あゝ楽しんであれ、もんくえ世界津々浦々   作:点=嘘

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第15話

「か、帰っ……てきたぁ〜ッッ」

 

「凄い嬉しそうじゃないですか」

 

 そりゃそうだろ、これでも一応ホームタウンだ。後手にドアを占め、かなり久々な気がするヨロギの我が家にて俺は一息をついていた。

 いざ帰ってきてみればここも変わらないもんだな。あの日プロメスティンと出て行った山奥の小屋そのままだ。当たり前っちゃあ当たり前だが……。

 

「ふう、適当に座ってくれよ。椅子ひとつしかねーけど」

 

「そういえば一人暮らしでしたもんね。じゃあお言葉に甘えて」

 

 小屋小屋っていうけど、実際狭い。

 1DKに倉庫と作業場を雑にくっつけた程度のもんでしかない。そりゃ一人暮らしするのに最低限必要なスペースなわけで、これにプロメスティンが入ってくるとなると少々手狭になると言うしかない。

 

 だから取り敢えず肩の荷を降ろした俺は、部屋の片隅に一つだけ置いてあるベッドの上に腰掛けた。そうだよな、これとかも一つじゃ都合悪いし……ああもう、考える事が多すぎるんだよな。

 

「えー、差し当たって……俺たちがまずやらなきゃならん事は」

 

「はい」

 

「掃除だ」

 

「えー……」

 

「おい! 前から思ってたけど生活水準に対するその意識の低さはどうにかしろ!!」

 

 埃が積もってんだよなぁもう! 解剖の時とかもそうだったけどホント寝ねーし食わねーし休みもしねーし、天使の頑丈さにかこつけてゴリ押ししすぎなんだよ!

 何らかの超常現象でこっそり人間の体とすり替わったりしたらそのまま流れるように過労死ぐらいするだろうな……そう確信しつつ、俺は過去どこに置いたかも忘れてしまった掃除用具の場所を思い出そうと頭を捻るのだった。

 

 

 


 

 

 

「ふー、こんなもんか」

 

 雑巾が含んだ水をバケツに絞りつつ、額の汗を拭いながら部屋を見渡す。まあまあマシになったんじゃないか?

 

「別にここまでしなくても……どうせ何日もしないうちに発つのに……」

 

「文句言うなよ、人ん家だと思いやがって」

 

 ほうきを両手で抱きながらぶつくさのたまうプロメスティンは、普段とは少々異なる装いとなっている。

 白い頭巾とエプロンを羽織って要領悪くウロウロしてる姿は正直ちょっと笑えるが……なんかこう、ん……?

 

「いいな……」

 

「はい……?」

 

 なんか、まあ俺が着せたんだけど……女の子が掃除する格好、しかも俺のだから割とブカブカのやつ……して自分の家にいるっていうこの状況がなんつーかなんだろ、こう、いいな……。

 こいつがかわいいって事を久しぶりに意識したっつーか……。

 

「彼エプロン……?」

 

「貴方が時折発する謎の単語については今更の事と一時置くとして、さては疲れてますね?」

 

 かもなぁ。

 

 って、そんな事はどーでもいい。ひと段落付いたら行くとこがあるんだ。やる事が一杯で大変ったら……。

 

「あー、私も付いていった方が?」

 

「いや別に。お前は大っぴらに顔を晒してもいい身分じゃないだろうしな、あんまり目立たないようにしっ……ん?」

 

 窓の外から足音が聞こえる。やたら急ぐような慌てたようなのがバタバタと、二人分ほど。……まさか()()()()か?

