進撃の巨人2~名もなき兵士という名の悪魔~ 作:Nera上等兵
巨人化したユミルは口内に入れたクリスタを取り出した。
涎塗れになっているが息があるのでひとまず危機は去った。
『この状態も可愛いな…って何を思ってるんだ私は!?』
びしょ濡れの美少女の寝顔を見たユミルは思わずライナーと同類に堕ちそうになった。
なんとか残った理性で堪えたが、糞ゴリラと同類になるのは御免だ!
「ゴホゴホ!ゲホッ!!」
高熱の唾液を体内から吐き出したヒストリアは何度か咽た後に目覚めた。
気が付くと自分が求めていた巨人が居た。
「ユミル!?」
「ゴホッ!やっぱ、うなじから出るのはきついな…」
顎の巨人のうなじから飛び出したユミルは、愛する女性を見た。
何故か敵対行動をしたか疑問に思っている事だろう。
「すまねぇクリ…じゃなかったヒストリア。いきなり喰っちまったのは…やっぱ怒ってるよな?」
「な、何で!?私は貴女を助けに来ただけなのに!ついでにエレンも…」
「助けなくていい!!このままじっとしてくれ!」
彼女に有無言わさずに付いて来てもらうしかない。
平和に見えた壁内は、既に安全ではなく破滅する運命である。
壁外の勢力もそうだが、壁内の勢力もヒストリアを狙っている。
むしろ、壁内の方が事情を知っている分、放置できなかった。
「私はこいつらと付いていく!お前も私と来てくれ!壁の中には未来なんて無いんだ!」
「意味が分からない!」
「いいか、壁外は案外良い所だぞ!お前の存在を否定してくる奴らなんていないしな!」
実際は、始祖ユミルの血を引くエルディア人は世界から弾圧されていた。
しかし、収容所が存在して生存を許可されている分、存在を否定された壁内よりマシである。
「そりゃあ、巨人はそんな事しないけど、すごい勢いで食べようとしてくるじゃない!」
「だ、誰にも短所はあるだろう!?そこさえ目を瞑れば良い奴らなんだよ!」
巨人の正体は壁内と同じ人種だった成れ果てである。
ここに来る時点で罪人だが、大体の場合は『良い事』をしたばっかりに連行された連中だ。
本当の悪党は、案外うまい事、楽園送りを回避するので、結果的に巨人は良い人が多い事になる。
「ユミル!発言と行動がむちゃくちゃだよ!」
「いいから私を信じてくれ!お前を救うにはこれしか手段が無いんだ!」
「やっぱりベルトルトたちに脅されているのね?」
ベルトルトもライナーもクリスタの発言に反論する事はできなかった。
もうじき壁内は地獄になる。
今は巨人という障害があるから手出しはできないが、【空の脅威】が迫っている。
そもそも自分たちがここに派遣されたのは、壁外の勢力が看過できなくなったからだ。
巨人の力ですら凌駕する勢力が、自分たちを!壁内の悪魔が占領する資源を狙っている!
「私も一緒に戦うから!この手を放してよ!事情はどうあれ私は貴女の味方だから!!」
ユミルは迷った。
壁外に連れて行ってもクリスタは家畜のように扱われる。
だからといって壁内に戻せば破滅が待っている。
クリスタの意志を尊重するならライナーと交戦して壁内に帰還するべきである。
「ユミル!!調査兵団が迫っている!すぐに逃げたら距離を離せたはずだ」
「なあ、何の為にここまでしたんだよ!また気が変わって裏切るのか!?」
「今度は自分の為にクリスタを壁内に留めるつもりなのか!?」
ユミルのわがままを受け入れた戦士組は、調査兵団の部隊に追いつかれようとしていた。
2人は彼女の意見を尊重して、こうなったのにユミルは未だに迷っている様子だった。
優柔不断の彼女に痺れを切らしたベルトルトは意志を確定させる為に問いかけた。
「ユミル!この手を放して!」
「駄目だ!!」
「何で?」
「正直言うと、お前をさらった理由は私が助かる為だからだ」
無垢の巨人だったユミルは偶然、戦士を喰ったおかげで人間に戻れた。
しかし、それは戦士や派遣してきた勢力と敵対する事となった。
このまま彼らと同行すれば、戦士候補生に喰われる末路でしかない。
「私は、こいつらから『巨人の力』を盗んだ。そのせいで、壁内にも壁外にも私の居場所は無い」
「このままじゃ私は殺される!でもお前が来てくれたら罪を不問にする約束をしたんだ!」
「真の王家と血が繋がっているお前さえ居れば、二度と壁内の住民が死なずに済むんだよ!」
ユミルは戦士組に事実を告げた。
クリスタの本名は、ヒストリア・レイスで、レイス家は偽名で偽ったフリッツ王家そのものだと。
座標の力を使うには【王家の血】が居る以上、丁重な扱いは確定していると同然だ。
『王の血があれば、座標を扱えることができる』
