群がる小型アラガミを倒す中、そろそろフォーツの方に対象のアラガミを誘導した方がいいな…と思い、建物を食べていたグボログボロに小石をぶつけて挑発する。
すぐに気付き、戦闘態勢に入ったグボログボロに対してリーチェは背を向けて走っていく。
「フォーツ、今一体のグボログボロを誘導してる。弱らせてから発信機を付けたいから普通の狙撃弾に替えといてくれ」
『オッケー』
無線を切り、走る事に集中する。
どうか、外しませんように…と願うリーチェの横腹に衝撃が走った。
「…っ!?」
ズザザッ!!!!
何メートルか飛ばされたが体勢を急いで立て直す。
そして衝撃を受けた先を見るともう一体のグボログボロがいた。
「…ッチ!もう一体いたのかよ!?」
大型アラガミ二体に対して神機使い1人は分が悪い。
とにかく今は走ってフォーツを合流し、援護射撃をしてもらいながら一体だけを討伐する方が先決だろうというのはリーチェでも分かる。
(走るしかねぇか…!)
再び走るリーチェ。
そのリーチェを追い掛け、間髪無く頭の砲台から水球を撃ち続ける二体のグボログボロ。
「あいつら好き勝手撃ちやがって!」
少しづつ距離が縮まっている。
(まずい…!)
パァン!!!!
その時、一体のグボログボロの頭を1つの銃弾がめり込んだ。
「フッ!」
スタングレネードを投げ、2体のグボログボロの目を眩ませた。
「フォーツ!?」
「遅いっての!」
グボログボロは水球を撃つがフォーツはバックラーを展開して攻撃を受け切った。
「…」
フォーツはジッ…とグボログボロを見ていた。
「リーチェ、あれやろう」
「…やるしかねぇか…」
リーチェはすぐさまもう一体のグボログボロに封神トラップ(アラガミの行動を抑制するトラップ)を直に与えて動けなくし、フォーツは2枚の壁を連続で蹴り、1番上で立ち上がる。
動けるグボログボロが突進する中、リーチェは神機を地面と水平に構えながら盾を展開した。
グボログボロに突進され後ずさり、壁に激突するも横にしていた神機のお陰で直撃は避ける事が出来た。
そんな中シールドに噛み付いているグボログボロの口の中にピンが刺さったままのグレネードを投げ入れる。
「やれ、フォーツ」
壁の1番上で待っていたフォーツが銃形態のまま飛び降り、銃口をグボログボロに突き刺す。
そして握っていた柄にあるトリガーを引いて銃弾が飛び出す。
銃弾はグボログボロの中にめり込み、口の中へ辿り着いた。
すると銃弾が赤くなっていき、やがて爆発する。
中にあったグレネードもその衝撃で誘爆され、グボログボロは中からコアごと破壊された。
「ナ~イス♪」
「それはいいんだけどこの作戦俺が1番危なくね?」
「いいじゃん、いいじゃん。死んではないんだから、さ、そろそろ封神トラップも切れてるでしょグボログボロに発信機撃ち込むよ」
「…まぁいいや、頼むわ」
オッケーとフォーツは発信機をリロードしてグボログボロに撃ち込んだ。
「あとはコンゴウだけか」
「意外と早く終わりそうね」
「だな」
少し安堵しているとフォーツのインカムにタツミから通信が入った。
『あ、お二人さん、コンゴウなんだけど一体だけそっちに行っちゃったから、なんならそのコンゴウに発信機撃ち込んでいいよー』
「あ、分かりました」
回線を切り、何かあった?と聞いてきたリーチェにコンゴウがこちらに来ている事を話す。
「ならそいつ弱らせて撃ち込むか」
リーチェの提案にそれしか無いねとフォーツも同意した。
◇◆◇◆◇◆
少し移動してきた所で負傷しているアラガミに遭遇する。
金色の胴体に赤い顔と背中に沿って付いている赤い2本の砲台を持つ、猿の姿をしたアラガミ。
コンゴウだ。
「さてと、ここは───」
「あ、リーチェ、すぐ撃っちゃうから何もしないでいいよ?どうせ一体だし」
そうか?とリーチェは少し下がり、フォーツはウエストポーチを漁る。
「…っと、これは違った…あれ?これも違う…」
「フォーツさん?」
