マッドでヤベーイやつにしか変身できないんだが   作:ジューク

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どうも皆さん、ジュークです。


スレNo.29『福島の物語』

 

 

 

「ここが福島県か…前世で見たニュースの光景がここでも起きたとは到底思えねぇな………」

 

 

 頼斗は現在、福島県の県庁所在地、福島市に来ている。生前では東日本大震災のニュースでその悲惨な光景を見て以来だったが、あまりにも普通の光景にまで復興している街並みに少しだけ圧倒されていた。

 

 

「って、んなことしてる場合じゃねぇ…。怪人がいるのは…あっちか」

 

 

 ビルドフォンで位置を確認した頼斗は、福島市を東へと進んでいった。

 

 

 

 

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「………ここか」

 

 

 樹の影から顔を出した頼斗の視線の先には、いかにもアジトですよと言わんばかりの廃工場…近くにある錆びれた線路や煙突、ベルトコンベアなどの設備からして、嘗ては製錬所だったであろう施設があった。

 

 

「ただでも、数が分からないのがなんともめ…」

 

 めんどくさい、そう頼斗が呟いた時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それを遮るように廃工場の一部が爆発した。

 

「うぉっ!?何だなんだ!!?」

 

 

 そこから立て続けに轟音と煙が立ち上ぼり始めた廃工場に頼斗はこっそりと近づき、中を覗き込む。

 

 

 

 そこで彼が見たのは…

 

 

 

 

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 時は数十日遡る。

 

 

 

 

 福島県の東側、とある砂浜を一人の少女が散歩していた。

 

 

 

 

 少女の名は花崎(はなさき)麗美(れみ)

 

 

 彼女は休日のその日、何気なく散歩をしていただけだった。が…

 

 

「………ん?」

 

 

 砂浜に何やら怪しい影があったので近づいてみると、そこには…

 

 

「…ええぇぇええぇ!!?」

 

 

 人が倒れていた。

 

 

 

 

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「………ん、うぅ……?」

 

 

 福島県のとある民家で、一人の少年が目を覚ました。そして頭を押さえながらムクリと起きる。

 

 

「………ここは…?」

 

「あ、よーやく起きた」

 

 

 少年は、傍で冷水の入った容器から布を出して絞っている麗美を目に止め、口を開けた。

 

 

「…お前は…?」

 

「アタシは花崎麗美。大丈夫?ビックリしたよ。砂浜でぶっ倒れてたんだから。名前は?」

 

「………名前…?」

 

「…記憶喪失ってやつ?参ったね…」

 

 

 麗美が呟いた時、下から声がした。

 

 

「麗美~!ご飯だよ~!」

 

「は~い!さっ、アンタも来て。お腹減ってるでしょ?」

 

「…あ、あぁ…」

 

 

 麗美に手を引っ張られ、少年は一階へ降りていった。

 

 

 

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 そして数時間後…。

 

 

「………なぜ俺はこんなことに…」

 

 

 少年は頭にねじり鉢巻を巻いて焼鳥を作っていた。というのも…

 

 

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「目が覚めたのかい。元気みたいでよかったよ。麗美が最初に気絶した貴方を連れてきた時は驚いたけどねぇ」

 

「はぁ…」

 

 

 昼食を食べながら少年と話をしていたのは、麗美の祖母である花崎由美(ゆみ)である。

 

 

「ま、タダ飯させる気はないけどね!という事でお昼ごはん終わったら行くよ!お仕事お仕事!」

「は?へ!?うわぁあぁ!!?」

 

 

 昼食を食べ終え、後片付けを終えた麗美は先に行った由美を、困惑する少年を無理矢理連れて外に出ていった。

 

 

―――
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―――――――

 

 

 

「由美婆!焼鳥2本!」

 

「こっち3本だ!!」

 

「はいはい、待っててねぇ」

 

 

 ゆっくりと、しかし絶妙な焼き加減の焼鳥に手早くたれを塗る由美の腕は、まさしく玄人のそれだった。麗美の腕も彼女からの直伝なのか、筋が良い。少年もアタフタしながらであるため二人に比べると遅いが、確実に仕事をこなしていた。

 

 

「キミ、初めての割に筋が良いよね。記憶無くなる前も焼鳥作ってたのかな?」

 

「………わからない」

 

「そっか~。けど戻ると良いね、記憶」

 

「………」

 

「…?」

 

 

 

 どこか複雑そうな顔をする少年に、麗美は小首を傾げながらも焼鳥を作っていった。

 

 

 

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「…あの」

 

 

「ん?どうしたんだい?」

 

 

 何かの編み物をしている由美に、少年はボソリと問いかけた。

 

