狂雷と一緒!   作:霧ケ峰リョク

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今回はネタ回です。
お酒入ってる状態で書き上げたので割とやらかしました。
とはいえ、日本だとこんな感じかなって思いました。


所詮オレ達

 ガイア連合の幹部達の会議と言っても畏まったものでもなければ厳格なものでも無い。

 むしろ元々転生者の集まり、即ちオレ達なのだからそこまで敬語を使う必要が無いのだ。そもそもとして盟主である神主――――もといショタオジがそういうのを全く気にしない人だからというのもあるだろうが。

 

「取り敢えず、ここに居る人達から貰った情報を纏めておいたので目を通して下さいお」

 

 スライムのペルソナ使いであるやる夫さんから書類を渡され、一通り目を通す。

 やっぱりやる夫さんの書類はとても分かりやすい。

 出来る事ならギリシャ支部に連れて帰って秘書をやってもらいたいくらいだ。と、いうかまだ前線で戦ってるのか。いい加減後方で働いても良いと思うのに。

 

「やる夫くん、やっぱり前線禁止にしても良いかな?」

「なぜ!? やる夫が弱いからかお!? もっと強くならなきゃ」

「やめて」

 

 ショタオジもそう思ったのか、と、いうかこの場に居る全員の意見を代弁したが、結局受け入れてもらえなかった。

 やっぱりだめだったか。男の子には意地があるとはいえ、それでも止めてほしいのだけれど。

 

「俺から報告させて貰う。国内の穏健派は異常無しだ。怪しい事をしているわけじゃねぇ」

 

 霊視ニキの報告を聞いて、参加している幹部の何人かは舌打ちをしたりする者が居た。

 穏健派の事を、より正確に言えば現地人の事を嫌っているガイア連合内の人間は少なくない。響もどちらかと言えば其方の派閥だろう。

 特に穏健派はガイア連合の事をメシア教ガイア派なる存在しない派閥にしようとしている節がある。このままいけばオレ達が死んだ後の後年のガイア連合は文字通りメシア教ガイア派にされてしまうかもしれない。

 それを危惧しているのだろう。出来る事なら叩き潰しておきたい、そう考える者だって少なくない。

 

「地獄湯に関しては今までダークサマナーとして活動していた人達がこぞって登録しに来ましたね。中にはダークサマナーにならざるを得なかった人達が多く居て、贖罪の為と自ら望んで裁きを受けに来る人も多いですね」

 

 ガイア連合が支部、地獄湯の阿紫花さんの報告を聞いて、それもそうかと考える。

 国外が半終末を迎えた現在、余程のバカで無い限り一人でダークサマナー稼業を続けるのはリスクが大き過ぎる。と、いうよりハイリスクノーリターンだ。ダークサマナー狩りが横行しているのなら、とっとと組織に所属した方が良いし、それ以上にこれから先生き残る為には連合に属した方が良いだろう。

 まぁ、ダークサマナーの中には望まずにその道に進んだ人も居るから、その人達の為に救済措置として地獄湯の事を教えたりしてたから、真面目な人程裁かれたいって理由で行く人も多いだろうが。

 どの世界でもライナー・ブラウン、もとい自罰的な人は居るのだから。

 

「やっぱりこの世界はペルソナ世界! だからタルタロスにもっと人員を回して! 一人は無理だから!!」

 

 ハム子は相変わらずだった。

 彼女の無理は出来るという意味なので、もう暫く頑張ってもらおう。

 他の幹部もそう考えたのかハム子から目を背ける。

 

「アメリカは魔王プルート、邪神クトゥルフ、そして過激派メシアンの三つ巴だ。現地に居る人に武器や悪魔召喚プラグラムを配ってるから今はなんとかなっているな。それと、まだ親友は見つけてない。だからもっと支援よろしく!」

 

 リアルバットマンこと狩人ニキは良い笑顔でサムズアップした。

 あの地獄と化したアメリカで北米横断なんて真似、普通は出来ない。

 本当に尊敬する。メシア教の連中はこの人の爪の垢を煎じて飲めば少しは良くなると思う。

 

「イギリスも今は手が離せない。まだ日本には戻れなさそうだ」

 

 イギリスのアーサー・エヴァンズさんは何とも言えないと言わんばかりの表情を浮かべている。

 イタリア、ギリシャと距離がそう離れてないから今イギリスで何が起こってるかは噂で流れて来ている。

 アーサー王が復活したという噂と何か関係があるのだろうか?