ひっきりなしに手がウエストポーチと神機の間を往復する。
やがてその手はピタリと止まった。
「…フォーツさん?」
「えっと…その…」
大量の汗をダラダラと流しながら振り向くがその目は泳いでいた。
「リーチェ、私思うの。人は間違いを起こす生き物で、その間違いから学んでいってこそ────」
「素直に言おうか」
顔"は"笑顔だ。
目"は"笑ってなかった。
「…多分最初に撃った銃弾が発信機で、グボログボロに2発撃ってました」
その言葉を聞いて次第にリーチェの後ろに般若が現れる。
「えっと……その……やっちゃったっぴ♪」
フォーツはテヘッ(´>∀<`)ゝという効果音が付きそうな謝り方をした。
一つ、注意すべき事がある。
可愛い謝り方というのは実質幼い子…幼児だから適う方法であり─────
「こんの……」
大の大人がそれをした場合……
「馬鹿野郎があああぁぁぁぁああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」
火に油を注ぐ結果となる…………。
その時、今日一甲高いリーチェの怒号が極東支部中に響いた…。
~ザックの場合~
「ザックさーん。おっかしいなぁどこ居るんだろ…」
楠リッカがザックを探していた。
エントランスまで降りてくるとソファーで談笑してるクレイドルの神機使い達を見付ける。
「あ、皆ちょうど良かった。中国支部から来てるザック・ホーヌって人見た?」
「いや、見てないよ?アリサは?」
「私も見てません。何かあったんですか?」
「あぁ…いや…同じ中国支部から来てたリーチェさんとフォーツさんの使ってた神機に見た事ない部品があったんだけど見た目の割に結構性能良くて、出来たら入手先とか知らないかなぁって…」
クレイドルのメンバーはリッカから内容を聞いて見付け次第、呼んでおくと約束をしてくれた。
◇◆◇◆◇◆
「これがリンクサポートデバイス…」
当の本人であるザックは神機保管庫でリンクサポートデバイスを手に持って観察していた。
「これは…あの部品を代用出来るな…ここは…あれか…」
「あー!やっと見付けたー!」
突然声を掛けられ、ビクッ!と反応する。
「あ、リッカさん」
「探したよ~ってそれリンクサポートデバイスじゃん。どうしたの?」
「いえ、こういうリンクサポートデバイスを別の何かで代用出来ないかなぁって…」
「これを?」
ザックからデバイスを受け取り、ジーッと眺める。
「んー…私から見たら代用方法とかはあまり思い浮かばないなぁ…」
「ですよね…そういえば俺を探してたみたいですけど…」
「あ!そうだった。ちょっとリーチェさんとフォーツさんの使ってる神機にあったパーツの事なんだけど、私あんな部品見た事無いんだよね」
使ってる部品…?とザックが考え込む。
すると、あ。と何か思い当たる節はあったようだ。
「あー、もしかして接続部分のベアリングの事ですよね?」
「そう!それそれ。見た目の割に結構性能が良くてさ、もし入手先とか知ってたら教えて欲しくて…」
お願い!と目の前で手を合わせるがザックは少し困った表情を浮かべる。
「入手先…というかそもそもあれは既存品では無いんですよね…」
「え?それってどういう…」
「あれ、既存品を使ってて悪くなった部分を取り替えてそのまま使ってるだけなんですよね」
ザックの言っている事は俗に言う部分的な"リユース"の類だろう。
中国支部は極東支部と比べて周囲にいるアラガミの数も少ないし強さもそれ程では無い。
その上神機使いの人数も少ない故、限られた素材や部品で神機を製造、修理する必要がある。
だからこそザックはこの"部品そのものを新品同様に近付ける技術"は身に付ける事が出来たのだろう。
なるほどねー、とリッカも感心する。
「あ、だからあの2人の神機はその部品を使ってる事を知ってる君にしか直せないんだ」
「ま、そうなりますね」
ふーん…とチラッとリッカは持っていたリンクサポートデバイスの試作品を眺めていた。
