なんぼなんでも久々すぎて状況が分からん!…という方はご利用ください。本編もそうですが文字数がかなり多いですのでご注意を。
──清浄なる空気に満たされた天上の世界。
この世界のいかなる物質であろうとも触れ得ぬ聖素に構築された不可侵の領域、数々の天使が住まう女神の美しき箱庭、天界。
一国の境土さえ比較にもならないほど広大な領域のある一角にそびえ立つ尖塔の奥、とある大天使が管轄する執務室での事だ。
「さすが、良い仕事をしますねプロメスティン。前の部署で貴女の面倒を見ていたヘルメスも鼻が高いと常々自慢をしてくるのですよ」
「お褒めに預かり光栄ですアテナ様」
目の前の上司に内心で中指を立てつつ、下級天使のプロメスティンはひたすら人好きのする微笑を顔面に貼り付けていた。
「ええ、実に丁寧に地上の詳細が書き込まれた報告書です」
空いた時間で耳触りのいい出来事だけ適当に書き連ねただけの紙束を見て何をそんな得心したように頷いてるんでしょう。体中の穴という穴まで節穴なんですか? ……無論、そんな風に思っている事などおくびにも出せやしないのである。
こんなどうでもいい事のために遠路はるばる天界などという辺鄙な場所——少なくとも故郷に抱く感想ではないが——まで月に何度も往復しなければならない現状にプロメスティンは当然ながら相当うんざりしている。
地上の彼には知られないようにしている苦労もあるものだ。持ち場を離れるにも毎回アリバイを作らないといけなかったり、聞かなくてもいいようなことを突っ込んで聞いてくる愚物の相手をしなくてはならないこともあったりと。
「それにしても、ふむ。地上の監視が重要な役職であることに疑いの余地はありませんが」
そら来た、例えばこういう事だ。
「しかし貴女ほど優秀な文官であれば更に上での活躍を目指せるのではありませんか? 近いうちに、この大天使アテナから然るべき場所に口添えをして差し上げましょう」
「いえ、私はこの仕事が好きなのです。地上の人間たちがその矮小な身ながらイリアス様を崇め営みを紡いでゆく様子を見るたびに私がどれほど偉大な御方に仕える光栄に浴しているかが再確認うんたらかんたら……」
「なんと……それほどの覚悟でいたとは……見事な献身……美しき忠誠心……」
馬鹿なのか? 馬鹿なんだろうなとプロメスティンは天界基準で100点満点の答えを吐きつつ思う。
そもそも御高く止まるしか能のない連中が日がな澄まし込むだけで一日を終えるだけのような上の仕事になぞカケラの興味も湧かないし、たとえ地上の監視が死ぬほど退屈な仕事であろうと自然観察でもして時間を過ごせたりするだけよっぽど有意義に決まっているのである。そのおかげであの人間と出会えたことを差し引いたとしてもそう思えるぐらいだから、よっぽどだ。
しかし本当に恐ろしいのは、この大天使と自分との間にこれとほとんど変わらないような問答が今日まで五回ぐらい繰り返されてるというところだ。
一度では理解できないかもしれないからもう一度だけ言おう。
環境に変化が無さすぎて馬鹿になってるんだろうなと、プロメスティンは重ねて思う。実際のところ、こういう「お決まり」のやり取りというのは注意して見れば天界のあちこちで散見されるものである。
やれ先日発見した聖書の解釈がどうの、やれ珍しくも誰それが誰あれに訓練所で勝ち越したようですねだのと少しでも変わったことがあるようであれば同じことを飽きもせず何べんも何べんもベラベラと……それを疑問に思っているのもどうやら周りで自分だけらしいというのが救えない。
馬鹿だ、まったく馬鹿馬鹿しい。人間よりも優れているといっておよそ差し支えないであろう高度な知性を長い長い生に浸して、結果がこれなのか。見ろ。ふやけて、溶けて崩れかかってるではないか。まったく自分の他は、粗方をいって馬鹿ばかりの世の中だ。