 しばらく入り口の扉を眺めていると、程なくして騒々しく戸を叩く音がした。

 

 

「けっ、賢者さま! お帰りになられたってホントですか〜!?」

 

 

 やっぱりか。聞き慣れた男の子の声で予想が当たったなと密かに思いつつ戸を開けると、そこには俺より頭一つほど小さい黒髪の少年少女が立っていた。

 

「よ、ロン。フウも。お前らもなんか久しぶりだなぁ」

 

「わーッ本物だあああ!!」

 

「う゛っ、ちょ、フウ。くるじぃ……」

 

「ははは。相変わらず愉快な奴らめ」

 

 抱きつかれる余り少女に首を絞められちゃってる少年を前にいつもの事と流しつつ、俺は背後で固まってるプロメスティンに二人を紹介する。

 

「あーっと、メカクレの方がロン。三つ編みの方がフウ。こいつらはまあ大丈夫だ。ちっちゃい頃から色々と世話してやってる、言ったら職人みたいなのをやってる二人だな」

 

 

 


 

 

 

「っんとにクソ大変だったんですよぉ……そりゃアタシたちも賢者さまが旅に出たがってるってのはずっと前から知ってたんですけど、それでもこの数ヶ月は割とマジに心配で心配でもう……」 

 

「そ、そうですよ。どうして僕たちを連れていってくれなかったんですか!」

 

「バーカ、自分の事だけでも精一杯だってのにお前らチビなんて連れてけっかよ」

 

 床に正座しながらキャンキャン騒ぐ二人を、俺はベッドに腰掛けて足を組みながらくつくつと笑う。いやぁ、久々に会えて嬉しいよ。

 旧交を暖めながら故郷に帰ってきたことを改めて実感していると、プロメスティンが物言いたげにこちらを見ているのに気が付いた。

 

「ん、どした? なんか言いたそうだけど」

 

「いえ……そういえば賢者様でしたね、貴方」

 

「そういえばって何だよ、ああ?」

 

 ったく、こいつはこいつで相変わらずだな。

 しかし、そういやロンとフウはまだ会ったことも無いんだったな。兄貴分の家にいっそ異様なぐらいふてぶてしく居座ってるエプロン姿の謎の人物を二人がさっきからめちゃくちゃ気にしてるのは何となく察してた。

 

「あ、あの賢者さま。この方は……」

 

「こいつはプロ、……あー、ジェーン。ジェーンさんね」

 

 あっぶね。そういや偽名で呼ぶ方がいいんだったな。

 

「なんつーかこう、成り行きで俺と一緒に旅してる人だな。まあ口と態度は最悪だが、俺と同じくらいは信用してやってもいいぞ」

 

「どうぞよろしく。あとこいつは潰す」

 

「てめえ!!」

 

「ああっ、やめてください! 拳を握り締めないで!」

 

「へぇ〜お二人とも仲良いんですねぇ」

 

 ちっ、弟分が見てる手前見逃してやる。

 実際に殴り合いなんかしたら俺のパンチだけ全部すり抜けて1000割負けるのが目に見えてるんだが、それはそれだ。あとこれ見てケラケラ笑ってるフウは相変わらず性格わりーな。それでいて結構的を射たこと言ってるのもこいつらしいが。

 

「んんっ……ま、そういう訳だ。それでよ、丁度その事でお前ら二人んとこにこっちから行く予定だったんだが……手間が省けたみたいだな」

 

「へっ? アタシたちにですか?」

 

「ああ。フウには家の備品をいくらか見繕って貰いたいんだ。しばらくこのジェーンさんと二人暮らしになるからさ、色々入り用になってくる物もあるし……そうなると手狭にもなるだろうな、間取りを変えた方がいい場所があったらそこも見てってほしい。増築の工事も任せるよ」

 

 正直ちょっと無茶な事を押し付けてる気もするが……よしよし、ニカッと笑って承諾の意を示してきた。こいつは頼りになる奴だって分かってたよ。

 

「大仕事っすね、まっかせてくださいよ!」

 

「あ、あのっ……僕は何をすれば?」

 

 不安そうに俺を見上げてくるロン。こいつもなぁ、自信さえ付けば誰よりも腕が良いんだが。

 

「ふふん、そんなお前にピッタリの仕事があるぞ。ちょっと待ってろ……」

 

 そう言って俺は立ち上がり一度外に出て、二人とも裏の倉庫まで付いてくるように促す。

 

「見てみ」

 

「これは……?」

 

