進撃の巨人2~名もなき兵士という名の悪魔~ 作:Nera上等兵
ウォール・マリア奪還作戦は、大きく3つに分ける事ができる。
第一段階は、過剰な人口を減らす為にウォール・マリア奪還作戦という名の人減らしを実施した。
結果、大量の犠牲者が発生したが、食糧難による内戦は回避できたという苦肉の策である。
『次は、本番ね』
第二段階は、本格的なウォール・マリア奪還作戦に向けて調査兵団が補給拠点を設置していた。
門に空いた穴を塞ぐ為に大量な資材、物資が必要になると見越されていたので当然と言えよう。
大規模な部隊が運用できる様にと調査兵団は多大な犠牲を払って進軍ルートの整備を行なった。
ところが、トロスト区での戦闘で正門が岩で塞がれた為、その計画は
最低でも4個連隊規模の兵力が投入される予定だったので大規模な遠征が不可能になったからだ。
そこで、調査兵団は新たなルートを開拓しようとカラネス区に拠点を移し、活動を開始する。
…はずであった。
『まあ、わたくしたちが先だけど…』
しかし、巨人化能力者のエレン・イェーガーが硬質化を使いこなせた事で事態が大きく進展する。
本来ならば、巨人の追跡を振り切る為に騎兵で運用するので大量の物資を運ぶ事ができなかった。
しかし、その大量な物資や資材が無くても穴を防ぐ手段を確保できたのは大きかった。
さっそく調査兵団は、夜間に進軍できる様に目印やルートの整備を少しずつ行なっている。
『でも、こっちの方が無謀だからこそ達成する意味があるの』
現在、第三段階となる第2回ウォール・マリア奪還作戦をする為の布石を行なっている。
一方でそれが実行できるか兵団政権でも意見が分かれている。
なにせ調査兵団の歴史は、失敗と犠牲者の数で成り立っているのだから。
そのせいなのか、本当に実行できるのかと疑う勢力のせいで予算が中々降りなかった。
そこでフローラが創設した新兵団の出番という訳だ。
『わたくしたちの奮闘が民衆の希望に繋がるのだから…』
まず、クロルバ区から西方に進軍してクィンタ区に辿り着くか事実上の実験を行う。
もし、これが達成できれば、シガンシナ区にも同様に辿り着けられると結論付けられるだろう。
なにより兵団政権は、前の政権との違いを明確化にしたい事情がある。
糞みたいな上層部の都合に合わせてフローラはクィンタ区に向けて部隊を率いる事となった。
『というより部隊運用ができるかテストしたい』
ここまでが兵団政権に告げたフローラの建前である。
ぶっちゃけ自分が創設した兵団が機能しているかテストしたかっただけだ。
これから巨人を掃討するのに…たかが遠征だけで機能不全に陥っては話にならないのだ。
「…でこうなった訳だが」
ただし、いくら計画が完璧でも現実は様々な問題が発生する。
机上の空論だけではなく人間という生物は何かしらの欠陥を抱えているものだ。
「少なくないか?」
少なくとも2個小隊規模を率いるはずだったのに自分を含めて27名しか確保できなかった。
これは戦死者が出た事で兵士の大半が怖気づいた事、遠征用の馬が確保できなかったのが大きい。
やむを得ず調査兵団から馬を借りたが、その大半は補給部隊に転用されてしまった。
初っ端から遠征作戦が失敗すると分かる状況にフローラは本音を漏らしてしまう。
「大丈夫ですわ!皆様の頑張りがあればきっと達成できますの!」
特に子爵家の令嬢がそのメンバーに加わっているのもフローラの頭を悩ました。
なんちゃってお嬢様と称されたフローラと違ってガチの箱入り娘が戦場に出て来る有様だ。
ただし、可愛いお嬢様に応援されて兵士の士気が高まっているのは皮肉でしかない。
まあ、見栄を張って死ぬ未来しか見えないが…。
『頑張って報われるなら誰もがそうしてるわ…』
11歳の小娘が士気向上に尽力する中、16歳の自分が兵士の命を預かるという立場に就いている。
本来なら必要な訓練と筆記試験を突破しなければならないはずなのに非合法で任務を遂行する。
ある意味似た者同士であるのだが、フローラにとってこの令嬢が気に食わなかった。
『……過去の自分の生き写しというのも、腹が立つ』
本来なら前線に送るべきではない人材を徴用しているのは理由がある。
それは、エレンや自分と同じ復讐鬼であるので決して心が折れないのだ。
もし、自分が似た様な待遇であればきっと足掻く事だろう。
変に足掻かれて酷い目に遭うくらいなら監視できる範囲に居させる事にしたのだ。
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兵団政権の罠とも知らずに旧政権派がこっそりと資金を提供してくれた。
