進撃の巨人2~名もなき兵士という名の悪魔~   作:Nera上等兵

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52話 フローラ VS 対人立体機動部隊

【人類最強の兵士】と称されるリヴァイ兵士長。

その実力は、一個旅団に匹敵すると言われているが実際は1個師団と比べても過小評価である。

そんな彼を『一人前に生き残る』処世術を叩き込んだ男。

老いたといえ、リヴァイ兵士長と互角の身体能力を持つ男が!

新型立体機動装置を纏って散弾をぶっ放してきた!

 

 

「ああっ!」

 

 

それを見たフローラは感動し、オーガズムで絶頂しかねない快感で震えていた!

新型の立体機動装置を考えるだけで喘ぎ声を漏らし、見悶えていた。

王政に睨まれて暗殺される立場の女がする表情と思考ではなかった。

 

 

「ハァハァ…ずるいですわ…」

 

 

フローラ・エリクシアは、壁にぶつかっていた。

それは、立体機動装置に身体能力がついてこれてない問題だ。

二か月もしないうちにワイヤーを巻き取る速度が2倍になるという日進月歩の開発スピードに!

身体能力が全然追い付いていなかった!

もちろん、立体機動が大好きで検証の為に106回も医務室送りになった命知らずの馬鹿女!

そんな彼女でも、リヴァイ兵士長やミカサなどの人外の肉体とは大きな差がある。

 

 

「おいおい嬢ちゃんよ…命を狙われているのに暢気(のんき)に眺めてるなよ。それともビビったか?」

「いつ死んでも可笑しくない兵士からすれば通常運転ですわよ…今回は人間だっただけで…」

 

 

散弾を回避して華麗に地面を着地したフローラは、暗殺者のケニーを見上げて待機していた。

その隙を見逃さないケニーの部下2名による散弾攻撃を巨大樹で回避したフローラは返答する。

別に想定していたので、恐ろしくは無いし、なにより立体機動装置を見たい好奇心が強かった。

というか、そもそも殺されかけるなんて日常茶飯事で、もはや慣れた事であった。

 

 

「命を狙われる事なんて、両手で数えられる事しかしてませんわ!!」

「充分多いだろうが!素直に死んでおけよ!」

 

 

ケニーは、わざわざ自分の居場所を声で知らせてくる女に困惑していた。

多分、馬鹿なんだろうと自分を納得して(もも)に装着したカートリッジから散弾の銃身を交換した。

捨てられた空薬莢は、そのまま落下して音を立てて地面に衝突した。

 

 

「死ね!」

「オラァ!」

 

 

ケニーの部下たちは、その音を合図にしたように一斉に発砲した!

 

 

「危なっ!」

 

 

フローラの頬を散弾の欠片が軽く擦った!

運よく躱せたが事態は好転していなかった!

スナップブレードを構えた憲兵2名が彼女を両断するつもりで強襲してきた!

さすがにこれ以上、回避できないので巨大樹の幹を利用し、駆けて逃げ出した!

 

 

「そっちだ!!」

 

 

兵士達の声で相手の位置を把握したフローラは、近くに逢った幹にアンカーを撃ち込んだ!

そして、わざと目立つように飛び出した!

 

 

「舐めてるのか!!」

 

 

馬鹿にしている様に堂々と出てきたフローラを見て激怒した憲兵!

怒りのあまり周りに気を配る事ができず立体機動で突っ込んでいく彼はワイヤーに激突した!

脚に引っ掛けたせいでバランスを崩し、地面に激突した!

それを確認するまでもなく、握り締めたワイヤーの感触で判断してアンカーを巻き取った。

 

 

「それはこっちの台詞なんですけど…」

 

 

フローラも、こんなわざわざ回りくどいやり方で暗殺しに来た彼らに困惑していた。

この第58回壁外調査に勅令を出して参加させてきた王政の重臣。

アウリール大臣とゲラルド大総統がこれを仕組んだのは疑いようがない。

少なくとも大総統ではないと、兵士は動かないので彼が主犯なのは理解できる。

ただ、せっかくの特殊部隊の運用が下手くそ過ぎて、無能としか思えなかった。

 

 

「わざわざ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」

「こっちにも事情があるんでな!分かったらさっさと死んでくれ」

 

 

自分だったら、壁上固定砲に細工して整備不良にみせかけた爆発で事故死に見せかける。

壁上固定砲の操作は、立体機動の次に高得点が入る実技で兵士を修了するには必須科目である。

だからこそ訓練兵だけで壁上固定砲を任せられるし、兵士なら誰でも触れる以上、悪用できる。

フローラは、効率の良いフローラの暗殺案を4つ見出した所で兵士たちの連携に違和感を覚えた。

 

 

「もしかして…」

 

 

その疑問を確信に変えたフローラは巨大樹の幹から飛び出していった。

 

 

「あっ、見つかっちゃった…」

「撃て!!」

「なんてね」

 

 

幹の背後に回ろうとしていたマスケット銃を構えた憲兵2名に向かっていく。

そのマスケット銃も制式装備とは別物のようで、連発で発砲してきた!!

