凍て地のボワボワ救出作戦!   作:Senritsu

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本小説はSenritsuと蒸しぷりんさん(代表作:蒼赤一閃)の合作となります。
Senritsuはあらすじ、戦闘描写を主に担当します。蒸しぷりんさんはイラスト、日常描写を主に担当します。

第一話担当:Senritsu
(以降、各話前書きに『第〇話担当:xx』を記載)




第一話:不測の事態は重なるもの

 

 きらきらと、上空の風に氷の結晶が舞っている。

 

 雪や雹とは違う、細氷のように雲を伴わないもの。空は晴れて、日の光を反射して星のように瞬く。

 あまり派手ではなく、空を見上げているとふと気付かされる程度のものだ。

 

 そこは、ある人々からは渡りの凍て地と呼ばれていた。

 あまり世間には知られていない。この地を含む一帯は最近まで未開の地であり、調査団と呼ばれる限られた人々しか足を踏み入れていなかった。

 

 深く雪が降り積もる針葉樹の森を越えていくと、氷河のような氷に覆われた地形が見えてくる。きらめく風が吹くのはこの辺りから。

 さらにその奥には、かつての龍の寝床、荒れ狂う溶岩や炎がそのまま凍り付いて永い時を封じられているような、青く昏く、美しい道が続いている。

 

 渡りの凍て地の雪結晶には独特な形をしているものがある。とても大きく成長し、不規則に光をはね返す。

 地表にあるそれが風に吹き上げられることで、先ほどのような瞬きを見せているのだろうとされている。他の寒冷地ではあまり見られない光景だった。

 

 幻想的であることは違いない。しかし、そうして吹く風は肌を刺すほどの冷気も伴っていて、見る者の意識を現実へと引き戻す。

 

「さっむ……」

 

 研ぎ澄まされたような青空の下で、防寒具に身を包んだ男は独り言ちた。

 遭難者、ではない。さらに言えば凍えているわけでもない。ただ、特に意識せずにいると自然とその言葉が口をついて出てきてしまうのだった。

 唐辛子を一齧りする。これだけでは身体を温める効能は薄いけれども、こうやって口周りに血を回してやらないと唇が貼り付いてしまう。

 

 男は開けた場所から移動してきて、ここで一息入れていた。

 ポーチから一冊の本を取り出し、羽ペンを握って書き込みを入れていく。

 グローブ越しだと繊細には書けないが、仕方がない。後で清書ができるだけのメモであればいい。何度か雪を払うが、雨が染み込むよりはましだった。

 

「あいつの足取りも、だいたい掴めてきたかな」

 

 吐息が白く染まる。狩場での独り言はもちろん小声で、しかし、終始無言にもならないように。自分の声を自分のものとして認識し続けることを意識する。

 様々な注釈や記号が書き込まれた地図は、彼の任務が長期に渡っていることを示していた。彼はたった一人で、何十日もの間渡りの凍て地を歩き続けていた。

 

「でも、やっぱ泳がされてるのはこっちだよな……」

 

 人が生きるには過酷な環境で十全に動けているのは、それだけで自信に繋がりそうなものだ。彼にも自負はある。あるにはあるが、決して楽観視はできなかった。

 

 彼が追いかけているのは老齢の狩人だ。人ではないし、実際に年老いているのかも不明ではあるが、その表現が相応しいと彼は感じていた。老騎士と呼んでもよいかもしれない。

 それはかの龍の寝床のさらに北方、連なる山々のさらに向こう側から訪れた。そしてさも当然のように自身の縄張りを形成し、静かに凍て地に居座り続けている。

 

 言うは易し、この地で広い縄張りを敷くと、常に外から来る竜の対処に追われることになる。

 さらにその多くは凶暴で、ポポを狙う轟竜や雷顎竜、兇爪竜が顔を出すことも珍しくない。竜たちの顔ぶれが日々変わり行くのがこの地の日常だった。

 しかし、かの竜はあくまでも静かに君臨し続けた。種としては互角かそれ以上とされる、その何れをも退けたのだ。

 厚い筋肉をぶち抜き、一撃の下に葬り去られたらしい雷顎竜。その遺体が雪狼(ウルグ)やコルトスに貪り食われている様を発見した調査団は、急ぎその竜の観察に取り掛かった。

