緊急事態が発生。春日山城では急遽評定が行われていた。
「大変です
「なんと、ちょうど三方に軍を配したこの機にですか……手薄になったこの本陣を狙ってでしょうか?」
「へっ!そんなの皆殺しにしちまえば一緒だろ⁉殿様、さっさとぶち殺しに行こうぜ!」
「まだ敵軍の全容も知りえていないというのに……マシュ、敵軍の規模はいかほどなのです?」
「そ、それがですね。報告によりますと、攻め込んでいる敵対者は…その、たった一人と」
そのころ、戦場となっている領内にて。
重厚な鎧を身に着けた荒武者が、鬼の如く行く手を阻む全てを薙ぎ払いながら進行していた。
「カカレェ……、カカレェイ…!」
足軽兵の銃撃や弓矢が荒武者を襲う。しかし、それはまったく堪える様子もなくただただ前進する。
為す術もない力の権化かとも思われたが、唯一歩みを遅くする事もあった。
「ノッブァー!」
(訳:撃てぇ!)
数多の銃声が一斉に轟く。その銃弾は多少なりとも荒武者の肉を打ち、前進を阻んでいた。
晴景率いるちびノブ部隊である。晴景はちびノブの報告から敵をサーヴァントと断定。景虎をぞんざいに上階へと投げ捨て、ちびノブ兵の指揮を執り足止めを決行していた。
ちびノブは個々がサーヴァントですら面倒くさく思わせるほどの戦闘能力を有す。いかに猛き英霊と言えどもちびノブらの一斉掃射を受ければダメージが通る。
「オオォ、オオオオオオッ‼」
『ノッブー⁉』
しかしやはり足止めが限界。数多の銃弾を浴びせようが、荒武者は怯みこそするものの勢いは衰えなかった。いや、一歩踏み出すごとに増している。その一振り一薙ぎでちびノブ兵は空を舞った。
「ノブァブァ!ノッブァー!」
(訳:怯むな!撃ち込めぇ!)
再び銃弾の雨が降り注ぐ。荒武者も強力で迎える。その繰り返しであったが、ようやく援軍が駆け付けた。
「皆は下がりなさい!あとは我々が引き受けます!」
「足軽の皆さんはこちらに!」
「おお、武将方が駆け付けてくれた!」
景虎を先頭にカルデア家の将が到着。足軽やちびノブ兵を下げ、晴景の隣についた。
「あれが敵将ですか……む?はて?あの鎧姿、どこかで…」
「あん?ありゃあ……なんだよ、柴田のおっさんじゃねえか!」
「知り合い?」
「おうよ。うはははは!殿下にぶっ殺されたと思ったら、こんなところにいたのかよ!元気してたか!」
「織田の柴田勝家……手取川以来ですね…」
荒武者の名が判明した。
柴田勝家。織田家の家老を務めた古株、そして『鬼柴田』と名を轟かせた豪将である。上杉に逢うては織田も手取川。能登の七尾城の救援にきた織田軍を率い、上杉謙信と激突した。結果、七尾城は陥落。水攻めに苦しめられながらも謙信の追撃を躱し、撤退を成功させた。
「カカレェ……、カカレェイ…!」
新たな敵を感知したのか、柴田は地を踏み鳴らし火花を散らす。晴景は立香やマシュを背に立ち、景虎と長可が前へ出る。
「これ以上進ませる訳にはいきません。ここで仕留めます!」
「悪く思うなよ、柴田のおっさん!そんじゃあ、いくぜえええええ!!」
先制を取ったのは長可。長槍を振り回し豪快に柴田を薙ぎ払わんとする。しかし柴田が力で押されるはずもなし。刀に赤黒の雷を纏わせ弾き返した。
されど大振りの攻撃は景虎にとって絶好の機会。闘気が込められた鋭い一刺しが柴田の胸に炸裂。地に後をつけながら後退させた。
「カカレェ……、カカレェイ……!」
「なんとも頑強な…私の全力の突きであの程度ですか」
「うはははは!さっきのなんだよ柴田のおっさん!雷なんて出せたのかよ!」