戦士は【座標】の奪還を命じられていたが、それはあくまで手段であり道具でしかない。
その真意を発揮するのは、【穢れたユミルの血】ではなく【王家の血】が必要だった。
マーレ軍上層部は気付かなかったが、マガト隊長は、その重要性を戦士候補生に叩き込んだ。
『…私の生まれた家と関係がある?』
『ああ、ある!』
ヒストリアは昨日の夕方でやり取りしていた会話を思い出した。
王政の議会から命を狙われている理由は、自身に流れている血のせいである。
誰かに愛されない少女は、極端に良い子になって自己犠牲で死ぬ自殺願望者になりつつあった。
「私はあの塔の戦いで死にかけて…死ぬのが怖くなった!何とかして助かりたいと思った!」
「ユミル…」
「笑っちゃうよな…お前の為って言いながら自分の都合で巻き込んじまった…」
ユミルは第二の人生は自分の為に生きると誓った。
クリスタを守る為に生きてきたが、結局は奪った力を奪われるのを恐れている腰抜けだった。
あの悪夢を味わった身としては、無垢の巨人には同情している。
もし、自分ではなく他の連中だったらもっとうまくやっていたのかもしれないと。
ヒストリアという少女に逢って一緒に居たいと思った実年齢70代後半の女であった。
「私を、私を助けてくれ!私は死にたくないだけなんだ!」
「言ったでしょ!私は貴女の味方だって!」
ヒストリアは、ただユミルを助けたかっただけだ。
ユミルと一緒なら何でもできる。
そう、このまま壁内の人類を裏切ってユミルと一緒に行く事もできる。
だって、ヒストリアは正式にプロポーズを受けてないだけのユミルのお嫁さんなのだから。
「ユミル!このままだと調査兵団の先鋒と交戦するぞ!!」
「…ったく!客でもねぇ癖に注文が多いな!」
ベルトルトの発言を受けてユミルは巨体のうなじに潜り込んで再び巨人を操作し始めた。
ヒストリアは自分の行動で意思決定をしてくれると分かった。
ならば、自分の道に進むだけである。
「ライナー!エレンを守ってくれ!!」
ベルトルトは縛り付けた紐を解いてエレンを鎧の巨人に預けるつもりだ。
ユミルが覚悟したならば、自分も覚悟しなければならないと思った行動だった。
『ベルトルト!?まさかお前…』
鎧の巨人は両手でエレンを優しく包み込むようにした。
そして両手を胸部に抑える様にして動かないように固定した。
ライナーはベルトルトが調査兵団と交戦すると察してしまったが拒絶する事はできない。
「ユミル!僕も君を守るよ!仲間ならこっちも相応の覚悟しないといけないからね!」
「ベルトルト!?」
「クリス…じゃなかったヒストリアは、ユミルのうなじを守ってあげてくれ」
ベルトルトは、内心では同期と戦うのを恐れていた。
ウォール・マリアを陥落させて大勢の人々を死なせた悪魔だが心まで堕ちたつもりは無い。
トロスト区の門を破壊する時にエレンたちを見てしまった時もそうだ。
その時、行動に躊躇ってしまい、壁上固定砲を破壊するしかできなかった。
同期を殺さずに目標を達成できるなら迷わずそれを選択したかった。
「もう僕は大切な人が死ぬのを見るのは嫌なんだ!もう失ってたまるか!!」
自分が退避したせいでライナーもアニも判断ミスでマルセルを死なせた。
あの時、無力ながらも立ち向かって居ればマルセルは死なせずに済んだ!
過去には戻れないが未来は作る事ができる。
マルセルの力を継いだユミルを調査兵団に渡す気など毛頭なかった!
「くたばれ!!」
調査兵団第四分隊所属のラシャドがユミルの巨人にアンカーを撃ち込んで舞い上がった!
狙うは、急所である巨人のうなじ!
「がっ!?」
しかし彼は一太刀浴びせるどころか逆に一太刀浴びせられてしまった。
兵士の後頭部に刃を振り下ろして殺害したベルトルトは速やかにアンカーを外した。
巨体に刺さったアンカーが外れると死体が地面に激突し、そのまま遠ざかっていく。
「まだだ!!」
自分の意志で初めて人殺しをしたベルトルトは割り切った。
迷う事も無く鎧の巨人から飛び降りて騎兵隊の進路を妨害するように立ち塞がった!
「よくもラシャドを!!」
「ぶっ殺してやる!!」
「人類の敵が!!あの世で後悔しろ!!」
同僚を殺害された第四分隊の隊員たちは、鎧の巨人から逸れたベルトルトに向かった。
同僚を殺害された怒りが彼らに力を与えている様であった。
「
それを鼻で笑ったベルトルトは、本気で殺す覚悟で指を切って巨人化した。
疲れているせいか、両肩と頭部しかない超大型巨人を具現化するしかできなかったが充分だった。
接近していた調査兵4名を跡形も無く粉砕して、この世から存在自体を抹消する威力はあった!
