行去永はいつものように起床し、本来日替わりのはずの朝の準備を始める。朝が強いわけではなかったはずだが、霊夢のだらけ具合に当てられすっかり早起きになってしまった。
「、、、執事になっても良かったかもなぁ」
「ちょっと、それ私に気づいてた上で言ってるの?」
珍しく霊夢は早起きし、行去永の後ろにいた。
「おはようございます。起きたら顔洗ってきてくださいよー」
「もう洗ったわよ、着替えたし。それより今日の当番は私じゃなかったの?」
「だっていつも忘れるじゃないっすか」
「そうね、もう全部やってよ面倒くさい」
霊夢は悪びれもせずに、行去永の作った朝ごはんをつまみ食いする
「別にそれは構いませんが、今日は早起きですね?」
「今日は宴会なのよ、それの準備」
「宴会? 一月前もしてませんでしたっけ?」
「ここには宴会好きの妖怪ばっか集まんのよ、あんたも準備手伝いなさい」
「参加しないのに?」
「なんで?」
「いやなんでって、僕これでも男ですけど、、、」
行去永は手を止めてひらひらと手を振る。
「だから?」
「女子会に混ざるのはキツイので適当に人里で時間潰してきまーす」
「まぁ、参加は自由だから止めはしないけど。手伝いはしなさい、居候でしょアンタ」
「、、、へーい」
行去永は流されるままに宴会の手伝いをさせられ、男だからと人里に買い物に行かせられる。
──ー
「、、、男でも、この量はアホだろ」
買い物メモには、大量のお酒の銘柄と店名、壊れた酒器の数がズラズラと書かれていた。
「往復面倒くさっ、、、」
ボソッと呟きながら人里を歩いていると、一ヶ月の間に手伝いや人助けを繰り返していたお陰か、老若男女問わずに声をかけられる。
「よぉ、行去永君、元気かい」
「元気だよー」
「おう、居候君、良い肉入ってるよ!」
「その呼び方なんとからならんの? まぁ、また今度ねー」
「八和道さんっ、この間はどうもありがとうございます」
「あー、良いよ良いよー。困ったらお互い様」
「あの、この後ってお時間ありますか?」
「んー、ごめんね~今はおつかいの途中なんだ、また今度ね」
数人の村娘達に囲まれ、お茶や散歩の付き添いを頼まれるが、それを断り自身より一回り小さい少女の頭をポンポンと叩く。そして目的の酒店へと入りメモを店主へと渡す。
「相変わらずモテモテだな、兄ちゃん」
「この時代背景にモテモテなんて言葉あることに驚いたわ」
「俺も若い頃は遊んだもんさ、今のうちだけだぜ、火遊びが許されんのはよ」
「へいへい」
軽口を叩きながら、少々デリカシーにかけた会話をする。
「これまたすごい量だな、あの巫女は蟒蛇か?」
「沢山客が来るからね、運ぶのには往復しなきゃ」
「兄ちゃんなら適当に人捕まえたら手伝ってくれるんじゃねぇのか?」
「他人に借りなんか作りたくないし、却下で」
「相変わらずの猫かぶりだな」
「当たり前だ、なにが悲しくて理由なく人助けなんかしなきゃなんねーのよ。そんなのは仙人とか暇人に任せときゃいーの」
「おい、、、兄ちゃん」
突然店長は顔面を蒼白にして行去永を呼ぶが、熱弁している行去永はそれに気づかない。
「大体、強者は弱者を救うなんていう今の世の理はナンセンスだ。助け合いにならないし強者に得がない」
「お、おい、、、それくらいにしとけって」
「見返りがあってこその助け合い、Win-Winが成り立た──」
「俺は知らねーぞぉ!!」
酒店の店長はさらに顔を蒼くして店の奥に引っ込んでしまう。
「?別に鬼がいるわけでもあるまいに、、、」
「へぇ、誰が鬼ですって?」
後ろにいたのは頭にシニヨンキャップ、右腕に包帯をグルグルに巻き、左腕には鎖のついた腕輪をつけた本物の"仙人"茨木華扇が鬼の形相に笑顔を貼り付け佇んでいた。
「アッすいません、僕手伝いがあるので帰ります」
ガシッ
「なにかもう少し話すことがあったのでは? 私に言ってみなさい。人々の悩みに耳を傾けるのも仙人の役目です」
「いやぁ仙人サマの時間をお取りするのは非常に心苦しく思っておりますのでこの辺りでお暇させていただこうかと」
冷や汗をダラダラと滝のように流しながら言い訳をつらつらと述べていく。
「座りなさい」
「、、、、、、はい」
何故か酒店の床に正座させられ、華扇の説教が始まり、それを二十分ほど聞いていく。
「──からして、貴女の考えも確かに一理あるかもしれません。ですが、人を助けるという行為そのものに意味があるのです。人を助けることによってその善行、徳は巡り巡って必ず自分に戻ってくるのです」
「、、、はぁ」
(まだかな、、、長ぇ、、、)
三十分後
「見返りがなければ人は動かない、そんな心持ちでは貴方自身の心が貧しくなっていきますよ」
「はい、、、」
(え、長すぎない?)