さっそく彼らの思惑通りに色々仕込んで兵団政権を打倒できる隠れ蓑をフローラは作った。
そして無駄に会食や交流を続けて彼らの信用を勝ち取っていく。
「姉さま!!これから面談のお時間です!」
「ああ、そうだったな」
旧政権復権派が「おおおおお!!」と盛り上がっている中、フローラは人材確保に勤しんでいる。
専門的な知識や技能を持つ者を新兵団に勧誘する為に高給で募集したのだ。
当然、104期兵の大半が解けない問題を模試にして合格した者が面談に来る。
副官のミーナに面接があると告げられて慌ててフローラは面談に向かった。
「私も参加していい?」
「……別に構わないが、やけに乗り気だな?」
ところが、面接官の1人が風邪で来れなくなったせいでどうするべきかフローラは悩む。
そしたらヒッチが面接官をしてくれると願い出たので彼女の意見を尊重した。
ただ、ヒッチがこれほど面倒な業務をやろうとするのは…まずあり得ない。
「だってただの出来レースでしょ?座って質問するだけで高給もらえるならやるに決まってる」
「そうだと思ったよ…」
ヒッチの言う通り、この面接自体が茶番で既に採用する人物は決まっている。
むしろ、その人物たちの粗を見つけ出すのが本題であった。
だからヒッチは質問をするだけで本題には一切触れる気は無かった。
それを聴いたフローラは彼女らしいと思いつつ席に座る。
「さて、今回の面談に来る人数は22名だ。質問やチャートに関しては書類を確認して欲しい」
化けた女将校の口調で「書類を見ろ」という命令すると、大体の人物の性格や癖が見える。
急遽参加する事になったヒッチはともかくミーナは書類を慌てて見始めている。
一方、ピクシス司令の副官であるグスタフ参謀は、独自に書類をまとめてきたようだ。
同じ質問を繰り返すだけの面接官ですらここまでに違うのだから平等などあり得ない。
「もうすぐ1人目が面接に来るが準備は良いか?」
対人関係が不慣れなミーナ以外は問題なさそうであった。
すぐにフローラは目の前の書類と証拠を見る。
アインリッヒ大学の化学を専攻し、卒業した証のメダルは鈍く光っている。
「……来たか」
部屋の外で待機する兵士に入室を許可された女性がノックを3回し、入室してきた。
身なりと振る舞いから貴族に見える女は、どこか妖艶で人生経験が豊富に見える。
ついでに膝丈のスカートから覗く黒色のストッキングが艶めかしく男の視線を集めた。
「お名前と簡潔な自己紹介をお願いします」
そんな中、フローラは簡潔に自己紹介を求めた。
「カーニー・モルト・ランツと申します。出身は「嘘つけ」…え?」
20歳にしては妖艶な雰囲気を漂わせる女性が発言をしたら即座にフローラは面接を中断させた。
これには参謀のグスタフや元中央第一憲兵団のトップも驚愕してフローラを見る。
「カーリー・ストラットマン…!ようやく引っ掛かってくれたわね!」
実はこの面接自体が茶番であり、フローラの目的は目の前の女を逃がさない様にしたのだ。
フローラが指を鳴らすと物陰に隠れていた
武装した兵士たちに睨まれたカーリーは、慌てて包帯を顔面に巻いた女将校を見る。
「……これは一体、何の真似?」
「あんたのとこの親父さんに何度も捜索依頼を出されていてね…うんざりしていたのよ!」
フローラはストヘス区に拠点を置くマルレーン商会の会長といくつか取引をしていた。
これはシガンシナ区を拠点にしていたフローラの父親が彼と取引していたのが大きい。
「つまり、あんたはパパの手下って訳?」
「いえ、違うわ。でも、そのパパとやらのせいでこうなったのは事実よ」
フローラが生まれる前、父親のミオソティスとエリオットは親友であった。
マルレーン商会のNo.4であったエリオットはフローラの父親と手を組んで商売を始めた。
ウォール・マリアで生産された嗜好品をウォール・シーナで卸した差額で儲けまくったのだ。
これにより、彼らの友情はいつからかビジネスパートナーに変わってしまった。
『もし、息子が生まれたら…』
『分かっているが、娘だったらどうする気だ?』
『貴殿のご息女の補助をさせて頂きます』
ある日、カーリーが誕生したと報を受けて彼らはとんでもない約束をしていた。
エリクシア夫妻の子息をストラットマン家に嫁がせるという戦略結婚を画策していたのだ。
しかし、娘であった場合は、カーリー嬢を補佐する役割をさせるつもりだった。
当時のエリクシア商会にとって【縁】は死活問題であり、こうするしか生き残る道が無かった。
『もっと仕入れ額を下げられないのか?』
『申し訳ありません…』
ところが、マルレーン商会の跡継ぎと揶揄されたエリオットは調子に乗った。
エリクシア商会に自分の恩があるのを良い事に公平な取引をしなくなったのだ。
