SPIDER-MAN ~Girls band party~ 作:通りすがりのゴキブリ
作者の脳内でのこの作品の主題歌
OP「ツキアカリのミチシルベ」歌:Roselia
ED「CQCQ」歌:小林ユウ
リサside
「ざっとこんな感じだよ。」
ユウがその一言で話を終えた時には既に夕暮れ時は既に過ぎ、公園は薄暗くなっていた。ユウはと言うと公園の薄暗さと相まって今にも泣きだしそうな程の哀愁が漂っている。
「馬鹿だよね…俺…」
絞りだした様で、今にも消えそうなユウの声。
そんな状況でユウが話してくれた事は、彼の過去について。だがその内容は耳を疑うような事ばかりだった。
ユウはかつて伝説のバンドと呼ばれた「Amizing」のボーカルで、アタシ達Roseliaの目標である「FUTURE WORLD FES」にも出場した事もあるなんて…
でも、それ以上に驚いたのはそのフェスの裏で起こっていた事だ。
彼はフェスに出る前に自分の育ての親である叔父さんと喧嘩別れし、フェスが終わり、仲直りする機会が有るかと思えば叔父は強盗に刺されて亡くなっていた。しかもそれはユウがフェスの本番前に逃がした強盗だったと言う事だ。
「…今日ライブハウスに来たのも、もう1年も前の事だし、またギターを弾けたけど。‥‥やっぱりフェスの話を聞いた途端思い出しちゃって…キツかったみたい。」
意気消沈しているユウ。どうにか励ましたり、慰めてあげたい。でも…
解らない。
何て声を掛けたら良いのか、解らない。
叔父さんが死んだのはユウのせいじゃない。でも、そんな無責任な事を言うのは慰めにならない。
ユウは今自責の念に駆られている。助けるどころか、多分逆効果だろう。
それに音楽を辞めた理由も、フェスでの事が絡んでいるのだろう。
でも…解らない。今のユウには何を話しても気付けてしまう、そんな気がする。
瞬間、アタシの頭の中に再びユウの言葉がフラッシュバックする。
『リサさんには何もできないと思うよ。』
そっか…そういう事だったんだ…
そう、アタシはヒーローを『信じられる人。』そして、ユウはヒーローと言う存在を『信じられない人』…いや、きっと紗夜ともアタシとも違うどちらでもない存在、『信じたい人』なんだろう。
ユウの言う通りだ。アタシの17年の人生、自分でどうしよもない事なんて滅多に無かった。いや…それはアタシ自身が気付いていないだけか…きっと有ったとしても、誰かが助けてくれていたんだ…
誘拐されそうになった時だって、スパイダーマンが助けてくれたのだから。
でもユウは違う。
自分どはどうしよもない事、誰も助けられない事を経験していて、心に深い傷を負っている。
今すぐ出来ることは何だろう?
ユウをどうにかしてあげたい。でも、その為には何をすればいいの?
…だめだ、どう考えても浮かばない。
「…ゴメン、気分が悪いから今日はもう帰るね。」
ユウはそう言うと、ふらふらとベンチから立ち上がるとそのまま公園から去って行ってしまった。
アタシは引き止める事も出来ず、徐々に遠くなっていくユウの背中を眺めている事しか出来なかった。
ユウside
行く当てもなく、フラフラと夜の商店街を歩く。
目的もなにもなく、雑踏の中を彷徨う様に。
重くて怠い体を動かしながら、意味もなく辺りをとぼとぼと歩く。
今日、久しぶりに楽器を楽しく演奏できると思った。だがその願いは悉く打ちひしがれた。
今日聞いた「FUTURE WORLD FES」という言葉、俺が一生引き摺って行くであろうあの日の出来事。それを思い出してしまった。
「…弁おじさん…」
過去に自分の過ちで喪った家族の名前を呟く。
おじさん…俺は音楽を楽しむ事すら許されないの?
「大いなる力には、大いなる責任が伴う。」
かつておじさんと僕が最後に交わした会話、おじさんの遺言ともいえる言葉が脳内で何度もリフレインする。
だがその言葉が響く度、この「責任」と言う物を果たさなくてはいけないような感覚…強迫観念の様な物に心が襲われるのだ。
自分は常に誰かの為に生きなければならない、例え自分の喜びも、幸せも、全てを投げ打っても誰かの為に尽くさなくてはならない。
自分の中で誰かがそう命令しており、その命令に逆らってはいけない様な感覚に陥る。
俺はヒーローだ、人々の為ならば命を捨てる覚悟だってしている。だが‥‥矛盾しているかもしれないが、自分の好きな事、音楽が出来ない事、それを突き付けられた様で、少しキツく心が締め付けられた。
「はぁ…」
歩く気力をも無くし、近くの建物の柱に寄り掛かる。
自分の好きな事をするのはそんなに悪い事なのだろうか? ヒーローは趣味を楽しんではいけないのだろうか?
