ひみつ道具って映画でしか出てこないけどチートアイテム結構ありますよね。個人的には運の悪い人程、豪運になる「ツキの月」がお気に入りです。
ここはトレセン学園に(勝手に)構えている占いの館「表はあっても占い」
今日も今日とて彼女のもとにウマ娘達が占いに…来ていなかった。
「はぁ…暇ですねぇ」
テントの中で暇そうにしているのはこの占いの館の主であるマチカネフクキタルである。
(ドトウさんも明後日のレースの為に遠征してていませんし、今日はもうお店閉めちゃいましょうか)
そんな事を考えてた矢先、入り口の垂れ幕が上がる。
「おいっす、イギリストーストいるかー?」
ひょっこりと顔出すのはゴールドシップ、ここの常連である。
「マチカネフクキタルです!ご当地限定の菓子パンではありません!」
「じゃあネオバター…」
「全国展開の方でもありません!」
「わりぃわりぃ、冗談だって」
カラカラと笑いながら謝るゴールドシップ。
「…ところで何の用ですか、ゴールドシップさん」
とりあえずの応対をするフクキタル。
「用って、占いの館に来たらする事なんて占ってもらうしかないだろ」
話しながらゴールドシップは椅子に座る。
「最近はアオハル杯?っていうのがあんだろ?アタシらのチームは絶賛鰻登り中でな、今こそアタシの時代が来たんじゃねーかと思ってるわけさ、実際どうよ?」
「成程…では占ってみましょう」
フクキタルは水晶玉に手をかざし念を込め始める。
「むむむ…むむむ…む!見えたました、ゴールドシップシップさんの運勢は…凶です!」
「よし、ブッ潰す」
いつもの流れをしたところで再びテントの垂れ幕が上がる。
「あっ、ゴルシちゃんここにいたー」
テントの中に顔を出した人物、ゴルシと同じチームメイトのハルウララであった。
「おっ、ハル坊じゃねーか」
「おや、ウララさんですか、こんにちは」
「フクちゃんだー!こんにちは!」
元気よくフクキタルに挨拶をするウララ。
「して、ゴールドシップさんに何かご用でしょうか?」
「えっとねー、トレーナーがゴルシちゃんを探してたよ」
「どーせトレーニングだろ?今日のゴルシちゃんはサボタージュステークスに出走するから無理なんだわ」
「そんなレースは存在しませんが…」
ゴールドシップに言うフクキタル。ふと、ウララが木の棒を持っている事に気づく。
「おやウララさん、その棒は?」
「これ?さっきゴルシちゃん探しているときに拾ったんだー!」
木の棒を見せるウララ、程よい長さで手に持ちやすい形、艶やかで見た目も良く、それこそウララやターボあたりなら気に入りそうな木の棒である。
「おお、すげぇ良い棒だな!こいつはきっと伝説に伝わる名棒、斬鉄エクスグラムだな!」
波長が合うのかゴルシも反応する。
「えへへーこの棒凄いんだよ!ゴルシちゃんのいるところ教えてくれたんだ!」
「棒が?どういう事でしょうか」
「ゴルシちゃんどこかなーって思いながらこうやって棒から手を離して倒れたところに歩いていくの、何回かやってたらね、ここに着いたの!」
むふーと自慢げに棒を掲げるウララ。
「なるほど、棒占いですか」
古今東西、様々な占いに詳しいフクキタルはすぐに種類を言い当てる。
「へー、マジで当てたんなら占ってもらおうじゃねーか」
「ゴルシちゃん、誰かを探すの?」
「おう、本当にアタシの場所当てたんなら試したくなったからな、Where is McQueen?」
「なぜ急に英語を!?」
「よく分からないけどあいあいさー!」
テントの外に出た3人は棒の倒れた方向を見る。
「あっちは確か…校舎でしたね」
「おっし行くぞ!ハル坊、フク助ついてこい!」
「はーい!」
「ええ…私もですか」
フクキタルは屋形の入り口に[準備中]の札をを立てたあと元気よく走り出すゴルシとウララの後をついて行った。
3人は校舎へ向かうがマックイーンの姿はない。
そこでウララがもう一度棒を立てて手を離す。