さすがにここまで露骨になると、エリクシア商会は取引先について考える事となる。
なんとかその危機を脱しようと努力した結果、トロスト区のリーブス商会と接触したのだ。
これ以降の事は、本人の口から聴けなかったのでフローラも内容も出来事も知らない。
「カーリー・ストラットマン…以前の生活が送れると思っているの?」
「あらーここまで恨まれるとは思ってなかったわー」
憲兵団の象徴である
殺意剥き出しの女憲兵を見てお手上げと言わんばかりにカーリーは着席して脚を組んだ。
「え?カーリー・ストラットマン!?」
ここでヒッチが目の前に居る女がかつて捜索依頼を出された人物だと知った。
両手を机に付けて乗り出すように依頼者の娘を見る顔はどこか引き攣っていた。
「嘘でしょ!?」
ヒッチはアニ・レオンハートに捜索依頼をやってもらう代わりに彼女の欠勤を誤魔化した。
その結果、女型の巨人が暴れ回って調査兵団は壊滅的な打撃を被った。
それどころかストヘス区が半壊し、多くの住民が死ぬという大惨事を招いてしまった。
未だにあの時に違和感があったのに指摘しなかった事を後悔しているのが見える。
「……え?」
しかし、ミーナ・カロライナ視点では全く意味が分からない。
自分だけなのかと周囲を見下ろすと男性陣も良く分かっていなさそうであった。
それに安心した彼女は、とりあえず目の前の出来事を見守る事にした。
「で?証拠はある訳?」
「コデロインの生成、ご丁寧にも貴女のお父様から書類を頂いたの」
「……はあ、ここで裁かれると思っていなかった」
コデロインとは王都で一時期流行っていた違法薬物である。
最近、ストヘス区にも流通して社会問題になったが…ある日を境に全てが変わった。
皮肉にもストヘス区で暴れ回った女型の巨人が流通網と売り手を潰したというのが通説である。
実際は、製造者のカーリーが失踪した為、違法薬物が作れなくなったとフローラは知っている。
「そんな貴女を勧誘したくてね、一芝居打たせてもらったわ」
「……こんな事をされて私が黙って協力するとでも?」
だが、カーリーを牢獄にぶち込む気はフローラに無い。
その意図がさっぱり分からないカーリーはあえて挑発し、反応を伺っている。
「え?」
「は?」
いきなり知らない話題で口論している2人に面接官たちは唖然として見守る事しかできない。
一方、ミーナはいつもの事なので特に気にしていなかった。
「ですって?賭けはわたくしの勝ちの様ですわね」
「……ああ」
何が起こるのかと警戒していたらカーテンから思わぬ人物が出て来た。
まさかこのタイミングで遭うと思っていなかったカーリーは目を丸くする。
「パパ…」
「すまない…」
マルレーン商会のトップ、エリオット・グーンベルク・ストラットマンがそこに居た。
共に出現したフル武装した兵士の姿を見れば、平和的な解決ができないと誰もが分かる。
飴と鞭を使いこなす事ができるフローラは、親子に向かってわざとらしく語り掛けた。
「まさか餌をばら撒いたら、
フローラ・エリクシアは様々な勢力によって存在そのものを歴史から抹消された。
しかし、そのおかげであらゆる関係をリセットする事ができたという利点がある。
さっそく関係を再構築したのだが、エリオット氏の行動はフローラの逆鱗に触れた。
「良かったですわねー。親子水入らずで語り合えますよ」
こっそりとエリオット会長に探りを入れたフローラは裏取引の提案を受けた。
フローラという頼みの綱を失った彼は、商会が破滅しない為にと手を汚そうとしたのだろう。
フローラの個人的な見解としては、それ自体は問題では無かったが、やり方がまずかった。
エリクシア商会や父との関係をむやみに語ったのが、変装したフローラを激昂させた。
「さあ、牢獄で語り合うか、研究所で語るかどちらがよろしいでしょうか?」
同時に違法薬物に関する情報をフローラは欲していた。
【決戦の狼煙】と名付ける事となる強化剤の開発に欠かせないと思ったからだ。
一応、強化剤の研究は失敗に終わったので強壮剤などの薬品は確保していたが…。
物理的に兵士を強化するにはドーピングが必須だとフローラは諦めていなかった。
「あんた、性格が悪いって言われない?」
「ふふふ、裏事情を知っている人ほど良く言われるわ」
ここでカーリーは、目の前の女将校が自分に薬物製造をさせようとしているのに気付いた。
わざわざ父親を引っ張り出したのは人質の意味合いがあるのだろう。
「また私に手を汚せと?」
「いえ、貴女の知識と経験で兵士たちを強化する薬物の開発に着手したくてね」
「…どう見ても非合法にしか思えないんだけど?」
