転生したらメガテン世界だった orz   作:天坂クリオ

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決着!霊長知能総研!+おもしろ報告会

穢れよ(ムド)!」

 

『ぐわあああぁぁぁ!バカな、ワタクシが、消えていく……、こんなことありえないぃぃぃ……』

 

イヌガミ憑き状態の葛葉が放った魔法が、ついにアークエンジェルの抵抗力を削りきった。マグネタイトで構成された体が、結合力を失いドロドロと崩れていく。

依り代となっていた警備主任が床に放り出される。意識を失っているが、「ゲホッ」とマグネタイトを吐き出したので生きてはいるようだ。

 

「やったな!さすがに強かったが、葛葉のおかげで倒せた。ありがとな」

 

「はぁ、はぁ、ワシはもう、限界じゃ。体力も魔力も残っておらん。もう一歩も動けぬ」

 

「もう敵はいなさそうだし、ゆっくり休んでくれ。そうだ、ジュースでも飲むか?それとも霊水の方がいいか?」

 

「れい……いや、ジュースが飲みたい」

 

リクエストに答えて、缶ジュースのフタを開けて手渡す。

コクコク飲む様子はかわいいが、じっと見ているのも悪いので周囲を調べることにした。

 

壁に貼られた案内図によると、警備主任の言ったとおり、ここが対外的な終着点のようだ。

施設の秘密を探るなら元来た道を戻る必要があるが、俺はともかく葛葉たちはもう戦えない。後のことは、応援に任せることにしよう。

 

そう思った時、地面がズシンと揺れた。続いて空気の振動がビリビリと壁を揺らし、人や動物の騒ぐ声が聞こえてきた。

頭に浮かぶのは、ダンジョンをクリアしたら自爆スイッチが入るという、よくあるゲームのお約束展開だ。

 

ありえないとは言い切れないため、ジュースを飲みかけで固まっている葛葉に駆け寄る。

 

「急いでここから出るぞ。動けるか?」

 

「わかった、すぐに立つ。……あっ、足が」

 

立とうとしてフラついた葛葉を支える。このまま走らせるのは危なそうだ。

 

「担ぐぞ。緊急事態だから許してくれよ」

 

「わわっ、ちょっと待つのじゃ。まだジュースが飲みかけじゃ」

 

「新しいの後でやるから諦めろ」

 

俵担ぎにして自動扉をくぐる。レベルアップのおかげで、葛葉くらいなら余裕で担いで走れるようになっていた。

 

気絶している警備員たちまで連れて行く余裕はない。まずは自分と仲間。それ以外は余力があったら。そういう順番で助ける人を決めている。

もしも俺に文句があるなら、その人が自分で助けてやってくれ。

 

振動は一度だけだが、爆音が断続的に響いている。施設が爆発しなくても、逃げた動物が暴れるかもしれない。

職員たちが右往左往していたが、気にせず外へ向かって走った。

 

◇◇◇

 

施設から出たタイミングで、ひときわ大きな爆音が聞こえた。

そちらでは、黒い煙が上がっているガレージ前で、異形のゴリラが倒れるのが見えた。

 

安全な場所に葛葉を下ろして、一足先に駆けつける。

倒れたゴリラにすがりつくDr,スリルと、それを囲むお面をつけた5人の男。

カオスな絵面(えづら)ではあるが、きっとあの5人がスレで言ってた応援なのだろう。

 

決着は付いたようで、2人がガレージの方に走っていく。残った3人のうち1人がこっちに気がつき、手を振ってきた。

 

「やあ、キミが葛葉フレンズだね。って、もしかして伊吹くんかい?場所が近いからまさかとは思ったけど、世間は意外と狭いね」

 

「その声、もしかして織雅さんですか?いったい何をしてるんですか」

 

ヒーローのお面を被った男は、俺を霊能力(こっち)の世界に導いた織雅大助さんだった。

「もちろん、キミの応援に来たんだよ。何が起こるか分からないから、近場のメンバーを集めたんだけど、ちょっと戦力過剰だったみたいだ」

 

ガレージの周囲は魔法の余波で焦げたり凍り付いたりしている。あの爆音や振動は、この人たちが暴れた痕のようだ。

 

「ほんとに何してるんですか」

 

呆れ半分に言うと、それを聞きつけたDr,スリルが顔を上げた。

 

「せやせや!なんやキミら、ゴリラに生身で勝てるとかキミら本当に人間なん!?ダーマはワイが作ったスーパーゴリラなんやで」

 

