永遠亭の入口に行去永は、月の民と共に降り立った。
「先に言っときますけど、僕は一切干渉しないんで話は貴方達がつけてくださいよ?」
「えぇ、もちろんです。今回は私共の不始末、きちんと説明させていただきます」
豊姫はそう言った後、行去永を先頭にして四人は正門へと入っていく。
「あれ、行去永さん。なにか忘れ物でも、、、いぃ!?」
鈴仙は目に見えて驚愕する。半日と経たずに行去永が戻ってきたかと思えば、後ろにはかつての上司が勢揃い、なにか重大な事件になるのではないかと訝しむのは当然のことである。
「ど、どういうことですか?」
「あー、うん。まぁ、さっき月に行ってさ」
「その時点でもう理解し難いんですけど」
行去永の能力を知らない鈴仙は、耳をしおらせて肩を落とす。それを気にも止めずに説明を続ける。
「封筒を渡したら、色々良くないことがあったみたいで、ちょっと意趣返ししてたら地上に来るって聞かなくなっちゃって」
「あなた、よくもまぁ月の民の最上位に位置する方々に復讐だなんて思いつくわね」
「本当にちょっとしたつもりだったんだけど、なんか説明するのも面倒だしいいやって」
「ちゃんと寝てないからじゃないですか? 目の隈酷いですよ」
「毎日十時には寝床に入ってるんだけどなぁ。あ、それで悪いんだけど、永琳さんのとこに案内してもらっていいかな」
「あ、分かりました。皆さんですか?」
「サグメは今回の件、無関係だし。お茶でも出してあげくれないかな、お代は後で払うし」
「了解でーす」
行去永は頼み事を終え、鈴仙はそれを了承する。
「じゃあまた後でねー」
サグメに手を振り、それを手を振って返す。
あまり月にはない、というより、そんなに頻繁に使うほどでもないコミュニケーションの方法。
けして遠くもなく近くもない、その距離感が心地よかった。
「なんだか、サグメ様少し変わりました?」
「? そんなことはないと思うが、、、」
「なんというか、以前よりお綺麗になられたといいますか」
「、、、行去永に会ったからかもしれない」
「えぇ!?」
(それってつまり、"そういうこと"よね、、、! 月の民と地上の人間って大丈夫なのかしら、、、)
「サグメ様」
「?」
「心から応援しています、、、!」
「??」
サグメは疑問符を浮かべっぱなしだが、鈴仙は自分の中で考えを完結した。
──ー
「なるほどね、話は分かったわ」
永琳に事の顛末を全て話した三人。豊姫と依姫はバツが悪そうに目を背ける。
当の行去永は真顔を保っているが、本心は酷く怯えていた。
(やべぇ、、、言うタイミング逃した)
「さて、どうしたものかしらね。行去永はどう思う?」
「おっれぇ!? えっとっすね。あーと、うーん、、、」
「意地悪ねぇ、貴方。大方、ちょっとした意趣返しの為に黙ってたら、言うに言い出せない状況になったのでしょう?」
永琳は月の頭脳と呼ばれる天才。ほんの些細な隠し事など、当然のように筒抜けだった。
「いや、うん、はい。全くもってその通りです」
「なっ!?」
「あら、やっぱりそうだったの」
驚く依姫と対象的に豊姫はとても穏やかに笑う。
「ね、姉様。一体どういうことですか??」
「いえ、ただなんとなく最初から嘘な気がしてたのですよ」
「、、、俺自分で嘘吐くの得意だと思ってるんですがね」
数少ない得意分野をいとも簡単に看破されてしまい、行去永は若干肩を落とす。
「私は全く分からなかったのですが、、、」
「まぁ、殺されかけたし、これでおあいこってことにしとこうよ。うん、そうしよう」
あまり納得の行ってなさそうな依姫にニヘラと笑いながら行去永はその話を誤魔化す。
「まぁ、今回はこちらの失態も大きいですし、そういうことにしておきましょう」
「じゃあ、問題は無くなったのね?」
「お手数をおかけして申し訳ございません」
「いいのよ豊姫。久し振りに貴方達に会えたし、変わりないようで安心したわ」
「じゃあ僕はサグメのとこに行くんで、あとは師弟同士ごゆっくり〜」
「、、、ところで、サグメとはどういう経緯で知り合ったのです? 随分と親しそうですが」
話は全て終わったと思い、サグメの元へと早足でさろうとする行去永に対し、話題を急に変えて豊姫は行去永に問いかける。