「非合法な手段で資金を稼いで父を破産させない様に努力した貴女がそれを言うの?」
巨人を討伐できる技量になるまでに多くの兵士を失う事となる。
巨人に白兵戦を挑む兵士自体がほとんどいない現状でそれを実行するのは兵団の破滅を意味する。
だからといって砲兵だけを充実させても、壁外任務ではどうしても巨人と触敵してしまう。
「何かを得る為なら何かを犠牲にしなければならない。これがこの世の真理よ」
リヴァイ兵士長よりも巨人を多く討伐してきた女将校は、自分がイカレていると自覚している。
大半の兵士がミーナの様に死にかけただけで戦意を失うのを嫌でも知っている。
それを乗り越える為の技量も経験も積ませられないなら薬物に頼る事しかできなかった。
「さあ、どうするの?牢獄で暮らしたい?それとも悪事に加担したい?それとも…」
フローラが直属の配下に視線を送ると意図を察したのか散弾銃の銃口を2人に向けた。
「この場で全てを終わらせてもいいのよ。早く選びなさい」
僅か16歳の小娘にして中央第一憲兵団を掌握しているフローラは交渉できない敵に容赦はない。
最も敵に優しくて冷酷でもある女は、2人の商人に選択肢を与えた。
大人しく断罪されるか、協力するか、それともここで始末されるかだ。
彼らが出す答えは決まっている。
「ふふふ、上手く行ったわ」
この後、あっさりと2人が協力すると願い出た瞬間、フローラは上機嫌になった。
なんなら凡人ならたまげるほどの資金を提供し、強化剤の研究をさせた。
これによって薬物に関する研究が進んでユミルの民の力を引き出せる【決戦の狼煙】が完成する。
ついでに破滅する予定だったマルレーン商会を兵站部隊に組み込まれる事となった。
リーブス商会の協力が得られない今、彼らが兵団の足となり、活躍していく事となる。
「めちゃくちゃ怖かったんだけど…」
「うーん、そうかもね。
「まだあるの…」
最近、ミーナは親友に関して気付いた事がある。
それは、フローラは同期だと対処や対応がかなり甘くなるという事だ。
特に鎧の巨人の能力者であるライナーは、必ず殺すまで追い詰めるはずだと誰もが思っている。
だから不利だと悟ったとはいえ、あっさり討伐を諦めて帰投したと知って誰もが驚いたものだ。
「まさか104期兵とか言わないよね?」
「そんなわけないでしょ」
つまり同じ敵であっても、104期兵出身かそうじゃないかで露骨にフローラの対応が違った。
この不可解な現象を【104期兵ボーナス】とミーナはこっそりと名付けている。
それほどフローラという人物は、同期に対してはかなり寛大な対応を取っていた。
「……じゃあ誰なの?」
「旧政権派の貴族よ」
次にフローラが狙っているのは、旧政権で活動していた貴族である。
ある意味、自分たちの敵であるが、彼らが培ったノウハウは無視できない。
むしろ、粛清予定にある貴族でも何名かは芸術になるのは勿体無いと思っている。
「また上からギャアギャア言われない?」
「言われたらわたくしに押し付けてくれればいいわ」
もはや兵団政権が敵に見えているフローラは、あまり彼らを信用してなかった。
何度も遠征計画を伝達しているのに未だに返答が1通も来ない時点で失望している。
今頃、円卓で自分の利権や理想を語り合っている彼らの姿を思い浮かべる事すらできた。
「……そう、勝手にやっていればいいの」
少なくとも調査兵団や憲兵団は、駐屯兵団に寄生しないと上手く動く事ができない。
しかし、遠征をする関係上、駐屯兵団には頼れないので新兵団は単独で動ける様にするべきだ。
その為にもフローラは兵団単体で運営できる人材を勧誘したり、引き抜きを続けた。
「エルティアナ連隊長!報告申し上げます!」
「どうした?」
さきほどの面談で16名を勧誘したフローラは慌ただしく伝令が来た事に眉を潜めた。
「ボロボロのドレスを纏った令嬢が新兵団に入団したいと申し上げています」
「何をしている!さっさと門前払いをしろ。たかが小娘が役に立つ訳ないだろ!?」
するとどっかの没落令嬢が新兵団に加入したいという報告を受けた。
しかし、フローラからすると明らかに必要ない人材だと感じた。
そんな彼女から「追い払え」という命令を受けた伝令は、更に情報を報告していく。
「実は負傷しています」
「だったら憲兵団に通報しろ!!」
伝令から報告を受ける度に全く意味が分からないフローラは叱責を繰り返した。
だが、その間にもドアを開けたままのせいで廊下から兵士たちの声が聴こえてくる。
「おい待て!?」
「とにかく保護しろ!」
廊下の方で兵士たちが騒がしくしているのを知ってフローラは大体事情を察した。
音を聴いた彼女は無言で廊下に出て音が騒がしい方向を見る。
