核で一度滅んだ世界に転生した瞬間なんか死んだ件について   作:rikka

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006:スーパーミュータント②

「ファリス、しっかりして!」

「驚いた……ナイト・アストリン。生きていたのか……っ」

 

 アンテナ塔の内の一本。その高所に破材などで無理やり作ったような小屋。

 その中で、B・O・S兵士――スクライブ・ファリスは身を隠しながら応戦していた。

 

 その太腿からは、比喩ではなくあふれるように血が流れ続けている。

 布で傷口部分をきつく縛っているがその布もすでに赤黒く染まっており、吸いきれなかった血がしたたり落ちている。

 

「ナイト、来てくれてありがとう。だが……逃げろ。自分はもう助からない」

「何を言っているの!」

「見たら分かるだろう? 大腿部動脈から出血が止まらない。……致命傷だ」

「ファリス!」

 

 弱気なことをいう同僚に業を煮やしたアストリンはファリスの腕を掴み、そして驚愕した。

 スクライブ・ファリスの身体からほとんど熱を感じない。

 

「頼む、ナイト。……もう、瞼を開けているのも正直、キツいんだ」

 

 粗雑な木材の壁が、外からの射撃でみるみる削られていく。

 射撃武器を持っている連中からここが少し遠い事が唯一の救いだが、時たま発射されるレーザーの弾丸がどんどん壁に穴を空けていく。

 

「駄目、駄目よファリス、気をしっかり持って! すぐにアボミネーションを片づけるわ」

 

 現地のキャラバンに改造してもらったライフルは射程がかなり伸びている。

 スナイパータイプほどではないが、この距離ならば当たるはず。

 そう計算したアストリンは壁から身を乗り出そうとするが、パイプライフルやコンバットライフルの連射によって頭を押さえられる。

 

(もし、パワーアーマーを一台でも残していれば……っ)

 

 銃だけを物陰から出して、マークスマンとしての勘で数発撃ってみるが、やはりそう簡単には当たらない。

 このままではすり潰されると、緊張から手に汗を握るアストリン。

 

 次に弾幕が薄くなった瞬間に、確実に一体倒して圧を減らす。

 そう考えてアストリンは耳を澄ませる。

 敵の位置をより正確に把握するためだった。

 

 だからこそ、アストリンはその音に気がつけた。

 

 独特の発射音。

 独特の空を切る、飛翔音とでもいうべき音。

 

「っ! ミサイル!」

 

 先ほどから砲撃はなかったため、弾切れだとアストリンは判断していた。

 とっさにスクライブ・ファリスを庇うが、着弾の爆発音は全く違う所から響く。

 

 

――アアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

 

 

 外から聞こえてくるスーパーミュータントの絶叫。

 弾幕が止んだことに気が付いたアストリンがそっと覗き込む。

 

 そこには、おそらく今の今まで自分達に銃を向けていたのだろう緑色のうすのろが、地面にたたきつけられて絶命している姿だった。

 

 その向こう側には、頭の半分が砕けている別のミュータントの死体が転がっている。

 その側には――

 

「ロスト!!」

 

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

「うし、ミサイル持ちも含めて一番ヤバイ所は潰したか」

 

 唯一のレーザー装備持ちを叩き落した。

 ……いや、まさかミサイルの直撃食らっても死なないとは思わなかった。

 

 頭が弱点っていうのは他の生物と同じだったけど、こいつらやっぱ身体が滅茶苦茶固いわ。

 ひょっとしたらデスクローとかあのデカサソリとかとも殴り合えるんじゃないかと思うくらい。

 

(VATSに先ほどのミサイル弾頭の爆発、爆風のデータを追加。再計算)

 

 それでも地面に叩きつけられたら死んだ。

 高所から落下させるのが一番確実な殺し方というなら。

 

(足場の強度は思ったより固い。手すりの高さも計測データに追加。VATS再起動)

 

「足元注意だ」

 

 アストリン達のいる掘っ立て小屋をいい位置から狙っていた奴の足元を狙ってミサイルを発射。着弾。

 それなりに重そうな図体だが、さすがに衝撃と爆風のWインパクトには耐えられんだろ。

 

 

――オノレェェェェェェェェ!!!!

 

 

 爆風に煽られ、もう一体地面に叩きつけられて絶命する。

 残りのミサイルは二本。

 リコンセンサーに残っている敵の数は十体。

 

 動揺しているためか、動いている奴は一体だけだ。

 

(確認できている敵武装から脅威度を計算。上位四体をリコンセンサーの視覚情報に色分けして表示)

 

「ミツケタゾ!」

 

 高所からこちらかアストリンへの射撃を続けようとしている奴を叩き落そうとしてたら、ガチゴリラが近づいてきた。手にはクッソ重そうなスレッジハンマーを持っている。

 

「シネェ! ニンゲェン!!」

 

 ドス! ドス! とくそうるさい足音を立てて走ってくるガチゴリラ。

 アパートとかで大家さんから文句言われるタイプの足音だ。

 

 ちょっとこっちは脅威度と射角の再計算で忙しいから黙っててくれないかな。

 

 ガチゴリラがハンマーを振りかぶって走ってくるが――

 

 

 

――ピピピッ

 

 

 

「だから足元注意だってば」

 

 

 

 次の瞬間、ミサイルほどではないがゴリラだろうと足吹っ飛ばすには十分すぎる爆発が起こる。

 

 

「アアアアアアッ! アシガアァァァァァ! ニンゲンメェ! ナマイキナァァァ!!」

 

 

 

 

 

「……両足ちぎれても死なないのはさすがですわ」

 

 あのゴリラ犬は見当たらなかったけど、近接ゴリラが来る可能性が高かったから、昨日の軍施設で拾った地雷をばら撒いてたら綺麗にかかってくれた。

 

 爆風で下半身――ついでにハンマーもどっか飛んでって失ったガチゴリラが腕の動きだけでにじり寄ってくるけど無視無視。

 

 今の爆発に気が付いた奴が、高い所からこっちを無警戒に覗き込んでいる。

 よし、落ちろ。

 

 

――ドォォォン! ドォォォン!