「ぐぎゃあああああ!?」
「超大型巨人だ!?」
爆風で吹っ飛ばされて陣形を乱された調査兵団の先鋒は、これ以上の追撃はできなかった。
その隙に走行を止めていたラシャドの馬に飛び乗ったベルトルトはライナーの後を追った。
彼は、上半身のみを出現させたり、ピンポイントの爆発をするなど歴代の中でも天才だった。
惜しむらくは、『意志の弱さで本領を発揮できない』せいで宝の持ち腐れであった。
しかし、フローラとの特訓で弱点を克服したベルトルトは、一人前の戦士としても成長していた。
「古い方のフリントロック式の拳銃か…いつか持って帰りたいな!」
ベルトルトは馬のバックアップから拳銃を見つけた。
戦士時代にパーカッションロック式を触った事があるが、それと比べると精度と連発性に劣る。
しかし、飛び道具を発見すると弾数を確認し、生き生きとして銃口に弾を装填した。
銃マニアだった彼は博物館に展示されている銃すらも手に取るように扱える隠れた才能がある。
「逃がすな!!ぐほっ!?」
接近してきた駐屯兵の眉間を見事に撃ち抜いたベルトルトは、再度弾を装填した。
馬上で弾を装填して精度が低い銃でも正確に狙撃できるという点は、追手にとって脅威となる。
射撃の才能で戦士になった彼からすれば、銃を手に取った時点で水を得た魚であった。
「ごがっ!」
「狙撃されている!一旦速度を落とせ!!」
「畜生が!!」
2人目が撃ち殺されたのを確認した追手は、馬の速度を落として距離を取る事しかできなかった。
それを見届けたベルトルトは鎧の巨人に向かって全力で馬を走らせる。
「異常は無いか!?」
「無いけど…殺してきたの?」
「仕方が無いんだ!ユミルを守るなら僕は手を汚す!君は盾になるから必死に守ってくれ」
ヒストリアは、同期のベルトルトが兵士を殺すのを目撃してしまった。
敵対しているとは知っていたが生身で殺人しているのを見て現実だと思った。
大量殺人者の彼から話しかけられても罵倒する気力が無いほど不思議な感じだった。
「おいベルトルト!てめぇ!オレたちに挨拶も無しに帰る気かよ!」
「なぁ嘘だろう!俺たちを騙してたのか!?そんなのひでぇよ!」
「ジャンにコニーか」
顔馴染みの兵士を見かけてベルトルトは一瞬だけ眉を顰めた。
3年間、1つの屋根で過ごしてきた同期。
それは確かに大切な思い出であり、宝物であった。
「お前の寝相の悪さは、芸術的だったな!いつからかお前の生み出す作品を楽しみにしてた」
「そうだぜ!みんなが天気を占ったり、フローラがどんな事故で負傷するか予想したもんだ!」
ジャンの言う通り、彼はとても寝相が悪かった。
それは男部屋に居た同期全員が知っていた。
あまりにも芸術的な作品なので、いつからかそれで占う事になるほど寝相が悪かった。
「…なあ、あんな事した加害者がよくもまあ、あんなにぐっすり眠れたな?」
「全部嘘だったのか!?皆でどうすれば生き残るのか、おっさんまで生きて酒を飲む約束も!」
ベルトルトは、ライナーと同じように自分が犯した罪に耐えきれなかった。
だから潜入調査以上に兵士を演じて訓練兵時代を過ごしてきた。
「お前ら、今まで何を考えてきたんだ!?」
純粋なコニーの問いが彼の心を傷付ける鋭利な刃物となった。
誰もこんな事など望んでなかったし、殺さずに済んだらそれで良かった。
でも、世界はそれを許さない!残酷な世界がそれを許してくれるわけがなかった!
ライナーも思う事があったのか速度を落としたおかげで後続のミカサが追い付く。
「ベルトルト!エレンを返して!」
「…返すもんか!これ以上、僕から大切な物を奪わせるもんか!」
「じゃあ、死んで!大量殺人者を殺して私はエレンを取り戻す!」
ミカサは今度こそ、ベルトルトの首を刎ねてエレンを奪還する。
相手は人を喰わないだけで他は巨人と同じだ。
躊躇ったら殺されるなら躊躇なく殺すしかない!
