転生したらメガテン世界だった orz   作:天坂クリオ

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剣術訓練と【俺たち】について

ついにねんがんの、七星村正をてにいれたぞ!

 

いや別に念願ではないんだが。とりあえずノリでポーズを取ってみる。

刀は男子の憧れだし、しかもそれが合体剣だとなればテンションが上がって当然だろう。

 

制作方法については聞いても教えてくれなかったが、職人による変態的技術の結晶だというのは理解できる。

だってコレ、“生きてる”んだもの。

 

「おらぁっ!」

 

訓練用の異界で試し切りをする。

素人剣術で斬りつけると、ちょっとした切り傷から血が噴き出す。しかも弱い悪魔ならそれだけで倒せてしまった。さらに、ちょっとした刃こぼれも一日経てば自動で修復されていた。

なにこれすごい。

 

剣術指導の教官は「見事だな!しかしその刀の性能のおかげだということを忘れるな!」と言ってきた。

ドヤ顔していたので、そのセリフを言いたかっただけなのかもしれないが。

 

「貴様は体力だけはある。だからとにかくその刀で敵を斬りまくれ。肉の斬り方、間合いのとり方、その他全部は戦いながら見つけろ。もちろん教官として手順も示してやるし、アドバイスもしてやる。というわけでまずは、敵を真っ二つにするところから始めろ!」

 

「いきなり大ざっぱ過ぎやしませんかね!?」

 

「その刀の切れ味と、貴様の【力】なら問題ない。力を切っ先に乗せて、真っ直ぐ振り下ろす。それだけでできる。私が保証する」

 

「うーん、まあ、そこまで言うならやってみます」

 

そんなこんなで、ハイペースでの剣術修行をやらされた。

訓練用の異界とは言っても、適性レベル帯よりも少し上の敵と戦わせられる。

教官曰く「敵に手番を回すと、運が悪ければ瀕死になるだけだ。そうなりたくなければ、一撃で戦闘不能にするか連続攻撃できるようになれ」だそうだ。

 

びびって踏み込みが浅いと倒せないし、反撃されやすくなる。

かといって突っ込めば、運悪く回避された後が怖い。

 

距離を測りながら隙をうかがい、立ち位置と足運びでタイミングを調節する。

チャンスだと思ったならば、一気に近づき刀を思いっきり振り下ろす。

腕力と刀に頼った戦い方だが、これが一番効率が良かった。

 

何度も失敗してぶっとばされたが、教官とその式神の回復で強制的に復帰させられていた。

死なないのはありがたいが、なんというか、もうちょっと手心を加えてほしかった。

 

「貴様、意外と猪武者だったな。それでも敵を殲滅できているのだから大したものだ。この成績であれば、次の修行へ進んでいいだろう」

 

「うっす」

 

土の上で、大の字に寝転がりながら応える。

「やれと言ったのはアンタだろうが」と言いたかったが、なんかもうどうでもよくなるくらい頑張った。

 

『敵陣のただ中に単身で放り込まれた』という想定で、教官の式神が敵を途切れ目なくトレインして(ひっぱって)きた結果である。

俺じゃなきゃ体力切れて死んでますよ?

 

「私の訓練を見事突破したお祝いだ。今日の晩飯は奢ってやろう」

 

「うっす、ありがとうございます。じゃあ焼き肉食べ放題でお願いします」

 

「うむ……、まあいいだろう」

 

「よっしゃ!」

 

「ただし、帰りの道中の敵は貴様だけで倒すのだ。今度は助けんぞ、私も式神もな」

 

「マジっすか」

 

文句を言いたくなったが、教官は俺ならできると思ってるから言ったんだろう。

ならやってやろうじゃないか。そういうことにした。

 

 

 

「末恐ろしいな。本当に刀とステータスだけでなんとかしてしまっているではないか」

 

「え、何か言いました?」

 

「気にするな。だが少し休もう。集中力が切れているようだしな」

 