しかし不思議な事に棒は直立したまま倒れない。
「おい、この棒重力に逆らってるぞ」
「あれー?おかしいなー?」
不思議そうに棒を眺める2人、そんな2人を見ながらフクキタルが言う。
「この棒もかなり不思議ですが、倒れないという事は上にいるという事ですよね、つまり…」
フクキタルの発言にゴルシがハッとする。
「まさかマックイーン、アタシに黙って宇宙進出しちまったのか!?しまった、月の漁業権は渡さねぇぜ!」
「いや、そこは普通に考えて校舎の2階、3階、屋上のどれかでしょう。で、各階で棒を倒して、倒れた階のどこかにいると考えるべきでは?」
「おお!なるほどな、頭良いなフク助!」
-トレセン学園屋上-
「ふふふ…遂に待った至福の時間」
そう言いながら手に持った箱を開け、法悦の表情を浮かべるウマ娘が1人。
「ああこれですわ、後は私の体に収めるだけ!さあいただきまー」
「何してんるんですか?マックイーンさん」
塔屋の裏で1人呟いているマックイーンにフクキタルが声をかける。
「ひゃあああああ!」
背後から突然声をかけられたマックイーンは尻尾をピンと立たせるほど驚く。
その際に手にしていた物、1日100セット限定、3個入りフルーツマカロンが宙を舞う。
「ああ、私のマカロンが!」
放物線を描いて落下するマカロン、そこに駆けつける人物が1人。
「任せろ、マックイーン!」
「ゴールドシップ!キャッチしてくれるのですか!?」
突然のゴールドシップの登場も気にしないほど切羽詰まっていたマックイーン、せめて1個、いや出来る事なら3個全部キャッチしてほしい。
しかしマックイーンの考えをとは裏腹にゴールドシップは手ではなく口を大きく開けた。
そして瞬く間に3個のマカロンを口でキャッチ…もといパクパクする。
「ああああああ!私のマカロンがぁ!」
絶叫するマックイーン。
「いやー美味いな、この甘いの」
「ゴールドシップ!何故あなたが食べるんですか!」
「あのままだったら地面に落ちて食えなくなっちまうだろ?だから食べれるうちにアタシが食べた」
「なら口に入れるのは1個にして2個は手でキャッチしてくださっても良いのでは!?なのに3個全部なんて卑しんぼですわ!」
「あのー…」
ぎゃあぎゃあと騒ぐマックイーン、声の掛けられた方を見るとフクキタルとウララがいた。
しばしの硬直のあと即座に冷静になるマックイーン
「コホン…失礼、少し取り乱してしまいましたわ」
「少しってレベルじゃねーだろ」
「お黙りなさい、ゴールドシップ!…ところで皆さんはどうして此処へ?」
「えっとねー、ゴルシちゃんがマックイーンちゃんを探してたからコレを使って手伝ったてたの!」
そう言いながら、良い感じの棒を掲げるウララ。
「棒で?ええと…どういうことです?」
「実はですね…」
フクキタルはここまで来た経緯と、人探しをしていれる不思議な棒について説明をする。
「なるほどそういう事ですか」
話を聞いたマックイーンは急に静かになりしばし考え込む。
「この際占いでも…試して…」
何やら呟いた後、マックイーンは意を決した顔をする。
「あの…もしよろしければ少し相談に乗って欲しいのですが」
「相談ですか?」
「ええ…あまり大きな声では言えないのですがチーム部室にある物が消えてしまう事態が続いているのです」
「勘違いじゃねーの?」
「そんな事はありません!昨日も一昨日も確かにあった物が無くなっていたんです!」
マックイーンは真剣な面持ちでゴールドシップに言う。
「して…無くなった物は何でしょうか?」
フクキタルがマックイーンに質問をする
「それは…言えませんわ」
「えー何でさ、そりゃないぜマックイーン」
「乙女の秘密というものですわ、察してくださいまし!」
「まあまあ、話したくない事もあるでしょうし詳しくは聞かないでおきましょう」
「仕方ねえな〜、とりあえずは犯人探しってわけか、んじゃあハル坊よろしく頼むわ」
