進撃の巨人2~名もなき兵士という名の悪魔~   作:Nera上等兵

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4話 目覚めてしまった力

「ああああ!しつこい男は嫌われますわよおおお!!?」

 

 

自称、世界で一番美味しいお肉こと、フローラ・エリクシアは全速力で逃げていた。

相手選手は馬並みに早い巨人10体である。

命懸けの追いかけっこが開幕して間もないが決着は近い。

 

 

「ジャン!絶対に赦さないんだからあああああああ!」

 

 

立体起動は、こういった街中で真価を発揮するものである。

平地で戦うことが多い調査兵団はともかく、ここなら撒けるはずであった。

 

 

「しつこいのよおおおおお!せめて何体か諦めなさいよおおお!」

 

 

障害物競争なんてなんのその、逆に考えるんだ。

障害物を破壊して追いかけっこをすればいいんだと言わんばかりに建設物を無視して直進する巨人たち。

よっぽど、神がフローラを亡き者にしたいのか、疲れて止まる様子はない。

彼女は考えずに逃げ回っているせいで、味方部隊が居る場所から遠ざかってしまい援護には期待できなくなっていた。

 

 

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壁からトロスト区を見下ろす駐屯兵団司令官、ドット・ピクシスは今年一番の憂鬱であった。

慌てて壁を登ったため、スキットルの中身が空っぽなのも大きいが、それ以上に戦況が最悪であったからだ。

 

本来、巨人の侵攻を遅滞戦術で妨害し、その間に民間人を脱出させる手はずであった。

しかし、逃げ遅れた民間人を真っ先に誘導する場所が巨人との最前線になっており、駐屯兵団は総崩れになっていた。

 

 

「ピクシス司令!救援に送った壁上固定砲整備6班が巨人によって全滅しました!」

「報告申し上げます!兵団本部の建物から【救援の信煙弾】が打ち上げられました!」

「閣下!民間人の避難の誘導に当たっていた技術3班が全滅しました」

 

 

そして部下から上がってくる報告は、戦況が好転した報告などなかった。

前任者であるシガンシナの駐屯兵団司令官は、さぞかし苦しんだことだろう。

 

 

「アンカ、この戦況をどう見る」

「個人的な意見ですが、民間人を切り捨てて撤退命令を下し残存兵力を回収するべきかと」

「そうじゃのう…」

 

 

既に巨人共を壁の隅に誘導する兵力などなく、女参謀であるアンカ・ラインベルガーの意見がもっともマシな妥協策であることは間違いないだろう。

だが、それをすれば、駐屯兵団の信頼と信用は調査兵団より突き抜けて落ちることでもある。

希望を失った民衆によって起こされる内戦の引き金になりかねない事は、絶対に避けなければならない。

人類の守護者である駐屯兵団は、決して善良な市民を見捨ててはいけないのだ。

 

 

「ピクシス司令!」

「どうしたグスタフ!?」

「壁内に居た巨人の大群がこちらに向かって来ております」

 

 

部下から望遠鏡を借りてピクシスが確認すると、なんと一人の兵士が15体を越える巨人を引き連れて壁へと進撃していた。

もちろん、壁の隅に誘導する作戦は、民間人の脱出が済んだ段階後であり明らかに命令違反であった。

だが、これを利用すれば少なくとも付近の巨人を一掃し、一時的な安全地帯が確保できるチャンスである。

 

 

「グスタフ、あの巨人の群れを殲滅するぞ!腕利きの砲兵部隊を呼んでこい」

「ハッ!」

 

願わくば、勇敢な兵士ができるだけ多くの巨人を惹きつける事をピクシス司令は祈っていた。

 

 

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まだ精肉になっていないフローラは既に限界を迎えていた。

後ろを振り返る度に巨人が増えてくる有様で自暴自棄にならないのが奇跡なほどに。

しかし、逃げ回っている間に壁へと近づいている事に気付く。

 

 

「あああああああ!」

 

 