「こう見えて【俺たち】は、異界攻略もしてる攻略組なんだ。ゴリラより強い悪魔とも戦ってる。でも、この世界では一瞬でも油断するとヤバイと知っているから、最初から全力でいかせてもらった結果だ」

 

「そうそう。でもそっちこそ悪魔を何体も召喚してきたし、ゴリラ自身も強かったら、油断してたら危なかったかもな。ここに来たのが俺たちで良かったよ」

 

監視している2人が答える。

どちらもどちらもお面をつけたふざけた姿だが、破れた服の下に異界攻略用のガチ装備が見えたので、彼らの言葉は本当なのだろう。

 

彼らの言葉にDr,スリルはため息をついた。

 

「……それで、ワイをどうするつもりなんや。表向きは隠しとるがここはメシア教の下部組織やぞ。そんなトコにキミらは襲撃かけたんや。知らんかった言っても、聞いてもらえるとは思わんことやな」

 

「もちろん知ってて来たんだぞ。これでも暴れたりないくらいだ。こっちも上の方に味方がいるから、誤魔化すのは難しくない。そのための部隊も後から来る」

 

「ドクターは俺たちと一緒に来てもらうよ。大丈夫、悪いようにはしないから」

 

「ワイがキミらに素直に従うと思うとるんか」

 

敵意を見せるドクターの手を、倒れているゴリラが弱々しく叩いた。

 

『ドクター、そいつらのトコ行き。ドクター言うてたやん、メシアのヤツラはクソやって。研究費は渋るし、ドクターの研究のことを悪く言うし。せやのに成果が出んとあれこれ文句言うてくるって、ワイに愚痴ってたやないか。なあ、アンタラは、そんなコトせえへんよな?』

 

「ああ、【俺たち】は他人の趣味嗜好を否定しない。むしろドクターには、最高の研究環境を用意する準備がある。貴方が本当にやりたい研究があることを、俺たちは知っている」

 

「まさかアレ(・・)のことを言っとるんか?ガキどもといい、ホンマ恐ろしいヤツラやで。せやけど、もしそちらに行ったとして、ワイの自由に研究させてもらえへんとちゃいますか」

 

「もちろんある程度の制限はさせてもらうよ。ただそれは、一般人への安全のためだ。倫理的な部分は、【悪魔】が相手なら現行法で規定されていないから心配しなくていい」

 

『ほら、ドクター。こいつら、思ったとおり悪いヤツラや。正義とか常識とか、メシアみたいなくだらん文句は言ってきいひん』

 

「俺たちに協力してくれるなら、そこのダーマくんも治療しよう。他に連れてきたい人や動物がいるなら、遠慮なく言ってくれ。貴方の研究成果が、【俺たち】のためになるのは間違いないんだ」

 

Dr,スリルは空を見上げてから、がくりとうなだれた。

 

「……そこまで言われたら、断る理由はないわな。ええやろ。何処へでも連れて行き。そんかわし、最高の設備を要求したるから覚悟しとけえよ」

 

こうして、Dr,スリルが【俺たち】の組織に加わることになった。

 

・・・・・・・・・・・・・

 

「織雅さん、あんなの加えて、本当に大丈夫なんですか?」

 

「人間性はともかく、研究者として優秀なのは間違いないからね。キミもゲームでお世話になったんじゃないかい?」

 

「確かに集めましたね。特殊なフロストたちを。でも面白い性能でしたけど、仲魔枠を圧迫された印象が強くて」

 

「知らない人には罠だよね、アレ。ははは」

 

面白そうに笑っているが、悪魔全書がない作品だったから削除できなくてホントに困ったんだよ。

 

「それはそうと伊吹くん」

 

織雅さんがガシッと肩を組んで、というかヘッドロックもどきを仕掛けながら聞いてくる。

 

「ひょっとしてキミが言ってた葛葉って、向こうにいるカワイイ女の子だったりするのかい?」

 

葛葉がこちらを見ていたが、じゃれているだけなのが分かっているのか、近づいてこようとはしなかった。

 

「えっ、まあそうですけど。……イテテ!頭が締まってますって!レベル差を考えて!」

 

「俺たちがひいこら修行をして異界攻略している時に、キミはかわいこちゃんとイチャイチャしてたのか。なあ、何か言うことないかな?」

 

「イチャイチャしてませんて。というかそんなこと言うならみなさんも霊能者の女の子と修行すればいいイタタタタ!ギブ!ギブ!」

 

「真実は時に人を傷つけるのだ。もうちょっと言葉を選びたまえー、ぇ……」

 

「だからギブなんで離してください……。って、どうかしましたか?」

 