「おい止まれ」
自分の横を走り抜けようとした少女の腕をフローラは強く掴む。
少女はそれでも走ろうとするが、さすがに現役兵士の腕力には勝てない。
「放してくださいませ!!」
「不審者が相応の歓迎をしてもらえると思ったか!?いや別の意味で歓迎はしたがな」
「エルティアナ連隊長様に入団をお願いしたいのです!!放して!!」
どうやら自分に用があるようだ。
ただし、令嬢の姿を見るに明らかに何かがあった様だ。
すぐに情報を引き出す為にフローラは女将校を演じながら話しかけた。
「私がエルティアナだ。だが、大事な用があるなら廊下で話す事も無いだろ?」
「…その通りですわ」
「呼吸も上がっている事だし、まず休息を取るべきだ。話はそれからでも良いだろ?」
「でも…!」
とりあえず目の前の令嬢が着ているドレスを見てどこの出身か見抜いた。
「ヴェルフ卿の名誉を傷つける気か?これではストヘス区のお笑いものではないか」
「くっ…」
「ここは都市伯が管轄している城壁都市ではない。まずそれは理解して欲しい」
巨人を誘き寄せる為に建設されたとされる城壁都市には貴族が暮らしている。
“都市伯”とは、城壁都市を守護する子爵家の別名であり、子爵家の中でも上位の階級だ。
それより上になると歴代の大臣を務めた伯爵家か、王族関係者の侯爵家しか居ない。
『ヴェルフ家ね…本家が全滅して分家がやりたい放題しているって聞いてたけど…』
ロッド・レイス卿から貴族について教育を受けたフローラは各家の紋章を知っている。
その紋章がボロボロのドレスに刺繍として施されているのを見て出身地を理解した。
そして本家は女型の巨人騒動で全滅し、分家が代わりにその地位に就いたそうだ。
「それに復讐したいのであれば、もっと他の方法があっただろ?」
「何故、それを…」
「目を見れば分かる」
その分家は、当時の王政府でもドン引きするほどの領土自治を行なって大問題を起こしていた。
フローラが粛清する予定として目を付けた旧政権派の貴族でも最低の当主である。
本家の令嬢の姿を見て彼に復讐する気なのだろうとフローラは予測したのだ。
「えぇ!女型の巨人をこの手で討伐したいのですわ!!」
「ん?」
だが、フローラの予想は一部外れた。
自分が鎧の巨人絶対ぶっ殺す復讐鬼なら彼女は女型の巨人に復讐を誓っていた。
「ならば、訓練兵団に入団するといい。なんなら紹介状を書いてやるぞ?」
「その女型の巨人と親友でした」などと口が裂けても言えないフローラは別の話題を振る。
さすがに最低限の技能と知識も無い令嬢を戦場に投入する事はできないので別の手段を用意した。
「108期生として訓練に励みたまえ。そして…「いえ、ここに入団したいのですわ!」…あ?」
ところが、訓練兵団を経由せずにここに入団すると令嬢から告げられてフローラは不機嫌になる。
「ああ、ご両親に親孝行したいのは分かるが、まだ死ぬべきではないと思うのだが?」
「わたくしは本気でこの兵団に入団したいのですわ!」
「巨人の餌以外にお前を活躍させる機会など与える気はないが?」
今まで巨人と無縁の生活を送って来た令嬢が戦場で役に立つ訳が無い。
特に自分の生き写しと言わんばかりの幼い復讐鬼と対峙したフローラは思う。
『ああ、この子はすぐ死ぬわ。それも凄惨な最期を遂げると確信してしまう…』
鎧の巨人によって両親が殺されたフローラは復讐を誓って悪魔になってしまった。
そのせいで自分の足元には多くの屍が築かれて身体中が傷だらけになっている。
だが、他者がそこまで成長するかと言われれば絶対にあり得ないと自信満々に返答できる。
それほどフローラという女兵士が生きているのは奇跡だったのだ。
「108期訓練兵団に入団できるまで公的施設で面倒は見てやる。だがー」
「ならば新兵団見習いとして雇ってくださいまし!必ずお役に立てるはずですわ!」
必死に兵団のトップに直訴する令嬢が呟いた言葉がフローラの逆鱗に触れた。
思わず右手で令嬢の首を絞めようとしたのに気付いて慌てて左手で右腕を抑えるほどに…。
目の前の令嬢をフローラは本気で殺そうと思ったほど気が動転した。
「訓練と実績を積んだ兵士ですら死ぬ戦場に君は役不足だ。せめて新兵になって出直せ」
兵士の訓練を修了したフローラは、多くの同期をトロスト区で見捨てる事しかできなかった。
経験を積んだ今でも5人ほどしか救えないと考えるほどに悪夢の様な惨状だった。
あれほど夢を語り合った同期たちは、悪夢という現実を知って絶望して死んでしまった。
そう、兵士として動けるはずの自分たちですらまともに活躍できずに大半の新兵が死んだのだ。
たかが小娘如きが役に立つ訳が無いと冷酷にフローラは吐き捨てた。