 取り出したるは一抱えほどもある布の包み……に入ってる、がっしりとした木の枝だ。

 勿論これは精霊の森で取ってきた例の枝。俺はこいつをロンに任せてみようと思う。

 

「これをな、杖に加工して欲しいんだ」

 

「はあ……?」

 

 いまいち飲み込めていないという風に曖昧に頷くロンだが、無理もあるまい。相方に任された大仕事に対して”杖を一本作ってくれ”というのは確かによく分からない頼み事だろう。

 

「こっちの指示は取り入れてもらうが細部の擦り合わせは任せる。そういうのは俺たち素人より本職が調整してく方が無難だろうからな」

 

「わ、わかりました。でもこれって……?」

 

「これか? これは言っちまえば——」

 

 ここで本当のことを言わずに誤魔化してしまうのは簡単かもしれない。こいつの性格上、そうする方が角が立たないだろうってのは容易に想像がつくことだ。

 

 だけど。

 意味がないよな、それじゃあ。

 

 

「今回の旅の、あー、結実ってやつだな?」

 

 

 さらっと言ってはみたが、徐々にその意味を理解し始めたらしい。少しの間ピタッと動きを止めたロンは……おお、面白いぐらいに分かりやすく顔を青くしてこっちを見てきたな。

 

「そ、そんな。無理です。僕なんかが……」

 

「俺はそう思わない」

 

「でも、それなら僕よりフウのほうが。フウならもっと上手くやってくれます……」

 

「お前だから頼みたい」

 

 概ね予想通りの反応だが、だからこそやらせる価値がある。

 俺たちの旅に魔法の杖が必要になるってことをプロメスティンに知らされたその時から俺は、それをこいつに手掛けてもらいたいと思っていた。

 

「って言われてるが、フウ。そっちはどう思う?」

 

「えっ……」

 

 ロンの隣で俯いていた黒髪少女に矢先を向ける。

 ふるふると肩を震わせて黙っていたかと思えば、一転して飛びっきりの笑顔で相方の首に抱きついた。

 

「すっっごいじゃない! まさかまさかアンタがそんな大事な仕事をもらえるなんて! よ〜し、そうと決まれば早速!」

 

「ぐえっ! ……え、え?」

 

「特訓よ!!」

 

 やにわに相方の首根っこを引っ掴んでいったフウは、そのまま嵐のように小屋を飛び出していった。

 

 

 


 

 

 

 

 二人が出ていった後、部屋に戻って。

 

「……大丈夫なんです? 彼ら」

 

「たぶん大丈夫」

 

 俺の真意を測りかねているのか怪訝そうに聞いてくるプロメスティンだが、ここはもう任せると決めている。

 奴らとの付き合いは長い。知らないお前が信用しかねるのは仕方ないとしても、それを他ならぬ兄貴分が疑うのは野暮ってもんだ。

 

 それに、何つっても。

 

「あいつらには才能がある。俺と違ってな。……だから今回もうまくやるさ、なんだかんだ言ってもそうなるように出来てんだ」

 

「はぁ。でも不安ですけどね、私は」

 

「お前なぁ、そういうの本人の前で言うなよな……」

 

 釘刺しとかないと絶対はっきり言うからな、こいつも。色々と察しの良いフウもそうだが、とにかくメンタルが弱いロンのそばには出来るだけ置かないようにしといた方がいいかもしれん。

 そんな、ある意味ではその人柄に信頼を置いてるとも取れるような事を考えていると。

 

「でも意外でした。てっきり杖の製作なんて結局は自分の手でやるものと思ってましたから」

 

 ……あー。

 

 まあ、俺も心得が無いわけじゃない。ついこの前経験した人体の解剖に比べりゃそこまで大掛かりな作業になるはずも無いし。なんならプロメスティンを抱え込んでる以上、外部と深く関わり合う事のリスクを考えると自分で仕上げるって手も全然あった。

 

 でも、それでも。

 今の俺じゃあ……。

 

「自分がそんなに信じられませんか」

 