「誰が!人なんかを!殺したいと思うんだ!!」
あまりにも罵倒されたベルトルトは本音を暴露した。
今まで抑えていた感情が解き放たれる様に発言するしかできなかった。
「殺されて当然の事をした!ここに来る前から汚れ仕事をしてきた!」
「必死にそれを僕らは耐えてきたんだけど、罪を受けきれなかった!」
「兵士を演じる時だけ少し気が楽だった!あの時の発言は嘘じゃない!」
「確かに嘘はついたけど、本当に君らは仲間だと思ってるし、今でも戦いたくないんだ!」
ベルトルトは、壁内で暮らしていくうちに同期に愛着が湧いた。
さきほど殺してきた兵士たちは面識が無かったから殺せた。
しかし、同期を殺すと成れば話は別である。
ここにいる彼らは、戦士候補生を殺害すると同意義くらいの存在だった。
たった3年間、その短期間でも培った友情と思い出を否定する事などできるわけがなかった。
「僕らに謝る資格などあるわけがない…でも道は変える事はできた」
課せられた使命と楽園のような環境、そして今までやってきた過ちが重く圧し掛かってきた。
アニもライナーもベルトルトも!全員が悩み苦しみ、同僚だった仲も信じられなくなった。
そんな時だった。
栗色の髪の少女が手を差し伸べてくれたのは…。
「僕らは変わる事ができた。消えそうだった僕らを見つけてくれた少女が居た」
「でも僕らは彼女を裏切ったんだ!もう僕らを見つけてくれる人など居ない」
ユミルは、ベルトルトの話を聴いて心当たりがあった。
女神として演じていた頃に悩む信者の相談に乗ってあげた経験から分かっていた。
ライナーもベルトルトも一時期、悩みを抱えて成績が低迷した事があった。
しかし、ある存在のおかげで立ち直って精神的に成長して彼らは成績上位で卒業した。
『あいつ…もっとうまくやれば、こいつらは壁内人類に寝返ったじゃないかな』
相談に乗ってアクシデントを起こしながら立ち直るきっかけを作った少女。
いつ死んでも可笑しくないのに不思議と一緒に居るだけで元気になる少女。
いつからかユミルも彼女だけは心を許して、一緒にクリスタの自殺衝動を止めようとした少女。
「最終通告!ベルトルト!エレンを返して!」
「駄目だ。死んでもできない。僕らに残されたのは、その使命だけだからね!」
絶対に分かち合えないのが全員が理解している。
それでも必ず希望があると模索したが、結局、変わる事が無く時間だけが過ぎていく。
「軍人である以上、君達もいつか分かるさ。誰かがやらなきゃいけないんだ!」
「誰かが…自分の手を!血で!人の血で手を汚さなければならないんだ!」
「分かってたまるか!そんな事!!」
ベルトルトの発言をコニーは即座に否定した。
自分が誰かに偽って、その手を血で汚すなどあってはならないし、するつもりはない!
ただ外道に堕ちたかつての同期の考えを否定するしかできなかった。
「お前ら!そこから離れろ!」
交渉が決裂した104期調査兵たちは、一斉に鎧の巨人に飛び掛かるつもりだった。
だが、ハンネス隊長の一言で我に返った。
「うっ!?」
「おいおい!?」
「マジかよ!?」
全員が鎧の巨人から離れていく。
交戦を恐れてエレンを見捨てたわけではない。
「やりやがった!?エルヴィンが巨人の集団を引き連れてきやがった!!」
ハンネスは、ただ叫ぶしかできなかった。
シガンシナ区で嫌ほど味わった巨人の群れが真正面から突っ込んできたからだ。
小回りが利く馬とは違って鎧の巨人はその中を突き進んでいくしかできなかった。
「総員散開!!巨人から距離を取れ!!」
エルヴィンは巨人の群れを鎧の巨人にぶつけた。
ハンジ分隊長のアドバイスが正しければ奴らは鎧の巨人を襲撃するはずだ。
その為にフローラを酷使して奇行種を討伐したのだ。
ここで逃げられるくらいなら巨人の餌にするつもりだった。
「何だこりゃ!?地獄か!?」
「参ったな…オレは天国に行くつもりだったんだが」
「マジかよ。俺も付いて行っていい?」
「勘弁してくれ」
動けなくなった鎧の巨人に群がる巨人の集団を見たジャンは怖気づきコニーと軽口を叩き合う。
誰もが思った。
あそこにいるエレンを奪還しないといけないのかと。
「こっちを見ないでよ!!」
一斉に視線がフローラに向けられて、彼女は抗議するしかできなかった。
さすがにあそこの大嵐に突っ込むのは、頭進撃でも躊躇うしかなかった。
「総員突撃!!」
「えっ?」
「はあっ!?」
「またまたご冗談を…」
エルヴィン団長の号令に全員が耳を疑う。
30体以上の巨人の群れの中に突っ込めって言うのだ。
誰もが即刻否定して逃亡しようとした。
「人類の命運は今!この瞬間に決定する!!エレン無くして人類が地上で存続する未来など永遠に訪れない!!エレンを奪還して即帰還するぞ!!心臓を捧げよ!!」
覚悟を決めたエルヴィンは、馬を巨人の群れに向かって走らせた!!