 

 そんな経緯で現地へと派遣された男は、今のところは五体満足のまま任務を遂行できている。

 しかし、尾行や潜伏が気付かれていないとは限らない。むしろその逆だと彼は感じていた。

 それこそ、調査団が試行錯誤を重ねながら作成した凍て地用の隠れ身の装衣を、彼はあえて身につけないでいる。

 技術の不足があるわけではない。むしろ十分に役立つ道具だが、あれは人と竜の意識的な距離感を曖昧にするところがある。竜の知覚を掻い潜るものだから、近づきすぎてしまうのだ。

 そうやって気を緩めたが最後、致命的な不意打ちを貰うことになる。そんな予感を常に感じ取っている彼は、十分に気を付けて、距離を取りながらこの任務に当たっていた。

 

 ひゅおう、と谷間を寒風が吹き抜けていく。温泉やら氷床やら、様々な地形が身を寄せ合うこの地で、彼が身を隠していた岩壁は風下にあたった。

 いざ戦うとなると風下は不利なものの、調査を行うのには適している。こちらからはたらきかけずとも、向こうから音という痕跡を風に乗せて流してくれるからだ。

 それこそ、今、この瞬間のように。

 

「…………?」

 

 誰かの声を聞いた気がして、地図を見ていた男は顔を上げる。谷に吹く風は様々な音を奏でて人々を戸惑わせるが、今のはそれとも違う気がした。

 耳を澄ませてみると、それは複数の子どものような声だ。ああ、と彼は心当たりを覚える。それはこの凍て地を歩いた者であれば、誰もが一度は聞いたことがあるだろう。

 あの竜がこの辺りを立ち去ってから時間は十分に過ぎている。何事もなければ、今は寝床に戻っているだろう。それを確認した上で彼は岩陰から顔を出した。

 

 向かいの岩壁の傍を歩く、こげ茶色の毛皮の群れ。頭頂部には色を塗られた角を取って付ける。あの色で個々の所属や役割を区別しているらしい。

 火山地帯の方でよく見かけるガジャブーとはまた異なる。ボワボワと称される獣人族だ。新参者の調査団とは違って、古くからこの地に生きる先住者でもあった。

 

 一部の部族に限った話ではあるものの、調査団とは友好的な関係を築けている。……ただ、彼らの主な生活圏は森林か雪原だったはずだ。男がいるこの場所はそれらとは距離があり、ボワボワの姿を見かけることは滅多にない。

 どうして彼らがここにいるのだろう。見れば何やら話し合っている様子だ。武装や荷物もしっかりしていて、迷子になったわけでもなさそうだった。

 彼らが調査団と交友を結んでいるかは分からないが。男は少しの間迷ってから、やはり声をかけることにした。

 

 あえて足音を立てながら彼らのもとへと歩く。むやみに驚かせると、反射的に彼らの銛が飛んでくるかもしれない。

 男の姿に気が付いたボワボワたちは少し警戒する様子を見せた。それに対し、男は懐から腕ほどの長さの布を取り出して旗のように左右に振る。

 

 その仕草を見たボワボワたちは互いに顔を見合わせると、臨戦態勢を解いたようだった。

 男もほっとして肩の力を抜く。この合図を知っているということは、調査団との関わりがある部族のようだ。

 男が振った布は緑に染められていて、歯車の紋章が刺繍されている。その布は彼が第四期の調査団員であることを示していた。

 二期団なら橙色、五期団なら白色の布があてがわれる。ボワボワたちからはそれぞれが部族の証だと認識されているらしい。

 男が見知った組織の者だと把握したボワボワたちは、盛んに声を上げはじめた。男は少しだけ周囲を気にしたが、仕方がないと彼らの話に付き合うことにした。

 

『……!!』

「あー……すまん。おまえたちの言葉にはあまり明るくなくて……絵で伝えてくれないか」

 