「覚悟はできています」
「ほう?」
この時、フローラが瞳孔を大きく開いて笑ったのを見てミーナは慄いた。
「ならば、貴公にその覚悟を我々に示してもらおうではないか。本気で我々を越える覚悟であれば貴公を否定できる者はこの世には存在しないだろうな。だが、もう後戻りはできんぞ?やるのか?巨人に喰われる恐怖よりも恐ろしくて…失敗すれば大怪我じゃ済まないがそれでもできるのか?」
「ねえ!やっぱり休息を取ろうよ!意地になっても良い事はないよ!?」
フローラが口で抗議する程度で怒って済ませるなら大した事は無い。
だが、瞳孔を開いて笑いながら普段ではありえないお気持ちを表明すると碌な事が起きない。
それを知っているからこそミーナは必死に令嬢を宥めようとした。
「覚悟を示せればここに入団できるのでしょうか?」
「ああ、入団を許可しよう」
「ええ、エルティアナ様!お願いします!」
それでもマリアンヌ嬢は、内心かなり激怒しているフローラの挑発に乗ってしまった。
ミーナは慌てて周囲に助けを求めたが、手遅れだった。
その翌日、兵団が管轄している訓練施設に呼び出されたミーナはびっくりする事となる。
「ライリー!?なんでそんなに怒ってるの!?」
そこには、兵士20人がかりで何とか柵の中に誘導されたライリーが居た。
だが、赤い体毛の馬は明らかに激怒しており、刺股で牽制している兵士は涙目であった。
「それはずっと散歩をサボったからだ」
「え?」
フローラの相棒がここまで激怒しているのは散歩をサボったからだ。
ここまで激怒されるとフローラですら落ち着かせるのに1日はかかる。
いや、だからこそわざわざここに呼んだのだ。
「お前たち、もういいぞ」
フローラが合図を出すと兵士たちは慌てて柵を飛び越えて逃走した。
ライリーは彼らを追撃しようとしたが、フローラの姿を見て嘶いて蹄で地面を掘りまくる。
もし、“彼女”の傍に近寄れば本気で蹴りを入れて来るのは誰が見ても明らかだった。
「ではマリアンヌ嬢、あの暴れ馬に自力で騎乗できたら入団を認めよう」
「それだけでよろしいのですか?」
「ああ、嘘は言わん。それが入団試験さ」
フローラはその馬に子爵令嬢を乗せようと画策した。
それを受けて周囲の兵士たちが抗議をするが睨んで黙らせた。
「あくまでも自力で騎乗しろ。もし乗りこなせればきっと巨人相手でも臆する事は無いだろう」
「分かりましたわ」
フローラは適当に台と棒を持たせたマリアンヌ子爵令嬢を柵の中に入れた。
当然、ライリーは自称相棒面した女が入って来ない事に怒り狂っている。
下手すれば1t近くある生き物に全力で蹴り飛ばされかねない危険な状況だった。
兵士たちは誰もが危険だと抗議するがフローラはむしろ笑っていた。
「ライリー、そいつを蹴り飛ばせ」
フローラの命令を聴いたライリーは本気で驚愕した様に瞼を開いた。
以前、獣の巨人能力者を全力で蹴り飛ばした時と同じ命令を下したのだ。
「え?マジで言ってるの?」という表情をするライリーだったが、フローラの目を見て分かった。
逆にフローラが本気で激怒していると気付いてやむを得ず小娘に襲い掛かる事しかできなかった。
それほど【悪魔になったフローラ】は本気で恐ろしかったのだ。
獣の巨人の能力者を何度も本気で泣かせる化け物は伊達では無いのだ。
「エルティアナ連隊長!速やかに令嬢を救出するべきです!」
「何故だ?彼女が馬に乗ると同意したのだ。邪魔する必要は無いだろう」
現役の兵士が20名がかりで連れて来た暴れ馬に少女が乗ろうとするなど不可能だった。
しかも、わざわざフローラがライリーに蹴り飛ばせと命令したのだからできる訳が無い。
すぐに駐屯兵団出身の兵士が救出の提言を上官にするが、即座に却下された。
「訓練兵団に入団しようとせずに大口を叩く小娘にどうしろと?専門知識も突出した技能も無い。巨人の餌にしかならない小娘が生き残る為には乗馬ができなければ話にならん」
「いくら何でもやり過ぎです!!このままでは彼女が死にますよ!?」
部下の提言に耳を傾けないフローラは、令嬢が地面に転がって血塗れになるのを見て笑う。
さすがにライリーも本気を出していないとはいえ、これでは絶対に騎乗できないだろう。
「さっきからお前は何を言っているんだ?巨人が相手だったら小娘はとっくの前に喰われている。訓練兵団を卒業し、兵士としての技能と知識を身に付けても巨人にあっさりと喰われるのだ」
フローラは、マリアンヌ子爵令嬢の行動に激怒していた。
共に夢を語り合った同期たちが兵士として力を得たのにあっさりと巨人に捕食されてしまった。
それなのに訓練兵団に入団せずに女型の巨人を討伐しようとする魂胆を知って軽蔑したのだ。