結局そのまま一時間の説教フルコースを美味しくいただくことになった。
「というわけで、言動にはくれぐれも注意することです!わかりましたね!?」
「はい、もう、骨身に染みました、、、」
「手の届く範囲でいいのです、少しでも多くの人を救けるのが仙人なのですよ」
「僕は仙人サマじゃないですけど良く分かりました」
「一言多いですよ、とはいえ人助けをしてるのも事実、考えを改めろとまでは言いませんが身の振り方は考えなさい」
「はい、、、」
ガララッ
素直に返事したあとに、予め用意されていた酒瓶をガチャガチャと持って店を出ていく。
ズキッ
行去永は原因不明の頭痛で頭を抑えながら、心の中で独り言をぼやく。
(手の届く範囲ね、、、。今の僕ならあの世にだって手が届く、そんなのは勘弁だ。つーか手伝ってけよ、人助けがどうの言うんならよぉ)
──
「あ"ーやっっと運び終わった。つっら」
「おう、お疲れ様」
ニ時間かけて全て博麗神社へ運び終え、縁側に寝転ぶと労いの飲み物が差し出される。
「あぁ、ありがとう魔理──じゃないっ!?」
「あんたが例の外来人だね?」
(え、この状況からの世間話?)
「アタシは星熊勇儀、鬼さ」
「鬼、、、っすか」
まじまじと姿を見つめると、赤い立派な一本角に黄色い星のマーク、腕にはジャラジャラと鎖のついた腕輪をつけた、イメージと若干のズレはあるものの、鬼であることに違いない容姿をしている。
「そんなに情熱的に見つめられると照れるねぇ」
「あぁいや、申し訳ない。イメージと若干違ったのでつい見てしまいました」
「アッハッハ! 気にしてないから構わないけどね。アンタの名前は?」
「あ、八和道です、ここで絶賛居候中です」
「ヤカミチ? 変な名前だね」
「ぶっちゃけ僕もそう思います」
出された飲み物に口をつけようとするとツンとくるアルコールの刺激臭がして手を止める。
「うぉっ、これ酒か」
「なんだアンタ、飲めないクチかい?」
「まぁ、未成年なんで、酒は嫌いですし」
未成年だろうと関係ない幻想郷の少女たちにちょくちょくされる質問に、いつものように未成年と答えて制止する。
「えっと、星熊さんはなんでこの時間からここに?」
「なんでって、今日は宴会だろ? 久々に地上の宴会に参加しようと思ってねぇ。で、時間が分からないから萃香と一緒に飲もうと思ったら誰もいないし、どうしようかと思ってたら」
「僕が来たと」
「そういうこった、暇つぶしの相手になってくれよ」
(あれ?なんかデジャヴだ)
「外来人ってそんなに珍しいですか? 最近色んな人に話してる気がするんですけど」
「そうだねぇ、アタシが最後に見たのは十八年前かねぇ」
「うわ確率ひっく」
「しかもただの人間じゃなくて、話に聞くと能力を持ってるらしいじゃないか。なんだったか、幻想郷に偶然適応した結果? だったか?」
「紫さん経由ですか」
「知り合いに心を読める妖怪がいてね、そこ経由さ」
「覚り妖怪みたいなのいるんだ」
「名前はさとりだよ」
「ホントにさとりなんだ、、、」
勇儀は話しながらもグイグイと大きな盃を空けていく。
「それでさ、ものは試しなんだけど」
「弾幕ごっこ及び身の危険の可能性があるものはお断りさせていただきます」
「、、、アンタも心が読めるのかい?」
「勘っていうか、ここに来てから色んな人に言われたんで」