あそこまで行けば、壁上固定砲で巨人たちを一掃できる。

ただそれだけで、アンカーを次々と刺していく。

しかし、いざ壁に近づいた時、壁にアンカーを指すまでの障害物がない事に気付いた。

そして運が悪い事に15m級の大型巨人が立ち塞がっている。

 

 

「う」

 

 

だがもはや気にすることは無かった。

文字通り、捕まったら最後の命懸けな追いかけっこをしている。

逆に言えば、捕まらなければ巨人に触れても良いのである。

 

 

「あああああ!」

 

 

アンカーを射出し大型の巨人の鼻に突き刺しワイヤーを高速で巻き取り始める。

相手から見れば、勝手に口の中に入ってくる豪華なお肉に見える事であろう。

思わず微笑んで口を大きく開けて待ち構える巨人を見て、追跡してきた巨人は更にスピードを上げて飛び掛かってくる。

しかし、フローラは自殺したわけではなかった。

 

ギリギリまで惹きつけた後、アンカーをわざと全部外して落下しながら身体を大きくうねって方向転換を行なった。

そして巨人の咀嚼を回避した実感が湧く前に右鎖骨に1つだけアンカーを打ち込んでワイヤーを巻き取る。

巨人の背後を回る軌道をとり大円筋にアンカーを打ち込み身体を捻りながら大きく回り込んだ。

その瞬間、身体中に掛かる圧力で内臓を圧迫し、いつの間にか音を失い目の前が暗くなった。

 

 

「ガスの消費が激しくて、訓練時間が短くなってしまって…アドバイスして頂けませんか?」

「そうだな、一瞬だけ強くガスを噴出するんだ!そして慣性を利用すれば消費が少なくて済むぞ」

「ありがとうジャン、これでわたくしは更なる高みに進められるわ!」

「そういえば、教える前のお前は、なんか空中機動で無駄に身体を捻ったよな?身体痛めるだけじゃないか?」

「空間把握能力が無いと上達しないと思って、どんな姿勢ならどう動くのか調べていたのよ」

「お前、よく死ななかったな!?」

「鎧の巨人を討伐するまでわたくしは死ねませんので」

 

 

一瞬、ブラックアウトでフローラが視界を失った瞬間、彼女にとって懐かしい光景が見えた。

今となっては、無意識にどう動けば、巨人だけを使って飛び回るか研究していたかもしれない。

とにかく地面に激突する前に交互でアンカーを入れ替えることで一度も着地する事もなく大型巨人の後ろに回ることができた。

それで終わりという事もなく、すかさず彼女は近くにあった街路樹にアンカーを射出して茂みへと隠れた。

 

 

見事に【壁】になってくれた大型巨人は、目の前から迫ってきた巨人達の激突に耐えきれずに身体が崩れた。

20体を越える巨人たちは、ドミノ倒しのように積み重なって身動きがとれなくなっていた。

 

 

「ハァハァハァ…よぉし!」

 

 

右手の拳を握りしめてガッツポーズを行なったフローラは呼吸が少し落ち着くまで待機していた。

そして、50mの壁をよじ登ろうと見上げた。

 

そこには、拍手する観客や彼女の生還を喜んでくれた駐屯兵団の兵士や同期たち。

少しは期待していた彼女の眼前には、そんなものなど映っておらず、ただ榴弾の雨が見えるだけだった。

 

 

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「お待ちください!誘導した兵士の離脱が済んでおりません!」

「奴らが動けない今がチャンスだ!榴弾!撃ち方始めええええ!」

「撃て撃て!!」

 

 

ピクシス司令は、巨人同士が激突して動けなくなった瞬間を見逃さずに砲撃の指示を出した。

うまく誘導した兵士には悪いが逃して兵士100人を死なせるより兵士1人ごと巨人共を吹っ飛ばすことにしたのだ。

 

 

-----

 

 

「やめて!この子だけは!このぎゃああああっが!」

「嫌だ!死にたくない!兵士になったのは家族を…ごふっ!!」

「フランツ!危ないいいいむがああっ!!」

「え?えええ!?嘘だろう!?ハンナ!?ハンナあああああ!!!!」

 

 

