SPIDER-MAN ~Girls band party~ 作:通りすがりのゴキブリ
読者の方が中々増えないのはやっぱりスパイダーマンと言うネタがミスマッチなのかな…
バンドリ小説界は厳しいわ…
誰か―!オラの評価バーに色を付けてくれー!
きっかけはある会話からだった。
「…ユウ…私ね、昨日大きなドラマのお仕事を貰ったの」
そう言う彼女の真剣な眼差しを見て、僕は彼氏として支え、応援しようと決意した。
「そうなんだ…女優とか芸能関係は大変かもだけど、僕も彼氏として全力で応援するから。だから…」
「ユウ」
けどそんな決意をした僕の手を彼女は、千聖は振り払った。
「私達…別れましょ?」
***
「…千聖…」
「…相変わらずみたいね…」
そして今、元カノである千聖は寂しそうな微笑を浮かべている。…でも違うだろ…君が何で寂しそうな顔をしているんだよ?あの時僕を突き放したのは君じゃないか。
でも…こんな状況でも会えて良かったと思っている事は、きっと未だに彼女に未練を抱いている証なのかも知れない。
でも、僕はもう‥‥
「…その…何でここに?」
「偶然よ、今から撮影行くって時に、貴方がそこに居たのよ。」
そうか、今日は撮影だったか、この半年一切の交流も無かったから忘れていた。
「…ごめん。」
「何も謝る事は無いわよ。じゃ私は仕事が在るから」
正直今彼女と居るのは気まずい、それはきっと半年前まで恋人であり、別れたという事もあるのだろう。
彼女から連絡する事も無かったし、僕から連絡する事も無かった。その理由もきっと純粋にお互い連絡するのが気まずかったからだろう。
でも今日、半年ぶりに会たのだ。彼女とは確かに別れた、けど完全に関係を終わらせたい訳ではない。せめて恋人じゃなくても良い、ただ友達としてでも話がしたい。
今ここで言わないと一生後悔するだろう。だから僕は全霊の勇気をもって彼女を呼び掛ける。
「…千聖」
「…何?」
立ち止まり怪訝そうな表情を浮かべる千聖。この表情が憤怒に染まるか、笑顔になるかは僕にも分からない、でも今ここで誘わないと。
「…仕事が終わったらさ…一緒に夕食でもどう?その…ミックで…」
「ミック」付き合っていた時もデートの待ち合わせ場所にしたり、よく一緒に二人で食事した馴染みの店だ。勿論別れてからは一度も行っていないけど、久しぶりに二人きりで話がしたいから僕はその場所を選んだ。
それを聞いた千聖は怪訝そうな表情から憤怒でも喜びによる笑顔でもなく。
「ミック?…はぁ…この半年間の事は帳消しで?」
「…う…」
「それに私は今から仕事なのよ?帰りが遅くなることぐらい察する事が出来ないのかしら?」
呆れによる嘲笑を浮かべながらそう呟く千聖。それもそうだろう、僕は半年間ほったらかしにしていた男だ。食事に誘った所で今更だろし、彼女は売れっ子の女優、一日一日が僕と一緒にいられない程ハードワークなのだろう。
「…そうだよね…ごめん。僕ももう帰るから。」
…もう僕達の関係は終わっているのだ、だからこれ以上引き留めても彼女の邪魔になるだろう。
行き場の無い寂しさを必死に悟られないようにしながら、彼女に背を向けその場から立ち去ろうとする。
きっと彼女は女優になり、僕よりも良い人と結ばれるだろう。だがそれで良い、彼女の人生に僕という存在は不要なのだ。
でもそう考えると妙に苦しくて、その場に居る事が辛かった。
「待って」
「‥‥え?」
しかし、立ち去ろうと背を向けた直後、背後にいる彼女が僕の事を呼び止める。
「誰も断るなんて言っていないわよ」
そう言うと、千聖は肩にかけているカバンをごそごそと探ると、一枚のメモ用紙と筆記用具を取り出し、メモ用紙に何かを書くと、それを僕に突き出してきた。
「…これ、私の新しいRINEのID。」
「…え?」
「その…私の方も半年間連絡も何もなくてごめんなさい。…言いにくいのだけど、私…貴方と別れた後すぐにスマホを機種変して…」
あまりにも唐突なことで理解できない。
「…貴方との『恋人として』の関係はもう終わったわ、でも…『友達』としての関係なら続けても良いわよ…例えば…今日は無理だけど、暇なときに一緒に食事する事とかね。」
視線をこちらに向けず、そう呟く千聖を見て、僕は初めて彼女の意図を理解した。
…なんだ…彼女も僕と同じく「友達」として関係を続けたかったんだ…
「…ありがとう、千聖」
「ええ…あ…ごめんなさい、私もう行かなくちゃ。」
「うん、撮影がんばってね…」
「ふふふ、ありがとう」
千聖は僕に静かに微笑むと、少し急ぎ足で撮影現場へと向かって行った。
何だか今の、付き合っている時の会話みたいだったな…
内心昔を懐かしみつつ、空を見上げる。
