ゴールドシップはやはりブリブリのフリルたっぷりフワフワウェディングドレスが似合うと思います。

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ゴールドシップと結婚式の下見をしていたはずなのにいつの間にかトレビアン野郎とデュエルをしていた哀れなトレーナーの話

 俺の1日はカーテンの隙間から漏れる爽やかな朝日で始まる。大きく深呼吸をして体を伸ばし、窓の外を見ると澄み渡った青空が広がっている。それから寝室を出て顔を洗うために洗面所へ行きゴルシから歯ブラシを受け取って歯を磨く。丁寧に歯磨きをしてゴルシから受け取った牛乳で口をゆすげばカルシウムも摂取できて一石二鳥。

 

「なわけねーだろが!」 

「うぉ!? どうした急に大声出して」

「どうしたはこっちの台詞だよ。なんでお前が俺の部屋にいるんだ!?」

「そんなの、普通に玄関から鍵を開けて入ったに決まってるだろ。常識だろ常識」

 

 そんな常識ねーよ。

 

「つーか鍵って、まさかピッキングか?」

「アタシはそんな事しねーよ。トレーナー寮の管理人から鍵を借りたんだよ」

 

 セキュリティが不安すぎる。

 引っ越そうかな。

 ちょっと部屋探すか。

 

「アタシのヘッドギアWi-Fi使うか?」

「サンキュ。パスワードGorusiだったよな」

「そう。あ、ちょい待ち電源入れるから」

 

 ゴルシが顔の横にあるヘッドギアの丸い所に手を当てると、頭頂部の部品のランプが静かに点灯した。緑色、つまり電波良好だ。

 

「いい部屋あるか〜?」

「そうだな……お、これいいな。府中駅から徒歩7分で築8年、1LDKで6万5千円」

「んー、寝室狭くね? ベッド入んねーぞ」

「まあシングルサイズが限界だろうな」

「2人で寝るのにシングルはキツイだろ」

 

 そーなるともう少し家賃上げて……。

 

「これはどうだ? さっきより駅からは遠いが部屋が広い。家賃9万8千円だとさ」

「良いんじゃねーの? これならゴルシちゃんも大満足だな。ヨーシ、決まり!」

「イヤ……決まるわけねえだろ!」

「あ、目が覚めやがった」

 

 ヤベえ……危ない所だった。一歩間違えたらこのままアイツの世界に囚われていたぜ。  

 

「オメーよ〜」

「なんだよ。俺は引っ越さねーぞ」

「ツッコむの遅くないか?」

「普通は日常生活でツッコまないんだよ」

 

 不味いな……この生活に慣れ始めてる俺はもう駄目なのかもしれない。神様助けてくれ。  

 

 〚〚救 い を 求 め る 者 よ〛〛

 

 なんだ、この声は? ゴルシとも違う。

 まさか……神様なのか?

 

 〚〚未 来 を 見 た い か ?〛〛

 

 未来だと? 

 本当に俺の未来なら見てみたいが。

 

 〚〚な ら ば 目 を 閉 じ よ〛〛

 

 俺は目を強く閉じた。すると水の音がどこからか聞こえてきて自分が浮いているみたいに感じがした。とても不思議な感覚だ。

 

 ──♪

   

 何かメロディが聞こえる。電子音だ。

 

 ──ピピピ♪ ピピピ♪ ピピピ♪

 

 目覚まし時計?

 

 ──おーい、起きろー。遅刻すっぞー。

 

 え、待てよ、この声って……。

 

 ──うーん……もう少しだけ。

 ──たーく、世話の焼ける旦那だぜ。

 ──う〜にゃん……ゴルシィ……。

 

 にゃん? う〜にゃん?

 俺はうーたんか? 

 で、寝ている俺の体を揺さぶっているのがまさか未来のゴルシ……なのか?

 

 ──はいはい、ゴルシちゃんはここだぞ。

 

 おい、起きろ未来の俺。

 

 ──仕方ねえ……chu……ほら起きろよ。

 ──ふ、最高の目覚めだな。

 ──やれやれ、毎朝これだもんな。

 

 毎朝? 未来の俺は毎日これしてるの?

 え?

 キモ。

 未来の俺ゲロキモじゃん。

 

 ──ほら、仕事遅れるぞ。飯食え。

 ──お、この匂いはジャンバラヤだな。

 ──おめー朝ジャン好きだもんな。

 

 ねーよそんな文化。なんだよ朝ジャンて、聞いた事ねえよ。朝シャンみたいに言うな。 

 でもうーにゃんに比べればぬるいな。度肝を抜かれたりしない。まだまだだ。

 

 ──パパー! 

 

 はい、抜かれましたー。

 度肝抜かれましたー。

 未来の俺はパパでしたー。

 1児のパパでーす。

 

 ──こら七太、パパにちょっかい出すな。

 ──はーい。

 

 7児でしたー! 子供7人でーす!

 すげーな未来の俺、ビッグダディじゃん。

 いやそれ以上にゴルシが凄えか。うん。

 うん。

 うん。

 うん──。

 

「いや、どんな未来だよ!!!!」

「うぉお!? また大声出しやがって」

 

 おいおいどうするよ、つまりこのままだと俺は子供7人+ゴルシの面倒を見る事になるのか? 

