狂雷と一緒!   作:霧ケ峰リョク

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メガテンの世界って人間もかなりの超人ぞろいですよね。
だからインフレさせても問題ない筈、ショタオジはもっとチートだから。


権能

 魔人。

 それは大凡この世で出会いたくない悪魔の種族である。

 と、いうのも基本的に魔人という種族、更に言えば黙示録に関係する悪魔は終末に関連する存在である。その強さは当然折り紙付きで、ガキパトで有名なかの人修羅と殺し合っている。

 ショタオジ曰く、半終末の今倒しても他の悪魔同様すぐにリスポーンするかもしれないらしい。

 ぶっちゃけた話、倒すのが難しい上に倒したとしても半終末の現在ではあまり意味が無い存在だ。

 本当ならば今すぐにでも逃げ出したいが、奴等は相対した者を逃がさない。

 

「ファッキン」

 

 口汚い言葉が口から出るも今は気にしない。

 兎に角、今はマザーハーロットだ。この船であれを殺せるのはオレだけ。他の転生者には荷が重過ぎる。

 他の敵は皆に足止めしてもらって、ゼウス達を召喚して短時間で片付けてすぐに討伐するべきか。まさかここで魔人が出て来るとは思わなかったけど、でも勝ち目はある。

 そう考えてデメテル、アルテミスの二体を呼び出そうとする。

 

「――――マザーハーロットに続けて、まさかここで会えるとは思わなかったぞ。神敵よ」

 

 その瞬間、一体の天使が顕現した。

 天使、大天使達の前に顕現したその天使は明確に今まで戦ってきた天使とは明らかに違う。

 

「陛下! 現在中華で確認されてる筈の神の戦車、熾天使メルカバーが!!」

「言わなくても分かる。全員戦闘準備」

 

 現れた異形の天使、メルカバーを睨みつけながら指示を出す。

 なんでここに熾天使メルカバーが居るんだ、なんて言うつもりは無い。過激派は天使召喚プログラムというチートを持っている。向こうは大天使だろうと何体でも召喚可能なんだ。同じ大天使だって何体でも召喚出来る。

 だからこそ、過激派は厄介なんだ。ガイア連合の総力と過激派が戦っても負けるのは間違いなくガイア連合だとショタオジが断言するだけある。

 実質無限の戦力を持ってるんだ。まともにやって勝ち目なんかあるものか。

 ゼウスを呼び戻し、デメテル、アルテミスを召喚する。

 

「ガイア連合の皆は大天使達を、兵は天使達をお願い! ゼウス、デメテル、アルテミスはメルカバーを相手にして。響はゼウス達の援護をお願い、響なら相性で特効が乗るだろうから」

「分かった。けどツナは?」

「オレはマザーハーロットをやる。幸いなことに向こうもそのつもりみたいだし…………本当にゴメン」

 

 オレは響に謝罪する。

 はっきりいって響にした頼みは無茶ぶりも良いところで、友達に対して頼むような事じゃない。

 本当ならもっと下級の天使を一緒に狩ってパワーレベリングしたかったんだけど。

 ああ、これがショタオジがオレ達に向けている感情か。大切な友達なんだから危ない事してほしくない、そう思ってしまうのも無理は無いだろう。

 

「良いって。いつもの事だし」

「マジすみません」

「謝る必要は無いよ。確かに私はレベル上げる機会が少なかったけど、全く弱いわけじゃないから」

「じゃあ任せた」

 

 今度響とショタオジにちゃんとお礼をしよう。

 そう考えながら此方を見下ろすマザーハーロットに視線を向け、奴の下に向かって跳躍する。

 

「行かせん。貴様は我等が討ち取る」

 

 メルカバーがそう告げるとともに前に出る。

 そしてオレに攻撃をしようとして響の拳が顔面に突き刺さった。

 

「お前の相手はこっちだ天使共!!」

 

 ガイア連合の技術部やショタオジが調整を施した特別性の鎧を身に纏った響の攻撃を受け、メルカバーは決して無視できないダメージを受ける。

 本来、レベルが高い者がレベルの低い者の攻撃を受けても大したダメージにはならない。

 とはいえ、例外はいくつかある。格下であっても効果的なダメージを与えられ無いわけじゃないのだ。

 ベリアルにとっての脇見の壺や、ベルデルにとってのヤドリギ。

 

――――ならば天使達にとって神殺しの槍は効果的だろう。

 

「まさか、かの救世主を貫いた槍を…………!?」

 

 メルカバ―はかなり驚いた様子だ。

 それもその筈。響が纏っている鎧はとある槍を加工したものなのだから。

 正直な話、これに関しては技術部の暴走である。あいつ等、ある釘でネイルガンとか作ってたこともあったし。まぁ、そういった特殊な謂れを持つ武器は使い手を選ぶからその暴走はすぐに収まったのだけど。

 でも正直笑い話にならなかった。何だよ使い手を選ぶネイルガンって、シュールにも程があるだろう。

 

「そういうわけだから、あんたの相手は私達がするから」

 

 そんな技術部の悪乗りと暴走で改造された神殺しの槍を身に纏い、響はゼウス達と共にメルカバーと対峙する。

 おかげでマザーハーロットの所まで問題無く移動する事が出来た。

 

「ローマの皇帝を称する者が居ると聞いて見に来たが」

 

 マザーハーロットは此方を値踏みするような視線をオレに向ける。

 骸骨の顔に眼球が無いというのに視線を向けられているというのはおかしな表現かもしれないが。

 

