核で一度滅んだ世界に転生した瞬間なんか死んだ件について 作:rikka
BOSが来たあたりからはアチコチ歩き回って建築してるだけで滅茶苦茶楽しい。
「う……おぇっ」
パイパーが目を覚ますと、まず手足を縛られているのに気づいた。
口は自由なため声を上げようとするが、強烈な吐き気に襲われえづく。
(クッソ、肌がピリつく! 体が燃えるようだ! なんだ……なんだこれ……放射能?)
パイパーが一言一言言葉を思いつくたびに、彼女の思考が鈍っていく。
側に積まれた大量の黄色いドラム缶の山から発せられる凄まじい量の放射能が、彼女の身体能力はおろか思考能力まで奪っていく。
「やはり儀式の邪魔をしに来るものがいたか」
「アトムの輝きを理解しない者たちめ……」
「導きが足りぬのだ、もっと増やさなければ……」
仮にパイパーが縛られていなくても立てないだろう濃厚な放射能の中、多数の男女が平然としていた。
そのほとんどの人間は髪が所々まばらに抜け落ちており、服も妙にボロボロだ。
「ち……チルドレン……オブ……アトム」
思い当たった答えを、パイパーはかすれそうな喉を震わせ口にする。
チルドレン・オブ・アトム。
いつのころからか連邦に居ついた、文字通り放射能を信仰する宗教団体。
穏やかな者は、自ら放射能汚染の濃い地域に籠り自らの信仰心の元静かに生きている。
だが、過激な者は――
こうして、異端の者を『アトムの輝き』の下に導こうとする。
「我らもまたアトムへの信仰が足りなかったのだ。真にアトムの輝きの祝福を受けていれば、このような邪魔は入らなかった」
もうほとんど髪が抜け落ちて、目も不自然なほどに充血している女が、もうほとんど身体が動かないパイパーを見下ろす。
「この異端者をアトムに捧げましょう。そうして今一度アトムの輝きへ感謝の祈りを捧げるのです」
「おぉ……。それはいい、ジーロット。是非そうしよう」
パイパーが苦しそうにうめき声を上げるのも気にせず、十数人いる中の一人の男が彼女の髪を掴み上げる。
そして下水道に。
大量の放射性廃棄物によって、もはやうっすらと輝いてすらいる汚染された水の中に叩き落そうとし――
「ぐあああああああっ!!」
次の瞬間、髪を掴んでいたその手に穴が空き、パイパーは湿った床に落とされた。
――あ、やっべ。……まぁ、人の酒に一服盛った罰としてそれくらいは我慢してくれ。
「また異端者だと!? 誰だ!」
ジーロットと呼ばれたグループの指導者が一本道の入り口にライトを当てる。
そこにいたのは、人の形をした物だ。
人と同じように考え、行動し、動き回る瓜二つの造形物が、サイレンサーのついた拳銃を構えている。
「やぁ、こんばんわ。申し訳ないが『迷子』でね。案内人のその子、返してくれないかな」
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この野郎、人に一服盛ったあげくになにやってんだ。
よりにもよって酒に滅茶苦茶な量の薬入れやがって、分解にクッソ時間かかったぞボケがコルァ。
飲んだ振りじゃあ怪しまれると思って人造人間ボディでどうにかしようと思ったら想像以上だったわ。
常人なら死んでいたぞ!
……いや、ウェイストランド人だとアレが常識の範疇なのか?
「ロ……スト……」
コンクリートに打ち付けられたパイパーが、小さくつぶやく。
さっきからヤベェ量の放射能を検知してるし、生身のパイパーにはキツいだろう。
さっさと連れ出してRADアウェイ打ってやらねぇと死ぬ……まではいかないだろうけど体に変化が起こりうるしグール化……最悪フェラル化だ。
……逆にコイツらはなんでピンピンしてるんだよ?
「異端者め!」
「貴様もアトムの下に送ってやる!」
短気ってレベルじゃねぇぞコイツら。本当に宗教家なのか?
すげぇな狂信者って。
というか、いきなり銃を抜いたけどなんだアレ?
実弾が出るような形じゃねぇし、レーザーライフルとも違う。
……まさか、アストリンが言ってた青いレーザーの奴――
――バシュッ!
「はぁぁぁっ!!?」
射線からとっさに身体を逸らしたけど、コイツらがトリガーを引いた瞬間とんでもねぇ勢いで放射能量が跳ね上がった! というか飛んできた! バカなのコイツら!?
「避けるな! 裁きを浴びろ異端者め! 貴様のような愚者にこそ、アトムの輝きは必要なのだ!」
そういうお前らに必要なのは寛容さと教養だよボケ共ォッ!!
