核で一度滅んだ世界に転生した瞬間なんか死んだ件について   作:rikka

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もう5年は前のゲームだというのに、未だにめちゃくちゃ遊べるゲームってすごいと思うんですよね


002:ウェイストランドでの初仕事

「お前を近々キャラバンに同行させるという話は聞いていたが、まさかクリケットとは……。大変じゃなかったか?」

「正直、ルーカスさんから差し入れで頂いた防具なかったら死んでた気がします。……光りまくってるフェラルの大群に追っかけられて、逃げた先でデスクロー三匹がラッドスコルピオンとヤオグアイの群れとキャッキャウフフしてるのが見えた時は絶対死んだと思った……」

「キャッキャ?」

「あぁ、すいません。地元でのスラングみたいなモノです」

 

 トータルで三か月ほどかけた俺の初遠征は散々なものだった。

 クリケット姐さんという、ただの雑用係だった時から『頭飛んでるなぁ』と思ってたトリガーハッピーな武器商人さんと旅に同行した。

 そしたらもう襲われるわ襲われるわ。

 

 バンカーヒルを出てちょっとしたら待ち伏せていたレイダーに襲われるわ、建物が多い街中に入っていったらガンナーとかいう奴らに襲われるわ車やガレキの下からフェラル(放射能でゾンビ化した人間だ)が這い出して来るわ。

 

 ダウンサイズした特撮怪獣みたいなのがいればアホみたいにでかい熊やサソリもいるし、最悪だこの末法世界。

 

 完全に安心できたのなんて、補給で立ち寄ったダイヤモンドシティだけだ。

 ……まぁ、あそこは人造人間による疑心暗鬼が強すぎてそれがめちゃくちゃ怖かったけど。

 

 あの街で雑貨店開いているマーナっていう女は酷かった。

 目に入る人を全部人造人間だと疑っていて、俺も初対面でなぜかエラい罵られた。

 

 ……実際自分は人造人間だから、正直殺されるかもしれないと冷や冷やものだった。

 なに? 家族を人造人間に殺されたの?

 

 ……いや、実際問題として気が付いたら入れ替わっていた人がいるし無理もないか。

 

「しかし、今回はVault81への行商だったか。不幸中の幸いだったな、ロスト」

「……え゛っ!? これで良かった方なんですか!!?」

 

 vault(ヴォルト)とは、いわゆるデカい核シェルターのことだ。 

 この国に核が落ちる前にそこに移動し、共同体を――一つの社会を作りあげて200年近く世代を交代しながら稼働させている。その一つがVault81という居住地であり、今回の行商一番の取引相手だ。

 

 確かに稼ぎはデカかったんですけど道中ヤバかったんですが!?

 

「普段アイツはクインシーを経由して南のワーウィック農園の方に向かうからな。今あそこは危険だ。状況が混沌としている。下手したら今回以上のトラブルも起こりえただろうな」

 

 あぁ、そういう。

 てっきり、あれくらいは笑って乗り越えろって言われるのかと思ったわ。

 

「南の方で何かあったんです?」

「ガンナーの動きがやけに活発になっている。他の危険生物もあの一帯は強いし数も多い。ミニッツメンが走り回っているようだが、どうなることやら……」

「あぁ……。そういえばガンナーってアイツらなんなんです? レイダーとはまた違うようですけど」

 

 ちゃちな――クリケット姐さんから言わせれば貧乏な農民の武器である手作りパイプ銃を撃ちまくって火炎瓶投げてくるレイダーとは違い、アイツらはレーザーライフルなんて未来兵器をばかすか撃ってきてガチ手榴弾投げてくるからマジで怖かった。

 

「ガンナーとは傭兵だ。一応はな」

「傭兵なのに別に敵対してるわけじゃないキャラバンを撃ちまくるんですか」

「まぁ、な。だが金で動いてくれる……時もある」

「それもうただのレイダーでいいんじゃないですかね」

「……ふっ、まぁな」

 

 こうして無事にバンカーヒルに帰ってこれたけど、アイツら道中で銃突きつけながら通行料要求してくるからな。

 なお、それを挑発しまくって身を隠すところがあんまない所で防具カッチカチに固めたレーザーライフル持ち複数相手に戦う事になった。

 

 姐さんホントさぁ……。

 

「まぁ、今回のお前の旅は話を聞く限りかなりのものだ。それを超える危機などそうはないだろう」

「そうあってほしいですね。姐さんの商品の銃も勝手に使っちゃって……。まぁ、本人大喜びでしたけど」

「だろうな。アレはそういう女だ。銃を使いこなせるなら男だろうが女だろうが惚れ込む」

「物騒すぎる美人だなぁ……」

 

 やっぱり今回の旅は飛び切りおかしかったか。

 道理で戦闘の専門職だったガードの人たちがビビりまくって錯乱しかけた訳だ。

 正直二度とこんな目には遭いたくないわ。

 

 ……となると、そんな状況でキャッキャ笑ってマシンガン撃ちまくってたクリケットの姐さんってば戦闘職のキャラバンガードよりも強いキャラバンなんじゃあ……。

 