意識が曖昧なフローラであったが、声が四方八方からはっきり聴こえてきた。

嘆き、悲しみ、憤怒、絶望、自棄、自殺、悲鳴などあらゆる負の感情から発した声が彼女の脳内に響かせた。

 

 

「…煩いですわ」

 

 

地獄にしてはやけに生ぬるく思わず瞼を空けるとそこは、黒煙が立ち上り肉が焼ける匂いがする戦場であった。

彼女は、四肢と顔半分を喪失した巨人たちに挟まれた隙間に運よく気絶していた。

皮肉にも巨人によって爆炎と衝撃から守られたが敵なのでさっさと討伐をしなければならない。

フローラは、空気抵抗であり重みであったスナップブレードを全て捨てたので、その巨人たちに止めを刺すことができなかった。

 

 

「運悪く、こいつらを殺せないわ、ああ残念よ。本当に残念」

 

 

視界が霞みながらも壁にアンカーを射出し、後ろを振り返らずに駆け上っていく。

キース教官に罵倒されながら、しごかれた毎日に比べればこの程度の垂直な壁などなんの障害にもならなかった。

 

 

「おい!二体も残っているぞ!?」

「次弾装填を急げ!!」

「「「ハッ!!」」」

「よくやったお前たち!この調子で頼むぞ!」

 

 

黒煙が晴れた事で撃ち漏らしに気付いた兵士たちが次弾装填を急いだ。

その傍らでピクシス司令は、久しぶりに人類の勝利の一報を受けて感動で震えていた。

それと同時に見捨てた兵士への罪悪感で胸を締め付けながらも兵士達に激励の言葉をかけていた。

 

 

「ワイヤー音!?下からか!?」

 

 

大戦果に信じられない兵士たちは歓喜していたので高速で下から這い上がってくる兵士に気付くことは無かった。

ピクシスだけが、気付いて慌てて邪魔になる兵士たちに移動の指示を下そうとした。

 

 

「おぬしら!そこを…」

「退いてえええ!きゃああああああ!!!」

「ほげえええええ!!」

「ぬわっー!!!」

 

 

司令官の指示は間に合わなかった。

勢いよく壁上に飛び出してきたフローラは、歓喜に震える観測手二名を巻き添えにして衝突した。

想定外の事態に衝撃を受けた兵士たちが事故現場に急行した。

 

 

「痛えええ…」

「なにが…」

「うっ…痛い…失敗した」

 

 

ガス切れに焦ったフローラは、壁を越える直前のガス噴出の勢いで壁上に飛び出そうとした。

そのせいか、ほとんど勢いが出ておらず兵士達を巻き込みながらも激痛に身動きとれない程度で済んだ。

 

 

「おい貴様!何をやっているんだ!?」

「なにって…壁上に登ってきました」

「持ち場を放棄してここにきただと!?脱走兵か貴様は!?」

「よせ!グスタフ。貴公は、囮になってあれだけの巨人をここまで連れて来れるのか?」

「…申し訳ありません」

 

 

グスタフが怒りで斬り付けるのを制止したピクシスは、壁上に飛び出してきた兵士を観察する。

栗色の髪を後ろで束ねた三つ編みのおさげがチャームポイントの疲労困憊で喘いでいる女訓練兵であった。

スナップブレードは装備しておらず、土埃と汗で汚れた顔が真っ青の状態で仰向けで倒れていた。

 

 

「驚いた…訓練兵か!?」

「ふむ、訓練兵なら作戦を勘違いしてもしょうがないのう。なあアンカ?」

「そうですね、例外で見逃してあげましょう」

 

 

さすがにこの状態で戦場に戻れというのは訓練兵には酷であろう。

そう思ったピクシスであるが、彼女がこちらに手を伸ばしている事に気付く。

 

 

「…ください」

「済まん、もう一度大声で言ってくれないか?」

「ガスボンベとスナップブレードをください!仲間が!同期がまだ戦っているんです!」

「正気か!?そんなボロボロな状態で、また壁内に行くのか!?」

「補給をしたらすぐにここから飛び降りて配置場所に向かいます!ですから補給物資をください!!」

 

 

