核で一度滅んだ世界に転生した瞬間なんか死んだ件について   作:rikka

23 / 25
023:Robotics Expert

「なるほど、コベナントに行ったけど修理は出来ないって言われたのか」

「そうなの。修理が得意な人がいるって聞いたからわざわざ来たのに!」

「あぁ、まぁ……セントリーボットなんて軍用機を扱える人の方が少ないだろうからな」

 

 カットという女の子が連れてきたセントリーボットこそ、彼女の言う友達の『ガス』だそうだ。

 治安維持活動の邪魔をするなと両腕のガトリングで永遠にハラスメントしてくるデカブツにしか見えないんだが、まぁ友達と言うからにはそうなのだろう。

 

 フェラルを元は人間なんだから友達にだってなれると言って食い殺されたマヌケよりは百倍マシと言える。

 

「資材集めのために毎日スカベンジをしていて幸いだったな。大丈夫、必要な軍用基盤は十分にあるから、直る見込みは高いよ」

「本当!?」

「あぁ、ただ……」

 

 直すこと自体は簡単だ。

 どうもこのデカブツさえどうにかすれば女の子一人荷物ごと攫うのは難しくないと判断したのだろうレイダーが、それなりの数のグレネードを一斉に放り投げたらしい。

 

 幸いいくつかは範囲外だったおかげで機能不全になる事はなかったが、それでも相当のダメージが入った様子。

 

 カット自身『友達』のためにとそれなりのロボット工学を独学で学んでいたのもあってメンテナンスはキチンとやっていたようで、部品や装甲の摩耗は少なかったのも大きい。

 

「問題は、キチンとした整備作業をするための設備を作らなければ不安が出るという点だ」

 

 カットがいう『友達の異変』が一番大きく出ているのはその挙動。

 正確に言えば脚部分に相当なダメージが入っている。

 

 これを修理するとなるとどうしても下側からも作業が必要で、つまりは持ち上げる必要がある。

 このデカブツを。

 

「幸いAIコアは無事だし、FC周りの損傷も軽微だから今すぐどうこうなるわけじゃないから安心していいが、一番の深手だった足回りだけはどうしても下から作業する必要がある」

 

 ジャッキアップの類が必要になってくるな。

 ちゃんとした強度があるものなんて転がっているかな……。

 いっそイチから自分で作った方が……いや、セントリーは相当な重量だ。

 半端な物だと事故の元だな。

 

「あ、あ、あの……多分設備について考えているのだと思うのだけど」

 

 同じくレイダーに襲われたイザベルという女性も、ロボットを連れているだけあって……いやこれロボットなのか?

 ある意味これこそ人造人間と言っていい気がするが……ともかく人間の脳を使ったブレイン部を持つ妙なキャタピラロボットと共に、わざわざ俺に会いに来たイザベルという女が紙を開く。

 

「ここを目指す前に見つけた場所に、あの、隠れ家にしようとしていた場所があるんだけど……じぇ、ジェゼベルを見つけて完成させた場所で」

 

 大丈夫だ、ゆっくり話してくれ。

 

 ……いっそ、シュラウドらしく先を促した方がいいのか?

 いや、なんか過呼吸で倒れそうだな。

 

「そこの設備はロックしてきたのだけど、使えるかもしれないと思って基盤部分を抜いて、設計図と一緒に持ってきてるの」

『ゼネラル・アトミック製のロボット製造機だ。そこにこの女の命令で私が計算を補助し、整備や改造が可能になるよう書き足した。この女は最初、自分のロボット軍団を作り出す予定だったからな』

「すまない、見せてもらうよ」

 

 ……すごいなこれ。

 

 資材さえあれば、パーツの設計を一度入力するだけだ。

 あとはセットした資材と引き換えに、複雑なロボットパーツの作成だけじゃなく接続や改造も出来るようになっている。

 多少歪な形になるが、本来の互換性を無視してだ。

 

「……これなら、セントリー下部の修理……それどころが強化も可能になるな」

「そんなことまで出来るの!?」

「あぁ。無論、大量の資材が必要になるけど」

 

 軽く触って分かった事だが、この『ガス』というセントリーは恐らく試作型の物だったのだろう。

 以前戦ったセントリーに比べて火力が強化されていて、背部にミサイルランチャーまで搭載されているがその分微妙に装甲が薄い。

 

 多分、火力の強化とそれに伴い重量バランスを調整するための試作機だ。

 

 戦闘力としては十分すぎるが、それでも完成度で言うと俺がスカベンジの中で戦ったセントリーのほうが高い。

 多分、グレネード数個の一斉投擲程度ではビクともしなかっただろう。

 