(リコン・センサー並びにVATS同時起動。敵14体、並びに護衛対象・パイパー=ライトを確認、リコン登録……完了。行動予測から
手近な彼女から片づけようとあのオモチャみたいな銃を抜き始めた連中。特に俺から見て後ろの方にいる奴を優先してターゲッティング。
頭――いや、水源地を下手に汚すのも不味いか。
放射能だらけで今更かもしれんが、あんまりコイツらの血を飲み水になりうる水に入れたくねぇ。
(enemy08,11,13の所持兵装にターゲット。交戦開始)
使い慣れた拳銃はやはり良い。
しかもクリケット姐さんが俺の手に合わせてグリップからトリガーまで調整カスタムをしてくれた装備だ。
十分馴染んだトリガーを三回引く。
小気味よく、ちょうどいい反動が手のひらを通して感じると同時に後ろ三人の武器を破壊する。
(先ほどの射撃データをメモリーから計測。射出放射線レベル……問題ない)
この身体なら敵の放射線銃は大して脅威じゃない。
(このまま格闘戦に移行する)
銃を手にしている敵は銃にこだわることが多い。
あちこちに逃げ回れないこの下水道なら、インレンジに踏み込めば身体能力で勝るこっちが有利だ。
「き、きさ――」
(enemy04、インサイト)
この距離でも放射線銃を握ったまま放さない女の腕を掴んで、軽く足をかけてバランスが崩れた所を引っ張って地面に叩きつける。
(装填音確認。距離10。2時の方向。リコンデータからenemy07と推測)
頭を打ち付けて気を失った
お前ら宗教家だろうが仲間は大事にしろよ!!
女を盾にしたまま一気に走る。
普通は無理だが、この身体なら余裕で出来る。
念のため、盾にしている後ろで女にRAD-XとRADアウェイを打っておく。
命が大事……というよりは、唐突なフェラル化を防ぐためだ。
これだけの放射線量だと死ぬ可能性が高いが、唐突なフェラル化だってありうる。
……いや、やっぱ命も大事だな。死なれるともっと重くなる。
(目標接近。水源から離れているenemyを選択。数5。選択したエネミーにアーマー装備は確認できず。選択個体胸部、または頭部にターゲット)
わずかな壁や崩壊した障害物を盾に放射線銃を撃ちまくっている。即死さえさせれば水を汚さないだろう連中の胸部か頭に向けて素早く5回引き金を引く。
「なんだ……なんなんだお前は!?」
無駄弾なし。
サイレンサーで発射音がしないのもあって相手はかなり不気味に思ってくれているようだ。
バカスカ撃ってる連中の半分くらいの頭か心臓に突然穴が開いて倒れればそれもそうか。
(敵残数8)
さすがにもうきついだろう女狂信者を敵の方に押し出して、敵をさらに散らす。
向こうも慌てて距離を取ろうとしている。
よし、少なくとも敵の意識はパイパーから外れたな。――おっと。
(
放射線で髪が抜け落ちるくらいボロボロになってるハズなのに、さっきの女と言い存外力がある。
武器を持ってない素手の攻撃なんて別に食らっても問題ないが、殴られるのは普通にムカつく。
「アトムの輝きの下にィィィィィッ!!!」
enemy11が殴りかかってくる。
その拳の先、手首に手を添えて勢いを流し、水路の中に叩き込む。
コイツは後回し、さらに殴りかかってきている二人を先に……オイオイオイオイ! 弾! 放射線! 後ろの連中が撃ってる弾全部お前らに当たってんぞ!!?
(VATS再起動、残存エネミーをすべてターゲッティング)
なんだろう。
修羅場の数はともかく質ならかなりのものだと思うんだけど、こんな不毛な連中初めてだわ。
レイダーとやり合ってる方がまだマシなんだけど、厄介さではこっちの方が上というのがまたしょうもない。
自分はともかく、他の人間にはコイツらの兵装は面倒くさい事この上ない。
そして思考が理解できない狂信者とかどうしたらいいのさ。
「死ねぇ! 異端者ぁぁっ!」
だから死にそうなのお前らの方だろ!