狙いを定めている隙にフローラは立体機動で彼らの上空を舞って初弾を回避!

次に巨大樹の幹を思いっきり蹴って、急な方向転換とガス噴出で2発目の弾丸を回避した!

そして彼らの背後に堂々と着地した。

 

 

「このアマァ!!」

「舐めやがって!」

 

 

1名が短剣と取り出して襲撃し、もう1人が鞘からスナップブレードを装填し斬り掛かろうとした。

しかし、彼らはフローラを殺すことができなかった。

 

 

「ぐふっ!」

「ごほっほ!げほっけ、けにぃ…」

 

 

対人立体機動部隊のケニーは、憲兵2名を巻き添えにしてフローラに向けて散弾を撃ち込んだ!

発砲音と共に放たれた散弾は憲兵の腹に穴を空け、もう1人の頭を文字通りぶっ飛ばした!

惨劇の場に残された憲兵は、ケニーに恨み節を呟いて痙攣して数分後に動きが停止した。

 

 

「やっぱり!わたくし以外も抹消対象が居るようですわね!」

「おいおい、お前が逃げなかったら死なずに済んだんだぞ」

 

 

それを察していたフローラは発砲音がするまでしゃがんで散弾を回避した!

音を聴いた後は、すぐに巨大樹の幹に刺したアンカーのワイヤーを巻き取って去っていく!

 

 

「躊躇いもなく同僚を撃ったって事はー」

 

 

フローラの抱いた違和感、それは憲兵の負の感情だった。

『死にたくない…』と何度も誰かに殺されるような感情であった。

最初は巨人の事だと思い、特に気にしてなかったが何のことはない。

 

 

「暗殺が成功しても殺す癖に良く言うわ!」

 

 

こんな回りくどい暗殺方法を選んだ理由は、自分と中央第一憲兵の4名の殺害であった。

おそらく何か失態をしでかして、暗殺を成功させたらチャラにする約束でもしていたのだろう。

賭けは当たり、躊躇いもなく撃ってきた時点で、暗殺成功しても殺される運命だったのだ。

 

 

「おいケニー!話が違うぞ!!」

「時間を稼いでやったのに始末しねぇお前らがわりぃんだよ!」

「そんなわけで憲兵さんたち!わたくしに協力する気は?」

「「ない!!」」

「あら、残念ですわ…」

 

 

スナップブレードを構えた憲兵2名が動揺したのを見て同士討ちを計ったが見事に失敗した。

フローラは、口では残念そうに言って見せたが、そもそも期待してなかった。

むしろ、気になったのはもう2人の方だ。

 

 

「いつまで減らず口を叩く気!?」

「死ぬまで!」

「さっさと死ね!」

 

 

ケニーの副長、トラウエ・カーフェンは呑気に姿を見せつけている女に散弾を撃ち込んだ。

ところが、散弾を撃ち込む瞬間だけ明らかに動きが違った。

まるで予想していたかのように背後からの散弾を回避する化け物!

追跡されているのに最低限の動きしかせず、逃げる事も振り切る事も考えてないようだった。

それどころか、アンカーを外し落下してオーバーシュートさせられて背後を何度も取られていた。

 

 

「グランツ!挟撃するよ!」

「分かってる!だがどこ行きやがった!?」

 

 

同僚の言葉を聴いて彼女は、慌てて獲物を探した。

それでも見つからなかった。

まるで蒸発したように消えてしまった。

 

 

「カーフェン!グランツ!上だ!!」

 

 

上官のアッカーマン隊長の一言でガスを噴出させて退避した!

その瞬間、背後で高速で落下していく何かを風で感じた。

警告が無かったら殺されていたと分かり、2人は冷や汗を掻いた。

 

 

-----

 

 

とりあえず何故暗殺されることになったかフローラは必死に考えていた。

そんな事を考えている暇ではないが、いつ死んでもおかしくない戦場に居続けた結果!

もはや、死にかけるなど日常過ぎて物思いにふけりながら交戦できるようになっていた。

 

 

「くそっ!これでもダメなのか!?」

 

 

スナップブレードで切り裂こうとした憲兵の真下を潜り抜けてフローラは戦線離脱した!