 

「ギリシャの方は一通りなんとか片付いた感じだよ。でも中華の方から過激派がこっちに来てたから一週間以内に元通り地獄のデスマーチになる。だから早く兵とデモニカ、それとオーダーメイドのシキガミ下さい」

 

 流石にもう大天使の群れを不眠不休で討伐するのは嫌なの。

レベルが上がったおかげで連発可能になったアンティクトンや冥界波を撃ちまくる作業は嫌なの。空を跳べるようになった事で遠く離れた場所に全速力で向かわなきゃいけないのは嫌なの。最近国民はおろか穏健派からも神聖視されてるの嫌なの。

 このままじゃ死後メシア教の聖戦士扱いされて、悪魔として召喚される事になりかねない。

 

「ふむ、成る程ね……………」

 

 全員の報告を聞き、やる夫さんの纏めたレポートに目を通していたショタオジが目を細める。

 

「国内外の状況がよく分かったよ。着実に終末のカウントダウンは迫ってるね」

「これでもまだ終末じゃないのか」

「日本がまだ無事だからね」

 

 最初から知ってはいた、知識で分かっていたつもりだった。

 だけど実際に体験してみるとよく理解出来る。今のこれでも遥かにマシなのだと。

 本当に終末が来たらもっと大変な事になる。

 

「早く終末が来ないですかねー。終末が来て早く稼ぎたいですし」

 

 運営の一人がそう言った気がした。

 個人的にはその意見には同意できなかった。ただでさえ多くの人が死んでいるのだ。これ以上人死にははっきり言って御免だ。

 それに、終末が来たらガイア連合だって例外じゃない。

 ガイア連合に所属している転生者は全員が覚醒しているわけじゃない。経営の方に回っている転生者は基本的に覚醒していない。

 もしこのまま終末が来たらほぼ間違いなくガイア連合にも被害が出る。

 本当、世の中あまり上手くいかないものだ。

 

「取り敢えず国外組に伝えるよ。アメリカ担当の狩人ニキ、支援は今まで通り継続。だけどアメリカに積極的に支援するわけにもいかない。今のアメリカには旨みが少ないからね」

「成る程、つまりオレがアメリカを救えば」

「無理しちゃダメだからね、振りじゃないからね? と、イギリスに関してはこれまで同様だね。何かあったら遠慮せず言ってね」

「分かりました。ありがとうございます」

「そして綱吉君。一応これまで通り支援は続けるけど兵やシキガミは無理」

「…………やっぱりか」

「予約があるからね。気持ちは分かるけど流石に優先は出来ない」

 

 ショタオジの言葉を聞いて思わず項垂れる。

 まぁ仕方がない。ショタオジのシキガミは今でも人気コンテンツなのだ。

 だから貰えなくても仕方がない――――と、言うとでも思ったか。この恨みは絶対に忘れない、後で必ず苦情のメールを運営に一万件送り込んでくれる。

 

「うぅ…………オレの赤王ちゃまが遠のいていく」

「は?」

「ごめんね。でも一応時間が空き次第作るから。それと後でその悪魔召喚プログラムについても説明するから」

 

 ショタオジの謝罪の言葉と響の冷たい視線が突き刺さる。

 っていうか何で響はそんなに怒っているのだろうか?

 でも悪魔召喚プログラムについて別で話すなんて、やっぱりこれには何か仕込んであったのだろうか。

 

「さて、と…………これで会議は終わりなわけだけど何かある人は居る?」

「あ、それなら運営から一つあります」

「私も、ショタオジに頼みたい事がある」

「ちひろと響ね。じゃあ先にちひろから言って良いよ」

 

 ショタオジに促されて、運営の千川ちひろさんが立ち上がり口を開く。

 

「では皆々様。これよりショタオジがどうやって結婚できるかについて考えましょうか」

「え?」

 

 ちひろさんの口から語られた言葉にショタオジが困惑した表情を浮かべる。

 

「媚薬でも飲ませて放り込んだら良いんじゃないか?」

「と、いうか相手って居るのかよ」

「イタコの長老や穏健派の幸子がショタオジの事好いてたしその二人を嗾けたら良いんじゃね?」

「じゃあどっちを嗾ける? ちなみにオレは幸子さんに10万ガイアポイントを賭けてるから」

「私はイタコの長老に20万ガイアポイントですね。流石にそろそろくっ付いてほしいんですが」

「ショタオジ他人の恋愛は背中を押す癖に自分は逃げ続けるからな。そろそろ年貢の納め時だろう」

 

 困惑する当人をよそにオレ達はショタオジを人生の墓場に送り込む会議を続ける。

 ちなみにオレは幸子さんと結婚するに100万ガイアポイントを賭けている。と、いうかこのトトカルチョを開いたのはオレ自身だ。

 いつまでも結婚から逃げ続けているショタオジに後継者を作ってもらう事と、あの恐ろしき幸子さんをショタオジに押し付けて爆弾処理を任せる。この二つが目的である。

 そんな風にわいわいがやがやと会議を続けようとした時だった。

 

「ペルソナ…………エンシェントデイ」

 

 ショタオジが自身のペルソナを出現させたのは。

 

「きみ達、いい加減にしようか。と、いうか勝手に人で賭けるなよ」

 

 そう言ってショタオジが一体襲い掛かって来た。

 

「鎮まりたまえ! 鎮まりたまえ!! さぞかし名のある山の主と見受けたが、なにゆえそのように荒ぶるのか!!」

「くそ、そんなに結婚が嫌か! 独身生活がそんなに気楽か!!」

「皆! 奴を人生の墓場に送り込むぞ!! 命を賭けろ!!」

「これ以上ショタオジを自由にさせるな!! 皆行くぞぉおおおおおおおお!!」

 

 集まった幹部達が全力で向かって来たショタオジを迎撃する。

 こうしてガイア連合山梨支部の夜は更けていき、オレの日本への旅は終了したのだった。




次回はギリシャに戻ります。
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