神への抵抗ー日本召喚ー   作:装弾筒付翼安定徹甲弾

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灰色の艦隊

ー昼・カルラ王国:港町フリートー

 

 ここは王都にほど近い町。

人口も比較的多く、その特性故に物流も盛んなカルラの港町。

普段であれば、町の漁師が捕った新鮮な海産物を売り捌く露天商の声や、空いた土地で遊ぶ子供達のはしゃぎ声が耳に入ってくるだろう。

だが、今日・・・いや、ここ数日は違った。

商店街の雰囲気は心なしか暗く感じられーー

廃材の上に座っている若者は青く澄み渡った空を不安気に見上げ、買い物を済ませた中年の女性は足早に家族の待つ家へと急ぐ。

 

”灰色の魔物”

 

魔物との戦いの”最前線”から遠く離れている国に現れた飛行する”ナニカ”。

連日のように何処からか現れ、住民に何の危害を加える事もなく去っていくーー

 

”それ”が初めて現れた日には大混乱が起こったものの、次第に考察する余地が生まれてきた。

 

人を見かければ問答無用と襲い掛かってくる魔物とは明らかに違う行動。

魔物ではないーーそれは誰もが承知している事だ。

 

しかしながら、彼らは”魔物”という言葉以外に、あの弓も届かぬ高空を飛ぶ化け物を表せる表現を思いつかなかった。

そして海に近い町の一角では、今日も堂々巡りの議論がなされている。

 

「だ・か・ら、魔物じゃないなら何なんだ!?」

「俺は分かんねえって言ってんだろォ!?」

 

当然だ。 それに答えられる者は居ない。

少なくとも、”この世界”の者には。

 

「・・・止めだ、止め。・・・もう疲れた。」

「だな。分かんないんじゃ仕方ない。」

「”あれ”は俺たちを襲ってこない。それでいいじゃないか。」

「今日も来るのかなぁ・・・」

「カンベンしてくれよ・・・魚が逃げちまう。」

「俺は、潮風にでもあたってくるか。」

「あ、俺も行く。」

「俺も。」

「俺も。」

 

そうして仲のいい4人の漁師は、気分転換のために沿岸に訪れた。

そして彼らは、見慣れた景色に違和感を抱く。

 

「あ? おい、あんな所に島なんてあったか?」

「ん?」

「あるわけねえだろ。何を言ってーー」

「そうだそうだ。おめえ疲れてんーー」

 

絶句。非常識は彼らの日常を完全に破壊した。

 

「待て待て待て。お前ら、島じゃないってあれ。どんどん大きくーー」

「・・・デカ過ぎね?」

「何処の国のだ? あ、お前知ってる?」

 

「知らん!?」

 

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ー港町フリート沖合:DD119あさひ艦橋ー

 

 

「黒船・・・か。」

 

混乱に陥る港町を双眼鏡で眺めながら、黒田2等海曹はそう呟いた。

 

「予想してましたが・・・あん中にヘリで行くんでしょ? 使節団の人達、大丈夫ですかね?」

「その為に陸さんに乗ってもらってるんだろ? 大丈夫だよ、多分。」

 

そう自信なさげに部下に答えるが、事実、彼もまた不安に思っていた。

 

(いくら安全を重視する為とはいえ、これじゃ逆効果だ。・・・まあ、抑止力というのもあるんだろうけど。)

 

 

 国交・通商条約を結ぶために使節団の派遣を決定した日本政府だが、海上保安庁の測量船が”新種かつ大型の海洋生物”に襲撃されたため、安全を重視して使節団を護衛隊で送る方針を打ち出した。

砲艦外交じみた方策に反対の声が上がったものの、航空偵察によって得られた情報から、いゆわる”中世の価値観”が一般的かもしれない可能性を考慮し、政府はこれを黙殺した。

 

ーー派遣された艦隊は、佐世保に司令部を置く第2護衛隊。

 

(まあいい。・・・自分のやるべきことを果たすだけだ。)

 

日本の興亡は、彼らの成果にかかっていた。

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