しだけ精度を上げてみましょう。といっても私の場合男性相手しか高い効果を発揮できないけれど)
そうして精度を上げれるだけ上げ、再度オーロラの心に耳を傾けてみる。
「ところでそこの二翅、あなたたちは?見た感じ牙と風の氏族のようだけど…」
(――――で――――――は――――だ―――)
「あ、はい!私はホープという者です。こうして顔を合わせられて光栄です!」
「オレはドーガって奴だ!…じゃなくてドーガです。よろしくだぜ…です」
「まあ、私やコーラルの前というのもあるでしょうけど、あなたたちも礼儀正しいわね!」
(――私――――と――ある――礼――わ――)
「あ…でもそちらの、ドーガと言ったかしら。何もそこまで無理に敬語にしなくていいのよ?緊張してぎこちなく言われてもこちらが困るだけだし、慣れないなら普段の口調で構わないわ」
(―――そちらの――――そこまで無理――――ぎこちなく――ちらが困――慣れないな――段の口調で構わ――)
段々と明瞭になっていく。男性と違って女性相手だとそこまで精度を高くできない故に少し不安を覚えたが、これならギリギリ正確に読み取れそうだ。
(さて、果たしてこの
「へ、へぇ…すいやせん。こっちへのご配慮ありがたいっす。じゃあ改めて…これからよろしくお願いするぜ、オーロラ様」
「えぇ、改めてよろしくねドーガ!ホープも含めて私はあなたたちもそれなりに気に入ったわ!」
(――えぇ、改めてよろしくねドーガ!ホープも含めて私はあなたたちもそれなりに気に入ったわ!)
「――――――ぇ?」
「ああ、けれど気に入ってしまった以上、あなたたちが酷く欲しくなってしまったわ。どうかしら?私のところに仕えてみない?」
(ああ、けれど気に入ってしまった以上、あなたたちが酷く欲しくなってしまったわ。どうかしら?私のところに仕えてみない?)
「…オーロラ様。お気に召されたものをすぐに御自身の手に納めようとするのはお止めになられた方がよろしいかと」
「あら、それはそうだったわね。でもコーラル、自分にとって欲しいものがあればそれを手に入れようとするのは当然じゃない?」
(あら、それはそうだったわね。でもコーラル、自分にとって欲しいものがあればそれを手に入れようとするのは当然じゃない?)
「それは否定しませんが、彼女らからしたら貴方様の寵愛より異邦のトリスタン…もといバーヴァン・シーと共にいたい様ですよ?」
「まあ、そうなの?」
(まあ、そうなの?)
「は、はい…。バーヴァン・シーさんには返しきれないくらいの恩があるので、恐れ多いですがそのご提案はちょっと受け入れ難いです」
「オレもほぼ同意見だ。こいつの元を離れるワケにはいかねぇからな」
「あらあら、それは残念ね。ハロバロミアは…別にいいかしら、今はこの子たちに付いてるようだし。少しバーヴァン・シーに妬いちゃうわぁ」
(あらあら、それは残念ね。ハロバロミアは…別にいいかしら。今はこの子たちに付いてるようだし、少しバーヴァン・シーに妬いちゃうわぁ)
「―――?――――――??」
バーヴァン・シーは一瞬、意味が、理解が追い付かなかった。
何かしらの悪口や良からぬ企み、或いは純粋に相手を褒めていたり羨んだりとかそういうのではなく、あろうことか口と内心で言っていることが
通常、心と表面は乖離しているもの。口ではどう言おうと心の方では差異はあれど違う発言・違う連想をしているのだ。
だが彼女は、オーロラは先ほどから言ったことと思ったことが同一なのである。一字一句違わず、ほぼ完全に。
まるでそう、
(まさか……最初に聞こえなかったのは妖精眼の精度が低かったんじゃなくて…『そもそも口も心も同じ発言をしていたから“読み取れない”と勘違いしてしまった』ってコト………?)