「良いじゃないか、少しくらい。減るもんでもないし」
「僕の神経と肉体がすり減るんで勘弁です」
「宴会の余興にもってこいだろ?」
「人の死体がでる宴会なんか聞いたことないですし、てか宴会時代参加しませんし」
行去永は腕をクロスしてバツマークを作り、否定の意を示す。
「なんでかって言われたら、男なんで。それ以上は言いません」
「ふーん、寧ろ男なら飛びつくだろうに」
「健全な男子高校生には刺激が強いでーす」
「一つ屋根の下に女と暮らしてるやつがよく言うねぇ」
後ろからさらにもう一つの声、よく見慣れたもう一人の鬼、伊吹萃香だった。
「おや萃香、邪魔してるよ」
「そうみたいだねぇ」
「じゃ、話し相手もできたことだし、そろそろお暇させてもらってもいいですよね」
勇儀は立ち上がろうとする行去永の肩を人指し指で抑えて再び座らせる。
「まぁまぁ、こういうのは多いほうが楽しいだろ」
(力アホ強っ!? どうなってんだよ物理学が機能してねぇぞパスカルゥッ!!)
身体の筋肉量をザックリ見た目から計算しても全く釣り合わない勇儀の力に、表情を凍らせながら文句を心の中で叫ぶ。
「、、、そうっすね」
諦めの笑みを溢しながら二人の鬼の暇つぶしに付き合い、気付くと宴会の為に妖怪が博麗神社に集い始めていた。
「そろそろか、、、じゃ、僕は人里に行って時間潰してきますんで、後はどうぞご自由に」
「本当に参加しないのかい?」
「宴会にいると色々都合悪いんで、また機会があれば」
シャッ
障子を開けて外に出ようとすると、目の前には丁度中に入ろうとしていた天狗の新聞記者、射命丸文がいた。
「、、、あっ! ぜひしゅざっ」
シャッ
行去永は再び障子を閉じて踵を返して裏口へと向かう。
「天狗じゃないか、なにか用事があったんじゃないのかい?」
「取材は面倒なので裏口から逃げまーす」
裏口へと向かい、扉を開けるが既に文に回り込まれており、シャッターを押す気はないものの目の前で笑顔でカメラを構えている。
「はぁ、、、何度も言ってますけど取材はお断りです」
「そこをなんとかお願いしますよー!」
「ここ最近は大人しかったのに、、、」
「外の世界の人間! しかも色んな名のある方と知り合いになっているときました! こんなの特ダネじゃないですか!」
腕をグイグイと引っ張られながら、既に宴会を始めている妖怪や妖精たちの巣窟へと案内される。
「まーまー、取り敢えず座ってくださいな。お酒でも飲んで」
「未成年だって何度言えば良いんでしょうかね」
「ほら、今なら白狼天狗のお嬢さんがお酌してくれますよ!」
「えっ!? ちょっ! 文さん!」
そう言って文は天狗社会の後輩に当たる天狗、椛を半ば強引に連れてくる。
「椛さん、、、貴方も大変ですね」
「いやもう本当に、うちの上司がすいません、、、」
頭をペコリと下げ、耳の垂れ下がる様子は反省した飼い犬のそれにしか見えない。
「さぁ! ここまで天狗がサービスしてるんですよ! 取材の一つや二つ、器を大きく持ちましょうよ!!」
「、、、、、、、、、」
行去永は周りを見渡し、とある人物を探して発見する。
「分かりました、取材を受けましょう」
「おぉ! それでは早速!」
「いいんですか行去永さん?」
「はい、ただし、、、僕と勝負しましょう」
ニヤリと怪しげな笑みを溢しながら行去永はそう言い放つ。