子供の発言だからと軽く流すほどフローラにとって同期たちが捧げた心臓は軽くなかったのだ。
「貴公らは勘違いしているが、訓練兵団を卒業するという事は、立体機動装置やマスケット銃など本来なれば禁止されている兵器の使用を特定の条件下で政府に許可される資格でしかないのだよ」
そもそも訓練兵団を卒業するのは最低限の条件である。
訓練を修了して巨人を討伐できるならここまで問題になっていない。
相手は試験でも模型でもなく本気で人を喰らう化け物を相手にするのだ。
「いくら訓練兵団の中で立体機動術に優れていても実戦で活躍できると思うか?そんな訳はない。相手は動く巨人だ。訓練兵団を卒業し、配属された兵団の中で技能と知識を磨いて経験を積む事で巨人とようやく戦える様になるのだ」
兵士になった所で巨人と戦える者など一握りだ。
コニーやジャンなど訓練兵団を卒業して間もない兵士が巨人を討伐しているがあれは例外である。
そもそも、彼らは歴代の訓練兵団の中でも成績がトップクラスであるという事実があった。
成績上位5位までが何かしらの巨人の性質を持ち合わせているのに喰らい付ける人材なのだ。
むしろ、コニーやジャン、サシャの戦闘力と割り切りが可笑しいだけである。
「それをせずに女型の巨人をこの手で討伐すると宣う小娘ができる事など限られる」
だからフローラは何度も乗馬に失敗して振り落されるマリアンヌ嬢に現実を教える。
「命を張って自分の価値を示す以外に我々を納得させる事ができないのだよ」
キース・シャーディス教官が訓練兵たちに「巨人の餌」と表現したのは的確であった。
ミケ・ザガリアスなど調査兵団の中でも最精鋭であっても成す術なく巨人に捕食される事がある。
命を張ってその価値を示す以外に入隊させる気はフローラに無かった。
「あの暴れ馬に自力で乗る事ができれば確実に巨人から生き残る事ができると証明できるだろう。巨人より恐ろしいのは恐怖であり、それは伝染病の様に広がって組織が機能不全に陥る事もある。ならば、彼女は恐怖に打ち勝つ事ができると示せれば、我々にとって必要な人材と示せる訳だ」
むしろ、令嬢が可哀そうだと騒ぎ立てる兵士たちにフローラは警戒している。
暴れ回るライリーを恐れて逃げた癖に安全地帯からギャアギャア騒ぎ立てている現状。
まだ巨人相手でないから良いもの、実戦でこれが起きれば組織は完全に崩壊するだろう。
『そもそも、ライリーから逃げ出したあなた方が騒ぎ立てる事じゃない…』
フローラは「令嬢に自力で乗馬しろ」とは言ったが、それを支援するなとは言っていない。
刺股を構えた兵士たちがライリーの注意を惹いても良いし、なんなら令嬢を救出しても良い。
時間制限が無いからライリーのスタミナを消費させてから令嬢に向かわせるという手もあった。
それすらせずに自分に向かって「中止させろ」と提言する兵士にフローラは心底に呆れた。
『それにわたくしとしては、もう彼女は合格よ。あそこまで動ければ大した物だからね』
ぶっちゃけフローラとしては、既にマリアンヌ嬢の覚悟を認めていた。
なんなら土塗れになりながら激高したライリーに立ち向かった時点で合格であった。
ここで問題になって来るのは、可哀そうだとか止めて欲しいとか発言する兵士だ。
『恐怖と狂気は感染する…なんとかしないと』
【無謀だからとか無理だからとか建前を述べて怖気づく兵士】ほど厄介なものはない。
1人でも対峙した巨人から逃げれば、感染する様に兵士たちが逃亡を図り部隊が瓦解する。
遠征と巨人討伐任務が主流になるのに兵士が逃亡していては話にならない。
これを解決する方法は限られる。
『……どれもやりたくないけどね』
恐怖で兵士が使い物にならないなら更に強い【恐怖】で無理やり従わせるか。
この人なら自分の命を預けられると確信できるほどの【指導力】を発揮するか。
本能を一時的に上回る暴力という【痛み】で無理やり分からせるか。
家族や親友などを人質か買収して兵士が逃げられない【境遇】に追い込むか。
少なくともどれも最終的には破綻するのは分かっているのでフローラはやる気はない。
『だけど、この子なら兵士たちの意識を変えるかもしれない』
フローラがマリアンヌ子爵令嬢に手を出そうとした時、本気で殺すつもりでいた。
それにも拘らず怖気づくどころか必死にしがみ付こうとする魂胆に驚いたものだ。
過去の自分やエレンと同類だから当たり前かもしれないが、かなり重要だった。
『たかが11歳の女の子を放置するほど兵士たちが間抜けだと考えたくはないけど…』
ライリーに騎乗しようとして何度も失敗している令嬢の姿に誰もが悲鳴を出している。
それで終わっているのが問題なのだ。