 

 

 パイプ銃じゃない、ちゃんとした武器を持ってる奴を優先してミサイルで叩き落す。とりあえずこれでミサイルランチャーも弾切れだ。捨てても大丈夫。

 

 そうしていたら、ようやく敵もバタバタ動き出す。

 アストリンへの攻撃を続行するやつもいれば、こっちに向かってくる奴もいる。

 

 だいぶ近い所まではい寄って来ていた先ほどのスーパーミュータントの頭に、動かなくなるまで拳銃の弾を叩き込む。

 

 ここからは直接見えないが、地雷を仕掛けてきたところで爆発が起こり、そこでマーキングしていた敵が動きを止めている。

 おそらく、コイツと同じように足が吹っ飛んだけど死んでない奴だ。

 

 拳銃を腰に戻して、コンバットライフルを抜いてマガジンを装填する。

 

「うし、こっちに来る奴を適当に相手しながらアストリンと合流するか」

 

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

 後は消化試合だった。

 スーパーミュータントはフェラルに比べて足が遅い。

 重武装してる奴は確かに脅威だけど、そうでないなら距離さえとればいい。

 

 特に今回は、高所の連中を撃ち合いで片づけたアストリンが援護射撃してくれるから楽だった。

 ある程度引き付けて射線が通るところにおびき出せばアストリンのレーザーが狙う。

 アストリンの狙撃を恐れて隠れたら火炎瓶に火を付けて放り込んで炙り出す。

 

 これを繰り返すだけでほとんど倒せた。

 

「アストリン、彼は?」

 

 問題はこの兵士だ。

 アストリンが傷口を洗ってその上の所をキツく縛っているが……。

 

「大腿部の動脈が破れているみたい……上の方できつく縛って、なんとか止血を試みているけど……」

 

 そんな細い紐じゃ止血にも限界があるだろ。

 

「アストリン、コイツを使え。止血帯(ターニケット)だ。クリケット姐さんから緊急用に渡されていた」

「ありがとうロスト!」

 

 アストリンが慌てて再度止血に取り掛かるが……兵士――確か、スクライブ・ファリスだったか――の顔色はもう真っ青だ。

 すでに意識を失っている。

 

「……一刻の猶予もない、か」

 

 軍人って言うなら、ドック・タグに血液型が書いてあるはず……あった。この型なら一応緊急用の血液パックを持っている。

 

(……問題は、やっぱり傷口だな。動脈がやられているとなると……)

 

 血管そのものを縫うか何かで元の形にしなければならないハズだ。

 だけど動脈となると、ただ縫うだけだとダメだ。

 血管をどんなに細くても針穴だらけにしたら、そこから血液が漏れ出すのは当然だ。

 

(いや、だが俺なら……)

 

 普段はそっちのほうが人間らしいと思って行動全部に特に制限をかけていないが、VATS起動時に一緒に作動してしまう精密身体操作モード。――まぁ、勝手にそう呼んでいるが、要するに思い描いた通りに完全に身体を操作できる状態だ。

 

 コレを起動させ続ければ、あるいは血管を突き破らないように縫い合わせて修復出来る……かもしれない。

 タンパク質で構成された綺麗な糸……そうだ、持ち物の中に絹糸がある。

 あれを煮沸消毒すれば、他の適当な糸よりはまだ可能性はある。

 縫い針は……スティムパックの針を外せば使えるかもしれない。

 

(ただ、道具と手段があっても、そんな長時間機械脳をフルで稼働させたら……)

 

 多分しばらく動けなくなる。

 さっきの精密射撃時での機械脳の消耗具合から考えると、手術を終えるまで起動させっぱなしの後にデフォルト設定に戻したら、しばらくの間動けなくなる。

 多分、人間としては不自然な形で。

 

 どうする。

 多分、手術――いや、延命作業も今すぐやらないと間に合わない。

 

 すでに逃げ道がないとかコレ卑怯すぎませんかね。

 

「アストリン、代わってくれ。なんとかしてみる」

「ロスト……貴方、医療技術が?」

「代用できるモノがある。そっちが要所要所で助言をくれたら、ある程度はどうにかなるかもしれない」

「代用?」

「ああ。……まぁ、それでも賭けになるけど」

 

 どうする? と目で問うと、止血を終えたアストリンが素早く立ち上がって、俺と位置を入れ替わる。

 

「アストリン、麻酔は可能か?」

「えぇ、大丈夫。キットの中にあるわ」

「OKだ。……で、アストリン。一番大事な話がある」

「なに?」

「手術を終えたら多分、しばらくの間自分はフリーズする」

「……フリーズ? それはつまり、疲労困憊って意味のスラングかしら?」

「いいや、文字通りの意味だ。つまり――」

 

 

 

 

 

「自分は、人造人間だ」

 

 

 

 

 




なお、実際にノーマルミサイルはクソ弱なため、絶対買えるユニーク武器の★スプレー・アンド・プレイか★オーバーシアー・ガーディアンに加えてパワーアーマーがないと結構苦戦するリビア衛星アレイ

オススメはダイヤモンドシティで★ビッグボーイを買って小型核弾頭による集中砲撃をくらわす事
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