「なるほどなるほど、勝負ですね。それもまたいい取材の内容になりそうです、いいでしょう」
「まぁ、勝負といっても弾幕ごっこではないですよ、勝ち目無いですし」
立ち上がって境内の中央辺りまで行去永は進むと説明しだし、それを余興代わりに妖怪たちは説明を聞く。
「内容は少しだけ捻ったレースです」
「レースですか、私が有利すぎるのでは?」
「言ったでしょう、少し捻ったと。まず、ここを真っ直ぐ行ったら太陽の畑がありますね。そこには片喰という植物が自生しています。そして、片喰を幽香さんに相手より速く届けられたら勝ちというのはどうでしょう?」
行去永は木の根元で妖精たちと戯れている幽香に目配せをする。
「なるほど、私はその花を知らない。ですが私の圧倒的スピードにかかれば何往復もして、数打って当てられるというわけですね」
「いいハンデだと思いませんか?」
「しかしそれは幽香さんは許してくれるのでしょうか、、、」
「私は畑を荒らさないのなら構わないわ、面白そうだし」
楽しそうに幽香は妖しい笑みを浮かべる。
「もし、僕が勝てば金輪際取材は一切お断りさせていただきます。文さんが勝てば」
「いつでも好きな時に取材できるというわけですね、良いでしょう! この清く正しい射命丸、約束はお守りします!」
「決まりですね、では早速始めましょうか」
「合図は私がやってやるのぜ」
いつの間にやら魔理沙が盃と旗を片手に二人の間に立つ。
「さぁみんな! 賭けるなら今のうちだよ!!」
ここぞとばかりに河童のにとりが賭博表を作り、観客達は思い思いに賭け出す。
「霊夢はどっちに賭けるの? 私は勿論文だけど」
「当然、行去永よ」
「人間と天狗のレース勝負なんて、話にもならないんじゃないの? 霊夢にしては負け戦を挑むのね」
アリスと咲夜は既に文に賭けているが、霊夢はハッキリと行去永に賭けると言い放つ。
「私も彼に賭けるわ」
ピィンッ、カランッ
レミリアもそう言ってにとりの持つ箱にコインを投げ入れる。
「お嬢様もですか、、、?」
「お金に興味など無いわ。ただ、運命は彼が勝つと言っている、それだけのことよ」
「行去永は勝算のない賭けはしないわ、それとただの勘」
盃とグラスを開けながら二人の強者は行去永にかける理由を話す。また、鬼や妖精達もそれを肴に酒をあおりながら眺めている。
「いやぁ、ヤカミチの奴、中々いい余興じゃないか。萃香はどっちだい?」
「そりゃあ当然、天狗だろう。人間が勝てるわけあるまいさ」
大妖精とリグルは幽香に問いかける。
「幽香さんはどっちが勝つと思いますか?」
「行去永さんは人間さんにしては確かにとても足が速いですけど、、、」
「文が負けるわけないに決まってるだろ大ちゃん! なんせさいきょーのアタイが認めてるんだからな!」
「こんなのバカでも分かるぜ! 天狗にスピード勝負を挑むなんて最高にルナティックな奴だ!」
チルノとクラウンピースはさも当たり前と言わんばかりに笑う。
「フフ、それはどうかしらね、、、でも、私は彼が勝つと確信しているわ」
レースの二人は中央で構え、後ろの魔理沙は音頭を取る。
「行去永さん、約束忘れないでくださいよ!」
「行くぜ! スリー! ツー! ワーン!! レディ、ゴー!!!!」
「お先に失礼っ!」
バヒュンッッ!!!!!