 その未来は絶対に避けなくてはいけない。絶対にだ。絶っっっっっっ対にだ。

 まあ、その事は後で考えよう。

 

「んで、朝から俺に何の用だ?」

「用って、今日はデートの日だから迎えに来たんだけれど。あれ……忘れてた?」

 

【デート:date】

 1:日付、年月日

 2:恋愛関係にある者との外出

  (例:彼女とデートをする

 

「わ、わ、忘れるわけねえだろ!」

 

 かーんぜんに忘れてたわ。

 

「そ、そっか……良かった。もしもオメーがアタシとのデートを忘れてたりしていたら、ゴルシちゃんは悲しくなりすぎてオメーを日本海に突き落としている所だったからな!」

「は、はは、そりゃ怖いなあ」

 

 危ね……俺もう少しで凍死してたじゃん。

 

「な、なあトレーナー。その、今日のデートの行き先はアタシに任せてくれないか?」

 

 うお……指で髪を巻きながら言われるその台詞、破壊力えげつねえな。まあ、俺に断る権利なんて無いし、断る必要も無いよな。

 

「ああ分かった。すぐ準備するからな」

「ォゥ! 早く、し ろ よ な ♡」

 

 ズキューン! 俺のハートにクリティカル!

 ま、今日は楽しいデートになりそうだな。  

 

「じゃあまず目隠しだな」

 

 た、楽しくなるよな?

 

………………

…………

……

 

 なるわけねーだろバーカ。

 

「ンーマ! トレビアンザンスねえ!」

「エヘ、そ、そうかな?」

「ミーはユーを見て一目で分かったザンス」

「そ、そんなに褒められると照れるなあ」

「ユーは最高のブライダルエンジェルになれる、いやミーがしてみせるザンス」

 

 おいだれか、国語の神様こと金田一秀穂をここに連れてきて国語辞典でコイツらの頭しばかせて正しい日本語インストールさせろ。

 

「なあゴルシ」

「お? どうしたトレピッピ、オメーもアタシと同じウェディングドレス着るか?」

「ウェディングドレス姿はお前一人で充分だよ。それよりな、コイツ誰? 誰?」

「ンー、自己紹介が遅れたザンスね」

 

 黙れエセスネ夫ママ野郎。

 

「おいおいトレーナー、オメーまさかこのお方の事を知らないっていうのか?」

 

 知らねえよこんな奇人。

 

「このお方は世界を股にかけて活躍するブライダルコーディネーターのトレビアン山岸良一さんだぞ! たっく非常識なんだから」

 

 知ってる方が非常識だろ。

 

「ご紹介が遅れたザンス。アタクシ、山岸良一と申すでザンス」

 

 ただの山岸良一じゃねえかよ。トレビアンどこに行ったんだよ。迷子か? トレビアンは迷子になっているのか? 探してこい。

 いや違う。

 そもそもが違う。

 最初のツッコミから間違ってた。

 

「ここどこなんだよ!!!」

「だからデケえ声出すなよ、ここ教会だぞ」

 

 き ょ う か い だ と ! ?

 ああ主よ、哀れな子羊の私をどうかどうかお救いください。あとこのトレビアン野郎に何かしらの天罰を与えてください。

 あー待った、状況が飲み込めない。

 教会、ブライダルプランナー、導き出される答えは1つ。真実はいつも1つ!

 

「え、なに、まさか結婚式のプランを今から決めるつもりなの。え、嘘だろ?」

「え……駄目なの?」

「駄目なんでザンスか?」

 

 いや駄目じゃないというか、あまりにも急展開すぎて脳が追いつかないというか。 

 

「ゴメン、アタシ舞い上がってた……」

 

 あ、おいやめろ。

 

「ウェディングドレス着てる自分を想像したら何だか嬉しくなっちゃってさ。アタシってアホな女だよな。アホに愛想が尽きたか?」

 

 だからオメーにそんな風に言われたら、涙を見せられたら、俺の負けなんだよ。

 

「おいトレビアン」

「山岸良一でザンス」

 

 面倒だからお前トレビアンでいいよ。

 

「今日プランを考えても実際に式をするのは数年後とかでもいいんだよな?」

「勿論でザンス、ミーは最高のウェディングをお届けするのが使命ザンス」

「とれえ、なあ……?」

 

 俺がもう少し清純な男ならなあ。自分で言うのもあれだが俺はかなり不純な男だし。

 ──だから。

 だから見てえんだよな。

 好きな女の花嫁姿が、ゴルシの花嫁姿が。

 

「俺も男だ。いつかとは心に決めてる。だから、今日は好きなだけ着ていいぞ」

「い、いいのか? エヘヘへへ」

 

 ホント、ズルいけど可愛いヤツだな。

 

「ミーは納得いかないザンス」

 

 お前は本当に可愛くない奴だな。

 

「何が納得いかないんだよ」

「ユーからはエンジェルへの希薄な愛しか感じられないザンス。信用ならないザンス」

 

 はあ? なんだって?

 

「ユーがエンジェルに相応しいのかどうか、このミーが見極めるザンス……デュエルで!」  

「くっ、コイツも決闘者か……」

「待てゴルシ、状況が意味不明だ」

「トレーナーにこのデッキを託す。頼む、アタシ達のために戦ってくれ」

 

 誰か教えてくれよ、全て意味不明だ。

 

「ふ、ミーのブライダルデュエルを見せてあげるザンス……ミーは手強いザンスよ?」

 

 仕方ねえ……いや仕方ねえのか? とにかくコイツを倒せば良いんだろ。やってやる。

 

「「デュエル!」」

 

 

→→→☆→→→☆→→→

 

≪トレーナーVS山岸良一≫

──DUELSTART!!!

 

 

トレーナーLP>>>4000

デッキ:40枚

EXデッキ:2枚

山岸良一LP>>>4000

デッキ:40枚

EXデッキ:3枚

 

 

TURN:1 山岸良一

 

山岸良一:先行はミーが貰うザンス

山岸良一:【結婚戦線の尖兵】を召喚ザンス

 

==========

【結婚戦線の尖兵】

光属性 ★4 戦士族 通常

ATK1600 DEF1000 

 

険しい結婚戦線を駆ける女戦士、彼女の未来はどこにある。

==========

 

山岸良一:さらにフィールド魔法ザンス!