こういう天界に呆れ返り、憂いて離反をし、みずから地上に堕天する天使というのも皆無ではない。だが得てしてそういうものは全体からいって遥かに小さく、そうして、敵に回す相手が巨大すぎるものだ。
堕天の道に希望など無い。それを照らす光は未だ掲げられず、皆を護り立つ剣も存在しない。
それこそ熾天使の一人や二人が急に堕天して隠れ里を作ろうとか言い出すレベルの超事件が起きでもしない限り、こういった現状はなんにも変わったりしないだろうなとプロメスティンは考えていた。言ってしまえば、考えるだけムダな馬鹿話だということだ。
(考えるといえば、そうですね──……)
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「そりゃお前の言いたい事ぁ分かるよ、生物多様性の考え方、それに俺を含めたお前の”同胞”は魔族の中にもいるだろうって考えも個人的な感情を多分に含むとはいえ間違いない話……クイーンをB6。でもな、魔物っつうのはあくまでヒトの天敵なんだよ。それがどういう事かっつうと、魔物を俺達と同じような知性ある存在として見るにはどうしてもある程度の足切りが必要ってわけだ。イリアス教とは関係なくな……そのボーンを前に……」
それはとある深夜の事だった。
わずかな燭台の灯りに照らされる中で難しい顔をしながら自作の駒を動かす彼。そう、同じベッドの上で毛布を被りながら私達は白黒の盤を間に挟んで『チェス』という遊びに興じていた。
娯楽としてこれを楽しめるような感性を残念ながら私は持ち合わせていなかったけれど、なかなか完成度の高そうなルールをかつて聞いた限りどうして頭の体操に良さそうだと思い、それで以降は時折こうして彼に付き合ったりもしている。
緩く適当な議論を交わしながら次の一手を考える、この時間が好きだ。頭を悩ませて考えている彼の顔をゆっくり眺めるのも気に入った。
「『天敵』は流石に言葉が過ぎるのでは? 法で管理できない者を認められないというのはヨロギの守護者としての貴方の立場から分かりますが、事実として魔物に我々が議題としている所のいわゆる……イリアス教の台頭を考慮しない場合における人魔共存の実現可能性、に何らかの影響を及ぼすほど魔物というものは人類に害をなし得る存在ではないのではないかと思いますが」
「確かに連中が襲う男は生殖サイクルが女より遥かに早いし、上に立つ魔王が行き過ぎた”狩り”を抑制してくれる限り種の存続って意味なら互いに危ぶまれるところまでは行かないだろうってのは同意見だ……つってもそりゃ『人間側の感情を抜きにすれば』って話でしかないんだよ。たとえば一つの群れを維持するのに一人の男が必要って事は大抵の場合一つの人生が永遠に帰ってこないって事と同義なわけで、ましてやたった一匹が求めるたった一度の”食事”で人が殺されるって例もはっきり言ってかなり多い。面倒な話だが、そういった害悪的な魔物までひっくるめて同胞として愛しているからこっちの都合を人間側は黙って受け入れろっていうのが魔王という存在なんだろ。そのスタンスはあくまで俺たち人間とは敵対的だぞ」
「ふむ……まあ今のところは均衡の維持に手を尽くしている魔王周りも代が替わればどうなる事か、怪しいものだと私も思いますしね。思想を問わず魔族の中の最強がその座を手にすることができるという現体制の性質上、アリスフィーズの氏族に限らず何か良からぬ欲を孕んで権力を得たそれの思想によっては最悪の場合人類の家畜化という段階まで行ってしまう恐れは十二分にあるのでしょう。私にとってもあまり望ましくない事態ですし、貴方が懸念している通り人間達はそういった危機に対して何ら介在の余地を持つ事ができません。例えばあの”エリック”ほど突出した力を持つ英傑が今後人類に現れるかはかなり疑問ですし、イリアス教を考慮しない場合という仮定を崩さないなら尚更妥当な懸念であると言えるでしょうね。しかし同時にそれは……」