クロルバ区の憲兵団に通報すればいいし、応援を呼んでライリーを抑えに行っても良い。
要するに何かをする為に一歩踏み出せる存在が居るなら兵士を変える事ができると考えた。
『まあ、無理でしょうけど…』
少なくとも本気でライリーと向き合っているフローラですら騎乗するのは難しい。
現実は非情であるのだから大した結果にならないと結論付けた。
「……これ以上やっても無駄だ。マリアンヌ子爵令嬢を救出せよ」
部下に向かって吐き捨てる様に令嬢の救出をエルティアナとして命じた。
これ以上、彼女が傷塗れになるのがフローラに耐え切れなかった。
性別頭フローラと揶揄された女にも女性としてのプライドがあったのだ。
「ま、待ってくださいまし!?まだ始まったばかりですわ!?」
しかし、それを聴いたマリアンヌは女将校に失望されたと勘違いした。
慌てて抗議するものの兵士たちは自分を救出する為に柵に侵入してくる。
タイムリミットが間近になったと思った彼女は最後の手段に出た。
「お馬さん、お願い!!」
マリアンヌが懇願し、必死に赤い体毛の馬に手を伸ばそうとする。
さすがにライリーもこんな弱い奴に張り合う気は無かった。
あっさりと地面に伏せる様に身を屈めて彼女が乗れるようにした。
「ありがとうございます…」
こうしてマリアンヌ嬢は新兵団に入団できる事ができた。
その後は、フローラとライリーによる一騎打ちが発生し、半日かけて大激戦を行なった。
あまりの双方の暴れっぷりに当事者以外は本気でドン引きした事件である。
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そんな令嬢が兵士たちに呼びかけて士気を向上させているが、すぐにボロが出るだろう。
しれっとカーリーが兵士たちを誘惑して都合の良い駒を作ろうとしているのも問題だった。
『……自分が死なないと高を括って調子に乗ってるわね』
マルレーン商会の会長の娘がでしゃばってくる理由は1つしかない。
放棄されたクィンタ区の利権を確保する為にわざわざ彼女は作戦に従事していたのだ。
強かな彼女は自分が死ぬ時は部隊が全滅した時だと確信しているのか、かなり余裕に見える。
『こっちは余裕が無いのに…』
ハンジが考案した兵器の試作品をフローラは両腕に身に着けていた。
実験や耐久試験では問題がないとされたが、実戦でどうなるか分からない。
しかし、兵士に装備させて実戦を行う訳にもいかずフローラ自ら装備するしかなかった。
『面倒だわ…』
遠征部隊の最前列に居るフローラは、彼らの命を預かっている。
それどころか色んな思惑や策略も抱えて馬を走らせる事となった。
「特殊補給第二分隊!!これから出撃するが並走できそうか?」
「問題ありません」
今回の作戦は、進行状況や目標の達成具合によって大きく変化する。
補給を維持する特殊部隊を並走させて機動力を確認する試験も行う事となった。
これからクロルバ区とクィンタ区を結ぶ補給線も維持しなければならない。
部隊が移動して終わるなんて遠征作戦では絶対にあり得ないのだから。
「よろしい。5分後に出撃すると皆に伝えよ」
「承知しました!」
伝令が去って行くのを見てフローラは馬上で計画書を確認する。
だが、グスタフ参謀の監査したはずの作戦は杜撰であり、あまり期待していない。
要するに「行き当たりばったり」作戦を実行する羽目になるフローラは溜息をつく。
「はぁ、くだらない…」
人生は開き直る事も重要だと自分のせいで内戦が発生したと知ったフローラは思っている。
ここで部隊が半壊しようが、全滅しようがどうでも良いと考えるのも重要だった。
振り返れば自分を信じて待機してくれている兵士たちや協力者たちが居る。
遠征をする前にフローラができる事は演説をして一致団結させる事だけだ。
「諸君!これからクィンタ区に遠征をする!!もう一度言う!これは遠征だ!!防衛ではない!!私の指示に従って
もはやフローラはやけくそで演説をするしかない。
遠征作戦を指揮する本人が一番、この作戦が失敗に終わると理解していた。
それでも他者を前に進ませるには人心を掌握できるほどの自信で演説をするしかない。
「我々の成果が人類の勝利に繋がるのだ!!心して任務を遂行せよ!!」
信煙弾を装填した専用銃を片手にフローラは部下たちに向かって演説をする。
「いくぞ!!」
黄色の信煙弾を上空に発射させたフローラは遠征部隊を先導する為に真っ先に動く!
既に人間の気配を感知した巨人が2体迫って来たが彼女は止まらない!
「そのまま進め!!」
後に“雷槍”と名付けられる兵器を抱えたフローラはさっそく2体の巨人に挑む事となった。