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越後国━━━
守護代たる長尾家を、上杉を掌握し越後を支配するにまで育て上げた男がいた。
名を長尾為景。上杉房能を殺し、息のかかった上杉定実を守護大名の座に添えることで実権を握った鬼謀の将である。
しかし、どれほどの良き将であろうと死からは逃れられない。
長尾の屋敷にて、為景は病に伏していた。死を悟った為景は、傍に子である長尾晴景と虎千代を呼び出した。
「わしは…もう長くない。晴景、お前が長尾家の当主じゃ。後を頼む……」
「はい、父上。私にお任せ下さい」
「うむ……虎千代、そちはもう少し修行を続けよ」
「はい」
「ゴホッゴホッ!……フゥ…フゥ…最後に、これだけは心に留めておけ。お前たち兄弟が後継ぎを争うようでは、長尾家もそれまでと思え…よいな、これがわしの遺言じゃ……」
「はっ、よくわかりました」
「承知しました父上」
「うむ……」
返事をするが、為景の目はまっすぐと晴景を捉えていた。虎千代には一瞥もくれず、ただただ晴景を見て……ため息をつきながら目を閉じた。
やがて為景の呼吸は深くなり、それは眠りについたことを二人に示した。
二人は寝室を出ると、廊下をおなじ方角へと進み始めた。
「虎千代、感じたか」
「兄上、それはどういうことでしょうか」
「父の姿を見て、何を思ったか」
「はい!昔ほどの覇気は失われておりましたが、未だその心には何か強いものがあるかと!」
「……そうか」
その答え。そこに隠されたものを、晴景は敏感に感じとった。晴景は思う、虎千代が感じていたその『強いもの』とは、きっと……。
「兄上!一緒に稽古しましょう!今日こそは白星を挙げますよ!あはははは!」
虎千代、お前に向けられた恐れであったのだろう。
晴景は知っていた、為景の心の内を。
虎千代を見なかったのは、その本質を恐れていたから。
晴景を見ていたのは、当主として虎千代に脅かされるであろうことを確信していたから。
ため息をつき安堵したのは、これからの長尾家はどうにもならぬことを知りながら虎千代から離れることができるから。
その優れた目を持っていたがゆえ、為景は容易く未来を予知してみせた。みせてしまった。
そして元服も果たし、己の現状を知った晴景もまた、受け継いだその才能によって虎千代による自分の行く末を捉えていた。
この後、晴景は長尾家を継ぎ、虎千代は寺で修行を続けた。
長尾家の先を案じる彼の名は長尾晴景。為景の息子であり当主と定められた者。
そして人ならざる子として生まれてしまった、妹の虎千代、後に上杉謙信として後の世に名を残すナニカに、全てを授けてなお、名を残せなかった者である。
続けようか迷ってる。
どうしよう、続けようかな
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続けて!
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続けなくていい