SPIDER-MAN ~Girls band party~ 作:通りすがりのゴキブリ
友希那「解ったわ!解ったからリサ、階段をブリッジで駆け下りるのは止めて!」
紗夜「…何…あれ?」
燐子「その…今井さん、今回の台本読んで、ようやくヒロインムーブできるって、すごく喜んでいて…」
紗夜「アレは…喜んでいるの? まるで悪霊に憑りつかれたみたいだけど。」
リサ姉「アハハハハ! やったよ!アタシ遂にメインヒロインになったんだよ! 」
あこ「紗夜さん!大変です!リサ姉が機嫌良くしてスムージー作ろうとしているのですが、ニトログリセリンをミキサーに入れようとしてます!りんりんも止めるの手伝って!」
リサ姉「アハハハハ!ヒロイン!メインヒロイン万歳!」
ユウです…久々にリフレッシュしようと思い、スタジオを借りてギターを演奏していたら、先日謝罪した人と遭遇しました。
ユウです‥‥「まぁ世の中狭いモンさ」と自分に言い聞かせ、窓越しに感じる眼光を無視して演奏を続けていたら‥‥頭数が何人か増えていました。
ユウです…
ユウです…
ユウです……
とまあ、軽いギャグでも挟まないと僕の胃がキリキリする状況が続いています。
そりゃ紗夜さん一人ならそんなに気にならなかったと思うけど、少し目を離した隙に窓越しに居る人が何人か増えていたんだから、そりゃビビるわ。
今現在、何とか知らん顔をしながら演奏を継続しているが、やっぱり気になって扉をチラチラ見てしまう。
「「「……」」
うん…少し時間を置いたら帰ってくれるって思っていたけど…一人も減ってねぇ。
もう駄目だ。我慢の限界だ。一言言ってやろう。
内心苛立ちながら扉の前に行く、紗夜さんが居るのは少し気まずいけど…あっちは僕がスパイダーマンである事知らないんだし…問題ないだろう。
「すいません。扉の前でじっと見られると演奏しずらい――――え?」
扉を開き、いざ彼女達に文句を言おうとした瞬間、俺はとある人物を見て一瞬で言葉が詰まってしまう程動揺した。
「あ、あはは…やっほー。ユウ…」
「リサ…さん?」
***
場所は変わりCiRCLEの外にあるカフェにて。
何故か俺は今井さんや氷川さんの他に、灰色の髪をした羽丘の女子生徒と黒髪ロングの花咲川の女子生徒、そして中学生と思われるツインテールの女の子に囲まれていた。
「あはは…なんか覗き見しちゃってごめんねー☆」
「まさかリサの知り合いだったなんて…」
今井さんは気まずそうに笑いながら謝り、僕とリサさんが同じ学校で同じクラスである事を聞いた灰色の髪の女の子は意外そうな目で俺とリサさんを交互に見ている。
「……」
「……」
「さっきの演奏凄かったです! あこ感動しちゃいました!」
氷川さんはこちらをじっと見つめて目立った反応はせず、黒髪ロングの子はオドオドと俺から距離を取っており、対象的に中学生と思われるツインテールの子はぴょんぴょん跳ねながら俺の演奏を絶賛している。
‥‥どうしよ、この状況。
今現在、一番会いたくないランキングベスト3に入る人物が二人も俺の目の前に居るんだけど。
氷川さんとは別に『小林ユウ』として話すのは初めてだし、少し気まずい程度で済むけど、今リサさんと話すのは抵抗が強すぎる。
だって俺、今日一日リサさんから逃げていたんだもん。
逃げも隠れも出来ないこの状況、コミュニケ―ション能力が高くない僕からしたら地獄だ。
それにリサさんのバンドメンバーと思われる人達が居るのも辛い。知り合いの知り合いとか気まず過ぎる。
でも…一体何なのだろう?
スタジオの外で僕の演奏を聴いていて、気になるから一言言ってやろうとドアを開けばそこには知り合いがいて、が付いたらあれよあれよとスタジオから連れ出され、ここに来ていた。
僕の数少ないリフレッシュの時間を邪魔してまで一体何の様だ?
「有難う。でも…演奏を褒めてくれるのは嬉しいけどさ、こんな所に連れ出して何の様? そろそろ本題に入って貰えないかな?」
するとリサさんの知り合いと思われる灰色のロングの髪をした女の子が前に出て来た、どうやらこのバンドを代表しての話らしい。
「…解ったわ。単刀直入に言うけど、私達の技術コーチになって貰えないかしら?」
…え? 急に何この人?