——実際のところ、本当にどちらかがどちらかの立場に寄っているというわけでも無い。
本音ではあるのだろうシビアな意見を出す彼も思想的には異種族との共存に後ろ向きではない。一方でやんわり魔族を擁護してみている私はといえば、あらゆる種族において目先のことしか考えられない馬鹿な人種は究極的にはどうでもいい存在とさえ思っていたりする。
あえて反対意見を出し合うことで議論それ自体を白熱させる、という意味がこれにはあるらしい。基本的にあらゆる思想が統一されている
この手法を確か”悪
「それではルークをH2に……あれ、チェック?」
「あ、えっ? 待ておい、そっちのキングが詰めてるから……コ、コーナーメイト……」
「ついでに言うとダブルチェックメイトですよね」
ばたーっと後ろに倒れ込む彼の言う分には「彼が弱い」のではなく単純に「私が強過ぎる」のだそうだ。比較対象がいないだけに私からは何とも言えないが……
「ま、丁度いい気分転換にはなりました。付き合わせてしまって悪かったですね。貴方も眠いでしょうし、こんな夜遅くです。また寝直してもいいんですよ」
「ばかやろ、言い出しは俺だっての。……随分と根を詰めてそうだったからさ、気が紛れりゃ良いと思って。作業はまだ続けんのか?」
「ええ。保存できるとはいえ素材は新鮮なほうが望ましいですし」
くあ、と一つ欠伸をして毛布から出る。はて、それにしても私だけならともかく……何故彼まで、こんな夜更けになっても起きていたのだっただろうか?
……そうだ。向かいの机で実験をしていたところを彼の手によってベッドに突っ込まれたのだ。無言で。
その後は確か「寝ないようなら付き合ってやるからせめて休憩しろ」と……そんなに無理をしているようにでも見えたのだろうか。よしんば実際そうだったとして、私が一分たりとも手を休めていないことなど直前まで寝ていた彼にはバレっこないかと思うのだが……
「………………当ててやろうか。お前なぁ、夕方からぶっ通しでその調子だったろ」
「あれ、どうして分かったんですか?」
「ッ、全裸で机に齧り付いてるとこを見させられりゃ嫌でも想像つくわ! どーせまたアレから服着るのも忘れてたんだろ!」
はたと気がつく。言われてみれば彼も私も裸のままだ。確か陽の傾き出した頃か、急に新しく魔力回路の構想を思い付いてしまったもので実験に入り用だった精液を彼からひとまず気絶するまで搾り取ったまではいいが……こんなに時間が経つまでそのままの格好だったらしい。
彼は呆れたようにため息を吐いて自分のシャツを私に羽織らせてきた。まあ、実験に没頭していた私に向かって服を着ろなんて横から言っても碌に聞かなかっただろう。一旦別のことに目を向けさせてから改めて注意してくれたあたり、彼もいよいよ私の扱いに慣れてきてしまったなというか。
「おい、掛けてやったそばから脱ぎ散らかすな」
「だってこの時期はもう夜でもあったかいんですもーん。家の中ぐらい良いじゃないですか」
「……なんで実家住みの男子大学生に対するお母さんみたいな小言を寝た相手に垂れにゃならん……」
ぽーいと服をそこらに投げて再び机に向かう。この部屋も私が来てから随分とごちゃついてきた事だし、これ以上散らかってもあまり変わらないだろう。
自分の体を薄青く照らしている月明かりを頼りに素っ裸のまま椅子に腰掛け、そのまま彼から搾り取った精液がなみなみと注がれたガラス瓶を手に取って振り返る。
「でもほら、気持ち良かったでしょう?」
「……ああ良かったよッ、だけどそれとこれとは話が別だろッ!」
「こういう爛れた生活も楽しいものじゃないですか。なんかワクワクしてきません?」
「しないし俺は明日も仕事があるんだよ。ったく、これから忙しくなるってのに早速無茶させやがってさ……」
「……ん、やっぱり本気なんですね。この前のアレ」