殴り掛かってくる二人のうち一人をとっ捕まえて先ほどのように盾にする。
同時にもう一人に足かけて転ばせて、顔を思いっきり踏みつけて沈黙させる。
(ちょうどいい所に移動してくれたか。なら問題ない)
そのままVATSのターゲットを頭部に固定。
残弾にも問題なし。
生かしておく理由はない。
「死ね」
「すまない、ロスト……助かったよ」
手足に力が入らないパイパーを抱きかかえたまま下水道の中を歩いている。
とりあえず死体は水から離れたところで燃やした。
しっかり処理しようにも長時間その場にいるにはイエローケーキの山をどうにかする必要があるし、そのイエローケーキにせよ死体にせよ、運び出して処理をするには人手が欲しい。
となると、バンカーヒルに報告する必要がある。
「ったく、なんで俺に薬盛ろうとしたのさ。どうにかしたけどさ」
「悪い。アンタがバンカーヒルのお目付け役だと思ったのさ。なにか都合の悪い物があったらそれを隠そうとするか、あるいは口封じをしようとするんじゃないかってね」
とりあえず薬を一通り打ったら、喋れるくらいには回復したようだ。
……一応、バンカーヒルに戻ったら医者のケイに診てもらうか。
キャラバン以外の人間に設備を使わせるのはいい目をされないが……。
まぁ、彼女なら診てくれるだろう。メグの遊び相手をやってるからか印象はいいようだし。
「にしてもロスト、アンタ本当にすごいね。バンカーヒルが手元に置いておきたがる理由がよく分かるよ」
「まぁな。それに、手持ちの装備は全部連邦一のガンマニアによるカスタム品だ。おかげで手に馴染む」
サンキュー、クリケット姐さん。
今回の話をしたら、また姐さん喜んでくれるだろうなぁ。
「DCセキュリティに、アンタほどの腕前があればもっと安心して暮らせるんだけどね」
「前の行商であそこの周りはかなり片づけたから、少しは静かになったと思っていたけど……まだ?」
「ああ。人がいるって分かってるからね。レイダー、ガンナーは当然……最近だとスーパーミュータントも群がりだしてる」
「うげぇ……あのマッチョ共もかぁ」
2,3体……せめて5体くらいまでなら、まぁどうってことはないけど……群れてどこかに拠点を持ってると厄介だな。
せめて重火器の一つでもないと切り崩すのに時間がかかる。
群れるとなると、あのゴリラ犬もいるだろうし。
「ナットには借りがあるし、今度の行商の時にもダイヤモンドシティには補給諸々で寄るだろうしそん時には念入りに掃除しておくか」
子供というのもあったが、恩人と言っていい人間でもある。
他のキャラバンワーカーやガードの連中は俺を胡散臭い目で見ていて、距離を近づけるのに時間がかかると思っていた所に色々この連邦の事を教えてくれた子だ。
命の恩人――いやまぁ、本来の俺は死んでるんだけど――はグローリーさんで、生活面での恩人はクリケット姐さんを始めとするバンカーヒルの面々。
そうしたらナットは、知識面での俺の恩人と言える。
「……なんか、ホントにアンタはこう……」
「なに?」
「ここの人間らしくないね。……あぁ! その、悪い意味で言ってるんじゃないよ!?」
「悪い意味で言ってるんならここで頭から落とす所ですわ」
これはもう、そういう世界だから仕方ないと思うんだけど……ここの女性ったら皆強気というか勝気よね。
「……薬を盛ったことも含めて、悪かったよ。借りは必ず返す」
「ああ、そうしてくれ」
とはいえ、借りを返すと言われてもなぁ。
キャップをもらっても仕方ないし、もっとこう……なんかないかな。
「でも、体で返せってのは無しだよ?」
「まず女の子がそういう事を口にするんじゃありません。美人だから手籠めにしようって奴もいるんだろうし、気を付けないと」
「………………」
「なんだよ?」
「いや……ホントにアンタはこう……」
「こう?」
「変な奴だね?」
「落とすぞ」
《チルドレン・オブ・アトム》
敵としてはクッソ面倒だけどドロップ品の武器が微妙というクソうざい敵。
高レベル帯になると更に固くなるから面倒すぎる。
その最大の理由が作中では放射線銃と描写しているガンマ線銃。
通常のダメージではなく、放射能ダメージを与えて最大HPを低下させるといううざすぎる兵器な上に、割と連射性もいいため敵側に数が揃っていると即座にぬっ殺される。
と、強い武器に思えるがこれは対人間用。ウェイストランドの生き物には効果なし! フェラルグールにいたっては回復する!
きっと誰もが絶望しただろうグールスレイヤー・ガンマ線銃!
このネタ武器め!!
防護服やパワーアーマーで放射能ダメージを軽減。ひゃっはーそんな豆鉄砲効かないぜー! と近寄ったらヌカグレネードを投げてきたり、核地雷がセットされてたりする。
クソどもめ。
DLC『Far Harbor』では彼らの装備としてラジウムライフルという武器も追加された。
これも放射能ダメージ武器だが同時に実弾ダメージも通るという……
敵に回すと本当に面倒な連中。
なお、『Far Harbor』にてある程度仲良くなると爆発ユニーク版のラジウムライフルをもらえるらしい。(なお、私は未だFar Harborプレイ中でそこにはたどり着いていない模様)
拠点建築と住人の選別と水商売だけで無限に時間が溶けるゲーム。それがFallout4である。
……76はDLC含めて買ったけど、どうしようかなぁ。
連邦と島の開拓だけでバニラでも無限に遊べる。