頭の締め付けが緩んだ隙に抜けて、織雅さんを見る。

葛葉を見て固まっていたようだが、すぐに正気を取り戻してこちらを見た。

 

「……とにかく、この事はみんなに報告させてもらう。覚悟しておいてください。罪状はわかっていますね」

 

「自己責任での失敗からの逆恨み構文は止めてください」

 

「いいや、『言う』ね!」

 

「無駄に黄金の意思をみなぎらせないでください。やめてください。しんでしまいます」

 

そんなぐだぐだがありつつも、【霊長知能総研】事件は幕を閉じることとなった。

 

 

 

 

【悪魔関連報告スレ】

 

565:名無しの転生者

それでは葛葉フレンズの修行と言いつつイチャコラしてたのに俺たちに何の報告もなかった罪について、判決を下します。

 

565:名無しの転生者

判決:死刑

 

566:名無しの転生者

>>565 異議無し

 

567:名無しの転生者

>>565 異議無し

 

568:名無しの転生者

>>565 異議無し

 

569:名無しの転生者

>>565 異議無し

 

570:名無しの葛葉フレンズ

>>565 ちょっと待った!自分は別に葛葉とイチャイチャなんてしたことないし、ガチな修行ばかりでそんな雰囲気になったことないと主張します!

 

571:名無しの転生者

>>570 異議を却下します

というか、美少女と同じ教室の空気を吸っていたってだけで罪だって分からないのか?

 

572:名無しの転生者

>>570 葛葉のオトモダチになったら、ヒドイ事件に巻き込まれてこき使われたあげくに説教部屋で反省会開かれるんだろうなw

可哀相www

って思ってたオレらの同情を返せ。

 

573:名無しの転生者

>>572 同情にしては容赦なさすぎて草

 

574:名無しの転生者

葛葉フレンズの言うことも一理ある。だが許せるわけがない。

オレだって霊能力のある巫女さんとかシスターさんに手取り足取り教えて貰いたかった!

 

575:名無しの転生者

>>574 だがそうはならなかった。ならなかったんだよ。

 

576:名無しの転生者

>>575 悲しく話を終わらせるなwww

 

577:名無しの転生者

まあ冗談は置いておいて、葛葉家の戦闘スペックがある程度知れたのは大きいな。使える仲魔も多そうだし、友好的な付き合いができてるのはいいんじゃないか?

だから俺にも美少女紹介してください、お願いします。

 

578:名無しの転生者

>>577 ん?

 

579:名無しの転生者

>>577 ん?

 

580:名無しの転生者

>>578 >>579 なんでもするとは言ってねえよ。いや、美少女紹介してくれるならなんでもするけど!

 

581:名無しの転生者

俺もなんでもする!

 

582:名無しの転生者

俺も!

 

583:名無しの転生者

俺も!

 

583:名無しの転生者

俺も俺も!

 

584:名無しの転生者

ワイもワイも!

 

585:名無しの転生者

美少女と毎日修行できるんなら当然だよなあ

 

586:名無しの転生者

オwマwエwラwww

 

587:名無しの転生者

じゃあ俺も!

 

588:名無しの転生者

オマエラ座ってろwwwここは俺が!

 

589:運営

はい注目!そんな皆さんに朗報です。

ついに待望の【造魔】の量産が決定しました。

今までの【式神】と違って、ローコスト、低予算での戦力強化が実現できます。

大量生産を予定していますが、まずは1人につき1体ずつの提供となります。ご容赦ください。

 

ついでにフォローしておくと、これは先日の【霊長知能総研】攻略の成果なので、葛葉フレンズさんの功績とも言えます。

 

590:名無しの転生者

>>589 マジか!!

 

591:名無しの転生者

>>589 許す!

 

592:名無しの転生者

>>598 許せる

 

593:名無しの転生者

おwまwえwらw

手のひらドリルすぎwww

まあオレも許すけどwww

 

594:名無しの転生者

あのマッドドクター原作どおり【造魔】の研究してたんか。

ちなみにスペック的には【式神】とどう違うんだ?

 

595:運営

【造魔】は量産型の【式神】だと思ってください。

【式神】はその製造の都合上、【紙】の素体に複数の悪魔や生体素材をなじませる必要がありました。

 

一方【造魔】は、素体が生体なので内部構造の調整も容易なうえに、悪魔や概念の定着率も悪くありません。

 

式神製作班の作業も楽になり、涙を流して喜んでいます。

 

596:名無しの転生者

>>595 つまりオレももうボッチで異界に行かないで済むってことだな!?