 

==========

【行き遅れた者達の戦場】

フィールド魔法

 

①このカードの③の効果は1ターンに1度しか発動出来ない。

②自分フィールドの【結婚戦線】モンスターの攻撃力は300ポイント上昇する。

③自分フィールドの【結婚戦線】モンスターが墓地に送られた場合に発動出来る。墓地又はデッキから【結婚戦線】と名のつくモンスターを手札に加える。

==========

 

山岸良一:これで【尖兵】の攻撃力は300ポイントアップするザンス!

 

【結婚戦線の尖兵】ATK>>>1900

 

山岸良一:カードを1枚伏せてターンエンドザンス! さあ、愛を見せるザンス!

 

 

山岸良一LP>>>4000

フィールド:モンスター×1

フィールド魔法×1

伏せカード×1

手札:2枚 

トレーナーLP>>>4000

手札:5枚

 

 

TURN:2 トレーナー

 

トレーナー:(考えたら負けだ……)

トレーナー:(それに、アイツの為にもとにかく勝たなければならない……)

トレーナー:(それとだが、奴のデッキの趣味最悪すぎるだろ……なんだ結婚戦線て)

トレーナー:俺のターン、ドロー。

トレーナー:とにかく戦うしかねえ!

ゴールドシップ:(アイツ心の声多いな)

トレーナー:俺は【宇宙帆船】を召喚する。

 

==========

【宇宙帆船】

闇属性 ★3 機械族 効果

ATK1000 DEF1000

 

①このカードが召喚、特殊召喚に成功した時に発動出来る。デッキから闇属性レベル4以下の機械族モンスターを特殊召喚する。

② ①の効果を発動したターン中、自分は闇属性以外のモンスターを特殊召喚出来ない。

==========

 

トレーナー:【宇宙帆船】の効果発動、デッキから【宇宙釣り船】を特殊召喚する。

 

==========

【宇宙釣り船】

闇属性 ★2 機械族 効果 

ATK800 DEF500

 

①このカードが召喚、特殊召喚に成功した時に発動出来る。デッキから闇属性レベル4以下の機械族モンスターを特殊召喚する。

② ①の効果を発動したターン中、自分は闇属性以外のモンスターを特殊召喚出来ない。

==========

 

トレーナー:さらに効果発動! デッキからモンスターを特殊召喚する!

ゴールドシップ:いいぞその調子だ!

山岸良一:ほ〜お、やるザンスね……。

トレーナー:【宇宙イカダ】を特殊召喚!

 

==========

【宇宙イカダ】

闇属性 ★1 機械族 通常 チューナー

ATK300 DEF200

 

大宇宙を彷徨うイカダ。いつか巨大な宇宙戦艦になる事を夢見て今日も宙を行く。

==========

 

ゴールドシップ:オーシ、かましたれ!

トレーナー:(なんだかんだで楽しんでいる俺がいるのがとてつもなく不愉快だ)

トレーナー:さらに手札から魔法カードだ。

トレーナー:俺は【均一品質】を発動する。

 

========== 

【均一品質】

通常魔法

 

自分フィールドのモンスター1体を選択して発動出来る。自分フィールドの全てのモンスターはこのカードの効果で選択したモンスターと同じレベルになる。

==========

 

トレーナー:俺はレベル3の【宇宙帆船】を選択し全モンスターのレベルは3になる。

 

【宇宙釣り船】レベル>>>3

【宇宙イカダ】レベル>>>3

 

トレーナー:俺は3体のモンスターで──。

ゴールドシップ:あ、ちょい待ち。

トレーナー:なんだよ今良い所なんだよ。

ゴールドシップ:これを読みあげてくれ。

トレーナー:ナニコレ

ゴールドシップ:何って、召喚口上だろ。

トレーナー:……いやだ。

ゴールドシップ:お ね が い ♡

トレーナー:ダーッ、しゃあねえなあ。

 

トレーナー:俺は2体のモンスターに【宇宙イカダ】をチューニング!

トレーナー:大宇宙を行く大船よ! 氷の宙に鋼の魂を響かせろ! シンクロ召喚!

トレーナー:現れろ! 【宇宙大戦艦】!!

 

==========

【宇宙大戦艦】

闇属性 ★9 機械族 効果 シンクロ

ATK3000 DEF2800 

チューナー+チューナー以外のモンスター

 

①このカードの攻撃力は墓地の闇属性機械族モンスターの数×500ポイント上昇する。

②このカードが墓地に存在する場合に発動出来る。デッキから闇属性機械族のモンスターを任意の数だけ特殊召喚し、その後このカードをレベル1にして墓地から特殊召喚する。      

③ ②の効果で特殊召喚されるモンスターの効果は全て無効化される。

④ ②の効果を発動したターン終了時に自分は②の効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力の合計値分のダメージを受ける。

==========

 

山岸良一:攻撃力3000……いや、効果によってさらに攻撃力が上がるザンスか……!

トレーナー:そうだ【宇宙大戦艦】の攻撃力は俺の墓地にいるモンスターの数上昇する。  

トレーナー:墓地のモンスターは3体、よって俺の【宇宙大戦艦】は攻撃力4500!

 

【宇宙大戦艦】ATK>>>4500

 

山岸良一:ヌウ!!

トレーナー:バトルだ!

トレーナー:【宇宙大戦艦】で攻撃!

トレーナー:戦撃のグランストーム!!!

 

【宇宙大戦艦】→→→【結婚戦線の尖兵】

ATK4500      ATK1900

山岸良一LP>>>4000-2600→1400

 

山岸良一:ヌグォオオ……!

山岸良一:なかなかやるザンスね……しかしここでフィールド魔法発動するザンス!