 初めから言葉による交流を断ることは彼にも気が引けるところがあったが、こればかりは正直に伝えるしかない。

 ボワボワと人とでは、人同士の言語の違いよりも大きな困難があるとされている。種族が違うため、発声の仕方から変わってくるのだ。調査団の人々でも彼らの言葉を解する者は数えるくらいしかいない。

 その辺りの壁は、現大陸で人との交流が盛んなアイルーが担ってくれている。彼らは何気に、言語の習得とその橋渡しの専門家でもある。

 

 そのアイルーの力を借りられない今、ボワボワの側にも人の言葉を十分に聞き取れる者はいなかったらしく、情報伝達の手段はすんなりと切りかえられた。

 地図を広げ、地面を削る。視点の違い、文化の違いから生じてくる齟齬をああでもないこうでもないと言いながら埋め合わせようとする光景は、この新大陸ではもう何度も繰り広げられたものだろう。

 

「なるほど。イヴェルカーナがいなくなって凍て地が最近静かだったから、長らく先延ばしにされていた遠征に出てる、と。氷山に登る儀式があるってのはまあ、考えつきそうだよな」

 

 ちょうどこの谷の直上に聳え立っている氷山には、男も一度だけ登ったことがあった。モンスターの通り道ですらなく自然の地形が剥き出しとなっているため、かなり大変な道のりだったことを覚えている。

 龍の寝床のさらに奥に連なる山脈よりは低いが、威容だけならこちらが勝ると言っても過言ではないだろう。

 まさに氷でできた剣山という名が相応しい。先住民の彼らが崇め、行事の一つに組み込んで登頂を目指すのも頷ける。

 

 男の側も、今この辺りが静かになった要因である老騎士についてできるだけ伝えた。

 心なしかボワボワの声が小さくなったような気がする。彼らはこの地で生き抜いてきた狩猟民族でもあるので無用な気遣いなのかもしれないが、周囲を警戒してくれるに越したことはない。

 

 男としてはその遠征はあまり勧められるものではなかった。しかし、そんなことを言っていたら機会なんていつまでも訪れないことも確かだ。

 今、老騎士がいなかったとして、この地は複数の大型種による縄張り争いが日々繰り広げられていたことだろう。危険がない凍て地というものはほとんどありえないのだ。

 それに、彼らの行動に対して部外者のこちらが口出しする道理はない。安全な旅路というものを彼らはそもそも望んでいないのかもしれないのだから。

 

 そんなことを思った男は、彼らをそのまま見送ることにした。

 幸い、ここまで来れば氷山へと至る道はもう少しだ。あの登山道に入ってしまえば、大型のモンスターに襲われる危険は少なくなるだろう。後はただただ、あの険しい道のりに挑むのみだ。

 ただ、道中に老騎士に襲われてしまっては男も後味が悪い。あの竜はそういう手出しをあまりしなさそうに思えるが、それはあくまで彼の勘であり、実際のところは分からない。

 別れのあいさつ代わりになればと、男はかの竜とボワボワたちを鉢合わせさせないための提案として、地面に絵を描き出そうとした。

 

 突如、ボワボワが鋭く高い声を発した。

 

 もし、彼らが周囲の哨戒をしていなかったら、彼らの察知、それに呼びかけがほんの少しでも遅ければ、男はもろにその不意打ちを食らっていただろう。

 

 弾かれるように背中の武器を握り、周囲に目を走らせる。

 その眼前いっぱいに、身の丈を優に越す巨大な錐が迫り来ていた。

 男の両手には剣と盾。片手で受ければ腕が飛ぶ。避けるには遅すぎる。

 詰みか。否、体は反射的に動いた。

 

 盾を突き出すだけでは足りない。最小限の動きで剣を盾に差し込む。錠前のように剣を迎え入れた盾は、その武器の持つ、もうひとつの形へと移り変わる。

 その、ほんの僅かな時間のみ。

 

 剣が盾の芯となる(ガードポイント)。両手で迎え撃つ構えは大剣にも似ていた。衝突の刹那の前に、男は一連の展開を間に合わせてみせた。

 