少なくとも一般兵より上等な装備を身に着けている憲兵は自分を殺さないと処分される。

その恐怖や嘆き、苦しみが“声”になって届いていた。

 

 

「一番まずかったのは、あれね」

 

 

1年前、南方訓練兵団に訪れたフリッツ王。

その王政で重要な陛下を殴った事のせいかもしれない。

あの日、陛下が訓練兵の訓練を拝見されて、視察が終わり同じ食堂で食事をしていた。

それは、間近で生活されている陛下を見る事で、王を意識させるのが目的であった。

 

 

「今日は豪華ですね!」

「そりゃあ、フリッツ王がいらっしゃるもの…」

 

 

サシャの判断は間違っていない。

その日の献立は、煮っ転がした芋にパン、久しぶりに肉の切れ端と豆のスープだった。

いつもなら豆のスープと、パンだけであるから、かなりの豪華であることは分かる。

 

 

「マルコ…実際に陛下のお姿を見てどんな感じだ」

「陛下の民を想う顔を拝見させて頂いて、絶対に憲兵になってみせると改めて誓ったよ」

「まあ、そうだよな!憲兵じゃないとできない事があるもんだ!」

「その通りだよジャン!」

「うん?まあいいか」

 

 

「王にこの身を捧げるためです!!」とまで断言したマルコの思考は一切変わっていない。

ジャンは、内地に行って安全に暮らす憲兵の意味で発言していた。

実際に陛下を拝見して更に覚悟を決めたようでマルコは凛々しい顔をした。

2人とも何か会話が噛み合っていないのに気付いたが些細な問題で気にしなかった。

 

 

「あれ?」

 

訓練兵団の兵士は、兵士として修了するまでフリッツ王の私兵のような存在である。

彼が【主人】であるが故にこの日ばかりは、兵士と同じ食事をする。

それは護るべき王に親近感を抱かせるのと同時に王に忠誠を誓う儀式でもあった。

その王から一番近い席で食事をしていたフローラは違和感を覚えた。

 

 

「むぐっ…」

 

 

陛下が苦しそうな動作をしており、侍女たちが大慌てで何かをしていた。

 

 

「何かあったの?」

「芋を喉に詰まらせたとかじゃないんですか」

「サシャ…さすがに失礼でしょ…」

 

 

“通過儀礼”の際に調理場から盗んできた『蒸かした芋』を食べていたサシャ。

訓練兵団のキース教官の眼前で芋を食べており、困惑した彼の表情は忘れられない。

とにかくそのインパクトで【芋女】という異名を獲得した。

その芋女が陛下の喉に芋を詰まらせたというのだ。

あまりにも馬鹿らしくてフローラは食事を続行していた。

 

 

「陛下!!」

 

 

未だに侍女たちが陛下の背中を叩いており、何も解決できていなかった。

というより、背中を叩いている時点で何かを喉に詰まらせたようだ。

陛下から一番近い席に居る彼女は居ても立っても居られなくなった!

 

 

「もう!!」

 

 

あたふたしている憲兵たちを無視をしてフリッツ王の方へ向かったフローラ。

優しく背中を叩いている侍女たちは、彼女の姿を見て動揺した。

 

 

「おりゃああ!」

 

 

フローラは勢いよく背中を叩いたが、未だに喉に詰まっている様である!

 

 

「おりゃあああ!!」

 

 

今度は背中を殴った!!

旨い事、衝撃が良かったのか陛下の口から食べかけの芋が飛び出して地面に転がった。

 

 

「ごほごほっ!げほっ!!」

 

 

ようやくフリッツ王はつっかえていた芋が無くなったおかげで何とか呼吸ができた。

顔は青ざめていたが、辛うじて命に別状はないようである。

とりあえず、調理班が処罰されそうだな…と思っていたが大切な事を思い出した。

第三者視点から見るとさきほどの行動は、フリッツ王への暴行!

【不敬罪】以上にヤバい事をしていたのに気付いたフローラ。

 

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

 

さすがに文字通りフリッツ王に手を出してしまった彼女は声をかけるのが精一杯だった。

侍女に介抱される陛下は、特に気にしている様子がなかった。

それどころか死にかけたのに呼吸が整ったら平常心に戻ったようだった。

さすが、その御年でも未だに公務を行なう事はあるとフローラは感心していた。

次の一言を聞くまでは…。

 

 

「ばあさんやぁ…飯はまだかのう…?」

 

 