「行くわよ!フローラ!」
「もうどうにもなれー」
続いてミカサとそれに引っ張られる形でフローラも馬を走らせた。
そして団長の号令を受けて調査兵団の兵士も突撃した。
更に駐屯兵も本隊から離れない様に必死に馬を走らせる。
「「「「おおおおおおおおおおお!!」」」」
人間は絶望的な状況になると何かに酔っ払っていないとやってられない。
壁内に侵入した戦士組が兵士を演じて精神を保ったように。
調査兵団の兵士も大声で叫んで全員の意志を1つにして特攻するしかできなかった。
人間は1人では生きていけないが、誰かが居れば何かに酔えて生きる願望が湧いてくる。
全員が1つの弾丸となってエレンを奪還して壁内に帰還する為に突撃した。
「馬鹿な奴らだよ」
憲兵団のアルトマンは、馬鹿な事をやっている奴らを見て見下した。
自殺しに特攻する感性など彼には到底理解できるわけがなかった。
「おい!」
「ん?」
同僚から叫ばれて返答しようとした瞬間、視界が真っ暗になった。
後方から近づいて来た巨人に頭を砕かれたアルトマンは特攻より無様な死に様で終わった。
「ぎゃあああああ!!」
慌てて逃げ出した憲兵も巨人に掴まって踊り食いされて腹に収まった。
皮肉にも忠告した憲兵の方が苦痛を長く味わって死ねたのは7時間後だった。
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『やりやがったな!』
鎧の巨人は、無垢の巨人に群がれて動けなくなっていた。
両手にはエレンを保護しており、ここからパンチなどできるわけがなかった。
得意のタックルも集団で抑えつけられると分かっている以上、できるはずもない。
蒸気を噴出すればベルトルトや可愛いクリスタが負傷する危険性があって使用できない。
「邪魔をするな!僕たちは故郷に帰るんだ!みんなと一緒に!!」
覚醒したベルトルトが2体の巨人を討伐したが、まだ30体ほどの巨人が居る。
ユミルも巨人のうなじを齧るなり引っ掻くなりしているが多勢に無勢であった。
「きゃああああああ!!」
ユミルにしがみ付いているヒストリアはいつ捕食されてもおかしくなかった。
だが彼女の悲鳴はライナーに力を与えた。
『うおおおおおおおお!!』
土壇場で力を発揮できる事に定評あるライナー!
巨人の口の中にエレンを収納して群がった巨人を殴り倒した!!
「エレンはどこ!?」
ミカサは突撃してきたのは良いが、肝心のエレンが見つからなかった。
兵士は巨人の群れに突撃して次々と捕まって捕食されている。
それでもエレンさえ取り返せば戦線離脱できる。
その彼が奪還できなければ全員が無駄死にで終わってしまう。
「鎧の巨人の口内にいるわ!!」
フローラの指摘でミカサはどうするか迷った。
そのまま突撃しても口をこじ開けるなんてできるわけがない。
顎の筋肉は装甲で覆われているようなので刃が通じないからどうしようもない。
「団長!危ないいいいいい!」
「フローラああああああ!?」
隣に居たエルヴィン団長を捕食しようとした巨人の首を刎ねたフローラ。
しかし、彼女はそのせいで落馬して地面に叩きつけられた!
それでもミカサは前に進むしかできなかった。
「進め!!エレンは鎧の巨人の口内だ!!なんとしてもこじ開けろ!!」
エルヴィンの号令を受けて全員が巨人に突貫する!
鎧の巨人に群がっていた巨人の半数が兵士の集団に目を付けて突撃していった。
「ぐぎゃああ!?」
「あああっ!?」
巨人に叩き潰されて、噛み殺されて、踏んづけられて、押し潰されて次々に戦死していく兵士。
鎧の巨人の装甲すら噛み砕いて、筋肉を齧り始めた無垢の巨人と地獄の光景は続く。
『装甲が保てねぇ…このままじゃ捕食される!!』
鎧の巨人の装甲が案外脆い。
常時硬質化した肌で守られているが所詮、肌なので表皮が砕かれればただの皮膚でしかない。
誰が言ったか、鎧の巨人は、薄氷で動きが鈍い硬いだけの巨人という評価が合っていた。
『ぐおおおっ!?』
無垢の巨人に顎を噛まれて砕かれようとしていた。
生半可な榴弾では砕けない装甲も巨人に噛まれ続ければ破壊される。
更に巨人化できるのも限界が近づいており、このままでは…じり貧で負けてしまう。
『欲しければくれてやるよ!!』
鎧の巨人の特性として、顎や顔の装甲は文字通り鎧である。
なので昆虫が脱皮するように装甲を殻のように捨てる事ができる。
顎の装甲が外れたせいで滑って転んだ巨人を蹴っ飛ばす事が出来た。
『うおっ!?エレン、てめぇ死にたいのか!?』
誤算だったのは、どさくさに紛れてエレンが拘束から脱出した事か。