「これ、作ったらロボットの戦力を整えられるな。基本となるAIコアまで作成出来るし」

「そうなの!! あ、あ、ごめん……なさい。でも、シュ、シュラウドが使うのなら……あの……」

 

 悪くない。

 ちょうど宿泊施設も兼ねた寝泊まりできる建物を建てるために縄張りを下ばかりだが、その隣に……いや、稼働している時は結構な音がする。

 

 コンクリート資材大量に集めて、裏手の坂に作るか。

 キャラバンのバラモンの留場から少し離した所に。

 

「カット」

「なに? おじさん」

 

 しばくぞ。

 

 パイパー。そう、そこで笑いを噛み殺しているお前だ。

 後で覚えておけよ。

 

「カットの友達だが、とりあえず応急処置を先に済ませようと思う。それでとりあえず目に見える異常はなくなると思う」

「ホント!?」

「ああ。ただ、さっきも言った通り足周りを完全に直すには、イザベルが用意してくれた設計図の作業台を完成させるのが一番だと思う。そこで提案だ。君に依頼したい」

 

 調子が悪いとはいえセントリー。

 装甲を以って両手のガトリングでそこらのミュータントなど蹴散らし、レイダー程度全く脅威にならない軍用ロボット。

 

 しかも、ここにはクリケット姐さんのおかげで各種弾薬はそれなりのストックがある。

 相当減っている弾薬の補給だって容易だ。

 

「俺がこれを作って、かつ君の『ガス』や『ジェゼベル』を直せるだけの資材を集めてくる間、君のガスにここの防衛をお願いしたい」

「ここの?」

「ああ。ここは色んなキャラバンが来て、当然だがそれを狙う奴らがいる。それに、俺自身……その……」

 

 言って伝わるかどうか一瞬言いよどんだが、さすがウェイストランドを渡り歩いている子だ。

 分かっていると頷いた。

 

「人造人間なんだよね? うん、聞いてるよ」

「あぁ、だろうな」

「ダイアモンドシティのマーナは酷かったよ。貴方はインスティチュートのスパイに違いないって」

 

 ……まぁ、そう言われても仕方ない。

 人造人間が表沙汰になった『壊れた仮面事件』の話は聞いたが、ダイアモンドシティはまさに人造人間との因縁が深い所で、しかも推定犠牲者は今も出ている。

 

「でも、ジェネバが貴方の事を庇ってたわ。『たとえ人造人間であるとしても、この町に大きく貢献している一人であるのに変わりはない』って。そしたらマーナ、ジェネバが美人過ぎるって人造人間認定して喧嘩になっちゃって……」

 

 ……そういう話があったのは知っていたが、そういう流れだったのか。

 

「しまいには酒屋のバディムが喧嘩煽っちゃって……もう散々」

 

 あのクソ親父は一回締めよう。

 

「パイパー」

「あぁ……マーナとジェネバが喧嘩ってか、ちょいと雰囲気良くないってのは耳にしてたけど……ほら。マクドナウの事で私も市長秘書(ジェネバ)とはちょっと喧嘩腰にならざるを得ないというか」

「それで詳細知らなかったのか」

「最近はアンタがいなくなった後のバンカーヒルやその周囲の取材で空ける事多かったからな……」

 

 お前もお前で危ない事をするな。

 一応出る前にDC周り同様念入りに掃除はしたが、あそこらへんはミュータントやレイダーが集まりやすいんだから。

 

「まぁ、そういう感じで俺と俺がいるこのミスティックパインは狙われる理由が十分にあってな。一応、タレット網や防壁はしっかり敷いているから守りは強いんだが……」

『確かに。街道以外からの接近を防ぐ壁にセンサー各種を探知。連動するタレット網も防爆仕様。武装した兵士がここを抜けられる可能性を計測……確率、20%』

 

 ……このジェゼベルってロボットは人間の脳を利用しているだけあって会話が可能だ。

 その上で演算能力は極めて高く、まさしく人間とロボットのハイブリッドだ。

 

 ……でもその脳の出処とか……聞いていいんですかね。

 いや、というか確認しないとアレだな。

 

 人造人間の拠点をうろつく、人間の脳剥き出しのロボット。

 

 もうね、有罪(ギルティ)。

 

 どう見てもヤバイ秘密基地で有罪(ギルティ)。

 

 これで中身も有罪ならばホントヤバイ。

 

「二割は抜けるか。その二割を今まで自力で補っていたわけだけど……」

 

 そっとガスの装甲(肌)に触れる。

 今も治(・)安(・)活(・)動(・)を続けている、少女の友達を。

 

「俺が不在の間、ここで商売しているマックや、通りかかるキャラバン達をガスに守って欲しい」

「ガスに?」

「あぁ。この建物を守ってもらえばそれでいいし、その間の飲食は自由にしていい」

 