小声でフローラに向かって呟いた言葉。

たった一言だったが、彼女が思い浮かべてきたフリッツ王の像を破壊するには充分だった。

「マルコ、貴方が仕えようとしている王は、ただのボケた老人」だと言いたいくらいに。

ただしお飾りの王だと発覚すると王政が混乱するのは間違いない。

その残酷な事実を知る事もなく死ねたマルコがある意味、幸せだったのかもしれない。

とりあえずフリッツ王がボケ老人である事は、草葉の陰まで持っていく事にしたフローラ。

とにかく、フリッツ王を救った事に侍女や憲兵から感謝された記憶がある。

 

 

「ええい!ちょこまかと!!」

 

 

目の前に飛び出してきたスキンヘッドの男の下を潜り抜けて散弾を回避するフローラ。

遠距離攻撃ができる敵部隊に命が狙われているのに暢気に過去を思い出していた。

もしかしたら現在のフリッツ王が【お飾りの王】だと知っているのが問題なのかもしれない。

そのおかげでやりたい放題できる王政の重臣たちにその話を知って狙われるとしたら…。

あり得る話かもしれない。

 

 

「ああ、思い出した」

 

 

その後の出来事には続きがあった。

なんとか王から芋を吐き出させる事に成功したフローラ!

感謝されて悪い気持ちがしなかったが、その芋がどうなったか確認してなかった。

どこに行ったのかと見渡したらサシャの手にあった!

 

 

「サシャ!何をしてるの!?」

「えっ、勿体ないから吐き出された芋を食べるんですよ!」

 

 

食い意地があるサシャは、胃を満たすために老人が吐き出した芋すら食べるつもりだった!

フローラは思わず彼女を叱った!

 

 

「ダメじゃない!芋を洗ってから食べなきゃ!!」

「そうですよね!今から芋を洗ってきます!」

「「違うでしょ!!!」」

 

 

ミーナと侍女長に同時に突っ込まれたやり取りがあった事を思い出した。

もちろん、これも手帳に書いてある。

ちなみにその後、別室でフリッツ王は侍女長に、フローラとサシャはキース教官に叱られていた。

いつもの事なので、適当に受け流していたら一日飯抜きをされて2人は死にかけた。

立体機動でエネルギーを消費しまくるフローラ、1食でも抜くと倒れそうになるサシャ。

もし、ミーナとクリスタがこっそり差し入れしなかったら餓死していただろう。

 

 

「死ね!」

「まだ死ねないわ」

 

 

他の事を考えていても身体が勝手に動いて攻撃を回避したフローラ。

ケニー以外の全員が疲弊しているのを確認して口角をつり上げた。

彼女の興味は、新型の立体機動装置であって、命を狙われるのに抵抗はない。

でも殺されるのは嫌なので抗いますというスタンスの彼女は、あえて逃げ切ろうとはしなかった。

 

 

「なんだありゃ?正気じゃねぇな」

 

 

ケニー・アッカーマンもフローラの動きに警戒していた。

滞空時間が立体機動よりも落下の方が長い彼女。

地面でギリギリで立体機動されるせいで、5人で追跡しても背後を取られてしまった。

そしてなにより、逃走する気もなければ、攻撃してこないのも不気味だった。

まるで対人立体機動装置の性能を調べられているようである。

 

 

「妙だな…」

 

 

この対人用立体機動装置は、アンカーの射出機と散弾の射線が同一方向である。

それは、利点も欠点も混在しているが、今回の場合は欠点になった。

そのせいで、部下達はおろか自分ですら片手で発砲するのが精一杯だった。

わざわざ背後に回ってくるのは、その弱点を把握されていたからだ。

問題なのは、そこまで分かってて、攻撃してくるどころかまるで誘い込まれている感覚である。

さきほども自分の部下が盾になるか確かめているような素振りであったのが違和感があった。

 

 

「おいサネス!俺達の出番だ!あの馬鹿女のワイヤーを切り裂いてやろうぜ!!」

「…ああ、そうだな」

 

 

ジェル・サネスは、カラネス区で護るべきアウリール伯爵を見捨てて逃げ出した憲兵である。

中央第一憲兵団の兵士でありながら、身を惜しんだ結果、王政の重臣を見捨ててしまった。

すぐに使命を思い出して彼の元に戻ったが時遅く、手配書に載ってしまった。

それでもなんとか、名誉挽回の機会を与えられて藁にも縋るつもりで参戦した。

ここで、あの女を殺せなければ死ぬのは自分である。

王政に尽くしてきて手を汚してきた以上、王政に失望されて抹消される末路だけは嫌であった。

 

 

-----

 

 

一方、頭エレン娘は新型の立体機動装置だけを考えていた。

訓練兵時代、彼女の【三大欲求】が『食欲』、『立体機動』、『鎧の巨人討伐の目標』であった。

そのせいで、性別フローラとか頭エレン娘とか散々な異名で呼ばれていたが特に気にしなかった。

 

 

「隙あり!!」

「しまった!?」

 

 

スナップブレードを両手で構えた憲兵の1人の視覚外から突入したフローラ!