「ふふっ、とはいえそれだけ慕われているのはあなたという妖精が優しい何よりの証拠。その優しさでこれからも彼女らを支えていけるよう私も応援するわ」
一切の悪意なく、こちらに澄んだ笑顔を向ける彼女。
それは仮に他の妖精だったら見惚れて聖女か何かだと思い込んでしまうだろう。
だが、妖精眼でその内心を見たバーヴァン・シーからすれば―――――とても得体の知れない気味の悪いものにしか思えなかった。
「…ありがとうございます。オーロラ様からの応援の御言葉、誠に恐悦至極にございます。ところでコーラルさん、私たちは現状不安の種として捕まっているわけだけど、これからどうすればいいですか?」
バーヴァン・シーはなるべく早くこの空間から出たかった。
これ以上この“よくわからない奴”とは関わるべきでないと妖精の直感が告げている気がしたからだ。
「…そうですね。最終的な御決定はオーロラ様に委ねられますが、貴方たちには私の部下になってもらいます。こうしてオーロラ様とも言葉を直接交わした以上、無関係というわけにもいきません。従って私の部下になり献身的に業務活動をすることで、貴方たちに対する住民たちの印象を良いものに――――」
「――いや、その必要は無いよコーラル」
突如部屋に響く、凛とした声。
その場の全員が声のした方を向くと、ドアがゆっくりと開かれる。
そこから出てきたのは――――もう一つの完成された『美』だった。
「あら、もう帰ってきたのね。私を守ってくれる王子様」
その身に纏うは頑強な蒼き鎧。両腕に携えるは物々しさと麗しさを兼ね備える
「なに、いつものモース掃討だよ。ざっと80体くらいの数だったけど、3分未満で終わらせて陛下から帰宅許可をもらった次第さ」
たなびくは薄い紫の掛かった汚れなき白い髪。
煌めくその目は地の中で輝く琥珀の如く。
「お帰りなさい。それはそうと、その必要は無いということは他に考えが?」
「うん、帰ってきたら何やら話し声が聞こえてきたからね。僕の趣味ではないけど、ドア越しに聞かせてもらったよ」
何より妖精眼越しで―――否。
使わずとも判るほどの誠実で聡明、冷静沈着な雰囲気が全身から滲み出ている。
「さて…君たちが、正確に言うと君がコーラルが捕まえたという“不安の元種”だね」
蒼き『美』が吸血鬼を見据える。
「……なるほどね。確かによく似ている、最早瓜二つと言うべきか。とはいえ君たちからすればハロバロミア以外は僕とは初対面だろうし、まずは自己紹介といくよ」
そして蒼き美、もとい“湖光の騎士”は自らの名を伝える。
「僕はランスロット、妖精騎士ランスロット。異邦の騎士の名を借りた、妖精國最強の精鋭だよ。真名は故あって言えないけど、そこはどうか配慮してもらえると嬉しいな」
妖精騎士ランスロット。秘されし真名はメリュジーヌ。
妖精騎士最強にして、女王モルガンその人を除いた妖精國ブリテンで最強の重鎮である。
「…貴方が、ランスロット。妖精國最強の、戦士…」
「ちょ、ちょっと!?ランスロットって誰かと思っていたら貴方だったんですかメリ―――」
「おっとハロバロミア。今言ったように真名は口にしないでくれるかい?僕としては構わないけど、
口調こそ穏やかだが、ハロバロミアが真名を言おうとした瞬間に剣呑な様子に様変わりした。
「っ…!!わ、わかりました。メ…ランスロット殿」
「うん、聞き分けが良くて助かるよ。ありがとう」
そしてハロバロミアが謹んだ次の瞬間にはつい先ほどまでの冷静沈着な雰囲気に戻ったが、今しがた見せた覇気だけでも先に戦ったモースとは比にならない威圧感があった。
軽い威圧だけでも相手を大きくたじろがせる。なるほど、これが――――妖精騎士か。
バーヴァン・シーのそんな畏怖など露知らずに、ランスロットは彼女ら一行にある提案を持ちかける。
「じゃあ、ハロバロミアもわかってくれたところで本題に入るんだけど。君たち、僕からの調査試験を受けてみる気はないかい?」
「調査、試験ですか?」
ホープの疑問にランスロットが答える。
「うん、君たちがこうしてコーラルに捕まってるのは住民に悪い印象を抱かれているからなんだろう?」
そう言ってランスロットはコーラルを見やり、彼女もそれに頷く。
「なら、そもそもの原因である悪い印象を覆せば良いわけだよね。つまり、僕の監視の下で住民たちの様々な依頼をこなしていくんだよ。具体的に言うと二週間くらいかな」
ランスロットの提案とは、しばらく住民からの依頼を受けてこなす形で印象を良くしていくというものだった。
彼女は先ほどまでドア越しに盗み聞きしていた際にコーラルの考えも聞いていたのだが、部下になるということは行動できる範囲も制限される上に、頑張って活動していてもコーラルの口からでしか住民は信用しない。
加えてコーラル自身、誠実で真面目ではあるがそれ故に冗談の通じない厳しい性格なので、住民に報せる場合もあくまで“現状の評価”しか言わないであろうと考えていた。
(その点、僕の監視下に入ればソールズベリーどころかブリテン中のどこへだって行けるし、直接訪ねて助けになれば顔を覚えられて良い印象や風評ができやすいだろうからね)
「そして約二週間の間、僕が君たちの頑張り具合と人となりを観察し、住民からの評価が良くなれば自由の身にする。どうかな?君たちにとっても悪くは無いだろう?」
「待ってください。ランスロット、貴方は女王陛下の側近の一角でしょう?その間に陛下からの出勤命令があったら誰が代わるんです?」
「それはコーラルがやれば問題ないよ。そも、住民の為とはいえ彼女らをこうして連れてきた責任は君にあるんだしね」
「……まぁ、そうですね。わかりました」
ランスロットの言葉に渋々承諾するコーラル。
彼女の言う通り、確かに連行したのは自分なので言い返すことはできなかった。
「話を戻すけど…この提案、引き受けてくれるかい?――そうだ、もし引き受けてくれた上で良い結果を出せたら君たちのお願いを一つだけ聞いてあげよう!内容にもよるけど大抵は叶えてあげるよ!」
ランスロットのその言葉に、バーヴァン・シーが口を開く。
「…それではランスロット殿。私から一つあるのだけれどよろしくて?」
「へぇ、早速か。いいよ、どんなことをお願いしたいんだい?」
そして、ランスロットからの問いにバーヴァン・シーは意を決してこう告げる。
「ええ、私めのお願いなのですが――――――」
「冬の女王――――モルガン・ル・フェに話し合いの場を設けるよう申しつけた上で、会わせていただけないでしょうか?」
「――――――――」
女王に対する謁見の要求。それが彼女の『お願い』であった。