 離れた所にいるマックに、大声で女二人を養えるくらい在庫があるか尋ねると、「十分あるぜオーナー!」といい返事が返って来る。

 

「あ、あ、あ、あの、私は――」

 

 イザベルはビクビクしているが、別に戦わなくたって問題ない。

 

「イザベルは『ジェゼベル』の修理の代価として、俺が不在の間の自衛とスクラップ仕事を。そして全体的な設備の作成を手伝ってほしい。見様見真似だがワークベンチも設営しているから」

 

 中庭に設営したワークベンチと、発電機がある地下室の上に用意したスクラップ解体場。

 俺の普段の仕事場だが、知識のあるイザベルなら有効活用してくれるだろう。

 

「鉄は正直足りているんだが、現状アルミとゴム資材に不安がある。それに、恐らく足りてはいるんだろうけど今後を考えると電気回路と銅も確保したいから、それらを優先的に掻き集めてくる」

 

 ……あんま使いたくないけど、肉屋のポリーにキャップ渡してマーナの所での買い物頼むか。

 

 ダイアモンドシティの人間だとジェネバやナット同様、ラジオ局のトラビスや武器屋のアルトゥーロと並んで良くしてくれる人だ。

 

 ……宿屋兼酒場のあの双子は……あの……ちょっと別枠で。

 毎回トラブルと愚痴と厄介な頼み事を持ってくるんで……はい。

 

『質問がある。人造人間』

「……ロストだ。一応そう名乗っている」

『了解した。Mr.シュラウド』

「お前は今何を了解した」

 

 こいつ、シュラウドのイントネーションを強調しやがって……。

 

『なぜ、修理に私を入れた。正式に依頼したのは、そこの幼い個体の随伴機だ』

「だけどお前も怪我……うん、怪我しているだろう。それに貴重な設計図も書いてくれた」

『だが正式に依頼していない。この女はシルバーシュラウドの助力のことしか考えていなかった』

 

 おいやめろ、イザベルがまた焦ってるだろうが。

 

『これまでの会話を分析するに、お前という人造人間は積極的に動く個体だ。それは造られた存在としては、いささか奇妙に思える』

「……俺は人間の脳――というか、記憶を移された存在だからな」

『なんのロックもなくか?』

「……ひょっとしたらあるかもしれない。あるいは、しようとしていたのかもしれないが……」

 

 実際、どうなんだろうな。

 もしなんらかのロックがあるのなら、例のインスティチュートとやらがとっくに回収なり確保に動いていると思うんだが……スカベンジの中で一度、ニックよりもさらにロボットらしい連中と交戦したことはあるが、その時も特に何もなかった。

 

 全員撃ち殺して、持ち物全部回収して、分解して資材になってもらっただけだ。

 

「まぁ、特別気にかかる事はない。俺は俺の記憶のまま俺として活動している」

『では、お前の食料や資材、時間というリソースを投げ捨てるのは、お前の意思なのか』

 

 ……コイツ、なんか合理的であろうとし過ぎるな。

 最終的に人間の活動に意味はない、死んだ方が何も失わないとか言い出すボス枠っぽい。

 

 ………………………………。

 

 眼を離さないようにしよう。

 

「まぁ、そうだ。こうして会話が可能なお前の体が銃痕だらけなのは俺の精神に良くない」

『ふん。精(・)神(・)?』

 

 お前、今鼻で笑ったな。

 

『まぁいい。お前の愚行に感謝を。私としても、お前が言い出さなければ交渉と言う無駄なセッションを挟む所だった』

「ねぇイザベル。お前よくコイツと一緒に旅出来てたね」

 

 俺がそう言うと、ずっと緊張していたイザベルが初めて「フフッ」と小さく笑ってくれた。

 

 イザベル、カット。

 そしてガスにジェゼベル。

 

 すでに酒場を開いているマックやほぼほぼ居候のパイパーと共に、後に大きな町となるミスティックパインの根幹となるメンバーが揃った日である。




感想でロスト君のスペシャルに触れているコメントがあったのでなんとなく作ってみました
厨性能なのはポストコーサー(運動神経のみ)なので勘弁してくだせぇ

Strength:3
Perception:6
Endurance:5
Charisma:5
Intelligence:9
Agility:10
Luck:1


Blacksmith:Lv2

Locksmith:Lv3
Demolition Expert:Lv2

Aquaboy:Lv1

Gun Nut:Lv2
Hacker:Lv4
Scrapper:Lv2
Science!:Lv4
Robotics Expert:Lv1
Nuclear Physicist:Lv3

Sneak:Lv2
Gun-Fu:Lv3

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。