SPIDER-MAN ~Girls band party~   作:通りすがりのゴキブリ

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リサ姉「ねぇ、ゴキブリ。」

作者「ハイ。」

リサ姉「一応アタシこの小説のメインヒロインだよね?」

作者「ハイ。」

リサ姉「何でアタシの出番こんなに少ないのカナ~?」

作者「いえ、その…今の所千聖さんが原作で言うグウェン・ステイシー的な立ち位置なので‥‥その…今回はあなたがメインの回なので!」

リサ姉「ねぇ…ゴキブリ…」

作者「ハイ。」

リサ姉「アタシって本当にゴキブリの推しキャラなの?」

作者「‥‥‥」

リサ姉「千聖に鞍替えしたんだね…」

作者「すいませんでした!」





言ってみてよ。‥‥僕は聞く事しか出来ないかもだけど。

休日が過ぎ、平日の月曜日。

 

「おっす!ユウ!」

 

「ああ、おはよう海斗。」

 

朝の教室で俺と海斗はお決まりの挨拶を交わす。

 

「で?現像は終わった?」

 

「おうよ! ほらコレが例のブツだ。」

 

教室の端で闇の取引をしているかの様に、コッソリと例のブツを受け取る。

 

と言っても海斗から受け取った物は別に危ない薬でも無いし、豆腐以外に『丁』と数える黒光する物でもない。

 

「ありがとうな。」

 

「いや、これくらい御安い御用さ。そんな事より‥‥ほら、行ってきな。」

 

「ああ、ありがとう。行ってくるよ。」

 

そう言うと、僕はブツを手にリサさんの元に駆け寄る。

 

そう、会話から解ると思うけど、海斗から受け取った物は僕の「写真」。

 

と言ってもただの写真ではない。僕の‥‥いや、スパイダーマンの写真だ。

 

「リサさん!おはよう。」

 

「あ、ユウじゃん!おはよー!」

 

何時もと同じく明るい笑顔で挨拶を返すリサさん。でもその笑顔は何処か陰があり、少し暗さを感じた。

 

「えっと‥‥これ、約束してたスパイダーマンの写メ持って来たよ。」

 

「本当!?ありがとー!」

 

 

ポケットから写真を取り出し、リサさんに手渡す。

 

受け取ったリサさんは嬉しそうに笑っているが、やはりその笑顔は何処かに違和感があり、見ている側からすれば悩んでいる様にも、苦しんでいる様にも見えた。

 

 

「ねぇ‥‥リサさん。」

 

「何?」

 

「もしかして、何か有った?」

 

そう聞いた瞬間、リサさんの表情が少し曇った気がした。

 

…やっぱり何かあったんだな…

 

「あ、あはは…別に何もないよ?」

 

するとリサさんの瞳が一瞬だけ左下に移る。

 

この『瞳が左下に移動する』と言うのは心理学上、「嘘をついている」事を意味する。

 

つまりリサさんは、人には言えない何かを抱えていると言う事だ。

 

「リサさん…それってもしかして人には言えない事?」

 

「…えっと…何の事カナ?」

 

リサさんはクラスの中でも「頼れるお姉さん」的なポジションを取っている、本人もその役割が気に入っている為か余りリサさんは人に悩みを打ち明けられない性分なのだろう。

 

でも…

 

「その…僕で良かったらさ、言ってみてよ。‥‥僕は聞く事しか出来ないかもだけど。」

 

少しでも彼女の悩みや負担を減らしてあげたい。

 

お節介かも知れないけど…僕が出来る事なんてたかが知れていると思うけど。

 

「僕じゃ…役立たずかな?」

 

「…役立たず…か…何て言うか…アタシが役立たずだなぁって言うか‥‥」

 

するとリサさんは僕の手を掴み、席から立ち上がった。

 

「…ゴメン、あっち行こっか。」

 

 

***

 

教室から出た廊下にて。

 

「……ゴメンね、こんな所に連れて来ちゃって。」

 

「いや、良いよ。人には言いづらい事なんでしょ?」

 

「うん…まぁ、それほど大事って訳じゃ無いケドね‥‥」

 

リサさんはそう言っているが、その顔は暗く、彼女が悩んでいるのは只事では無い事を意味していた。

 

「それで…何が有ったの?」

 

「‥‥実は‥‥」

 

 

リサさんの悩んでいる理由はこうだった。

 

リサさんは趣味でバンド活動をしているのだが、どうやら先日練習をしていた時、バンド仲間がスパイダーマンの話をした途端、急に機嫌を損ねて怒ってスタジオから出て行ってしまったらしい。

 

スパイダーマンの活動をしてかれこれ1年、今でも僕の事をヒーローとして慕ってくれる人達もいるが、同時に僕の事を「覆面で顔を隠す悪党」だったり、「自警団気取りのイカれた奴」等と否定的な目で見ている人たちもいる。

 

でも…スパイダーマンの話をした途端スタジオから出て行く程怒るなんて……行き過ぎだ……

 