 

「…なんで、見ず知らずの俺によくしてくれるんですか…?」

 

「………なんでか、ねぇ…昔の話だから長くなるけど、いいかい?」

 

「………」

 

 

 少年はコクリと頷き、由美の向かいの椅子に座った。それを見た由美はゆっくりと話し始めた。

 

 

「…昔…保育園ぐらいだったかねぇ…。アタシは気が弱くって、よく苛められてたのさ。でも…」

 

 

―――――――
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――――

 

「よわいやつをいじめても、たのしくないぞ!」

 

「わ、おうさまだ!」

 

「ねぇ、もう行こうよ。アイツにさからうとおこられるよ!」

 

 

 腕を組んで少女の前に仁王立ちする子供を目にして、苛めっ子たちはアタフタと逃げていった。

 

 

「………なんで…?」

 

「おれはおうさまになるからな!!よわいやつはみすごさないんだ!」

 

 

―――
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―――――――

 

「………昔、そう言ってくれた子がいたんだよ。でも、母親が亡くなったらしくてね。その関係で遠くに引っ越して、それっきりさ。でも…嬉しかったんだよ。誰かを笑顔にさえできれば何にでもなれるんだ、って、どこまでも偉そうで、明るいその子の言葉が、ね」

 

「………」

 

 

 その話を、どこか遠い目で聞いていた少年は口を開こうとして、突然異変に見舞われた。

 

 

「…~~~ッッ!?あ"あ"ぁあ"あぁ"!!??」

 

「!?大丈夫かい!?」

 

「……うぅ…ああ。問題ない…済まないが、明日は遅れそうだ。先に行っててくれ」

 

「…わかったよ。無理はしないようにね」

 

 

 突如頭を押さえて踞ったと思った直後に立ち上がった少年を見て何かを察したのか、由美は何も言わずにフラフラと二階へ向かう少年を見続けていた。

 

 

 

 

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 翌日、朝。少年は布団から起き上がって頭を押さえていた。

 

「………」

 

 

 

―――――――
―――――
――――

 

 

「王時…お父さん、嫌い?」

 

「うん…あんなおうさま、なりたくない…」

 

「そっか…それじゃあ、テレビ観よっか」

 

「うん!」

 

 

 とある豪邸のリビングで、一人の女性が先程まで半べそだった息子であろう子供を膝に乗せてテレビに向き合っている。テレビではちょうど、『仮面ライダーオーズ』が放送されているところだった。子供はそれを、キラキラとした目で観ていた。その様子を微笑みながら観ていた母親は、子供に優しく話しかける。

 

 

「…王時は、仮面ライダー好き?」

 

「うん!おっきくなったら、おうさまのライダーになるんだ!!」

 

「王様のライダーか~…でもね王時。貴方には、いろ~んな可能性があるのよ」

 

「かのうせい…?」

 

「そう。王時は、王様にも、仮面ライダーにも、何にだってなれる可能性があるの。だからね、王様や仮面ライダー…何かになったら、誰かを守って、笑顔になれる子になってね。あんな風に」

 

 

 母親が顔を上げた先には、笑顔で仲間と語り合うオーズ役の俳優が映っていた。

 

 

「………だれかをまもって、えがおに…」

 

 

「そっ。ママと約束、できる?」

 

「………うん!」

 

 

 無邪気な息子の笑顔見た女性は、まさしく慈母の笑みを浮かべて頭を撫でていた。

 

 

 

⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

 

「…ねぇ、聞いた?」

 

「交通事故…あんな小さなお子さんを遺して…」

 

「当然だ。あの女は王時に悪影響しか及ぼさん。王時!お前は平民と馴れ合うな!いいな!?」

 

「(おれのせい…?おれのせいで、かあさんはしんだの…?おれがかかわったら…みんな…)」

 

 

死んジャうノ?

 

 

―――
―――――
―――――――

 

「………クソが」

 

 

 少年…オウジ・へイーゼ・トキワはゆっくりと起き上がり、外へ出た。

 

 

 そして彼が目にしたのは…

 

 

 

 

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荒れた公園と、一部が壊された屋台、そして、血を流して倒れている由美だった。

 

「なっ…!?おい!ここで何があった!!?」

 

「…………グスッ………!変な…変な怪物たちが現れて、お婆ちゃんが…お婆ちゃんが…!!」

 

「………!!!」

 

 

 

 倒れ、一寸も動かない由美の前で泣き崩れる麗美をそしてその周りで同じく泣き崩れたり、己の無力を悔しむ人々を尻目に、オウジは目を見開いていた。

 

 

「(またか…また俺に関わった人間が………!!また俺は、あの時のように…!!!)」

 