 ぽつり、と。

 真っ直ぐ俺の目を見て突き立てられた言葉に、動きが一瞬止まる。

 

「今の貴方にとって他人を信じることは簡単でしょう。しかし自分はどうです? 自覚があるかどうかは分かりませんけど客観的に見ると結構拗らせてますよ。それ」

 

「……ったく、敵わないな。お前には」

 

 本当に良く見てる。その気配りを少しは他の人間にも分けてやればいいのにとは思うが、それは言うだけ無駄だろう。

 

「俺、お前に助けられてばっかりだよな。……それだけじゃない。今まで数えきれないほど多くの、色々なものを貰ってここまで来た。きっとこれからもそうだろう」

 

「…………」

 

「ああそうだよ、俺は自分が信じられない。逆にどうやって信じろって?」

 

 別に、今すぐどうこうなるってぐらい病んでる訳でもないが。だけど頭の片隅には常にそれがある。

 それほど……あの満月の夜は、強く心に焼き付いた。

 

「これから旅を続けていくにも、お前を守る必要がないってのは確かに分かった。俺を守ってくれるだけの力があるって事も。だからその点に関しちゃ問題ないよ。ただ……」

 

 そう、そこはいい。

 だから問題はそうじゃなくて。 

 

「ただ、お前だっていつでも地上にいられるって訳じゃないだろ。そんな時にロンやフウ……そうでなくても、そうだ。ククリ。俺に力が無いばかりにあいつらを目の前で守れなかったらどうする?」

 

 ……目の前で。

 そしたらきっと、俺は自分の無力を何よりも許せなくなる。

 

「ゴルド火山に向かうまでの旅路だってそういう奴らと、守りたい人達と出会わない保証なんてどこにもない」

 

 だから、俺なんかがそんな事を考えるのは烏滸がましいのかもしれないが。

 

「前後関係が逆なんだよ。魔法を使えるようになるための旅をしてるのに、”力のない俺”が旅なんかしていてもいいのか、って」

 

 それが、嘘偽りのない俺の本音。

 致命的でこそないが、じりじりと身を焼くような焦りが歯痒くて仕方がない。

 

「なるほど」

 

 俯きながら片手で頭を抱える俺を、プロメスティンはただ見ていた。

 重い沈黙を覚悟していたその時の俺にとっては予想外な事に——直後、その口が開く。

 

「じゃ、今すぐ魔法が使えるようになればいいって事ですね」

 

 

 

 

 

 

「ん?」

 

 言われた言葉の意味が分からず顔を上げる。

 するとそこには、もぞもぞと服をたくし上げて脱ごうとするプロメスティンの姿があった

 

 

(……………??)

 

 

 あまりにも。そう、あまりにも意味のわからない目前の光景に、俺はただただ固まっていた。

 今すぐ魔法が使えるってどういう事だよとかなんで急に服を脱いでんだよとか、ツッコみたい所は無限にある。あるのだが……身をもって思い知った。

 

 人は、処理能力を超えると、固まる。

 

 持ち前の手際の悪さか心なし脱衣すらグダついてる気がするプロメスティンもいよいよ生っ白い肌色の面積が視覚への主張を訴えかけてきたあたりで、俺はようやく、なんとか、一言だけ口にすることができた。

 

「何やってんの?」

 

「はい? 男の人はこうする方が興奮すると聞き及んだのですが……」

 

 あ、ちゃんとそういう方向なのね。

 なんかこう、突飛に見えて実は何でもない理由の脱衣であって、勝手に一人で懊悩してた俺が馬鹿だったと追って後悔するような日常系アニメあたりでよく見る展開とかではないのね。

 

 

 …………。

 

 

「っじゃねえんだよ!!! 今の会話の流れから何がどうなって俺を興奮させようって話になるっつってんだよ!!!!」

 

「んっ……急に大きな声を出さないで下さいよ。びっくりするじゃないですか」

 

「くそっ、この前も自慰がどうとかでこんな事あっただろ! オメーは自分が理解してる事を他人も理解してると思い込んで話を進める癖をそろそろ直せ!!」

 