その場にいた駐屯兵団の兵士たちは耳を疑った。

自分たちに殺されかけた事を抗議するのでもなく、奇跡の生還を果たして恐怖に怯えている訳でもなく再び、あの地獄の釜の蓋が開いた悪夢の場所に行こうというのだ。

 

 

 

「いいだろう!高級士官用の予備品をもっていくといい」

「ピクシス司令!?」

「構わんだろうアンカ?」

「あーもうどうなっても知りませんよ!?高級士官用の装備を新兵に渡すだなんて!?」

「わしが全責任をとる。ある分だけここに用意しろ」

「すぐに手配致します」

「閣下、ありがとうございます」

 

 

ピクシスは別に彼女の決意に心を打たれたわけではなかった。

ただ、昔に大暴れしていた友人とそっくりでつい手を貸して見たくなったからだ。

 

 

「中々良い面構えをしておるな。君、所属と名前は?」

「訓練兵 31班 フローラ・エリクシアですわ!」

「フローラか、良い名だ。機会があったらまた逢いたいものだ」

 

 

キース・シャーディスは彼女の教官だ。

元調査兵団の団長を後任に譲って後進を育成していると聞いていたが、彼の意志は彼女が引き継いだようであった。

 

 

「ところで訊きたいことがあるのだが?」

「はい、わたくしでよければ何なりと」

「戦場で超絶美女の巨人を見なかったか?」

「えっ!?いえ見てませんわ」

「そうか、残念だ。美女だったらわしは食われても良いのだがな」

 

 

彼女が即否定したことで美女の巨人は居ないという空気が広がった。

また始まったよと言わんばかりの呆れ果てた兵士たちの視線を向けられるが、生来の変人と称されるドット・ピクシスに効果はない。

 

 

「司令、用意ができました!」

「ボンベ6本、剣は1人分か」

「急いで掻き集めてきましたが、こんなにいるのでしょうか?」

「だそうだが?」

「はい、4本背中に背負ってきます」

 

 

てきぱきと装備していく手さばきは、鬼教官のおかげであろう。

先ほどまでは死にそうな顔をした彼女は凛々しく微笑んだ。

 

 

「戦場に戻ります!ありがとうございました!」

 

 

そして敬礼をし、すぐに後ろを振り返り走って壁内へと飛び込んでいった。

 

 

------

 

 

「なんで…」

 

 

一方、アルミンは戦意喪失していた。

彼はただ、仲間が巨人に食われるのを座り込んで見ている事しかできなかった。

 

 

「どうして」

 

 

訓練兵 34班は壊滅した。

トーマス、ミーナ、エレンは門の攻防戦で5体の巨人討伐経験があった為、過信していた。

彼らはすぐに出撃する気満々であったが敷地内に巨人の侵入を許したため、足止めを喰らっていた。

 

 

「巨人を多く狩れるか勝負だエレン!」

「言ったなトーマス!フローラより多く狩ってあいつを驚かせようぜ!」

 

 

いざ、出撃すれば救援の信煙弾が林のように立ち昇っており、もはや新兵たちではどうしようもない状況であるにも関わらず、討伐経験という正常性バイアスに囚われていた。

その結果が、トーマスを食った奇行種を怒りに燃えたエレンが単独で討伐しようとして家の影から奇襲してきた巨人に左足を食い千切られた。

それを見て座り込んだアルミンを残して突撃した3人はミーナを残して速攻で喰われた。

 

 

「いやあああああ!!やだやだ!!!」

 

 

ミーナ・カロライナは、穴と言う穴から液体を垂れ流して必死の抵抗をしていた。

こんなはずではなかった。

無念にも死んでいった者達もそう思っていただろう。

キース教官に家畜小屋の豚未満と評されて足掻いて兵士になった結果がこれだ。

 

 

「あっ」

 

 

捕食する前に覗き込んで舌で舐めまわしてから捕食する癖がある黒髪の巨人はついに口を開いた。

鉄臭くて高熱の吐息が噴き付け垂れてきた唾液が彼女を包み込む。

これで自分は人生という舞台から強制退場してしまう。

彼女が最後に思い浮かべたのは、頼れる親友の笑顔だった。

 

 

「助けてフローラあああああああ!!」

 

 

決してここに居るはずのない親友の名を叫んだ!