山岸良一:【行き遅れた者達の戦場】の効果で墓地又はデッキから【結婚戦線】モンスターを手札に加えるザンス!

山岸良一:ミーは【結婚戦線の指揮官】を手札に加えるザンス!

 

==========

【結婚戦線の指揮官】

光属性 ★8 戦士族 効果

ATK2800 DEF2600

 

①このカードは特殊召喚出来ない。 

②手札から【結婚戦線】モンスター1体を特殊召喚する。その後手札を1枚捨てる。

==========

 

山岸良一:さらにここで罠発動ザンス!

トレーナー:なに? 罠カードだと!?

 

山岸良一:【勝者からの餞別─ブーケトス】を発動するザンス!

 

==========

【勝者からの餞別─ブーケトス】

通常罠

 

①自分フィールドの【結婚戦線】モンスターが墓地に送られた場合に発動出来る。墓地及びデッキから【結婚戦線】モンスターをそれぞれ1体ずつ特殊召喚する。

②このカードと墓地のモンスター1体を除外して発動出来る。自分フィールドのモンスターの攻撃力はこの効果で除外したモンスターの攻撃力分上昇する。

==========

 

山岸良一:墓地から【結婚戦線の尖兵】、そしてデッキから【結婚戦線の伝令兵】を特殊召喚ザンス! 実にトレビアンザンス!

トレーナー:(迷子のトレビアンがいた!)

 

==========

【結婚戦線の伝令兵】

闇属性 ★4 戦士族 効果

ATK1500 DEF1300

 

1ターンに1度、自分のデッキを上から3枚めくり2枚手札に加える。選ばなかったカードは裏側表示で除外する。

==========

 

トレーナー:クッ……せっかく倒したのに減るどころか増えやがった……。

山岸良一:ヌッフッフッフッフッ……。

トレーナー:もう他に出来る事はねえ。俺はこれでターンエンドだ! かかってこい!

 

 

山岸良一LP>>>1400

フィールド:モンスター×2

フィールド魔法×1

手札:3枚 

トレーナーLP>>>4000

フィールド:モンスター×1

手札:4枚

 

  

TURN:3 山岸良一

 

ゴールドシップ:(黙って見てたけど……)

ゴールドシップ:(こういう真剣なアイツの顔はやっぱりカッコイイよな。なんか、うん、スゲーイケメンだわ。うん)

ゴールドシップ:(好き……)

トレーナー:(ゴルシがなにやらニヤつきながら俺の事を見ている……きっとろくな事を考えてないに違いないな……)

山岸良一:ココロここにアラズ、そんな腑抜けでミーに愛を見せられるザンスか?

トレーナー:うるせえ、お前に勝って俺は必ず愛を証明して見せる。

ゴールドシップ:(キャー♡ 今言ったよね? 愛を証明するって言ったよね?)

ゴールドシップ:(あーもう、好き♡)

 

山岸良一:フン、ミーのターン! ドロー!

山岸良一:まずは【伝令兵】の効果でデッキを上から3枚めくり2枚手札に加えるザンス!

山岸良一:さらに魔法カード発動ザンス!

 

==========

【戦地に建つ協会】

永続魔法

 

①1ターンに1度手札から【結婚戦線】モンスターを特殊召喚する。

②【戦地に建つ協会】は自分フィールド上に1枚までしか表側表示で存在出来ない。

==========

 

山岸良一:これでミーは2体目の【伝令兵】を特殊召喚するザンス。

トレーナー:クッ……次から次へと……。

山岸良一:まだまだ終わらないザンスよ?

山岸良一:【伝令兵】2体をリリースし手札から【指揮官】をアドバンス召喚ザンス!

山岸良一:そして効果で【結婚戦線の参謀長】を特殊召喚するザンス!

 

==========

【結婚戦線の参謀長】

光属性 ★6 戦士族 効果

ATK2300 DEF2000

 

1ターンに1度、デッキからカードを1枚墓地へ送りこのカードのレベルを2つ上げる。

==========

 

山岸良一:効果発動、デッキからカードを墓地へ送りレベルを2つ上げるザンス。

 

【結婚戦線の参謀長】レベル>>>8

 

トレーナー:レベル8が2体……まさか。

山岸良一:フォン〜読みが甘いザンスね。

トレーナー:(フォン〜?)

 

山岸良一:幸せな結婚を夢見る者は多いザンス。しかし誰しもが幸せになれる訳でも無いザンス。幸せは屍の上に成り立つザンス。

トレーナー:どうした急に

山岸良一:厳しい戦場を駆け抜けた者だけが幸せになる権利を掴めるザンス!

トレーナー:何が言いたいんだよ。

山岸良一:愛を得るのは楽じゃないという事ザンスよ。それを教えるザンス!

山岸良一:【奪い愛】……発動ォォ!

 

==========

【奪い愛】

通常魔法

 

相手の墓地にあるカードを1枚選択し手札に加える。このターンのエンドフェイズ時に3000ポイントのダメージを受ける。

==========

 

トレーナー:俺の墓地のカードを手札に加える効果だと……? 何する気だ?

ゴールドシップ:……あ、まさか!

ゴールドシップ:やべえぞトレーナー!

山岸良一:もう今さら遅いザンスねぇ!

山岸良一:【奪い愛】の効果でミーがユーの墓地から手に入れるのはこのカードザンス!

山岸良一:【均一品質】を発動ザーーンス!

 

========== 

【均一品質】

通常魔法

 

自分フィールドのモンスター1体を選択して発動出来る。自分フィールドの全てのモンスターはこのカードの効果で選択したモンスターと同じレベルになる。

==========

 

山岸良一:ミーはレベル8の【指揮官】を選択するザンス。フィールドのモンスター3体は全て同じレベル8になるザンス!