実験に余った精液を指で掬って舐め取る私に露骨に嫌な顔をしながら、彼は怠そうに言う。
「現状、最終的な目標は女神イリアスとの直接交渉だ。差し当たって求めるものは一つ、この世界にいる俺
「んー……切り分けられた
「お前が故郷に嫌気が差してるのは分かるけど、下手な反発心で魔族の側に全てを掛けることは流石にできない。やっぱり今日まで人間を残虐な魔物から遠ざけてきたイリアスの方が……」
彼は少し躊躇うように言葉を切りながらも、
「魔王よりかは信用できる。ここに関しては、恐らく揺るがん」
私にとっては少し意外なまでの、断言をした。
「そのためには今まで以上に立場を明確に、さらに言えば魔族との融和の道を断つことになりますよ」
「承知の上でだ」
「『精霊の森』や『ドウェルガ』で見てきた共存の標に、本当に貴方は未練がないんですか?」
そういう私も魔族との共存自体に関心があるわけでは特にないのだが──あの町の破滅をその目で見た割には──彼にしては情が傾いていないようだと意外に思った。
「今までの旅で色々な魔物にも出会ってきたが……」
けど。
ひどく気怠げで憂鬱を纏う彼の声色を耳にして、それは間違いだったとすぐに分かった。
「死ななきゃいけないような奴もいれば良いやつもいて。お前がずっと手を差し伸べてやりたいと思ってたような人種も、いた」
「…………」
「でもドウェルガみたいなケースは特例中の特例だ。そうだろ? かなり理想的な形での共存が実現してたと言えば聞こえは良いが……」
ジョッキに注いだ冷えた水をごくりと喉を鳴らして飲み、一息を吐いてから彼は続けた。
「逆に言えば天界を敵に回し、魔王にまで見捨てられ、あそこまでの孤立無援に追い詰められでもしなきゃ今のとこ手の届かない共存っていうわけだ」
──あの光景は理想ではあるが、手本にはできないし、するべきじゃない。
ただ、むしろ『精霊の森』は参考にするべきだと彼は言う。排他的に、人目を憚り、民衆とは隔絶された在り方にこそ我々の居場所があるのだと。
得られる智慧と得られた筈の栄誉を女神に捧げ、その対価として我々はこの世界を生き続ける。
しかし、それは、あまりに不安定な在り方ではないかと私は思う。それはあの方が不要と判断すれば容易に切り捨てられる程度の居場所でしかない。どれだけの同胞を迎え入れることができるかも定かではない。
あの日、彼が生涯を掛けて作り上げると私に宣言した「誰もが自由を追い求められる世界」には程遠いのではないか——
「買い被るなよ、俺ひとりに出来る事なんて高が知れてる」
そんな私の内心を見透かしたように、先んじる形で彼は言う。
「だけどお前は違う。お前は本当に凄い奴だ。これから俺が死ぬまで……死んだ後も……常に俺のことを上回り続けてくれる。きっとお前はそういう奴だ」
「…………」
「……実際さ、お前は危なっかしい奴だよ。俺が見てないところでいつ抑えが効かなくなるか分かったもんじゃない……けどな、だけどそれでも、お前は俺の
ああ、そうかと。私は思うのだ。
“その世界”を私に見せることこそが彼の目標だと言っていた。だけども彼は、その景色を自分の目で見ることまではきっと勘定に入れていない。
腑に落ちるような、一方でうまく飲み込めないような。そんな何とも言えない奇妙な納得に包まれつつある私を前に、窓の外の月を見上げながら寝台の枕にもたれる彼は頭の後ろで手を組みながら言った。
「いつかこの世界を丸ごとひっくり返してやれよ。——な、相棒」
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(……包み隠さず、考えを話してくれたのは確かに嬉しいんですけど)
時は進んで、冒頭の場面に遡る。居たくもない天界で上司の大天使との愚にもつかない雑談や称賛を右から左に流していた所だ。