「あー、偶然だよ偶然。お互いちょっと仲の良い友達ってだけ。それ以上でも以下でもないよ」
(月の賢者とやらが酔っ払ってお持ち帰りされそうになったなんて聞きたかねぇよな)
「しかしサグメはよく貴方のことを話しますよ?」
「え、なんて?」
「最初は、嘘つきであまり信用できない怪しい男が自分を助けてくれたって言ってたわね」
「え、、、ショック、、、」
「でも、この一ヶ月でかなり印象が変わったわ、ねぇ? 依姫」
「そうですね。私の聞いた話は、行くたびに何かしらの物をプレゼントしてくれたり、自分を見つけると犬のように尻尾でも振ってるんじゃないかと思うほどの笑顔で近づいてきたり、人里にいると時々さらりとくっついてきたり、でも穢れが近いはずなのに不思議と嫌じゃない、むしろ心地良いとまで──」
「分かった! もう十ッ分に分かった!! もう止めてくれ!!!」
行去永は顔を耳まで真っ赤に染めながら両手で顔を隠し、大声をあげて話を止める。
「、、、あぁ、そういうこと」
「貴方、見た目や性格の割に意外とピュアなのね」
「? 、、、、、、あぁ! サグメのことが好ー」
「だからやめてくれってば!!!」
耐えきれずに土下座する勢いで地面に身体を突っ伏し、再び大声をあげて悶える。しかし、その場に一つの爆弾が投下される。
「お師匠様ー。なにか大声が響いてるんですが、いかがなされましたかー?」
「八意様、なにか問題でも?」
サグメと鈴仙が騒ぎを聞きつけてやってきたのだ。
「行去永がちょっとだけ病気なのよ」
「モゥ、、、ヤメテ、、、」
「! 無事なのか?」
ピトッ
サグメはそれを聞くと、慌てた様子で倒れている行去永に駆け寄り、自身のおでこと行去永のおでこを合わせて熱を測る。
(アァァアア! 待て待て待て待て、、、落ち着け! そうだ般若心経だ! 行け俺! 仏説摩訶般若波羅蜜多心経観自在菩薩行深般若波羅蜜多時照見五蘊皆空度一切苦厄舎利子色不異──!!!)
「熱が激しく上下して、、、!?」
ガクッ
サグメに駆け寄られ、さらに顔の熱を上げたかと思うと、行去永は心を冷静に保つために突拍子もない手段に出る。そして、疲労が祟ったのか気絶する。
「ごめんなさいねサグメ、私にこの病は治せないわ。でもまぁ、少なくとも死に関わる病気じゃないから安心なさい」
永琳の言葉にサグメが安堵したのと同時に、行去永は雰囲気を一変させて起き上がる。
ゾアッ
「ほう、、、酒以外でも気を絶つことがあるとはな」
「「「「!!」」」」
神が、行去永の身体を再び乗っ取った。
「? なんだここは、薬臭いな」
「行去永、、、?」
「ん? あぁ、違う違う。私は行去永だが、貴様らの知る男とは別だ」
「神降ろし、、、とも違いますね」
「貴様らが相手にしていたのは、半神半人なのだよ。まぁ、もうじき半では無くなるがな」
「言っておくけど、ウチは元々不干渉のつもりよ。敵対するならばその限りではないけれど」
「フハハハ。そのように殺気を漏らされては、説得力に欠けるというものだな」
神をその身に降ろせる依姫だからこそ感じれる、おぞましい気配。八百万の神のどれにも一致しない"ソレ"は敵意を向けずともその場の空気を支配する。
「しかしまぁ、貴様がサグメか、、、」
道祖神はサグメの顔をまじまじと見つめながらニヤニヤと笑みを浮かべる。
「この男の最近の様は実に傑作だったぞ?」
「、、、何が言いたい?」
サグメは普段行去永に見せる柔らかい表情と打って変わって、怪しさを含めた表情で道祖神を見る。
「あれは私が内にいると気づいた時からだったな。わざわざ夢の管理者の元まで行き、自らが眠ったときに悪夢を見せて起こしてくれと懇願したり、自分の身体に鞭を打ってまで寝ないよう努めたり、挙げ句には、毒を飲んで身体を動かせない状態に仕立てあげたり、数々の自傷のせいで私の身体はボロボロだ」
「貴方がその身体から出ていけばいい」
「断る。向こうから連れてくるのは中々に面倒なのだ。それに、元々外の世界とやらでコイツはゴミ同然の人間。拾ったゴミをどう使おうと当人の勝手だろう?」
「ッ!! お前は──!!」
ガッギリィッ!