 

597:名無しの転生者

>>585 でも、お高いんでしょう?

 

598:名無しの転生者

>>595 製作班はどうでもいい。それよりもニャンニャンできるかの方が重要だ

 

599:名無しの転生者

>>595 必死で草。つーかおせっせなら式神でもやれるようにもできただろ

 

600:名無しの転生者

式神と同衾するには人間に近づけるために、ある程度の汎用概念を付与する必要があった。

だが造魔なら最初からそれ用の肉体構造を作ればイケるだろうそうだろう。

見た目が心配なら、それこそガワだけ式神で作ればいいだろうし。

 

601:名無しの転生者

製作班も俺たちなんだから、そこら辺はもちろんわかってるよな?

 

602:運営

>>598 ~ >>601 もちろんですとも。ですが汎用概念がないと反応しないのは同じです。素材に特殊な悪魔を使えばわかりませんが、通常の式神(人造の悪魔という意味)だとプログラムした以外の反応はありません。

希望者はあらかじめ、それ用の悪魔を持ち込んでください。

 

>>597 値段については、式神よりは安くなります。素体レベルでの量産が可能なので、外見がデフォルトでいいならお手頃価格でご用意できますよ。

つ画像 【hppt:/xxx】

 

603:名無しの転生者

>>602 oh…… アイロボット……

 

604:名無しの転生者

>>602 不気味の谷が深すぎる……

 

605:運営

外見のカスタムはもちろん受け付けております。

ただこちらは相変わらず職人がひとつひとつ製作しておりますので、素材とマッカをご用意の上、早めにご予約をお願いします。

 

606:名無しの転生者

>>605 くそっ、この商売上手め! 

 

607:名無しの転生者

だが従来の式神と違って、いつ自分の番が回ってくるか分からない状況に比べたらマシなはず

 

608:名無しの転生者

>>602 オレは、これでも十分イケると思うんだが?

 

609:名無しの転生者

>>608 なかなかの上級者がいますねえ

 

606:名無しの転生者

>>602 閃いた!これちょっと改造するだけで、アイギスにできるんじゃないか!?

 

607:名無しの転生者

>>606 !!

 

608:名無しの転生者

>>606 天才か!

 

609:名無しの転生者

>>606 そ れ だ !

 

610:名無しの転生者

>>606 あなたが神か

 

611:名無しの転生者

運営ーーー!アイギスのプリセットをすぐに用意するんだーーー!

ついでにアクセサリでネコミミとしっぽもよろしくお願いします!!!!!!

 

612:名無しの転生者

メガネ!メガネ!

 

613:名無しの転生者

くぉれはキャラメイクが捗りそうですねえ

 

………………

 

(以下、造魔について盛り上がる)

 

………………

 

825:葛葉フレンズ

俺はどんなのにしようかな。夢が広がるなあ。

 

826:名無しの転生者

>>825 ただし葛葉フレンズ、テメーはダメだ。

 

827:葛葉フレンズ

>>826 なんでさ!?

 

828:名無しの転生者

>>827 当然だよなあ。もう美少女いるんだし、これ以上の女の子要素はいらんやろ。

 

829:名無しの転生者

>>827 もしもし葛葉さん?おたくのフレンズ、お人形が大好きなんですってよ?

 

830:運営

そういうことで、葛葉フレンズさんにはしばらく【造魔】は我慢していただきますね。

その代わりと言ってなんですが、試作段階の【合体剣】のモニターを依頼します。

最初の素体はこちらで用意しますけど、せっかくだから属性は安価で決めたいですよね?

 

と言うわけで炎・氷・雷・衝撃・物理から選んでください。

 

>>835

 

831:名無しの転生者

>>827 イチャついてた報いだ、ハハハ!って思ったら合体剣かよ!微妙に優遇されてない?

 

832:名無しの転生者

造魔無しは当然だが、戦力強化は必要だから仕方ない。炎

 

833:名無しの転生者

葛葉フレンズがハーレムパーティーにならなければなんでもいい

 

834:名無しの転生者

ところで試作って言ってたけど量産のあてはあるのかな?オレも欲しいんだが。

 

835:名無しの転生者

物理

特殊合体とかしてみたいよな。素材の悪魔がネックだな。

 

836:名無しの転生者

状態異常の剣もなかったっけ?

 

837:名無しの転生者

全体攻撃とかできるようになったら強いな

 

838:運営

というわけで物理タイプの【七星村正】になりました。

来週末には完成しているので、支部まで受け取りに来てくださいね。

 

839:葛葉フレンズ

せめて属性剣が欲しかった……

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