 

 拳を握るオウジの頭に、二人の女性の言葉が同時に木霊した。

 

 

『いいのよ』

 

『貴方は…』

 

 

『『何にでもなれるのだから』』

 

「………おい。その怪物どもはどっちへ行った」

 

「…向こうの山奥だ」

 

「たしかあの山には、今は使われてない製錬所があったはず…そこを根城にしてるのかもしれん」

 

「そうか………ん?」

 

 

 人々から話を聞いたオウジは、由美の傍…正確には、由美の後ろに落ちていた灰色のセーターと、奇跡的に無事である焼鳥が落ちていたのを目に留め、やがてそれを拾い上げ、ポツリと呟いた。

 

 

「これは…」

 

「…それ…お婆ちゃんが、貴方にって…いつも頑張ってたからって………」

 

「………そうか。ならば、貰っていくぞ」

 

 

 セーターを掴み、手早くそれを着たオウジは焼鳥を手に持って、悲しむ人々を背に、ゆっくりと、しかし力強く山の方角へと歩いていった。

 

 

 

⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

 

「………貴様らか。あのババアを殺したのは」

 

 

 セーターを着て、焼鳥を持つオウジの目の前には、大量の黒い怪人…眼魔コマンドや、イライラ棒のような金属棒を背に持つ怪人…プラネット眼魔、額に小さな蒼い人魂のような飾りを持つ怪人…眼魔スペリオルがいた。眼魔スペリオルが手を振るうと、大量の眼魔コマンドは一斉にオウジに襲いかかる。が、腐っても元スターズ総隊長であるオウジは焼鳥を食べながら、襲いかかる眼魔コマンドを蹴る殴るで蹴散らしていった。その頭には、かつての親や敵の言葉が浮かんでいた。

 

 

『王時は、王様にも、仮面ライダーにも、何にだってなれる可能性があるの。だからね、王様や仮面ライダー…何かになったら、誰かを守って、笑顔になれる子になってね』

 

『ここは現実(リアル)。誰もが自分の人生の『主役(ヒーロー)』で、他人の人生の端役(モブ)なんだから』

 

『嬉しかったんだよ。誰かを笑顔にさえできれば何にでもなれるんだ、って、どこまでも偉そうで、明るいその子の言葉が、ね』

 

 

「………あぁ、そうだな…!」

 

「平民も悪くない…!!」

 

 

 

【GHOST】

 

 

 オウジが体から出したウォッチ…ゴーストライドウォッチのライドオンスターターを押すと、ウォッチは消え、代わりにオウジの腰に灰色の装置…ゴーストドライバーが、右手には目玉…オレゴースト眼魂が現れた。

 

 

 

「オリジナルより多少劣るが、致し方あるまい。行くぞ!!」

 

 

【アーイ!!】

【バッチリミナー!バッチリミナー!】

 

 

 ゴーストドライバーにオレゴースト眼魂を装填すると、ドライバーから幽霊…パーカーゴーストが現れ、オウジを見る。その目を見て何かを感じ取ったように頷くと、パーカーゴーストはユラユラとオウジの周りで踊り始める。そして印を結ぶような構えと共に、オウジは眼魔たちを睨んで叫んだ。

 

 

「変身!!」

 

【カイガン!オレ!!

 

Let’sGo!!カクゴ!!GO・GO・GO・ゴースト!

 

Go!Go!Go!Go!

 

 オウジがグリップ…デトネイトリガーを引いて戻すと眼魂のマークが現れ、淡い光が辺りに灯り、オウジの体に集束する。光はそのまま、アーマー…アーマーインビジブルとなり、パーカーゴーストがオウジに被さって、オウジは平成17番目のライダーにして、偉人の力を操るライダー…『仮面ライダーゴースト:オレ魂』に変身した。

 

 

 

「覚悟しろ!!ウオオオォ!!」

 

 雄叫びと共に、剣…ガンガンセイバーを振りかざし、オウジは単身で眼魔たちに突貫していった。

 




さて、いかがでしたか?
はい、以前出てきたのもクソザーコモノでしたね!
ですが、なんとここで改心!?
ヨウツベのゴースト完結記念でアラン様風…というかモロアラン様なストーリーにしてまいました(笑)
アランも出てきた最初らへんは嫌なやつでしたけど、あのシーンで一気にファン増えたし、ワンチャンオウジのファンもワンチャン…
※(それは流石に)ないです。

あと高評価のライダーゲージが…オレンジになってしまう…!
このままじゃ、ゲームオーバーに…!!
高評価という名の(作者にとっての)回復のエナジーアイテムをください!
では、また次回で。

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