 いや、マジで何なんだ? ここまで来ると逆に知りたい。プロメスティンよ、お前は何故よりにもよって今、俺を性的に興奮させんがために服を脱ぎ出したのか。

 すると流石に言葉の足らなさを自覚したのか、ようやくそれらしい理由を語り始めた。下着姿のままで。

 

「貴方が魔法を使えないのはつまり、その大元となる魔力が体内にないからだという事を以前に説明しましたよね? それは魔物や天使と違い、生命力を魔力にそのまま変換する機能が人間に備わっていないのが原因だとも」

 

「……だから何だよ」

 

「それで私の魔力を貴方に分け与えるなどの事ができれば手っ取り早いのですが、しかし別々の生命を元にした魔力の譲渡となると……不甲斐ない事に現状の技術では難しいです。何より、力を振るえるようになった所でそれが私からそっくり与えられた物では今までの焼き増し、意味がない。でしょう?」

 

 ……聞いた限りでは筋が通っている。今のところ。

 むしろここまで俺のことをちゃんと考えていてくれていたのかと、少なからず驚きを覚えてしまうような内容だった。しかしそれが何故今のような事態に転がり込んでしまったというのだろう。

 

「つまり結論から言いますと」

 

「うん」

 

「貴方の精液を私の体に取り入れます。天使である私の体内で魔力に変換します。これをそちらに再び還元することによって、晴れて貴方は魔法を使えるようになるという訳ですね」

 

「ボツで」

 

「えっ!?!?」

 

 “まさか断られるとは思わなかった”みたいな顔して驚いてんじゃねえ!! ダメに決まっとろうがそんなもん!!!! 

 

「お前はもっと自分の体を大事にしろよ! 女だろ!」

 

「大丈夫、多分うまくやれると思います! こういう事は初めてですけど」

 

「そーゆー事を聞いてるんじゃねぇ! つか余計にダメだわ!!」

 

「いえ、でも……分かるんです。本で見た知識とは別に——どうすれば男の人を悦ばせられるのか、という事が。……こういうのを本能と言うのでしょうか?」

 

「……薄々気付いてたけどこの世界、魔物だけじゃなく天使までエロゲー仕様なのか? もしそうならいよいよ今世を見限りたくなってくるんだが」

 

「?」

 

 こてっと小首を傾げてくるプロメスティンを改めて見る。おっとりした垂れ目とポニテにまとめた暗めの赤髪。これで顔立ちは整っている。メガネっ娘属性も個人的にはマイナスではない。

 ちょっと見た目が幼い気もするが、人間の俺に人外が年齢を気にされる謂れはないだろう。気心も知れた仲だし、俺としては別に……。

 

 って、何だ何だ。ちょっと思考が変な方向に行ってるぞ。やばい、顔がまた熱くなって……ああもう!

 

「と、とにかく。急にそんな事、俺は断る。駄目ったら駄目、だ……?」

 

 そっぽを向いてきっぱりと否定の意を表した直後。

 俺はプロメスティンに腕を掴まれ、腰掛けていたベッドにそのまま押し倒されていた。

 

「あ、あの……プロメスティン、さん……?」

 

「これは流石に看過できません」

 

 ぎろりと、睨み付けているまである鋭い眼光で俺を見下ろしたプロメスティンは——こと此処に至りあくまでも固く真面目な態度で言葉を続けた。

 

「以前に同じような話を断られた時、あれはこちらの私欲に過ぎませんでした。だからあの場は大人しく事を収めましたが……」

 

 押さえ付けられた腕を振り解けない。ただ単に天使としてプロメスティンの方が力が強いのか、俺が本気で抵抗しようともしていないのか、もうそれすら……分からなかった。

 

 

「貴方が追い詰められているのに、黙って見ている事はできません」

 

 

 鼻先が当たるほど近く。

 突き付けられた真摯な瞳から、目を離すことが出来なかった。




やだ、うちのプロメスティンさん…イケメン…!?
抱いてください!(抱かれる)


 ほらよ
15.5話に続く)
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