名前も解らない人にいきなり技術コーチに抜擢され、内心ドン引きする僕。急にするにしては話がデカすぎるだろ。
「一応聞くけど…何で僕なの?」
「ある程度察しが付くと思うけど、さっきの演奏を聞いて。技量が高いと感じたからよ。」
文句有る?と言わんばかりに両腕を組み、椅子に座る僕を見下ろす様に言う灰色髪。
いや、僕は君達の名前すら知らないのですが。
「いや…名前も知らない人間にコーチしろって言われても…」
「そうね、言い忘れていたわ。」
いや、真っ先に言うべき事だとおもうのですが、それは。
「私は湊友希那よ。」
「し、白金燐子です…」
「氷川紗夜です。」
「宇田川あこって言います!」
「アタシは…知ってると思うケド…今井リサだよ☆」
それぞれ自己紹介をするバンドメンバーの皆様方。
「いきなりコーチになれと言われてもね…いくら僕の演奏技術が高かったとしても少し強引だと思わない?」
「そうね…それは謝るわ。でも私達のバンドにとってとても大事な事なの。…貴方…名前は?」
「小林ユウだけど…」
「そうユウ…って呼べば良いかしら。貴方…一体何者なの? …さっき言った様に貴方の演奏技術は極めて高いレベルに達してしるわ。それこそプロでも通用する位に。」
…それはどうも、でも上手に弾けているのは、この人たちの様に練習して手に入れたものではなく、蜘蛛に噛まれて手に入れた力だから…演奏に関して褒められてもそんなに嬉しくないんだよな…
「ギターの演奏テクニックも私を遥かに上回る腕ですし、歌唱力も友希那さんを遥かに凌駕するレベル…悔しいですが、貴方の実力は私達の遥かに上を行きます。」
悔しそうに顔を顰める紗夜さん。…今の俺の演奏って覚えていたコードをそのまま弾いただけなんだけど…
「…と言う訳だから、私達の目標の為にも私達のバンド、『Roselia』の技術コーチになって欲しいの。」
紗夜さんの言葉を繋げるように、湊さんが腕を組みながらそう言う。
もう返すべき答えは決まっている。だがその前に、湊さんが言った事で少し突っかかった物がある。
「目標って言ったけど…どんな物だか聞かせて貰える?」
別に聞いてどうする話じゃない。ただ友達と遊ぶ為にする事が目的と言う世間一般的なガールズバンドのイメージと、このバンドのイメージが違っており、少し気になっただけだ。
「よく聞いてくれたわね。」
すると湊さんは組んでいた腕を下ろし、それを話す。
「私達が目指すことはただ一つ…FUTURE WORLD FESにトップの成績で出場する事よ。」
…何だって?
瞬間俺の身体から冷や汗が一気に吹き出る。
FUTURE WORLD FES…プロでも落選が当然の音楽フェス。だが1年前、俺が興味本位で出場した音楽フェス。そして…俺が音楽を辞めるきっかけになった音楽フェス。
頭の中で『あの時』の出来事がフラッシュバックする。
そう、あれはフェスが終わり、手に入れた力の愉悦感に浸っていた帰り道。
道端に集まる野次馬と警察達。そしてその中で横たわる一人の男性。
僕の数少ない家族。もう会う事ができない家族。
そう…あの時フェスに出たせいで…おじさんは…
「――――ウ?ユウ!」
「……!」
リサさんの声に気付き、ふと我に返る。
「…大丈夫? 顔色悪いけど…」
「う、うん…大丈夫…大丈夫だよ…」
リサさんが心配そうに僕の顔を覗き込んで来る。一応「大丈夫」って答えたけど、実際の所結構キツイ。
けど僕の様子を気にする事なく、湊さんは話を続ける。
「それで? 答えを聞かせてくれるかしら?」
呼吸が苦しい、冷汗が鬱陶しくて、耳元で鳴っている心音が五月蠅い。
「…ゴメンっ!無理っ!」
「ちょ、ちょっと! ユウ!」
俺はそれだけを吐き捨てる様に言うと、リサさんの声を無視して、俺はその場を逃げる様に走り出し、あても無く何処かへ駆け出すのだった。
これから徐々にリサがヒロインになっていきます。
いつも挨拶を交わし、ちょっとした世間話をする程度の仲。
そんな人が何かを抱えていた時、貴方はどうしますか?
次回「リサさんには何も出来ないと思う。」
例え無力でも、力になりたい。
最初のスーパーヴィランは誰が良い?
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