SPIDER-MAN ~Girls band party~   作:通りすがりのゴキブリ

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思いついたので挑戦しました、人気が有れば続けていきたいと思います。


本編
後悔したくないから


ここは高層ビルがひっきりなしに立ち並ぶコンクリートジャングル、日本の中でも屈指の人口を持つ都市、東京都。  

 

時刻は午後17時程の帰宅時間と言う時間帯。

 

学校帰りの学生達や会社帰りのサラリーマン達も既に皆帰宅が住み、少々静かになった頃のとある裏路地にて。

 

「いいから大人しく乗れや!」

 

「ちょ、ちょっと!警察呼びますよ!放して!」

 

そこでは一人の女子高生と30代後半であろう大柄の中年男性が揉めていた。

 

そこだけ聞いていたのならば良くある事であろう、ましてや男女の喧嘩なんて都会では大して珍しい事では無いのだから。

 

しかしそこで行われていたのは喧嘩等とは比べ物になら無い程深刻な問題だった。

 

何故ならそこで行われていたのは誘拐だったのだから。

 

男性は女子高生の腕を掴み強引に傍に停車しているワゴン車に乗せようとしており、女子高生の方は懸命に抵抗しているが筋力の差が激しくワゴン車に乗せられるのは時間の問題だ。

 

「くそっ!生意気に暴れやがって…!ほら、大人しくしろ!」

 

「…っ!誰か!」

 

とうとう女子高生は力負けし、ワゴン車の後部座席に無理矢理押し込まれ、組伏せられて両手をバンドで縛られてしまう。

 

女子高生は両手を後ろに拘束された状態でも尚抵抗する素振りを見せていたが、その目のハイライトは消えており、内心諦めているかの様だった。

 

だが男が一仕事終えたとため息をつき、スライド式の後部座席ドアを閉めようとした瞬間、男は動きを止めた。

 

否、動けなくなったと言うべきか。男性の手は確かにドアノブに触れていた、しかしその手はクモの巣の様な白く半透明な物質が付着してドアノブに張り付いており、男性の右手の自由を完全に奪っていたのだ。

 

「…っ!どうなってんだ?!」

 

何度も力を込めて手を動かそうとしたり、クモの巣を剥がそうとするが、粘着力は相当な物らしく中々上手くいかない。

 

「やぁ、良いワゴン車だね。でもごめん、君の手垢でドアノブ汚れちゃったかも。」

 

突然聞こえた軽口に男性は体をビクッと跳ね辺りを見渡して警戒する。

 

 

声の主はすぐに分かった。

 

先程まで人が居るなんて考えられなかったワゴン車の屋根に片膝を付いて座っている男が一人。

 

赤色のボディスーツと覆面を着けており、胸には大きな蜘蛛のシルエットが存在し、クモの巣を彷彿とさせる黒色のラインで色付けされている。

 

「…お前は…!」

 

男性はその男の名前を知っていた。

 

「…えっと…スパイダー男?」

 

「違うよ!スパイダーマン!スパイダーとマンの間にハイフン忘れないでね?」

 

ただしうろ覚えだが。

 

「…ん”ん”気を取り直して…見た感じさっきの女の子誘拐しようとしてるみたいだけど、それは感心できないね。今すぐ彼女を解放して。」

 

上手いこと咳払いをして威厳を見せるかの様な口調で話しかけるスパイダーマン、しかし先程の軽口のせいで余り威圧感を感じない。

 

「フン…何を言うかと思ったら…スパイダー男だか「スパイダーマンだよ!」……スパイダーマンだか知らないが…こっちは商売なんだ…悪いけどこの娘の解放は出来ないよ。」

 

名前を間違えた事を話の途中で指摘されたのが勘に触ったのかイラついたかのような口調で返す男性。

 

「……あー、そっか。じゃあお仕置き。」

 

「………っ!」

 

 

刹那、スパイダーマンは中指と薬指だけを折り曲げる独特なポーズを男性に向けるとスパイダーマンの手首辺りに装着されている装置から蜘蛛の糸の様なものが放出される。

 

それは男性の顔面に命中し、視界を完全に封じた。

 

「……~!!~!!」

 

顔に命中したため視界は塞がれなにも見えず、鼻と口も塞がれ息も出来ない。剥がそうにも右手はドアに張り付いており左手だけでは満足に力が入らずもがくしか無い男性。

 

「あー、こらこら暴れないの。」

 

スパイダーマンは車の屋根から降りるや否や後ろ回し蹴りをもがいている男性の頭部に打ち込む、その威力は強力で、一撃で先程まで激しく左手を振り回していた男性を地面に沈ませたのだった。

 

「…さてと…おーいそこの君、大丈夫?」

 

男性の顔に着いたクモの巣を剥がし、呼吸が出来るようにした後、開けっ放しだったドアからワゴン車の後部座席にいる女子高生の安否を確認するスパイダーマン。

 