「お前と一緒に働いたガードの連中がサボルディのバーでお前の武勇伝を話していたぞ。とんでもなく腕の立つ奴が入ってきたとな」

「ガードじゃなくて雑用なんですが」

「これから先はどうなるかわからんぞ?」

「そうなる前に独立してやるので」

 

 とにかく出来るだけの知識とノウハウ吸収したら、さっさと独り立ちしてここから離れよう。

 ……離れられるのかな。商売っていう形だとどうしてもここが絡みそうだし……。

 俺がまっとうな人間ならダイヤモンドシティにキャップ積んで市民権得る所だけど中身が中身。

 

 マジでマーサさんあたりに気付かれたらあの人にスワッターでぶっ飛ばされかねない。

 

 ……逆に街――とまではいかなくても集落作れば行けるか??

 

 いやでも、一か所にいるってのも危険だしなぁ。

 

「そういえば、あの人ってどうやって生計立ててるんですかね」

「あの人? どの人だ?」

「名前は知らないですけど、ルーカスさんとかクリケットさんのようにそこのトレード場を使ってる女の人です。ほら、青いシャツを着ている」

「青いシャツ……あぁ、トラシュカン=カーラか?」 

 

 トラシュカン=カーラ。

 

 ……くず入れ(トラッシュカン)

 

「本名じゃないですよね?」

「あぁ、単に奴が気に入って名乗っているだけだ。扱っているのは……まぁ、その名の通りだ」

「ジャンク品、ですかね。売れるんですか?」

「居住地にもよるな。それこそ、お前が今回立ち寄ったVault81のような一定レベルの技術を持っている場所だと、意外に大量購入してくれるらしい」

 

 マジか。

 

「ジャンク品かぁ」

「言っておくが、スカベンジャーのように廃墟を漁るのは危険だぞ?」

「危険? ……あぁ、まぁ、そりゃそうか」

 

 隠れ潜んでいるレイダーやらガンナーは言うに及ばず。

 マンホールやらトンネルからはフェラルが這い出して来るし、道を歩けば犬が喉元目掛けて飛び掛かってくる。

 

「仲間がいればまた違うんだがな」

「……ルーカスさん、なにかいいツテあります?」

「信頼できる人間を見つけることは、手つかずの新鮮で綺麗な水源を見つけることに匹敵するものだ」

「ないかぁ」

 

 防具商人なら戦闘や探索に長けた人とそれなりに知り合っていると思ったんだけど……。

 

「その理論で言うとクリケットがツテを持っていることになるが?」

「仮に持っていたとしても、あの人の思う信頼と俺の思う信頼ってきっとボストン湾よりも広い差があると思うんですよ」

「……すまん、そうだな」

 

 マジでクリケットさん、トレーダーとしては優秀らしいけど色々大変な人だよなぁ。

 

「あの人、居住地の人が買い物してくれるって言うのにそれがパイプ銃だと、去り際にわざと聞こえる声で嫌味吐くんですよ……。『ここには農民しかいないのか! 奴らが欲しがるのはパイプピストルやふざけた弾薬ばっかり!』って……」

「……迷惑をかけてすまんかったな……」

 

 苦笑しながら酒を飲むルーカスさん。

 完全に慣れちゃってるなぁ。

 

「……ちなみに、だがロスト」

 

 なんでしょう?

 

「ガードの話、どこまでが本当なんだ?」

「……まずガードの連中はなんて話しています?」

「光りし者とフェラルの群れに慌てず殿(しんがり)を務めて足止めをし、返す刀で襲い掛かってきたデスクローやヤオグアイ、スコルピオン達を相手にライフルとマグナムで大立ち回りをして、キャラバン全員を守ったという話だ」

「……正直内心滅茶苦茶慌ててましたが、行動としては一応間違っていないですね」

 

 ガードの人たち、デスクローに慌てている内に後ろに回り込んでたスコルピオンに挟まれてもうヤバかったからな。

 間に合ったのは本当に奇跡だった。

 

 つくづく思うが、身体も頭も完全に俺じゃない。

 

「ロスト」

 

 話を聞いて何か考えていたルーカスさんが、真面目な顔をしている。

 

 ……あ、これ面倒な話だ。

 

「お前に一つ仕事を頼みたい」

 

 断りづらい話なんだろうなぁ。

 やっぱこの人もここのキャラバンだわ。

 

「……報酬には当然、色を付けてくれるんですよね?」

「そこの話を付けようじゃないか。とりあえずバーに行こう。一杯やりながら話したい」

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

「このバンカーヒルの北東――橋を越えた先に、カウンティー・クロッシングという小さな居住地がある」

 

 サヴォルディー親子がやってるバンカーヒル唯一の飲み屋。珍しく人がいないバーのカウンターで酒を奢られながら、仕事の話を聞かされている。

 

(この薄らハゲ、絶対厄介な話だぞコレ絶対)

 

 交渉の際に酒を飲ませて判断力を低下させるのはコイツらの十八番だ。

 アタシは知ってんだからね!

 

 この身体はアルコールの分解を意識的に加速できるから効かんぞぉ!!