「カハッ」
サグメが変声機を外して能力を使おうした瞬間、道祖神はサグメの首を掴んで締め付ける。
同時に刀を抜こうとした依姫に片方の手を向けて動きを制御する。思いがけない事態の転換に、さすがの四人も動けない状況を作られる。
「動くな、動けばこいつの首を折る。私を舐めるなよ、高貴な月人様とやら」
ギリリッ
「ぐ、、、ァ、、、」
「サグメ様!!」
「さて、教えてやろうか稀神サグメ。なぜこの男がそこまでして私を呼び出したくなかったかを」
「だ、、、ま、、、れ!!」
怒りに任せたサグメは自らの能力を忘れて口走ってしまう。
「おやおや、それは喋ってほしいという裏返しか? ではお言葉に甘えさせてもらおうか。それは貴様だ
、稀神サグメ。無論、幻想郷の者に迷惑をかけたくないという思いもあっただろう。しかし所詮はこやつとて一人の男、心の内を満たすことのできる女に牙を向く可能性のある私を出さない。そして、願わくば一ヶ月の間、たったそれだけの期間寝ずに過ごし、その後に自らの首を掻き切るつもりだったのだ。どんな気分だ? 自分が友を苦しめていた最たる要因だと知るのは!!」
(こんなのは行去永じゃない、、、!! 私の知る行去永は、、、!!)
サグメは不安と怒りが入り交じる瞳で道祖神を睨みつける。
「何だその顔は? 現実を見ろ愚か者が。貴様の目の前にいるのは、声も顔も、記憶も全て八和道行去永だろうが」
声も顔も記憶も。文字通り全てがサグメの知る行去永であった。いつも笑顔で犬のようについて回る人間が、想像を超える程に別人格へと変わり自分へと牙を向いている。気づくとサグメの頬には一筋涙が伝っていた。
「ッ──!! いい加減に離せ!!」
キインッ! ブアッッ!!
我慢の限界を向かえた依姫は刀を抜いて腕へと斬りかかる。道祖神は、あたかもそれを知っていたかのように狭い部屋でそれを回避する。
「躾のなっていない駄犬だ。ここは一つ、理解させるとしよう。己の非凡さを」
道祖神は体制を変えて後ろからサグメの首を掴み、さらに首を握る手に力を込める。
サグメも抵抗するが、行去永本人の男の力に逆らえず、景色がぼやけ始める。
ギリギリギリィッッ
「あ、、、が、、、!!」
「やめなさい!! それ以上は本当に許さないわよ!!」
「今すぐ離せ!!」
「これ以上は冗談では済ませられない領域よ!!」
「やめて! お願い!! やめて行去永さん!!」
四者四様に道祖神へと乞うが、それでも握る力は強くなり、サグメの顔は血の気が引いて青ざめていく。
「新たな死が一つ、ここに誕生するぞ。祝えよ。月人共」
ゴキンッ
「、、、?」
一同が痛々しい音の瞬間に目を瞑る。恐る恐る目を開けるが、結果は予想と反するものだった。
骨が折れた音が室内に響く。しかし折れたのはサグメの首ではない、道祖神の右指だった。
「ここで邪魔して見せるか、面倒な知恵をつけおってからに」
ガリリリリッ!