すぐさまベルトルトが保護したものの落下して逃げようと足掻いている。
「エレン大人しくしろ!!」
「んんんー!んんんんっ!!」
猿轡を噛ませたエレンは喋る事はできなかったが、抵抗する事はできた。
「エレン!!うっ!?あぁっ!!」
ミカサは大事な人を助ける為に突撃したが、それが運の尽きだった。
死角に居た巨人に胴体を掴まれて人外の力によって肋骨をやられた。
「ミカサに手を出すんじゃねぇよ!!」
激怒したジャンは巨人の眼球を攻撃してミカサを助けることはできた。
調査兵団の先遣班は、次々と鎧の巨人に飛び移ってベルトルトと交戦しようとする。
「抵抗するな」
「んぐっ!?」
ベルトルトはエレンの額を巨人の装甲に叩きつけて動きを鈍らせた。
気絶した彼の首に刃を突き付けて抱き寄せながら兵士と交戦するしかなかった。
「この…ぎゃあああああああ!?」
ユミルはベルトルトに向かった兵士を次々と叩き落として巨人の餌にした。
そのユミルに掴み掛かって捕食しようとした巨人は見事な動きをする女に注目する。
「うあああ!!」
ヒストリアは、その巨人のうなじを削いだ。
か弱いなど女神など弱い印象だった彼女が初めて兵士として巨人を討伐した瞬間だった。
「やった。初めて巨人を倒した…ユミル」
「クリスタ!!」
「あっ」
着地したヒストリアは馬で走行していたコニーに発見されて腕を掴まれた。
彼は無理やり引っ張って自身の前方に座らせた彼女からは良い匂いがした。
「何やってんだよクリスタ!」
「私はいいの!ほっといて!」
「はあっ!?」
クリスタの発言に困惑するしかないコニー。
拉致されたと思ったら誘拐犯に好意的な感情を抱いていたから当然の反応であった。
「ユミルが私を連れて行かないと殺されるって言ってたの!だから邪魔しないで!」
「何言ってんだお前?」
「降ろしてよ!」
「事情は分かんねぇがお前を死に物狂いで守ろうとしていたブスがそう言ってたのか?」
「ブスじゃない!」
「問題はそこじゃねぇよ!!」
コニーは馬鹿だからクリスタの発言が理解できなかった。
ユミルが殺されるからクリスタが一緒に同行しなければならない。
じゃあ、ユミルがクリスタと一緒に壁内に帰れば殺されないとしか思えなかった。
ハンジ分隊長もエルヴィン団長も彼女に好意的なのだから心配する必要が無いと思えた。
「とりあえず落ち着け。ここに2人で居たら殺されるのは馬鹿でも分かるぜ」
「でも…」
「ユミルが本気を出す時なんてお前を助ける時だけだ。彼女を思うなら離脱するぞ」
「でもユミルが!!」
「お前が居ればユミルもこっちに来る。少しは考えてみろ」
現にユミルがクリスタを乗せたコニーを追いかけていた。
会話内容もしっかり聴いており、どうするべきか迷っている。
『アルミンか!』
乱戦の隙間を抜けて駆け付けた来たアルミンは、ベルトルトの前に立ち塞がった。
このまま斬り掛かって蹴落としてもよかったが、大切な同期なので手が出せなかった。
「ベルトルト!!」
「君と話はする気はないよ!死にたくないなら早く逃げてくれ」
アルミンの呼びかけは、一蹴されて話し合いが成り立たなくなった。
それでも必死にどうするべきか考えてベルトルトの人間関係を思い出して彼は笑みを浮かべた。
それを見たベルトルトは眉を顰めた。
そこには『ゲスミン』としか言いようがない暗黒の笑みを浮かべた悪魔が居たからだ。
悪魔は口を開いて呪いを告げる。
「…良いの?仲間を置き去りにして帰るなんて…」
その一言でライナーもベルトルトも同志であるアニの事を思い出した。
そもそも、ここでエレンを奪還して帰るのは予定になかった。
そのせいでアニを壁内に置いていくしかなかった彼らには、大きく心に響いた。
「アニを置いていくの?アニなら極北の【ユトピア区】の地下深くで拷問を受けてるよ」
アルミンの一言が彼女の好意を抱いていたベルトルトの心に深く突き刺さった。
この始祖奪還作戦が終わったら彼はアニに告白するつもりだった。
そのアニが拷問を受けていると聞いて動揺してしまった。
「彼女の悲鳴から身体の怪我は直せても痛みを消す事ができないのが分かったんだ。死なない様に細心の注意が払われてね。今、この瞬間にもアニの身体には休む暇もなく拷問を受けてー」
「もういいよアルミン」
「えっ!?」
ベルトルトは死角から飛び込んできたエルヴィン団長の斬撃を刃で受け流した!
あまりにも出来過ぎている話を聴いて、すぐに自分を狙っている奴が居ると分かっていた。
「なに!?」
「やっぱり囮か!!」
「ぐおっ!」
不意打ちに失敗して離脱したエルヴィン団長にベルトルトは追撃して斬り掛かった!