「俺って…カッコ悪…」
本来ヒーローなら今日の僕みたく休まずに常に誰かを助け、周囲に気を配り、自分よりも他人を優先する。
でも…今の僕は果たしてそれが出来ているのだろうか?
もしかしたら、自分がヒーローとしての自覚が甘かったから、氷川さんの家族を助けられなかったんじゃないか?
もし、自分がもう少しヒーローとしてしっかりしていれば、氷川さんは悲しまずに済んだんじゃないか?
千聖の言うように、俺はヒーローなのだろうか。
柱に体を委ね、俺は頭を抱えながら崩れ落ちる。
なぁ…おじさん…俺は今ちゃんと『責任』を果たせているのだろうか?
頭を抱え、俯きながら天国のおじさんに問い掛けるが、勿論返事は聞こえない。
すると、何処からか足音が聞こえる。
誰だろう? リサさん? もしかしてまた千聖が慰めに来てくれたのだろうか? それとも海斗か?
いや、違う。 この足音は妙にトテトテとしており、凄い速さで此方に向かっている。
本来なら警戒する所だろうが…スパイダーセンスも反応しないし、何より今はどうでも良い。誰が来ようと、今の僕はそんな事を気にする気力が――――
「貴方、笑顔じゃないわね!」
…え?
思わず頭を上げ、話しかけて来た少女の顔を確認してしまう。
千聖と同じ花咲川の制服を着て、千聖よりもやや濃いめの金髪、だが胸のふくらみは千聖よりも豊かだ。それに彼女が纏っている雰囲気は何処か活発さを感じた。
「君は…誰だ?」
「私はこころよ! 貴方を笑顔にしてあげるわ!」
こころ…そう名乗った少女は俺の手首を掴み、グイグイと俺を引っ張り始めた。
「ちょ、ちょっと! いきなり何?!」
「貴方を笑顔にしてあげるわ!」
駄目だ、話が通じない。
一応抵抗してみるが、全くビクともしない。力ずくで振りほどく事も出来るけど、下手にそんな事をするとこの子が怪我しかねないから、渋々少女に身を任せる。…ってアレ? この方角って…
数分後、俺の予想は的中した。
「こっちよ!」
「ちょ、ちょっと!こころさん!今はダメ!今『CIRCLE』に行くと面倒な事になる!」
そんなこんなで、俺はまた、Circreへと来てしまった。
周りをキョロキョロと見回すが、Roseliaの姿はない。
…良かった…リサさんとあんな別れ方して直ぐに再会するとか恥ずかしすぎる。
一刻も早く何処かの部屋に入らなければ…!
そんな事を考えつつ、どうにかこころさんから離れようとするが、ずっと俺の手を握っているせいで迂闊に振り払えない。
そのまま、俺はあれよあれよとステージ前に連行されてしまった。
「全く…一体何なんだよ…あれ?こころさん?!」
ステージ前のアリーナに連れられたと思ったら、今度はいつの間にか隣に居た筈のこころさんが消えていた。
ステージ前には俺しか居ない、これはこれである意味不気味だ。だがこんな所に連れ出して、こころさんまさか観客が俺一人のこの状況でライブをする気か?
そして1分ほどが経ち、いい加減帰ろうと思った時。
「はじめるわよ! 笑顔のオーケストラ!!」
ステージが突如眩いスポットライトに照らされた。
次回予告
こころ達の演奏を聞き、ヒーローとしての矜持を見出し決意を固めるユウ。
そんな中、再びリサに魔の手が忍び寄る。
次回「今度は…お礼をさせてくれる?」
どうも、作者のゴキブリです。リアルでの事が忙しくて長く更新できず、申し訳ございませんでした。
同じ世界線での物語であるよう実のクロス小説ですが、キャプテンアメリカに決まりました。
また、新しく執筆しているバンドリの小説はゲームの「龍が如く」のクロスオーバーにしたいと思います。
あと、この小説ですが、次話辺りで1章の最終回となり、2章からはスーパーヴィランを出したいと思います。
貴方が望むこの物語のエンディングは?
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ユウが闇落ちする
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ユウがヒーローから解放される(死ぬ)
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大勢の為に大切な一人を犠牲にする
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ユウに関する記憶が全て消える