道祖神の左腕は首を掻きむしり、反対の意を示す。
「フンッ、いいだろう。貴様も現実を見るといい」
フワッ
道祖神が放っていた異質な気配は消え失せ、首から血をボタボタと流した元の行去永が膝をつく。
「ッ、、、サグメッ! 怪我は──!」
見上げた四人の顔は、異質な化け物を見るそれであった。手を伸ばして駆け寄ろうとしたサグメもそれは例外ではなく、首に浮かんだ右手の痣と、怯えて震えた少女の表情が、男に後悔を引き寄せる。
「あッ、、、ごめん、、、本当にごめん、、、」
ガラッ
「ちょっとー、えーりーん? なんの騒ぎー?」
「いやー、悪いんだけど、怪我しすぎちゃったから治してくれないかな」
先程まで竹林にて、日課である密会をしていた二人は、血だらけの服と色々飛び出した身体で部屋に入る。
「って、行去永じゃないか。膝なんてついてどした、怪我か? ていうか、なんであんたらもいるんだ?」
「あら、生き残れたのね? 賭けに負けてしまったわ」
さっきまでのビリビリとした空間が二人の参入で沈下され、全員が我にかえる。
「行去永っ! 違う今のはっ!」
カラカラカラカラカラ
「ごめん、、、クズでごめん、、、」
「行去永ッ!!」
行去永は能力で足元に道を作り、サグメの伸ばした手をとることなく地下へと落下するようにして、その場から消え去った。
「あー、なんか、お取り込み中だったのかな、、、?」
「永琳、説明なさいな。他の皆も黙ってちゃあ、分からないわ」
その日、事の顛末を全て話した。そして、現状における幻想郷の危険物である行去永を、彼女が監視していないはずはなかった。
幻想郷の創設者にして妖怪の賢者、八雲紫がついに彼の排除に乗り出した。
──ー
あの事件から二日。そう、たったそれだけの時間は事態を急変させるのに充分すぎた。
結論から話すと、八雲紫は負けた。弾幕ごっこや殺し合いではない、根本から違ったのだ。異界の神のやることは、常軌を逸するものだった。
幻想郷における重要な要素、気質。
相性の良し悪しや、その天秤が傾くことによって気候や妖精も変化する。
道祖神は九割方、行去永の身体の乗っ取りに成功し、好き放題に暴れている。
本来あるべき流れを、自分の好きなように道を作って改変し、夜も明日もわからないほどに天気や時間を入れ替えて混沌を作っている。
紫の想像を遥かに超える事態。この騒動に対し、頼みの綱の博麗の巫女は風邪をこじらせて動けないという噂が人里で更に不安を呼んだ。それさえも道祖神の策略だった。
──ー
「、、、とりあえず博麗神社に集まったはいいが、何をどうするんだぜ?」
「知らないわよ、貴方が非常事態だって私達を呼びつけたんだから」
「私は新聞のネタになればと思ったのですが、よく考えたら今読む人なんて誰もいませんね」
「、、、紫さんの言うとおり、本当に行去永さんのせいなんでしょうか、これ」
「そんなわけないでしょ、あれにそこまでの力があるとは思えないもの」
博麗神社の鳥居の前に、五人の少女が集まっている。
霧雨魔理沙、十六夜咲夜、射命丸文、東風谷早苗、アリス・マーガトロイド。
「、、、ちなみに言うと、お嬢様方は明朝に出かけていったわ」
「あぁ、今日はいつぞやの紅霧が出てるからか」
「正確にはあの時の霧限りなく近いなにかなんでしょうが、、、どうやったんでしょう?」
「昨日は季節外れの雪が降って今日は紅霧、明日はなんだ? 槍か?」
「冗談でもそんなこと言わないで頂戴。血まみれの幻想郷なんて見たくないわ」
「それに関しては同意ね。お嬢様のおやつが大変なことになるわ」
「これだから吸血鬼のメイドはよぉ、、、」
「ちょっとアンタ達、人ん家の前でうだうだ言わないで頂戴。うっとおしくて敵わないわ」
博麗神社の主、博麗霊夢がいつも通りの巫女姿で登場する。
「霊夢さん! 治ったんですね!」
「あややや、流石は博麗の巫女ですねぇ、頑丈でいらっしゃる」
「、、、えぇ、もうバッチリよ。とっととこんな異変解決しましょう」
霊夢は遅れた挨拶を済ませて空を飛ぼうとするが、魔理沙と咲夜が肩を掴んで止める。
「「嘘つき」」
「っ、嘘なんてついてないわよ、ほら! 弾幕だって!」
ビタッ!