2本のブリッツメッサーIIが彼の喉元を切り裂くこともなくそのまますれ違っただけで終えた。

ここで憲兵の装備が二式刀身である事を確認した。

トロスト区防衛戦でピクシス司令から頂いた補給品の刃が士官用の二式刀身であった。

あのスナップブレードは、頑丈で通常より折れにくかった。

だからこそ、装備の更新を強く意識した。

 

 

「高級品か…羨ましいですわ」

「このぉ!死にやがれ!!」

 

 

着地し、立体機動で突っ込んできた憲兵が振りかぶった双剣のスナップブレードを回避した!

回避した直後のフローラに向かって対人立体機動部隊の3名が集中射撃を行なった。

6発の発砲音もむなしく彼女は遥か上空に舞い上がっていった。

 

 

「これでだいぶ消費させたわね…」

 

 

新型の立体機動装置は、対人に特化しておりガスボンベを背負えるほど小型化されていた。

鞘や替えの刃が無い分、身軽ではあるがガスの容量は少ないと推測を立てたフローラ。

そしてなにより、絶体絶命なピンチの状況を打開してくれる頼もしい援軍が居た!

 

 

「それより皆さま良いのですの?」

「何がだ?」

 

 

リーダー格の男に話しかけたフローラ。

絶体絶命なのに自分たちを嗤っているように見えるせいで引き金が引けないケニー。

緊張感溢れる読み合いを破ったのはさきほどスナップブレードで斬り掛かった憲兵であった。

 

 

「巨人だあああああああ!!ぶふっ!!」

 

 

泣き叫んだ憲兵に12m級の巨人が飛び込んできて下敷きになった。

壁内で暗躍していた中央第一憲兵団は、対人の経験はあったが巨人の経験などあるわけなかった。

ガス切れを起こした憲兵は泣き叫んで逃げるのが精一杯だった。

そして死んだ。

 

 

「巨人の巣にようこそ!せいぜい愉しんでくださいまし!」

 

 

背後から両手で叩いて潰そうとしてきた巨人の攻撃を回避してフローラは逃げ去った。

彼女は、殺意を抱いた兵士達から命を狙われたのは過去にもあった。

巨人化したエレンを目撃した駐屯兵団第一師団が確固たる意志で追跡してきた時である。

 

あの時は、気絶したエレンをミカサが担いで自分と2人で逃げていた。

追跡を撒く為に巨人の群れをぶつけて無事に逃げ切る事ができた。

今回も巨大樹の森の深部に誘い込んで巨人の大群をぶつけてやったまでだ。

 

 

「やりやがったなあああ!!」

 

 

ケニー・アッカーマンはここで、巨人の群れに居る場所に誘い込まれたと気付いた。

巨人の掴み攻撃を回避した彼は、怒りに任せて散弾を巨人のうなじに撃ち込んだ!

だが、多少の傷を作っただけで有効打にはならなかった。

 

 

「クソッ!何体居るんだ!!」

「15体ですわ」

「そりゃあどうも…何で居るんだ!?」

「なんとなく…」

 

 

さきほどの戦闘で発生した音のせいで、付近に居た巨人達が集って来ていた。

その数、15体!

ケニーも含めて憲兵達は巨人との交戦経験がなく絶体絶命のピンチ!

対人には効果的な散弾銃だが、巨人には全く通用しなかった。

それを確認する為だけにフローラは再び暗殺者の元に戻って来ていた。

 

 

「で?お前は何をしたいんだ?」

「共闘、でもしてみますか?」

「しょうがねぇな!今だけだぞ」

 

 

フローラはたった一言呟いた。

ケニーも彼女を殺せるチャンスであったが、巨人に散弾が通用しない以上、頼るしかなかった。

大切な部下2名は、巨人に追いかけ回されており捕食されるのも時間の問題だったのもある。

 

 

「じゃあ、あとでその立体機動装置を触らせてください!」

「正気か?」

「もちろんです!!」

 

 

フローラはただ、新型立体機動装置を触りたかっただけである。

それだけで命を狙われているにも関わらず、彼らを放置できなかった。

もっとも、返り討ちをしても更なる追手が来るので、ここで恩を売りたいのもあったが!

 

こうしてフローラと対人立体機動部隊は一時共闘することとなった!

 

 

 

 

 

 

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