「………」

 

両手をバンドで拘束されている女子高生は男性にこのワゴン車に乗せられた時と同じ体勢のうつ伏せの状態のままで上体を起こしてスパイダーマンの顔ををじっとと見つめる。

 

「おっ!やっと目が合った!ん?どした?そんなに見つめて…もしかして僕に一目惚れしちゃった?!」

 

「………」

 

場を和ませるために冗談を言ったが、どうやら心に深刻なダメージを負っているらしく、俯いたまま怯えるばかりだ。先程まで誘拐されそうになっていたのだから、無理もない事だろう。

 

「これで良いかな?」

 

「…ありがと…」

 

どうにか彼女の気を晴らす方法は無いかと懸命に頭を回転させつつ、彼女の両手を縛るバンドを引きちぎるスパイダーマン、だが一向に答えが見つからない。

 

「ごめん、怖かったよね…今警察呼んで保護して貰うから。」

 

これは自分の手に余ると判断し、女子高生を警察に保護して貰おうと連絡するスパイダーマン。

 

だが…

 

「待って…」

 

 

女子高生はそこでスパイダーマンの腕を掴んで静止する。

 

「ん?どうしたの?」

 

「まだ怖いの‥‥お願い、一人にしないで…」

 

未だに拉致られそうになっていた恐怖が残っているのか、眼は潤んでおり、声は震えて怯えている。スパイダーマンは彼女の状況を考えた末、優しい声で一つの提案を勧めた。

 

「それじゃ…家まで送ろうか?」

 

その提案に女子高生は、

 

「…うん…」

 

と俯きながらも頷くのだった。

 

***

 

その後、女性からの要望で家まで送る事になったのだが…

 

「それで、僕はそいつをぶっ飛ばしてこう言ったんだ『引っ込んでろ、このカビゴンが』」

 

「あはははは!カビゴンってあのポケモンの?!犯罪者でも太っている人にそれは可哀想だよ~」

 

スパイダーマンと女子高生は意外にも意気投合し、まるで古くからの付き合いの様に打ち明けて、彼女の家までの道を談笑しながら進んでいた。

 

意気投合と言っても、これと言って特別な事をした訳じゃない。

 

スパイダーマンが女性に気を遣い、軽い冗談や簡単な話題を振っている内に、女子高生も徐々に気力を取り戻して行ったらしく、気が付けばこうして話せるまでに回復していたのだ。

 

いくらスパイダーマンの冗談や軽口などでケアをしていたとは言え、小一時間でここまで回復するとは女子高生もきっと強い心の持ち主なのだろう。

 

すると今度は女子高生の方から話題を振って来た。

 

「あ、そういえばずっと気になっていたんだけど‥‥」

 

「ん?何だい?」

 

「何でスパイダーマンってヒーローになったの?」

 

女子高生は「無理して答えなくていいけど」と念を押し、そう質問する。

 

「うーん…そうだね…」

 

スパイダーマンは顎に手を当てて考える素振りをする、だが何処か彼の纏う雰囲気は先程の軽いものではなく、何処か暗く重さを感じるものだった。

 

「強いて言うなら…後悔したくないからかな?」

 

「後悔…?」

 

女子高生からしてみれば意味不明な回答であろう、しかしスパイダーマンは明確な答えを知っているかの様な口調で答えたのであった。

 

すると女子高生は急に立ち止まる。

 

「あ、……ここで良いから。」

 

「あ、はいよ。」

 

どうやら家に着いたらしく、女性は玄関に向かい鍵を開ける。自分の用は済んだとスパイダーマンは背中を向けるが、直後女性の声で引き留められた。

 

「…あのさ」

 

「…ん?」

 

スパイダーマンは何事かと振り替えるが、女性は玄関を向いたままだ。

 

「助けてくれて…ありがとうね…」 

 

「…うん!」

 

彼女は玄関を向いたままだった為表情は解らなかったが、声色はどこか優しく、心の底から感謝している事が感じられた。

 

 

感謝の言葉を貰ったスパイダーマンは今度こそその場を去るべく飛び上がりながら再び手首からクモの糸を放出し、近くの住宅をスイングしながら何処かへと去っていった。

 

 

 

背後からそれを感じ取り、振り替えってスパイダーマンが去っていった事を確認した女子高生…今井リサは静かに遠くでスイングしているスパイダーマンの背中を見つめると、静かに呟く。

 

「後悔したくないから…か…」

 

その時の彼女の表情は、口角が上がり、頬が少し赤く染まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




スパイダーマンの小説を書くことにまだ慣れておらず、少々不安ですが、何とか書ききれました。

今の所ヒロインはリサ姉と蘭ちゃんにしようと考えていますが、作者の気まぐれで変わるかも

ご感想等お待ちしております。

ブラックキャット出す?

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