 

【結婚戦線の尖兵】レベル>>>8

【結婚戦線の参謀長】レベル>>>8

【結婚戦線の指揮官】レベル>>>8

 

ゴールドシップ:レベル8が……3体……。

トレーナー:という事は……。

山岸良一:ミーはフィールドの3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚するザンス!

ゴールドシップ:く、来るぞ!

トレーナー:分かってるよ!

 

山岸良一:その幸福は盤石なりて誰にも奪えぬ愛の証明! その力にて戦線を支配せよ!

山岸良一:進撃せよランク8……!

山岸良一:【結婚戦線の大総帥】ザンス!

 

==========

【結婚戦線の大総帥】

光属性 ☆8 戦士族 効果 エクシーズ

レベル8【結婚戦線】モンスター×3

ATK2700 DEF3300

 

①このモンスターのエクシーズ素材を全て取り除く事によって以下の効果を得る。

②このカードが自分フィールドに存在する限り、自分は効果によるダメージを受けない。  

③このカードは効果では破壊されず、戦闘による破壊を1度無効にする。

④スタンバイフェイズ每に除外されている自分のカードを全て墓地に戻す。その後戻した枚数×500のライフポイントを回復する。

==========

 

山岸良一:【戦場】の効果で攻撃力は300ポイントアップするザンス。

 

【結婚戦線の大総帥】ATK>>>3000

 

トレーナー:面倒くせえ効果ばかりだな……。

トレーナー:だけどまだ……。 

山岸良一:だけど、まだ?

山岸良一:何かお忘れのようですねぇ?

トレーナー:俺が何を忘れたって? 

山岸良一:すぐに思い出すザンスよ。 

山岸良一:まずは【大総帥】の効果発動!

山岸良一:エクシーズ素材を全て取り除く事で3つの効果が与えられるザンス!

ゴールドシップ:トレーナー! 墓地、アイツの墓地にあるカードだよ!

トレーナー:奴の墓地にはモンスターと罠カードと魔法……罠カードが……罠か!

 

山岸良一:フッ……。

山岸良一:ヌフフフ、ズゥァンスゥ!

トレーナー:(嫌な言い方のザンスだな)

山岸良一:墓地にある【ブーケトス】の効果発動ザンス! さて、思い出したザンスか?

 

==========

【勝者からの餞別─ブーケトス】

通常罠

 

①自分フィールドの【結婚戦線】モンスターが墓地に送られた場合に発動出来る。墓地及びデッキから【結婚戦線】モンスターをそれぞれ1体ずつ特殊召喚する。

②このカードと墓地のモンスター1体を除外して発動出来る。自分フィールドのモンスターの攻撃力はこの効果で除外したモンスターの攻撃力分上昇する。

==========

 

トレーナー:そうか、この②の効果か……!

山岸良一:まずミーは墓地の【尖兵】を除外して【大総帥】の攻撃力を1600ポイントアップさせるザンス、よぉぉぉぉ!

 

【結婚戦線の大総帥】ATK>>>4600

 

トレーナー:これで【宇宙大戦艦】の攻撃力を上回ったと言う事か。だが──。

山岸良一:理解が遅いザンスねえ。

ゴールドシップ:トレーナー! アイツさっき、まずって言ったんだよ!!

山岸良一:エンジェルは理解が早いザンス。ならばこそ、こんな愛の薄い男には実に実に勿体が無いザンスねえ! 

トレーナー:好き放題言いやがって!

山岸良一:ミーは墓地から2枚目の【ブーケトス】と【参謀】を除外するザンス!

 

【結婚戦線の大総帥】ATK>>>6600

 

トレーナー:そうか、他の効果に合わせてあの罠カードを墓地に貯めていたのか!

山岸良一:ニドある事はサンドある、と良く言うザンスが実にその通りザンスね!

ゴールドシップ:っ……! 3枚目か!

山岸良一:ご明察ザンスゥ!

山岸良一:【指揮官】を除外するザンスゥ!

トレーナー:(あの口塞ぎてえ!)

ゴールドシップ:(あの口塞ぎてえ!)

 

【結婚戦線の大総帥】ATK>>>9400

 

トレーナー:攻撃力……9400だと……!!!!! 

山岸良一:これで終わりザンスゥゥ!

山岸良一:親愛のロマンスクラッシュュュ!

トレーナー:まだ終わっちゃいねえ!

トレーナー:手札からモンスター効果だぁ!

 

==========

【宇宙救命艇】

闇属性 ★3 機械族 効果

ATK1200 DEF1000

 

相手モンスターの攻撃時に発動する。自分のライフを1000ポイント回復する。

==========

 

山岸良一:ヌチィ……無駄な悪あがきを……。

 

トレーナーLP>>>5000

 

山岸良一:しかしそれでも火力充分ザンス!

山岸良一:喰らうザンスゥゥゥ!

 

【結婚戦線の大総帥】→→→【宇宙大戦艦】

ATK9400         ATK4500

トレーナーLP>>>5000-4900→100

 

トレーナー:グゥアアアアアア!!!!

ゴールドシップ:トレーナー!!! 

トレーナー:(ちくしょう……)

トレーナー:(ちくしょう……)

トレーナー:ゴメン……ゴルシ……。

ゴールドシップ:ゴメンて、オメー……。

 

山岸良一:エンドフェイズザンス。

山岸良一:【奪い愛】のデメリットダメージは【大総帥】の効果で無効化ザンス。

山岸良一:そして【ブーケトス】の効果は永続的に続くザーーーンス!

山岸良一:さあ、ミーに愛を見せるザンス!