彼を逃せば、いずれ人質のエレンを奪還される危険性があったからだ。
一方、エルヴィンはエレンに気を取られた影響で敵の間合いに飛び込んでしまう形となった。
やむを得ず胴体への斬撃を受け流す為にわざと右腕と引き換えにして逃走に成功する。
「団長!?」
フローラとの交流で精神的に成長していたベルトルトはそんな戯言で躊躇う事は無かった。
そしてゆっくりと動けなくなったアルミンの方に向いた。
「僕が泣きごとを言って許しを請うと思ったか?アニの話で取り乱すと思ったか?」
「ベルトルト…いつもの君じゃないよ……」
「僕はようやく決心がついたよ!君は大切な仲間だけどここでちゃんと殺そうと思う!」
いつも他人に受け流されて意志が弱いというイメージしかないベルトルト。
そんな彼が団長の腕を斬り落としたの見て逆にショックで動けなくなってしまったアルミン。
思考を停止したアルミンは、その裁きの刃を受け入れるしかできなかった。
「同志を…返せ!!」
「ぐあっ!?」
そのピンチを救ったのは、同期のミーナ・カロライナだった。
トロスト区の門で肉の誓いをやった7人は同志となり強固な絆で結ばれた。
彼女は、その誓いの同志であるエレンを助ける為にベルトルトの脇腹に斬り掛かった!
ミーナが弱いイメージしか無かった彼は、その姿を見かけても警戒をしなかった。
その結果が、不意打ちでミーナにエレンを奪われる失態を犯した。
「おのれ…悪魔の末裔が…」
脇腹から内臓が出ない様に右手で抑えて、左手で鎧の装甲を掴むしかできないベルトルト。
彼は、悪態をついて大切なエレンが奪取される様子を傍観する事しかできなかった。
「まさかミーナが助けるなんて…」
「誉めるなら後にして」
「とりあえずお礼を言うわ。ありがとうミーナ」
「ふふん!もっと褒めていいよ!」
ミカサもアルミンもミーナがエレンを助けるとは思っていなかった。
誰もが予想できなかったからこそ、奇襲が成功したとも言えた。
優秀な2人に褒められたミーナは嬉しそうにドヤァ顔をした。
「エレンを奪還したぞ!!総員退避!!」
調査兵の1人がそう叫ぶと、その場にいた全員がウォール・ローゼに逃走した。
目的はエレン奪還であって、巨人と交戦するつもりは一切なかった。
目標を達成した以上、長居は無用とばかりに鎧の巨人に背を向けて逃走した。
『エレンが奪われて!クリスタも奪われた!これじゃあユミルも逃げちまう!!』
ライナーは自分たちが不利になったのを理解した。
エレンを失ったのもあるがクリスタも奪取されたのに気付いたからだ。
ユミルはクリスタと一緒に居るのを条件に裏切りに同意した。
つまり、クリスタが居ない自分たちにユミルは味方をしないと瞬時に理解してしまった。
「ううっ!」
「エレン!!」
「ミカサ…?」
何度も気絶させられたヒロインのエレンは目覚めた。
彼の為に全員が動いており、ある意味誰からも愛された真ヒロインと言えた。
鼻血を垂らしていた情けない姿のエレンであったがミカサは一緒に居るだけで良かった。
大切な家族を取り戻した彼女は、絶対にエレンを放さないつもりだ。
「一体、何が…」
「喋らないで!エレンを助けたから壁に帰るの」
「……そうか、また迷惑をかけちまったな」
エレンは寝ぼけながらも自分の為にまた大勢の人が死んだのを理解した。
情けない自分の為に優秀な人材が死んでいくのに耐えきれなかった。
特別な力があると持て囃されて、実際は何もできない少年だという事を理解していた。
「すまねぇ…みんな…オレは…」
「避けろミカサあああああ!!」
ミカサは打ちひしがれるエレンを見てしまい、気を取られて判断が遅れた。
誰かの声を聴いて馬の手綱を握ろうとしたが遅かった。
近くに飛んできた巨人の衝撃で2人は落馬した。
「ライナー…あの野郎!巨人を投げてきやがった!!」
呼びかけたジャンは、助けに行こうとしたがその進路上に巨人が立ち塞がる。
鎧の巨人は、エレンを逃がすくらいなら巨人の餌にするつもりだった。
欲しいのは、【巨人の力】であってエレンそのものではなかったからだ。
「今行くぞエレン!!」
「ハンネス隊長!独断行動は…クソ!!」
ハンネスは3人組のピンチを感じ取って独断で馬を走らせる。
副長のフィルは制止しようと呼びかける為に気を取られてしまった。
そのせいで投げられた巨人に分断された。
「エレン!ミカサ!?…なんでだよ!エレンは大切な存在じゃなかったのか!?」
アルミンの誤算は、『巨人の力は他者に引き継がれる』のを知らなかった事である。