「ッー」
フラッドタンッ
博霊の札を出そうとした霊夢のおでこに、咲夜はナイフを突きつける。それに反応できなかった霊夢はフラついて地面に倒れる。
「この程度の速さも見えずに何がバッチリよ。やっぱり体調良くないんじゃない」
「霊夢、流石に今の状態は私も行かせられないぜ」
「ッー!! うっさい! 邪魔よ!」
再び立ち上がろうとする霊夢を、アリスの上海人形が魔法の糸を絡めて捕まえる。
「どう考えても無理よ。貴方、目眩でまともに前も見えてないんじゃないの?」
「どう考えても風邪なんて生易しいものじゃありませんね。もしや一服盛られましたか?」
「勝手なことばかり言わないで、私は博麗の巫女なの! 私の甘さが招いたこの異変は、私が解決しなきゃいけないのよ!!」
珍しく霊夢は責任を感じているらしく、年頃の少女相応の表情で、焦点の合わない視線で五人を睨みつける。その霊夢の前に、膝をついて早苗は語る。
「霊夢さん、、、貴方だけのせいじゃありません。これは、私達幻想郷の住人の甘さが招いたものです。この場の全員、行去永さんの体質のことを知っていました。そしてそれでも尚、表面でしか見れてなかった。私達は、そんなの嘘だと、本当でもなんとかなると、高をくくっていたんです。貴方は確かに幻想郷を守る博麗の巫女なのかもしれない、でも、私達も同時に幻想郷を守りたいと思う住人なんです。だから、護らせてください。私達が愛した幻想郷を」
「頼むぜ、霊夢。今回ばかりは任せてくれ」
「霊夢さん、私からもお願いしますよ。次の一面、博麗神社にしてさしあげますから」
「、、、元、異変の首謀者が言うのもあれだけど、私にもプライドがあるのよ。瀟洒なメイドとして、完璧でなければならないという意地がね。そのために、今のこの行為は必要だと断言できるわ。お願い、今回は私達に任せて。貴方はここで無理をして散るべきではないの」
「一応、幼馴染として言わせてもらうけど、これ以上暴れるなら、縛ってでも置いてくわよ。もう少し私達を信用なさい」
五人の少女は頭を下げ、願う。博麗の巫女の弱る姿を、決して下に見ることなく、絶対の信頼を得る言葉を繋いだ。
「、、、、、、、、、、、、、、、けよ」
「なんだって?」
「今回だけよ、、、今回だけ、譲ってあげるわ。だから、あのバカを連れ戻して、一発くらい殴らないと気がすまない」
ブチチッ
涙目の霊夢は、魔法の糸を千切って立ち上がり、俯いたままに五人に手を払う。
「よし! 任せろ!」
「元よりそのつもりよ」
「博霊代行! 東風谷頑張りまぁす!!」
「糸を素手で千切るくらいには元気なんじゃない、、、もう、身体をあったかくして寝てなさいよ」
「特ダネの予感がしてきましたよー! では、行ってきます!!」
ギュンッ!!
五人の少女は、意気揚々と湿った曇り空へと消えていった。