余裕があるかの如く振る舞うも、内心には少々焦りがあった。いかにバーサーカークラスのサーヴァントとはいえ、あまりにもダメージを負わせられない。狂化のスキルでステータスを上昇させているとはいえ異常だ。
しかしそれでも、この二英霊はそういった手勢に劣ることは終ぞないだろう。
「簡単には死なねぇみてえだけどよ……コイツをやれば柴田のおっさんでもキツイだろ!?うおおおオオオヒィヤッッハアアアッッ!!」
宝具展開。眼光を赤く染め、長可は柴田へと愚直に突貫。柴田も赤黒い魔炎を纏わせ迎撃の体勢をとるが、長可は狂笑に付した。
「防御は無駄、鎧も紙くず同然!嗤え、『人間無骨』!!!」
「ヌ…ウオオオオ!?」
槍が柴田の腹を抉り、血の洪水を起こした。深手に大きく怯んだ柴田へ、次なる槍が迫る。
「取った!これで終わりです!」
銀閃が一筋、狂光を失った柴田は膝から崩れ落ちた。
「やれやれ、ようやく止まったか…。流石は掛かれ柴田ってとこか?織田家中じゃ気合い入ってた方だしな、柴田のおっさん」
「一歩ごとに力を増していたようですが、もしや何かの宝具の効果だったのでしょうか…?」
警戒を解いている二人。しかし晴景はピクリと動いた柴田の指を見逃さなかった。
「ノブブッブ!ノブブノブブァー!」
(訳:浮かれるな!油断は敵ぞ!)
『!?』
確かに致命傷を与えたはず。しかし柴田、折れた膝を立て剣を支えにその巨体を揺り起こした。
「………ェ、…………レェ、…………カカレェッ!」
魔力が放出される。猛り狂う赤黒の雷光と共に、柴田は戦場に返り咲いた。
「また動き出した!?」
「おいおいおい!手も足もちぎれかかってんだろ!?気合い入りすぎだぜ、柴田のおっさん!」
「し、しかも、身体も大きくなっているような!?」
「このまま進ませるわけにはいきません!ここは私の宝具を使ってでも……っ!」
魔炎が立ち上り雷光が迸る。それらは剣へと収着し、禍々しい狂剣の刀身を形作った。
「備えなさい!来ます!」
「カカレェ…!カカレェイ……!!信長様、コノ権六二イイイッッ!!」
石 灯 籠 斬 り
「オ任セアレェエエエイ!!」
大上段からの叩き斬り。絶大な魔力を伴った一撃が襲う。その場もろとも全てを薙ぎ払うかと思われた。
小さな体躯が躍り出た。晴景である。
『!?』
「カカレェェエエエイイッッ!!」
皆が驚愕する中、柴田のみは意に介さず振り抜かんとする。晴景は刀を合わせるが、その剛力に敵うはずもない。しかし横に流せば立香らが危ない。で、あれば。
「っ!な、なりませんッ!」
刀が弾かれる。しかし晴景は微動だにせずその一撃を受け入れた。
鎧はノブに在り
魔力の激流を一身に受ける。脆弱なちびノブボディはみるみるうちに削られ、しかし晴景、声一つ立てず。
鎧は胸にあり。己の心こそ、何にも代えがたい最強の鎧なのである。それも敬すべき主人と仲間が守る対象であれば。
魔力の渦が収まれば、そこに立つものはいなかった。魔力が尽きたか柴田勝家の姿はその場に無く、晴景の姿も僅かな着物の切れ端を残し消えていた。
伸ばしていた彼女の手は空をきり、やがて静かに落ちる。再び空いた心の穴に、困惑よりも先に顔から何かが地に零れたのだった。
「対象、未確認生命体特殊個体の回収完了。摩玖主本能寺へ帰還する」
ところで皆さん福袋やアーキタイプ、新水着とかどうでした?
私は福袋でアルジュナ・オルタや水着武蔵ちゃん、そして開幕の10連でそれぞれアーキタイプとレディ・アヴァロンを迎えました。石は有り余ってるので伊吹姉さん待ち。