すると何か面白そうな事を思い付いたのか笑みが浮かび上がる。
「ねぇ、この試作品のリンクサポートデバイス、あげよっか?」
「…はい?」
突然のリッカの提案。
「え、どうして急に?」
「部品の再活用法を教えてくれたお礼…って感じかな。あ、それと…」
リッカは急に紙片に何かを書いてザックに渡した。
「これ、私のアドレス。もしもリンクサポートデバイスの代用方法見付けたら教えてよ」
「あぁ、そういう…」
部品の再活用法で、してやられたか…と苦笑するがザックは帰ったらリンクサポートデバイスの代用方法の探すのだった。
◇◆◇◆◇◆
そろそろ中国支部への帰還の時間となり、2人を探しにエントランスまで来たザック。
そこには……
「ひっぐ…グスッ…」
大粒の涙を浮かべているフォーツとイライラしてるリーチェがいた。
「…えっと…これは?」
「まぁ…俺から説明するよ…」
横から来たタツミに経緯を説明されるザック。
ある程度聞いて、あ…と何かを察したようだ。
そしてフォーツもザックに気付き、泣きついて来た。
「ザッグ~私頑張ったんだよ!?隊長として頑張ったの!!!!なのに少しのミスでリーチェが凄い怒るの!私隊長なのに!隊長なのにぃ!」
「少しってレベルじゃねぇだろうが!てか先に言ったろ!普通のバレットに変えとけって!!!!それなのに替えてないお前が悪いじゃねぇか!」
「だって!だって!アラガミの位置とか把握した後に変えるつもりだったんだもん!あっちでもミスは多少なりとはあるけどここまで怒ってないじゃん!」
「他所の支部に迷惑掛けてるからこうなってんだろうが!隊長としての自覚をもっと持てや!」
「うわああぁぁああん!リーチェが私に言っちゃいけない事言ったぁ!」
うわああぁぁああん!とずっと泣き付いているフォーツに対して、収集付かねぇ…と後の対応に迷うザックだった…
◇◆◇◆◇◆
「極東支部周辺のアラガミってやっぱ強敵でした?」
「そうだな…中国支部の新人が行けば間違い無く戦線に出られなくなる」
ザックの運転でカーゴに乗り、中国支部に帰ってる途中でザックがそのような話題を切り出した。
「俺達くらいでようやく追いつける程度だけどディアウス・ピターくらいとなると出会いたくないな…」
「ですよね…俺の方も整備で忙しかったし…」
だよなぁ…とリーチェが運転席と助手席にあるダッシュボートにあったリンクサポートデバイスを見付ける。
「何これ?」
「あ、それリンクサポートデバイスですよ」
「「リンクサポートデバイス?」」
フォーツも気になったのか後部座席から身を乗り出した所でリンクサポートデバイスの説明をする。
「へぇ~そりゃ便利だ。俺らでも使えるの?」
「それがまだ分からなくて…まぁ代用方法が分かり次第実戦投入して向こうにも連絡するつもりなので」
「ふーん…ん?」
フォーツがザックの言葉の何かに気付いた。
「連絡って誰に?」
「いたでしょ?極東支部の神機整備士の楠リッカさん、その人にそれを貰った時に代用方法が分かったら連絡してくれって言われてて…」
「へぇ~…」
途端にフォーツの目がジト目になりながらも面白そうな表情でザックを見る。
「ザックって…こういうのを皮切りにナンパするタイプなんだ?」
「ちょっ!?ハイィ!?」
「おっとザック。極東支部に浮気する気か?」
「えぇ!?リーチェさんまで!?俺はただこのリンクサポートデバイスが2人にも使えたらなぁと思って…!」
「分かった分かった。ちゃんとそれを大義名分にしてあげるよ。隊長の私はちゃんと分かってるから」
「話を聞いてえぇぇぇぇええ!?!?」
フォーツとリーチェで運転中のザックで遊び始める。
色々と喧嘩もしてはいるがお互いに弄れる節度は知っているからこそだろう。
ザックを弄るフォーツに、それを笑うリーチェ、必死に否定しながら運転するザックはそのまま中国支部へと帰って行くのだった。
これ書いてて思った…
疲れてんのかな…w
現在、続編を執筆中です。
完成をお楽しみに!