正直少し彼女との会話はぎこちなかったが、何というか…悪い気はしなかった。
***
それから千聖が撮影現場へと向かった後。
僕は着替えを終え、ウェブを用いたスイングではなく徒歩で帰路へ就いている。
今の僕はスパイダーマンスーツを着ていない。
先程千聖が去って行った後、物陰で着替えたので、現在は羽丘学園の制服を着ている状態だ。
現時刻は19時、すっかり日が沈んでしまっている時間帯で、本来帰宅する予定より少し遅れてしまった。
あまり遅くなると、鳴おばさんに心配かける、早く帰らないと…
僕は急ぎ足で帰り、家まで到着すると、そっと、ドアノブを破壊しない様に身長にドアを開く。
力を手に入れた直後は良くドアノブをぶっ壊しておじさんやおばさんに迷惑を掛けた物だ。
「ただいまー!」
玄関に入り靴を脱ぐと、奥からドアの向こうからパタパタと足音が聞こえる。その際少し聞こえる雑音で料理中だった事が解るのは我が家だけだろう。
すると、20代後半程の女性が少し息が上がった状態で奥から出て来る。
僕はそれを苦笑いしながら、改めて口を開く。
「ただいま、鳴おばさん。」
「おかえりなさい、ユウ」
僕の唯一の家族、鳴おばさんは屈託のない笑顔で僕を出迎えてくれた。
「ほら、ユウ。今日の夕飯はユウの好きなカレーだよ。」
「やった、いただきまーす。」
テーブルに出されたカレーライスをスプーンで掬い、口の中で頬張る。
ぶつ切りにされてそれぞれ大きさが違うニンジン、小さく切られた肉、煮崩れしたジャガイモ。
あまり鳴おばさんは料理は上手じゃない、だが…なんかこの味は「我が家の味」って感じでほっとする。
「美味しい?」
「うん、旨いよ。おばさん。」
先程言った様に、僕の家族は鳴おばさん一人だけだ。
両親は僕が幼い頃に事故で亡くなったらしく、祖父母も若くして亡くなったらしい。
一応他の家族として1年前まで叔父さんも居たけど…去年…
「今日は随分遅い帰りだったわね、ユウ。」
ネガティブな思考へ至ろうとした所、唐突におばさんに話し掛けられ、ふと我に返る。
「う、うん。友達とゲーセンで遊んでいたら遅れちゃって…」
「あら、若いわねぇ…」
咄嗟に吐いた嘘をあったりと信じるおばさん。何やら昔は相当な不良で地元の人間からは今でも恐れられているらしく、僕の帰りが友達と遊んで遅くなっても、「高校生なら普通」とそれ程気にする事もなく、詳しく追及する事もない。
何と言うか、スパイダーマンで帰りが遅くなるたびに、こうして嘘を吐くのは、少し申し訳ない気がする。
でも、もしおばさんが正体を知って、犯罪者たちが目を着けたらって考えると…ゾッとする。
そう、これは周りを危険に巻き込まない為に必要な嘘、少し悪い事してるように感じてしまうのも、スパイダーマンの辛い所だろう。
心の中で一人愚痴りながらカレーをまた一口頬張るのだった。
***
そして午後11時頃。
「それじゃあ、僕はもう寝るから、おやすみー」
「ええ、そろそろ私も寝るわ、お休みなさい、ユウ。」
僕はおばさんへ挨拶を済ませ、寝室へ行くと、急いで再びスパイダーマンスーツを着る。
おばさんにはバレない様に自室の鍵を閉める事も忘れない。
さて、夜のパトロール開始だ!
僕は着替え終わってすぐ、僕は部屋の窓から外へと飛び出す。
『おお、深夜のパトロールか?スパイダーマン?』
するとインカムから海斗が話し掛けて来た。
「ああ、これから皆が寝静まる時間帯まで…大体2時間程パトロールを続けるよ。」
『解った、こっちも付き合うよ。警察の無線では今日は…』
海斗から伝えられた情報は隣町で喧嘩や強盗がちらほらと起きているらしい。
やはり夜となると、昼間よりも犯罪率は高くなる様だ。
俺は空に向かってウェブを飛ばすと、夜の街をスイングし、隣町へと向かうのだった。
ヴィランの登場順としては、今の所
リザードマン→グリーンゴブリン→ミステリオ→ライノ→キングピン→エレクトロ→ヴァルチャー→スコーピオン→サンドマン→ショッカー→Drオクトパス→ヴェノム(余裕が有れば)にしようと思います。
予定によっては所々入れ替わるかもしれませんが、今のところはこの順番で行こうと思います。
作者のモチベーションアップの為にも、感想、評価、お気に入り登録お願い致します。
色々スパイダーマンの小ネタを挟んで来たけど、この中でどのオマージュを見てみたい?
-
雨の中、逆さ吊りのユウとリサがキス
-
ベランダで千聖をウェブで引き寄せてキス
-
テンションが上がり、町中で闇落ちダンス
-
池にドボンしたユウをミッシェルが救出
-
背後から車が飛んで来て、ユウがリサを庇う
-
列車の暴走を怪力で止める