 

山岸良一LP>>>1400

フィールド:モンスター×1

フィールド魔法×1

      永続魔法×1

手札:0枚 

トレーナーLP>>>100

フィールド:

手札:3枚

 

TURN:4 トレーナー

 

トレーナー:俺のターン、ドロー……。

山岸良一:ここで【大総帥】の効果ザンス。

山岸良一:除外されているミーのカードを墓地に戻してライフを回復するザンス。

山岸良一:ひぃふぅみぃ、計6枚ザンス!

 

山岸良一LP>>>1400+3000→4400

 

山岸良一:これで【ブーケトス】の効果をまた使えるザンス。このターンになんとかしなければ、ユーは負け確定ザンス!

山岸良一:けれどもう、戦意喪失ザンスか?

 

ゴールドシップ:トレーナー、どうしちまったんだよ? なあ、おい、トレーナー!

トレーナー:ゴメンゴルシ……もう駄目だ。

ゴールドシップ:なんで……謝るんだよ。

トレーナー:アイツに勝って愛を証明するつもりだった。けど、もう……。

ゴールドシップ:何いってんだよオメー。

トレーナー:けどよ……。

ゴールドシップ:負けたらアタシ達の愛は無くなるのかよ? アタシ達その程度なのか?  

ゴールドシップ:弱気になってんじゃねえ。

ゴールドシップ:最後まで諦めんな、まだいくらでも逆転の手は残されてるだろ!

山岸良一:(……)

 

トレーナー:分かってんだよそんな事は、でもよこの状況をひっくり返すなんて……。

ゴールドシップ:心が冷えてるんだろ。

トレーナー:何が……冷えてるって?

ゴールドシップ:手……アタシの手を握れよ。

トレーナー:手ってお前……。

ゴールドシップ:いいから、握れ。

トレーナー:……熱いな。

ゴールドシップ:だろ?

山岸良一:(──!)

 

ゴールドシップ:熱いだろ? だって、好きな男の手を握ってるんだもんな。

トレーナー:え、おい急に何を。

ゴールドシップ:でもよ、オメーの手は冷えきっている。それは心が冷えてんだよ。

ゴールドシップ:アタシの事が好きならさ、それを全力で押し出してこいよ!

トレーナー:ゴルシ……オメー……。

山岸良一:(な、なんザンスかこれは!?)

 

トレーナー:ふ、ふははは、フハハハ!!!

トレーナー:そうだよな、こんなの俺らしくもねえ。ああ、ダサい所見せちまったな。

ゴールドシップ:大丈夫だ、オメーは常日頃からダサいから安心しろ。

トレーナー:おい、何も安心出来ねえよ。

ゴールドシップ:オラ! さっさとアイツ倒してアタシのウェディングドレス試着地獄に付き合えよ! 地獄だぜ地獄! 地獄!

トレーナー:おう、想像しただけで地獄だ。

山岸良一:(なんなんザンスかぁ!?)

 

トレーナー:待たせたな、デュエル再開だ。

山岸良一:待ちくたびれザンス。でもこっからどう勝つつもりなんザンスか?

トレーナー:どうせ次のターンに負けるなら、このターンで負けてやる!

ゴールドシップ:いや、負けるつもりでいけよ。勝てよな、勝つんだからな。

トレーナー:うるせー、そこは流せよ。

山岸良一:(ああ、なるほどザンスか……)

 

トレーナー:俺は墓地に眠る【宇宙大戦艦】の効果発動! デッキから好きなだけ闇属性機械族のモンスターを呼び、そしてコイツ自身をレベル1にして特殊召喚する!

トレーナー:来い! 【宇宙帆船】【宇宙釣り船】【宇宙イカダ】【宇宙救命艇】!

トレーナー:そして甦れ【宇宙大戦艦】!!

山岸良一:レベルの合計値は10……。 

山岸良一:まさか、まさかなんザンスか!?

トレーナー:ああ、そのまさかだよ。

山岸良一:命知らずザンスねぇ……。

トレーナー:あ?

山岸良一:【宇宙大戦艦】の効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力分のダメージを、ユーはこのターン終了時に受けなくてはいけないザンス。つまりいずれにせよ、このターンでミーに勝てなければユーは負けるザンス。

ゴールドシップ:なあザンス、知ってるか?

ゴールドシップ:アタシと付き合ってイチャラブする事の方が命知らずなんだぜ。

トレーナー:(それ、ドヤ顔で言う事か?)

山岸良一:(ザンスと呼ばれたザンス……)

 

トレーナー:ゴルシ、ちょっと体温貸してくれないか? 心の火力が足んねえ。

ゴールドシップ:エヘ〜こんな感じか? 

トレーナー:誰が抱き付けと言った!?

ゴールドシップ:じゃあチュウするか?

トレーナー:それは後でだ! 手だよ手!

ゴールドシップ:やだ、手だなんて卑猥。

トレーナー:卑猥かどうかはお前次第だろ!

山岸良一:(胸焼けしそうザンス)

ゴールドシップ:ほいよ、アタシの手を握る権利をオメーにやるぜ!

トレーナー:キングヘイローの真似か? 

ゴールドシップ:ふへ、ふへへ、エヘへ♪

トレーナー:ハァ……いくぞ、ゴルシ。

ゴールドシップ:ォゥ!

山岸良一:(ちょっと焚き付けすぎたザンスか、まあ良い物が見れたザンス)

 

バカップル:《俺・アタシ》は4体のモンスターに【宇宙イカダ】をチューニング!

バカップル:無重力の海を行く沈まぬ船よ、運命未来の大波超えてどこまでも突き進め! 

バカップル:シ ン ク ロ 召 喚 !

バカップル:爆誕せよ【宇宙無限不沈艦】!

 

==========

【宇宙無限不沈艦】

闇属性 ★10 機械族 効果 シンクロ

闇属性機械族のチューナー+闇属性機械族のチューナー以外のモンスター   

ATK3500 DEF2900

 

①……

==========

 

バカップル:【宇宙無限不沈艦】の1つ目の効果! 相手フィールド上の魔法、罠カードを全て破壊し、その枚数×300ポイントこのモンスターの攻撃力を上昇させる!