「りょーかーい!」
ウララが棒から手を離すと倒れ、ある方向を指し示す。そこに1人のウマ娘がいた、ゴールドシップである。
「えー!ゴルシちゃん、どろぼーさんだったの!?」
「待て待てハル坊、アタシは何もとってねーよ、なあマックイーン」
ゴルシがウララを宥めながらマックイーンを見るとマックイーンはプルプルと震えていた。
「…ラーナ」
「え?」
「冷凍庫の中に入っていたカタラーナ、食べたのは貴方だったんですね、ゴールドシップ…」
「…あっやべ」
「今、やべっと言いましたわね!」
「言ってねーし」
「なるほど、あくまでシラを切るおつもりですか、なら徹底的に問い詰めましょうか、ウララさん!」
「あいあいさー!」
「戸棚の中にあった限定芋羊羹を食べたのは?」
棒はゴールドシップを指す
「私のロッカーに入れてあったフィナンシェを食べたのは?」
棒はゴールドシップを指す
「では食器入れの1番奥、ティーセットの壁で隠していたチョコスコーンは?」
「ちょっ!マックイーンさんはどれだけお菓子を隠しているんですか!」
隠してあるスイーツの量にフクキタルはツッコミを入れる。
ウララは相変わらず棒を立て、手を離そうとしたその時。
「おっと、手が滑ったー!」
ゴールドシップは棒を掴み天へと思い切り投げる。
「「あー!棒がー!」」
ウララとフクキタルは大声で叫ぶ。
「悪りぃなハル坊…あいつは急用で故郷のホープ星に帰らなきゃいけなくなっちまってな、アタシが手伝ってやらなきゃなんなかったんだ」
「そっかーなら仕方ないね!」
明らかにおかしい言い訳に納得するウララ
「ゴールドシップ!貴方誤魔化しましたわね!」
「なあマックイーン、すぎた事を気にしても仕方ねえだろ、アタシ達が生きてるのは今なんだぜ!」
「いい話風にまとめないでくださいまし!私のスイーツを全部返しなさい!」
マックイーンがゴールドシップに詰め寄る。
「アタシが食べた証拠は無いだろ?」
「いいえ!占いで何度も同じ結果が出ているでしょう!つまりゴールドシップが犯人だと三女神様がそう告げています!」
「マックイーンちゃん、フクちゃんみたいな事言ってるね」
「えっ私あんな感じ何ですか…ってアレ?」
フクキタルとウララが上空に目を向けると先程ゴールドシップが投げた棒が回転しながらブーメランのように戻ってきていた。
棒はそのままマックイーンと取っ組み合っているゴールドシップの頬にスイングする形で直撃した。
「ぐぬぉぉ!」
死角からの一撃に膝から倒れ込むゴールドシップ、そのまま燃え尽きたかのように灰色になったと思ったら、一瞬で色を取り戻し起き上がる
「くっ…マックイーンを誤魔化せてもお天道様の目は誤魔化せなかったか」
「では認めるんですね?」
「おうよ!マックイーンがトレーナーにスイーツ制限されてながらこっそり蓄えていたスイーツ達を食べてたのはこの怪盗ゴルシ様だ!」
観念したのかいらん情報まで白状するゴールドシップ。
「つーわけで残りの隠し場所と隠れて食べていた件についてはトレーナーに伝えてくるわ」
「させませんわよ!」
「甘いな、ゴルシワープ!」
そう言うとゴールドシップは一瞬で屋上から姿を消した。
「くっ!?逃しませんわ!」
マックイーンも教室練の方へ階段を下っていった。
屋上に残されたフクキタルとウララはそのやりとりを呆然として見ていた。
「ゴルシちゃんもマックイーンちゃんも行っちゃったねー」
「そうですね…というかマックイーンさんが言い淀んでいたのはトレーナーさんに内緒でお菓子を食べてたからなんですね」
「「…」」
「帰りましょうか」
「うん!」
2人は校舎を出て寮へと向かっていった。
帰り道、チーム部室練から「あんまりですわー!」と悲痛な声がしていたとか
ちなみにウララが見つけたこの不思議な棒はフクキタルが物凄く欲しがっていたのであげました。