 どがっ、と重々しい音が響き、男は小石のように吹き飛ばされた。

 足での踏ん張りなど意味を為さない。むしろ、地面からは浮かせていた。両手で受けたのは外力を偏りなく全身で受けるためのものだが、それでも肩から先がもげるような感覚を覚えた。

 受け身を取る。背中を壁に打ち付けでもしたら元も子もない。衝撃を殺しながら足を接地させ、膝を付いて前を見た。

 

 奇襲を仕掛けた相手は、その直後、ひとつの鏃と化していた姿を解き、大翼を拡げてみせた。

 その翼は空を駆けるよりも、漂い、泳ぐもの。風を生むより風を掴む、飛竜のかたちのひとつ。凍て地の寒空を象徴するような、美しい白と青の紋様を描く天幕だ。

 

「レイギエナ……!」

 

 老騎士の手によって峡谷の奥地へと追いやられていたのではなかったか。いや、それこそ油断だったなと男は反省する。

 レイギエナはもともと好戦的な飛竜だ。凍て地へ大群で渡ったことで社会性に変化があったようだが、こうして果敢に襲いかかる個体がいても何もおかしくはない。

 

 それに、だ。痺れる腕を何度か振りながら、男は隙を見せないように構えた。このレイギエナ、以前に陸珊瑚の台地でやりあった個体とは明らかに雰囲気が違う。

 かの竜が運んできた風は目が痛むほどに冷たかった。この凍て地ですら温いとでも言いたげな風圧だ。

 その翼や尻尾にはびっしりと霜が生えている。それは磁石に吸いつく砂鉄を彷彿とさせる、その身に宿す冷気が物理的な形となって表れているようだった。

 

 報告に聞いた、レイギエナの特殊個体か。最近はこの辺りでは見かけず、ここから遠く離れた新天地で目撃例が挙がっていたが、と。

 

 吹き飛ばされてから数秒でここまで考えた男だったが、その思考は強制的に中断させられた。男が存命していることに気付いたレイギエナが追撃を仕掛けてきたのだ。

 応戦するしかないが、先手は完全に向こうに取られている。戻りきっていない握力ではまともな傷も与えられまい。咄嗟に身を隠せるだけの岩陰も遠い。

 

 盾で防がれたことを把握しているのか、それを掴み取ろうとしてくる足の爪を掻い潜る。腕を掴まれようものなら天高く連れ去られてしまうだろう。

 剣で牽制をかけるが、反応は鈍かった。男の持つ武器はもともと初動に難があるので致し方ないが、かなり強靭な外皮を持つことが察せられる。時を経て堅牢になった鱗というよりも、漲る生命力で押し返される感触だ。

 

 攻撃は止まない。大型竜らしからぬ丁寧な追い込みだった。人との交戦経験があるなと直感で感じ取りつつ、かの竜の動きを見て今度は盾を構える。

 レイギエナは他の竜が多く用いる口からの攻撃、ブレスを用いない。それでも、かの竜の本分は冷気を用いた遠距離攻撃であると言えた。

 体中に張り巡らされた腺に氷結液を滲ませ、それを風に乗せて相手に叩きつける。先に谷で見た風のようなきらめきは美しいが、それは敵対する者の体温を一瞬で奪い去るだけの暴力を秘めている。

 

 指向性を持つ冷気を甘んじて受ける。氷結液が付着した金属部がぎしぎしと音を立て、盾の握り手まで伝ってくるようだった。

 それに、ブレスなら盾に身を隠せばやり過ごせるものの、これは今受けている風の全てが攻撃だ。盾の側面、隙間から回り込み、こちらの身を蝕んでくる。

 その場に留まっていれば氷漬けにされてしまう。軋む盾を持ち上げて次なる攻撃に備えようとした、そのときだった。

 

 盾や防具、地面が真っ白に凍て付いている。薄く貼り付いた霜は、十分に寒いこの地でもはっきりと冷たいと、いや、翻って熱いとすら感じてしまう程に冷たい。

 その霜が、蠢いている。ぱきぱきと割れるような音を立てて、溶けていくのではなく、ようやく本来のかたちに成っていくかのように。

 男が咄嗟に飛び退こうとしたときには、もう遅かった。

 