彼と交わす言葉と比べてこの会話の何と中身の無いことか。胸の内でその記憶を反芻してどうにか気分を紛らわせていたが、やはりそれでも限界が近いというものだった。
(とはいえ、彼が自分の道をはっきりと見定め始めたのもまた事実)
頭を振って鬱々とした気分を振り払う。彼がそうと決めたのであればプロメスティンのやるべき事は決まっている筈だった。
何も味方をするわけではない。彼にとって最初にして最大の関門だった——魔導の世界に足を踏み入れるというそれに手を貸した以上、これから先、彼の行動に干渉する意思は実を言えば無いのだ。
これ以上を注ぐのは違う。これ以上を傾けるのは断じて違う。あの一人ぼっちだった少年は鍵を与えられ、見事に扉を開いてみせた。だがその先にあるのはプロメスティンのそれと絶対に同じ物ではないし、同じであるべきではない。
彼女の道は彼のそれとはどこまで行っても違うものである。それは彼ら二人ともが既に確信している信念であるはずだった。
(…………)
とはいえ、だ。
互いを支え合うという意味でなら、これから先も与えて行くものに矛盾は無い。特に彼のやろうとしている事は結果的にプロメスティンを助ける事。
ならば彼女は彼女のまま、ただ道から逸れずに歩くだけだ。
「プロメスティン? どうかしましたか?」
「ええ、実は今回は追加の報告がありまして……”賢者”の件について」
そう言ってプロメスティンは数枚の羊皮紙を差し出した。緊張に胸が脈打つ——この仕事を始めてから真剣に報告書を作成したのは初めてだった。大天使アテナは先程までの安穏とした笑みを僅かに崩し、神妙な面持ちでそれに目を通す。
これが果たして吉と出るかは分からない。イリアス教の力を思えば慎重になりすぎるという事はない問題である筈だ。
ただプロメスティンは確かな希望と自分たちの能力を信じて、未だ見ぬ未来のため動くのだ。
乗り越えられる。私と彼の二人ならば、と。
「失礼します、聖透地区L書簡の件でご報告に参りました」
内心で秘めた決意を固めている時だった。大扉の奥から若い天使の声が聞こえてきたのは、プロメスティンにとって
「む……ケイローネですか、入りなさい」
(……げ)
パラパラと報告書を捲る上司が一瞥もせずに返した後入室してきたのはプロメスティンとそう変わらない背丈の、軍帽を被った緑髪の天使。配達の文書を抱く手に緑色を差した深爪が目立つ少女は、見覚えのある赤髪を視界に入れるなり驚いたように声を出した。
「せ……先輩、こちらにいらっしゃったんですね」
「あ、はい。それが何か。」
心なしかキラキラしたジト目でこちらを見てくるのはいわゆる、天使としての後輩だ。もっとも自分のような文官畑ではなく
というのも筋違いな尊敬の念をどうも抱かれているというか……あまり接点を作った覚えもないのにどういう訳か慕われているというか……表向き
(どうも苦手なんですよねこの子……”いい子ぶってる方の私”を好いてもらった所で。)
むしろ好感度下がるだけですが、とか思わないだけ「あの男」と出会ってから情緒が育ったと褒められるべきかもしれない。
“低能なりに高慢ちきな態度を取らないだけ可愛げがある”程度の評価はしていたという事だ──あるいは、ほか大半を「嫌い」だの「憎い」だのと見ている彼女にとり「苦手」という評価はある意味明確に線引きがなされたものかもしれないが。
「ああ、もう貴女は出て構いません。報告書には目を通しておきます……ケイローネは残りなさい。少し話があります」
「「はっ」」
用は済んだ、ならばこんな所は出来る限り早く後にしたい。そういう内心を最後まで覚られないよう注心しつつ今日もプロメスティンは踵を返す。
何事も滞りなく、話が進めばいいのだが。
大天使アテナさん:外見はヘルメスやカマエルと同じ大天使の量産型タイプです。だから何かあるという話では特にありませんが。
ケイローネちゃん:憧れは理解から最も遠い感情ちゃん。かわいそ…