その親友がキース教官を上回る凄まじい形相で巨人の背後に映った。

 

 

 

「ミーナになにしてんの!!この下衆がああああああ!!!」

 

 

 

フローラは勢いを誤ってうなじどころか、首さえも斬り落とし一緒にぶっ飛んでいった。

そんな光景を目撃してなんとも現実味がないと思った。

その場にいないはずの親友の名を叫んだら救出に来てくれたなんてありえない事であったからだ。

 

 

「ミーナ!起きてる!?」

「えっ!」

「ああよかったわ。何度も声をかけたのに返事をしなかったから心配したのよ!」

 

 

心配そうに顔を近づけている頼もしい親友が居た。

それで安心したと同時に目頭が熱くなって彼女の胸に顔をうずめて香水と体臭を思う存分堪能しながら大泣きをした。

 

 

「ミーナだけでも助かってよかった」

 

 

フローラは、トーマスの“声”が聴こえてきた方向に急行したが、辿り着いた時には声は聞こえなくなった。

代わりにミーナの“声”を頼りにしていたら巨人に食われる寸前だった為、強襲したが勢い余って自分が吹っ飛んでいったのは想定外であったが。

正直、アルミンの悲鳴が気になっていたが親友が放心状態で放置できなかった為、反応があるまで呼びかけていた。

 

 

「ごめんなさいごめんなさいトーマスが…エレンが!!」

「ミーナは悪くないわ。だから一回深呼吸しましょう」

「ああああ!!!もう嫌ああああ!どうしてこうなるの!?あああ!!!」

「ミーナ、これあげるわ」

「なにこれ」

 

 

とにかくミーナは大声を出して恐怖から逃れようとしたら、すかさずフローラから何かを貰った。

 

 

「私が使っている特製の香水よ!リラックスハーブっていうのが入っていて寝る前にとか付けると安息な睡眠が得られる成分が入ってるの!」

「なんで?」

「だって貴女、身体中が汚れているじゃない!匂いを誤魔化すのはちょうどいいわよ」

 

 

ここで失禁してのを気付いて顔が真っ赤になるが無残な死体を山ほど見てきたフローラからすればどうでもいいものであった。

とはいえ乙女たる者、これ以上ミーナの自尊心を踏みにじられるのは許せなかっただけだ。

 

 

「ううっ」

「ほらーいい香りでしょ?試しに首に塗ってみる?」

「ありがとうフローラ」

「だってわたくしたち親友でしょ?」

「ええそうね!!」

 

 

密かに自慢であった両方のおさげで遊び始めたフローラを見て少しずつパニックが収まってきた。

どんどん冷静さを取り戻すうちに1つ疑問が思い浮かんだ。

 

 

「ねえ、どうして私がここに居るのが分かったの?」

「“声”が聞こえたの。トーマスやエレン、ミーナ達の悲痛な叫びが!悲鳴が!」

 

 

親友ではあったが、これだけ広い戦場でも聞き取れるほど聴力が良いのは初耳であった。

でもそんなことはどうでもよかった。

ガタガタ震える哀れな子豚に救いの神が出現したのだから。

 

 

「まだ耳にこびり付いて居るのよ。たくさんの人の声が!でもね、まだアルミンの声が断続的だけど今でも聴こえてくるの」

「私には何も聞こえないわ」

「だから一回、上に居るアルミンと合流して兵団本部に戻ろうね?」

「うん、分かった」

 

 

手を差し伸べてくれた親友のおかげでなんとか立ち上がって見せたミーナ。

親友が立ち直ったと実感したフローラは、すかさず一つの質問をした。

 

 

「ねえ、エレンやトーマスを喰った巨人の特徴って覚えている?」

 

 

その質問を受けてミーナは、頼れる親友の顔を見た。

そこには、復讐に燃える狂気染みた瞳と悪魔のような笑みを浮かべた化け物が居た。

 

 

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