「中々どうして、可愛らしい顔の割に纏う雰囲気は皇帝のそれとは。しかし、皇帝の割にあまり欲が無いように見える」

「別に欲が無いわけじゃないよ。オレだって美味しいものは食べたいし幸せな生活を送りたい。可愛い女の子と付き合いたいし、理想のシキガミ嫁だってほしい。出来れば終末なんて永久に来ないで未来永劫平和な世界であってほしい。そして――――」

 

 誰かが泣いて絶望しているのを見ていたくない。

 

「ほら、欲深いでしょ。こんな子ども染みた願いの為に沢山の人を殺してるんだ。本当に馬鹿らしい、愚かしい、無様としか言いようが無い」

 

 ショタオジに鍛えられて強くなって、それでも全てを助けるには手が届かない。

 本当メガテン世界は地獄だ。どれだけ強くなっても全然足りないんだから。

 

「成る程…………そなたは秩序寄りであるよのぉ」

「割と混沌だとは思うけど、まぁ良い。無駄話は終わりだ」

 

 デュランダルを構えてマザーハーロットに突き付ける。

 

「確かに、これ以上は無駄なやり取りよ。では、可愛がってやろうぞ幼き皇帝よ…………死という名の最高の快楽で!!」

「生きるも地獄、死ぬも地獄。それなら生きる方がずっとマシだ!!」

 

 互いのマグネタイトがぶつかり合い、戦闘が開始される。

 

「バビロンの杯」

 

 マザーハーロットがその手に持った杯に口を付け、万能属性の攻撃を放つ。

 放たれた攻撃は全体攻撃でオレだけでなく、この場で戦っている全員に向けられたものだった。

 

「させるか!!」

 

 皆をマザーハーロットの攻撃から守る為に防ごうとする。

 魔界魔法――――じゃあこれは防げない。と、いうか防御系の魔法をオレは覚えていない。

 このままだったら皆が間違いなく死ぬ、死ななくてもかなりのダメージを受ける。

 だから奥の手を使う事にした。

 

――――覚醒者の中には魔界魔法や悪魔に関係するもの以外の異能を使う事が出来るようになる者も居る。

 

 ショタオジの霊脈操作や陰陽術呪術を含めた技術、霊視ニキの霊視が良い例だ。

 それ以外には未来視や過去視、心を覗く力等。他にも沢山の力がある。

 オレの場合も似たような感じだ。アウトサイダーのように悪魔に変身する事は出来ないがある事は出来るのだ。

 祖先の悪魔の影響か、それとも転生者という人間であり悪魔でもある影響かは知らないが。

 

「――――これは驚いた」

 

 マザーハーロットが驚愕した様子で此方を見ている。

 まぁ、それも当然か。海の上に巨大な城と城壁が作り出されたのだから。

 

「其方、権能が使えるのか」

「すっごい疲れるから使いたくないんだけどね」

 

 ガイア連合の幹部級はユニークスキルを使う事が出来る連中が数多く居る。

 オレも例外ではなく、祖先になった悪魔の権能を行使する事が出来る。

 どんな悪魔なのかは分からないがこの力のおかげでギリシャ支部を作り上げる事が出来たと言っても過言じゃないくらいだ。

 何せ、現在の神星ローマ帝国の城も、建物も全部オレが作ったんだから。

 デメテルの封印を解くまで皆の食料となる作物を作ってたのだってオレだったし。

 

「あの力、まさかお父様…………?」

「ああ、そういうこった。あいつはオレ様の――――」

「っ、成る程…………それなら彼が皇帝になったのは必然ですね」

 

 驚愕に満ちたアルテミスの声と何故か誇らしげにしているゼウスの姿を横目に捉える。

 誇らしげにしているところ悪いけどこれ作る事は出来るけど攻撃には向いていない。

 他の幹部達だって似たようなことは出来るし、ショタオジなんか更に次元が違う。あの人日本全体の霊脈を握っているから日本で戦う限り殆ど無敵と言っても過言じゃない。そうでなくても最強だけど。

 それにこれ自前のマグネタイトでやらなくちゃいけないからめっちゃ疲れる。

 正直な話、これ使うぐらいなら結界を使った方が遥かにマシだ。そういったもの使えないから意味ないが。

 

「ハーベストッ!! とっても、とっても素晴らしいですわ綱吉!!」

 

 そう考えているとデメテルは物凄く嬉しそうに飛び回っていた。

 

「貴方の中で輝いていた実り! それは正に豊穣の力、神の力ですの!! 私と同じ、生み出す者!!」

「デメテル、嬉しいのは分かったからメルカバーの方お願いね」

「分かりましたわ!!」

「さて、と…………」

 

 権能を行使してオレとマザーハーロットを城に閉じ込める。

 舞台は玉座の間、即興で造った何にもない場所で奴と対峙する。

 

「これでお前は他の皆に手を出す事は出来ないな!」

 

 マザーハーロットの首目掛けてデュランダルを振るう。

 振るった刃は奴が座る七つの首を有する獣に受け止められる。

 

「アンティクトン!」

 

 剣を介してアンティクトンを放ち、攻撃を受け止めていた獣ごとマザーハーロットをぶっ飛ばす。

 

「時間もあまりかけられないんだ。だから、すぐに倒してやる!!」

「ほっほっほ、良い。良いぞ。さぁ、このマザーハーロットを愉しませよ!!」

「アンティクトン!」

「バビロンの杯!」

 

 互いの攻撃がぶつかり合い、作り出した城の内装が吹き飛んだ。

 かくしてマザーハーロットとの戦闘が始まった。




ちなみにデメテルさんは主人公の豊穣狙いです。
もし敵対していたら一度殺しにかかって魂と肉体を奪いに来てました。
まぁ仲魔になったから無問題。
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