 

「距離は?」

「橋を渡ってすぐだから……そうだな、大体隊を率いているなら二日。一人で荷物量が少なければ一日でたどり着ける所だ。それもあって、便利な所でな」

「便利?」

「これを見ろ」

 

 そうして薄らハゲのクソ鎧商人野郎のルーカスは、懐から手書きの地図を取り出してカウンター台の上に広げてみせる。

 

 こら、バーの親父。客の持ち物を覗き込むんじゃない。

 

「ここがバンカーヒル。先ほど言ったように北北東方面の橋を越えればすぐにカウンティー・クロッシングだ」

 

 指で紙を上をなぞり、場所を指し示していく。

 

「ここは、その周辺にある居住地を訪ねるキャラバンのための前哨拠点として使える。さらに北東に進めばフィンチ・ファーム、その先にはグールが経営しているスロッグの農場。北にはグリーントップ菜園と、どこも取引相手として申し分ない」

「……だが? なにかあるんでしょう?」

 

 話を持ってきた切っ掛けが今回の行商でのトンデモ騒ぎだからな。

 まず間違いなく銃を抜く話だろう。

 

 ……この薄らハゲ! ニヤリと笑うんじゃねぇ!!

 

「このカウンティー・クロッシングだが、その近辺にデカい戦前の施設が二つある」

「戦前のって事は、結構ガッシリした施設か」

「そうだ。一つは昔の州軍の訓練施設。もう一つは……ほら、塔の上からならここからでも見えるデカいアンテナがあるだろう」

「あぁ……あそこか」

 

 バンカーヒルの中央にはバカ高くておまけに真っ白という滅茶苦茶目立つ塔がある。

 ある意味でバンカーヒルの象徴ともいえるモノで、自分もグローリーさんにここに連れてきてもらった次の日には空き時間に一回登ってみた。

 

「そういえば確かにあったな」

「実は、最近その周辺でグールの姿を見かけたという情報が入ってきた」

「キャラバンの人?」

「ああ。……いや、正確にはカウンティ・クロッシングの住人がそう話しているのを聞いたと言っている」

「……ちなみに誰?」

「Dr.ウェザーズだ」

「あの変人かぁ」

 

 自分のパック・バラモンに間抜けと名付けている人だ。

 いや、医者としての腕前は確からしいけど。

 

「ようするに、その二か所を見てきて危険があるようならそれを排除してその居住地の安全を確保してこいって事ですか」

「そうだ。話が早くて助かる」

「報酬はどれくらいキャップ積んでくれます?」

 

 この世界、どういうわけかウチでいうコカコーラ的な奴の瓶についてるキャップが通貨として出回っている。

 マジで何がどうなったらそうなったんだこの世界。

 

「……200キャップでどうだ」

「安すぎます」

 

 コイツ、マジでふざけんなよ! それ一回の仕事での相場だろうが! 高めでは確かにあるけど!

 

「二か所回るし、戦闘が起こらなかったとしてもそこに変なものが入り込まないようにしろってなるんでしょう? いくらなんでも200はないです。弾代、あるいは資材代ですぐに吹っ飛ぶのが目に見えてる」

「む。……なら、250は?」

「500」

「それはあんまりだ!」

「Dr.ウェザーズにもキャップ出してもらえばいい。というか、連名での依頼にすればいいでしょう? どうやらあの人が回る所の安全性に関わることみたいですし」

「……300じゃあ駄目か?」

 

 そこのレベルで渋るんかい!

 

「……腕が立って信頼できる人を一人か二人付けてくれるんならいいですよ?」

「…………」

 

 300キャップでのせめてもの条件出したら腕組んで考えだしやがったぞこの薄らハゲ。

 

「装備じゃダメか?」

「というと?」

「防具は俺の秘蔵品を。銃もクリケットと交渉してお前に合う物を弾薬とセットで渡す。返さなくていい。完全にお前のものとしてだ」

 

 むぅ……。

 

 正直それはちょっと悩む。

 先日までの旅で、アーマーの大事さは身に染みて分かっている。

 銃もそうだ。

 支給品として渡されたパイプライフルだと、人間や脆くなってるフェラル相手なら問題ないけど弾道は安定しないし、なにより化け物連中相手だとまずダメージが入らん。

 

 パイプライフルを一発も外さず当てまくってるのにまっすぐこっちに突っ込んでくるデカい熊とか怖すぎたわ。

 

 10mm拳銃……に加えて、出来ればせめてコンバットライフルくらいは欲しい。

 けど高い。銃もそうだけど弾が高い。今の自分の稼ぎじゃ金を貯めるのにも時間がかかる。

 

 

「……実物を見せてもらってから改めて考える。金もそうだけど命に係わるモノだし」

「あぁ、だろうな。むしろ、それだけ慎重な人間じゃなければ困る。死なれても困るしな」

 

 だったらだれか役に立って信頼できる人間連れて来い!

 

 …………。

 

 レイダーとかガンナー以外で!

 

 

 

 




なお、こいつら大体初手は100キャップでドンパチやらせて来ようとする。
そして食品一個の値段相場は20~30キャップ
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