 

==========

①この効果は1ターンに1度しか発動出来ない。相手フィールドに存在する魔法・罠カードを全て破壊し、ターン終了時まで破壊した枚数×300ポイント攻撃力を上昇させる。この効果は相手ターンでも発動出来る。

②……

==========

 

 

バカップル:これで【戦場】は消え去り荒れ果てた【教会】は姿を消す!

バカップル:そして効果により攻撃力上昇!

山岸良一:ぬぅ……。

 

【宇宙無限不沈艦】ATK>>>4100

 

バカップル:2つ目の効果! このモンスターの攻撃力を相手フィールドに存在するモンスターの攻撃力の合計値分上昇させる!

山岸良一:そ、それはつまり……!?

バカップル:攻撃力13500だ!!!

 

【宇宙無限不沈艦】ATK>>>13500

 

山岸良一:め、滅茶苦茶な効果ザンス!

バカップル:お前が言うな!

 

==========

②1ターンに1度、相手フィールドに存在する全てのモンスターを参照して発動する。このカードの攻撃力はその参照したモンスターの攻撃力の合計値分上昇する。

③……

==========

 

山岸良一:そ、それでもミーのモンスターは戦闘による破壊を1度無効にするザンス。ミーのライフポイント4400には一歩届かないザンス! 惜しい所まで手が届いたザンスね!  

バカップル:何言ってるんだ?

バカップル:《俺・アタシ》の愛はこんな所で終わるようなモンじゃねえ!

山岸良一:ま、まさかまだ効果が?

バカップル:3つ目の効果発動! このカードはシンクロ召喚の素材にしたチューナー以外のモンスターの数だけ攻撃出来る!

山岸良一:なっ、なななぁ!? ザンス!?

   

==========

③このカードはこのカードをシンクロ召喚するために使用したチューナー以外の素材のモンスターの数だけ攻撃する事が出来る。

==========

 

バカップル:【宇宙無限不沈艦】のシンクロ召喚に使用したチューナー以外のモンスターは4体、よって4回攻撃が可能となる!

山岸良一:お、オーバーキルザンス!!

バカップル:いくぜ、バトルだ!!

バカップル:【宇宙無限不沈艦】でモンスターを攻撃! ぶちかますぜ!

バカップル:デステニーバースト!!!

山岸良一:ぬふっ、ぐ、ぐぅうああああ!!

 

【宇宙無限不沈艦】→【結婚戦線の大総帥】

ATK13500 ATK9400

山岸良一LP>>>4400-4100→300

 

山岸良一:まだ、ザンス……。

山岸良一:【大総帥】は1度戦闘によるダメージを無効にするザンスよぉ! 

バカップル:ならばもう一撃!

バカップル:《俺・アタシ》の愛を喰らいやがれえええええ!!!!!!!!!!!!

山岸良一:(見事なバカップルザンス……!)

バカップル:デステニーバーストォォ!!!

山岸良一:トレビアン……完敗ザンス……!

 

【宇宙無限不沈艦】→【結婚戦線の大総帥】

ATK13500 ATK9400

山岸良一LP>>>300-4100→0

 

──DUELEND!!!

≪WIN__トレーナー&ゴールドシップ≫

 

←←←☆←←←☆←←←

 

 

勝った……勝ったのか?

 よく分からねえ、いまいち状況も掴めねえ、けど分かるモノも沢山あるはずだ。とりあえず分かるのは俺の手を大事そうに握るゴルシが可愛いという事くらいだが。

 

「これでもう、愛が薄いなんて言わせねえ」

「……発言は全て撤回するザンス。実にトレビアンなデュエルだったザンス」

 

 なんか急に腹が減ってきた。時間もかなり経っているだろうし、飯にしたい。

 ──したいのだが。

 

「それでよ、天井からチョコレートの噴水が降りてくるんだよ。ビューンと」

「ほほほう、グッドアイデアザンス」

「んでよ、引き出物なんだけれど──」

 

 これは暫く帰れそうにねえな。

 

「おいトレーナー、聞いてるのか?」

「っと、悪い聞いてなかった」

「しっかりしろよな未来の旦那様」

  

 その呼び方は猛烈に照れるからやめろ。

 

「あ、ああゴメン。で何の話だっけ」

「ウェディングドレスの試着ザンスよ」

「言ったろ? 地獄が待ってるって」

 

 あー、想像しただけで地獄だな。うん。

 

………………

…………

……

 

 ゴルシと2人きりの(正確には着替えの補助として女性職員が控えてる)試着室ではかれこれ2時間ファッションショーが開かれていた。天国のような地獄のような天国だ。     

 

「ゴルシちゃん的には2つ前のヤツと今のヤツが良さげなんだよなあ〜」

 

 正直言って何でも良い。何を着たって美人で可愛いのがゴルシなのだから。

 

「1つ前のは駄目なのか?」

 

 俺はゴルシがさっき試着したマーメイドドレスの事を思い出す。とても良かった。

 

「んー? だってあれ体のラインがもろに出る奴じゃん。ああいうのはマックちゃんみたいな華奢な女が似合うんだよ」   

「別に悪くないと思うけれど」

「だってオメーがジロジロ見るんだもん」

 

 ……男の視線はバレバレってマジなのかも。

 

 「いや、別に俺はお前の事を太ってるとか華奢じゃないとか、そんな事は微塵も思ってないからな。普通に良かったんだよ」

「んな事は分かってるんだよ、オメーはアタシのスーパーボディに夢中だからな」

 

 そういう言い方をするんじゃない。事実を言われると困る男は俺を含めて多いんだよ。

 

「だってよ〜」

 

 フリルが沢山ついたお姫様みたいなドレスを着た銀髪のお姫様が俺の隣に座る。

 

「変態のオメーがジロジロ見るという事は、それより幾らかレベルの低い変態である他の奴もアタシをジロジロ見るという事だろ?」  

 

 色々と訂正したい事は沢山あるが、ここでぐっとこらえるのがコイツと付き合うコツ。

 

「そしたらよ、オメーの嫉妬が止まんなそうだからなあ。ゴルシちゃん参っちゃうぜ」 

 

 俺が間違ってた。コイツと付き合うのにコツなんかあるわけがない。自惚だった。

 

「嫉妬ってあのなあ」

「して、くれないのか?」

 

 そう言ってゴルシが俺の肩を指で突く。

 ズルいぞ本当に。本当にズルいからな!