エレンという人材が大切だから殺せはしないと、心のどこかで高を括っていた。
そのせいで、ミカサと離れてしまって援護に向かえなくなった。
「アルミン!助けてくれ!オレ1人じゃ勝てん!!」
「分かった!!」
平原では立体機動に移れない。
得意の立体機動ができないジャンは、アルミンに助力を求めるしかできなかった。
アルミンは目の前の仲間を見捨てられずに加勢した。
「うぐっ!!」
ミカサは立ち上がろうとしたが巨人に肋骨をやられて動けなかった。
成績上位5位のうち、唯一人間で主席になったミカサもこれでは戦えなかった。
「エレェ…ン…ううっ!?」
それでも気力を振り絞って上半身を起こした彼女の眼前に映ったのは衝撃的な光景だった。
エレンやミカサにとって因縁の巨人であり、5年前までの生活を終わらせた元凶がそこに居る。
「ここで…こいつ!?」
「なんで…あいつが!?」
ミカサもエレンも思考を停止してしまった。
そこに居たのは、金髪で口角を釣り上げているエレンの母親を喰った15m級の巨人だった。
自分たちの人生を狂わせた仇が、今、最悪な状況で立ち塞がった。
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『よし、こいつで全部だ!あとはエレンを奪還するだけだ!』
ライナーは近くに居た巨人を片っ端から投げた。
エレンを逃すくらいなら喰われてしまってもいいという逆転の発想。
それが功を奏して調査兵団は大混乱に陥った。
幸いにもエレンが逃げた場所は確認していたのでそこに向かって走るだけで良かった。
「お久しぶりね鎧の巨人!」
しかし、彼は動く事ができなかった。
かつて、自分の親友であり共に目標を称え合った仲の女に釘付けになった。
「ねぇ!素晴らしい舞台じゃない?手を汚してきた…わたくしたちにとって最高の舞台よ!」
フローラ・エリクシア。
マリアの扉にタックルした際に発生した瓦礫で彼女の両親は潰されて死んだ。
そのせいで記憶喪失になって鎧の巨人に復讐を誓った少女。
『お前…何をしてるんだ!?』
その少女は、巨人を3桁討伐しても、なお傷が癒えることは無かった。
鎧の巨人を討伐する為だけに生きて来た悪魔は、ようやく最高の場所で戦える事に感謝した。
阿鼻叫喚の地獄の環境でも彼女からすれば、立派な鎧の巨人の墓標にしか見えなかった。
「ねぇ!私はずっと貴方の相手をしたくて今まで練習してきたの!」
フローラの近くには討伐された巨人の死骸から蒸気を噴き出して黒ずんでいた。
それは舞台のスモークの様な物に感じられた。
この惨状を舞踏会と表現した彼女は既に正気では無かった。
もはや人の感性を捨てて悪魔としての感情を剥き出しにしていた。
しかし、ライナーが警戒したのは、フローラだけでなくその背後に居た存在だった。
『ホント、お前はトラブルの渦中に居るな!!そんなに地獄が好きか!?』
フローラの後を追ってきた巨人10体が涎を垂らして向かって来ていた。
だが、彼女は動揺するどころか笑っていた。
1体でも脅威である巨人でも彼女からすれば、ただの観客でしかなかった。
「さあ、鎧の巨人!わたくしと踊ってくれない?」
フローラはわざわざ巨人を引き連れて鎧の巨人と向き合った。
それは自身の迷いを断つと同意義でもあり、自分が死んでも巨人に喰わせる策でもあった。
敵の敵は味方理論で、無垢の巨人すら利用する強かな女である。
「どちらか死ぬまで!最高のダンスを踊りましょうよ!ライナー・ブラウン!!」
フローラは最高の舞台を用意してくれた運命に感謝した。
自分以外の邪魔者は存在せず、ただ食べちゃうほどの熱狂なファンが10人居るだけである。
『ああ、ようやくたどり着いたわ!』
これで鎧の巨人を存分に殺せると感じたフローラは絶頂した。
三大欲求すら凌駕する興奮が彼女の心を満たした。
あまりにも不気味過ぎて鎧の巨人は、ただ彼女の会話を黙って聴くしかできなかった。
「さあ、始めましょうか!!」
フローラは駆け出した!
全てのしがらみにケリをつける為に!
【地獄】という名の舞踏会で、鎧の巨人と舞う為に!全ての因縁にケリをつける為に!
今まで培った技能と経験と知識と怒りの集大成を鎧の巨人に魅せ付ける為に!!
『いいぜ!乗ってやるよ!!お前が死ぬ時の舞を!俺に見せてみろ!!』
鎧の巨人は、鎧の巨人が生み出した悪魔と交戦した!
酸酷な世界に魅入られた2人の因縁の連鎖は、まだ続いていく。