その子に何が有ったのかも気になるけど…

 

「それでアタシ‥‥スタジオ出て行ったその子を追って…何が有ったのか話を聞きたかったんだけど…アタシ…何も出来なくって…」

 

…成る程…それで責任を感じているのか…

 

「ねぇ‥‥ユウ。アタシどうすればその子の事助けられるかな?」

 

「‥‥‥バンドメンバーが大好きなんだね、リサさんは。」

 

こういった時、僕は何て返せば良いのかな……

 

一応聞いたは良いけど‥‥こういう時アニメの主人公とかならカッコよく返せるんだろうけど…

 

ううん、違う。こう言った事はちゃんと思った事を伝えないと。

 

「‥‥変に隠しても意味が無いから、僕が今思った事を正直に言うね。」

 

僕はリサさんの目を真っ直ぐに見つめる。

 

「リサさんには何も出来ないと思う。」

 

「…え?」

 

リサさんの表情が一気に曇り、思わず僕の言っていた事が信じられないのか、聞き返してきた。

 

それもそうだろうな…僕は静かに、出来るだけ彼女を傷つけられない様に言葉を選びながら口を開く。

 

「きっとリサさんは優しいから、そうやって責任を感じて自分を責めちゃうんだろうね…でもリサさんはスパイダーマンと言う正義のヒーローを『信じられる人』……たった17年ぽっちの女の子の人生、きっと今まで大きなトラブルも自分や周りの力で解決できるレベルの物だったんだと思う。」

 

「それは…!」

 

「自分でも解決できないトラブルが起きた時も、スパイダーマンと言うヒーローが助けてくれた、だからリサさんは何の不安や疑問も無くスパイダーマンを信じられる…違う?」

 

リサさんは反論しようと顔を上げるが、僕の言っている事が図星の様で、再び表情が暗く、俯いてしまう。

 

「バンド仲間のその子はきっと……ヒーローと言う存在を『信じられない人』…自分でもどうしよも無いトラブルが起きた時、ヒーローが助けてくれなかった存在…リサさんとはちょっと人種が違うと思うんだよ。」

 

「『信じられない人』……」

 

「傷つけたらゴメンね。でも優しい言葉で濁すのはフェアじゃないと思うから…」

 

「ううん…その通り…だと思う…」

 

俯きながらも気丈に返事するリサさん。でも声が震えており、瞼一杯に涙を堪えている事がすぐに解った。

 

「でもさ、リサさん。僕はリサさんより数か月くらいスパイダーマンのファン歴長いから、色々こういった手助けはできる。」

 

強い罪悪感を抱くが、これは大事な事。そう自分に言い聞かせつつ、僕は胸ポケットからボールペンとメモ帳を取り出し、ある電話番号を書くと、それをリサさんに渡した。

 

「…これは?」

 

「…スパイダーマンの連絡先。」

 

「え?!」

 

先程の暗さは何処へやら、目ん玉が飛び出る勢いでリサさんはビックリしている。

 

それもそうだろう、スパイダーマンは何時も連絡先を聞かれても茶を濁して終わりで有名だし、最近開発したアプリですらメールの様に一方通行の連絡しか取れない物。

 

そんな中、僕がスパイダーマンの連絡先を知っていて、それを自分に教えてくれる事に着いても驚いているのだろう。

 

「…でもこれで、その子がスパイダ―マンと何が有ったのか。聞く事が出来るんじゃないかな?」

 

「う、うん‥‥」

 

リサさんはそれを受け取ると、少し不安そうな表情をした。

 

「…大丈夫、スパイダーマンは誰かを傷付ける様な真似はしないよ。これは天に誓って言える。」

 

「うん…だよね…そうだよね…」

 

少し安心した様なリサさん。

 

僕はそれを見届けると、教室のドアを開こうとする。

 

「ま、待って!」

 

だがリサさんは、それを止める。

 

「…どうしたの?」

 

「その……話、聞いてくれてありがとうね。連絡先、後でスパイダーマンに電話掛けてみるから。」

 

「うん…役に立てたなら良かったよ。」

 

そう言うと、僕はドアを開き、教室の中に入って行った。

 

***

 

そして教室に入った後。

 

「おお、ユウ! 今井さんと二人で廊下に出てどうしたんだ? まさか上手くいったのか?」

 

「…海斗、少し調べたい事が有る。」

 

「ん?どした?」

 

「……過去に僕が関わった事件について、全て調べてくれ。」

 

「…は?! 全て?! お前気でも狂ったのかよ!」

 

「‥‥良いから、頼む。」

 

確かに正気を疑われるのも仕方無い、だが僕は本気だ。海斗もそれを理解したのか、静かに頷いてくれた。

 

「ありがとう。全部終わったら何か奢るよ。」

 

「そうだな…まずはチーズバーガ—だ。」

 

海斗はそう言うと、さっそく作業に取り掛かる為に鞄からノートパソコンを取り出し、キーボードを叩き始めるのだった。

 

 

 




次回も是非ご期待ください。

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