一礼したあと、突風を巻き起こしながら文は空を飛んでいく。巻き起こる風で不安定になる体制を体幹で支えながら、行去永は一步も動かずに呑気にその様子を静観する。
「おー、流石は幻想郷最速。その異名は伊達じゃないなぁ」
「そんなこと言ってる暇あるのか?」
「まぁ、僕の勝ちは決まってるので」
行去永はゆっくりと歩きながら勝ち筋を説明しだす。
「きっと文さんは種類の違う花を一輪ずつ丁寧に摘み、まとめて幽香さんに渡すつもりでしょう、帰ってくるまであと二、三分ってとこ。でも、勝利条件はあくまでも幽香さんに指定した植物、片喰を渡すこと。そして片喰っていうのは」
プチッ
行去永は少ししゃがんで境内に自生している五輪の小さな黄色い花を咲かせた雑草を摘む。
「実はどこにでも生えてるこれのこと。さあどうぞ? Fairlady」
流暢な動作で一礼し、静かに幽香にそれを手渡す。
「一輪の花というのも悪くはないけれど、次はもっと華やかなのを期待するわ」
「いやはや、手厳しいですね」
周りの観客達は唖然とした後に絶叫する。
えぇぇぇぇぇええぇぇ!!??!!??!
「そんなのアリ!?」
「ルール上は確かにありだけど、、、ずっるー!」
「あっはっはっ! こりゃあ天狗も一杯食わせられたねぇ!」
ビュンッ!!
文が両手一杯に花をもって丁度帰還する。
「幽香さん! この中に例の花はありますか!?」
「ほら行去永、このくらいが正解よ」
「また今度ご用意サセテイタダキマスー」
「ということは私の勝ちですか! いやぁ! やっぱり幻想郷最速の名は──」
「フフ、あなたの負けよ」
「──へっ?」
幽香はニコリと笑い、片喰を見せる。
「これが正解、既に彼は私に花を届けたわ」
「そっ、そんな、、、いつの間に、、、」
「太陽の畑に自生してるとは言いましたけど、誰もどこから摘んで来いなんて指定はしてないですし、ズルはしてません、いいハンデだったでしょう?」
「そ、、、そんなの聞いてないですよー!!!」
「己の速さを過信し、話をちゃんと聞かなかったアンタの負けよ」
霊夢は文をなだめながらそう言うと、満面の笑みを溢す。
「ほら! 文に賭けた奴らは早くお金を寄越しなさい!!」
ここぞとばかりに霊夢はお金を徴収しだす。レミリアと霊夢以外の全員が文に賭けていたため、元手が何十倍にもなって霊夢の元へと帰ってくる。
「いいわねぇ♡行去永、定期的にこういうのしなさいよ」
「人里の賭博場にでも行きゃいいじゃないですか」
「華扇が許してくれないのよ、でもここでのお遊びは見逃してくれるから助かるわー」
少し遠くの方では、例の仙人がバツの悪そうに静かにお酒を嗜んでいる。様子から見て恐らく文に賭けたのだろう。
「仙人サマでも賭博ってするんですね」
「酒も飲むしね」
軽口を叩いていると、フラフラとした千鳥足のような、しかし転ぶこともない芯の通った足取りで行去永に萃香が近づいて絡みに行く。
「やるじゃないかぁー、口八丁とはいえ天狗に勝つなんてねぇ」
キュポンッ、瓢箪から口を離すときにそんな音を立てる。
「それはどうも、、、そろそろ僕はお暇させていただきますんで」
ガシッ
「まーまー、そんなに急ぐなって、酒でも飲みなよー」
「イヤ、だから未成年ですって」
肩を組んで瓢箪の酒をグイグイと勧めてくる萃香。
相手は山の四天王の鬼、それの酒を断るのは人間如きにはたいそれた真似だ。しかし、行去永はそれをハッキリと断る。
「おいおい、、、人間が、まさか私の酒を飲めないって?」
忘れてはなならない、どんなに近くに感じても相手は大国を相手にできる怪力乱神の鬼なのだ
次辺り、若干シリアスになりますねぇ。