 

「──するに決まってんだろ」

「ふ〜ん」

「普段から嫉妬しまくりだよ」

「はへ?」

 

 なんだその反応は。

 そういう所鈍いんだよなあ。

 

「気づいていなかったのか」

「いやだってよ、別にオメーが嫉妬するような事なんて普段起きてないだろ」

「起きまくりだよ」

「まくりって、まさかぁ〜」

「廊下で制服のスカートヒラヒラさせたり、誰彼構わずスキンシップしたり、やたら手厚いファンサービスしたりよ。その度に俺はヒヤヒヤするし他の奴の目線に嫉妬すんだよ」

「お、おう」

 

 何照れてんだコイツ。

 自分でスーパーボディとか言っておきながら、それを安売りするから困る。

 花嫁姿のゴルシはそのまんま俯いて固まってしまった。こうなると長い。

 

「おーい、ゴルシさん?」

「わ、わかったよ……気をつける……から」

「そうして頂けると精神衛生的にとても助かるので是非ともお願いしたい」

 

 そしてまーた俯いてしまった。

 

「手、握るか?」

 

 コクリと返事が返ってくる。

 面倒くさい可愛さだよ全く。  

 

「なあ、子供何人欲しい?」

「はっ? え? はい、え、その?」

「だから、子供の数だよ」

「わ、わたくしそのような事を聞かれるのは初めてですわ。なので困りますわ」

 

 初めてじゃなきゃ困るのだが。

 

「ただの興味本位、いや真剣な話だけれどそんなに深く考えないでくれ」

「そ、その、わ、わたくしは……!」

 

 こんな話題はまだ早かったか……。

 

「そ、その、わたくし今心臓がバクバクしておりますの! こ、興奮してますの!」

「そ、そうか」

「で、ですのでハグを要求しますわ! ほんの少しの間で良いですわ! 頼みますわ!」

 

 メジロモードゴルシをもっと見てえけど、これ以上はいくらなんでも可哀想だよな。

 

「す、少しだからな?」

「恩に着りますわ!」

「ほら、来い」

「ご、ごめんください」

 

 いらっしゃい。

 ──熱い、破茶滅茶に熱い。

 そして重い。

 罪悪感とか羞恥心とかで胸が一杯になる。今日は疲れたから俺まで心臓が痛くなる。

  

「落ち着いたか?」

「うん、多分」

「じゃあそろそろ」

「いや、もう少しこのままがいい……」

「……好きにしろ」

 

 ほんの少しだけ、俺に回される腕の締付けが強くなった。俺は借り物のウェディングドレスが皺だらけの現状に思いを馳せる事で体内の血液を脳に集め理性を保っていた。

 

「1人……頑張れば2人……」

「ん?」

「子供の……数……」 

 

 俺の胸に顔を埋めて、それでも容易にその顔の想像が出来るような声だ。

 その頑張って絞り出した答えに俺の心は深い深い水底に落とされたようになる。

 どこからか水音がして──。

 

〚〚子供は多いほうが良い〛〛

 

 でやがったな嘘つき神様。  

 

〚〚私が嘘つきだと?〛〛

 

 嘘つきじゃねえか。ゴルシは2人を所望しているんだよ。なあにが未来だ。

 

〚〚あれは私が見たい未来だ〛〛

 

 おい金田一秀穂はまだか? 早くコイツを正しい日本語で殴れ。

 

〚〚なあに私の子だ、2が3、3が7になる〛〛

 

 私の子? わ た し の こ ?

 

〚〚息子……いやここでは娘か、とにかく私の子をよろしく頼んだ。もしも泣かせてみろ、お前を蹴り殺しあの世でも蹴り殺す〛〛

 

 何だコイツ、頭おかしいんじゃねえの?

 いや、こんな幻聴が聞こえる俺の頭がオカシイのか? いや分かんなくなってきたな。

 

「トレーナー……」

「な? な、どうした?」

「アタシといて、トレーナーは幸せか?」

「……幸せに決まってるだろ」

「ぅぅ……とれえなあ……」

 

 たーく、急に変な事で不安になって変な事で泣くんだから忙しいヤツだな。

 

〚〚今、私の子を泣かせたのか?〛〛

 

 違う、この涙はそんなんじゃないから。

  

〚〚そうか……だが私は常に貴様と私の子を見ているからな。いいか、心せよ〛〛 

 

 なぜ俺は幻聴に脅されているのだろうか。  

 はいはい、なんだかよく分からねえが約束してやるよ。コイツを“悲しませない”と。

 

「トレーナー……」

「なんだよ、今度は何が怖いんだ?」

「チョコレートの噴水と一緒にオレンジジュースの噴水もやっていいか?」   

 

 まずはコイツの理想を叶えるための金を稼がなくちゃいけないな。何億かかるんだよ。

 ああ、世の中の男に聞いてみたい。

 結婚式の下見というのは、こんなにも大変な物なのだろうか、と。




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