「……ぅ、ぐっ……!」

 

 何もなかったはずの空間に、無数の氷の針が生える。霜なんて生易しいものでなく、ひとつひとつが針のような鋭さを持つ、茨の棘のように。

 沸き立つように現れたそれは、男の防具を縫うように貫き、太腿や腕の肉を突いて血を滴らせた。

 

「ウルファの防具を貫通してくるか……!」

 

 男は歯噛みし、苦々しい笑みを浮かべる。雪狼の生地に鋼糸を編み込んだ、並の針なら通せずに折ってしまう程の外装なのだが、と、泣き言も言っていられない。

 追撃を辛うじて凌ぎながら、これまたとんでもないのが来たなと冷や汗をかいた。強者揃いの凍て地でも頭一つ抜けている。自分も含めて、慣れない者が相手をすれば死者が出かねない。

 

 防戦一方に陥っていた男は、しかし思わぬ援護を受けた。レイギエナへ向けて、男が放ったものではない銛が投げ付けられる。ボワボワの投擲だ。

 男と同様に初撃で吹き飛ばされていた彼らは、流石は狩猟民族と言うべきか、立て直して応戦に出ているようだ。粗削りな銛は何気に下手な刃より鋭く、特製の毒まで塗られている。

 傷は僅かでも、毒は見過ごせないだろう。レイギエナは一度距離を取るが、戦意が衰えている様子は全くなかった。

 捕食対象として見ているわけでもないだろうに、本格的な敵意をぶつけてくる。まるで縄張りに侵入した者をこらしめようとしているかのようだった。

 

 しかし、もしこのレイギエナが凍て地の現状をよく知っているのなら、そう言った行動を取ってくるのはおかしい。ここを含めて、今の凍て地は老騎士が頂点に立っているからだ。

 あの狩人の強さをよく知る竜であれば、ここでこんな騒ぎを起こそうとはしないはずだ。故にこそ、男はあまり考えたくない展開に自分が巻き込まれつつあることを察していた。

 

 無論、よりにもよってこの頃合いに遠征を決行してしまったボワボワたちも例外ではない。彼らは目の前で悠々と空を舞うレイギエナに対して勇ましく声を上げている。

 

 僅かなにらみ合いの最中に、ひとつ、咆哮が響く。

 それはレイギエナから発されたものではない。遠くから届けられた、しかし数多の生き物を怯ませるだけの気迫に満ちている。

 この騒ぎを感じ取りその排除に赴かんとする、今の凍て地の支配者からの遠吠えだった。

 

 僅か数分の間に起こった出来事ながら、もはや幾ばくかの猶予もない。

 今自分にできる最善を考えて、男は懐から榴弾をいくつか取り出し、左手の小さな弩に取り付けた。

 

 数秒後、凍て地の谷の割れ目から一瞬だけ眩い光が放たれた。さらに間を置かず、今度は赤い煙痕とともに空高く信号弾が打ち上げられる。

 高く高く、凍て地のキャンプ地に常駐している連絡員へその報せが届くように。

 緊急事態発生、セリエナからの救難求む、と。

 




登場人物紹介

ヒオン
新大陸古龍調査団の第四期団員ハンター。救難に駆け付けた二人より十年早く新大陸に訪れた。
五期団の裏方に回ることの多い四期団だが、今回は久しぶりに大手を振って火力役を担えると、好戦的な笑みを浮かべている。

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ヒアシ
新大陸古龍調査団の第五期団員ハンター。派手な活躍が目立つ五期団の中でも、ランサーらしく地道で堅実に仕事をこなすことが多い。
穏やかな性格だが、任務に対しては積極的。

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サク
新大陸古龍調査団の第五期団員編纂者。必要に応じて様々な分野を齧っており、ハンターの経験もある。決して天才ではないが、好奇心と努力でカバーするのが得意。

【挿絵表示】

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