異界を半分ほど戻ったところで、休憩することになった。

ここまで来れば後もう敵のレベルは俺以下、どんどん楽になっていく一方だ。

だから簡単な技を教わりたいと言ったら、まだ早いと言われた。

 

「貴様の訓練は今日始めたばかりだ。まずは基礎を体に憶えさせろ。家に帰ってからも、毎日素振りをやるのだぞ。後で竹刀をくれてやる」

 

「了解です」

 

そんな話をしていたら、誰かが怒鳴り合う声が聞こえてきた。

 

「む、どうやら女性を追い回す不埒な輩がいるようだな。助けに行くぞ、立てるな?」

 

「はいはいっと。もちろんですよ」

 

そろって、声のする方に走り出す。

教官の式神である【グフ】が先行する。たいていの転生者は美少女型にしているが、教官のように前世のアニメやマンガに出てくる人型兵器にする人も、目立たないだけでそれなりにいる。

 

俺もこういうのにすれば、自分の式神(もしくは造魔)を許可されるだろうか。

 

視界が拓けると、予想通り複数の男と女が向かい合っていた。男が三人、女が二人。

予想外だったのは、女性が奇妙なシルエットをしていたことだ。

 

どちらも俺と同じ未成年のようだが、一人は足に太く鋭い刃物を履いている(・・・・・)。もう一人は自分の体と同じくらい大きく無骨な金属の手で歩いていて、さらに胸がなんかもう、デカすぎだった。

 

「教官、あれ、なんですかね?」

 

「おそらくだが、メシア教過激派の被害者だろう。先日、我々の仲間がハワイにて過激派の拠点を襲撃。そして捕まっていた現地人を救出した。天使どもは捕獲した霊能力者の四肢を切断したり、人体を改造したりする。回復不能な一部の被害者を救済するためにこちらに引き取ったという話も聞いた。彼女たちはあのような体になっても、戦うことを選んだのだろう」

 

「つまりあの金属の手足が、義手義足ってことですね」

 

「であろうな。不用意なことを言って傷つけるなよ」

 

教官に念押しされながら仲裁に向かう。

道中、怒鳴っている男たちの話が聞こえたが、だいたい予想通りだった。

 

「キミたち、ケンカは止めたまえ。遠くまで声が響いていたぞ」

 

「うるせえよオッサンは黙ってろ。そもそもこの女が調子に乗って煽ってくるから悪いんだ」

 

「あらあ、調子に乗っているのはそっちでしょ?ちょっと優しい言葉をかけただけで、わたしにさわろうとしてくるのだもの。そんな無礼な男に対して足が(・・)出てしまうのも当然ではなくて?」

 

「そうです、メルトの言うとおりです。みんなワタシの胸ばっかり見てきたハレンチです。そんなんだからモテないんですよ。気色悪いので、みんなどっかに行ってください」

 

興奮してお互いの文句を言い合うばかりで、具体的な話が何一つない。

教官が必死になだめつつ辛抱強く話を聞くことで、やっと経緯がわかってきた。

 

曰く、女性たちが戦闘訓練をしているところに男たちが声をかけてきた。これは『善意』であり、下心などなかったらしい。

彼女たちは新しい手足に馴染んでいない、いわゆる『病み上がり』で、見ていて危なっかしかったのだとか。

そんな彼女たちに『アドバイス』をして、なんなら『手伝ってあげよう』としたのに、彼女たちは『暴言を吐いた』のだとか。

 

「だってこの人たち、私の胸しか見てないんですよ?そんな人たちのアドバイスなんて、参考になるわけないじゃないですか。カラスの鳴き声の方がまだマシです」

 

「それに、手伝ってやろう(・・・)だなんて上から目線すぎるわ。マジありえない。わたしの役に立ちたいなら、地面に這いつくばって「お願いします」くらい言いなさいよ。そしたら(くつ)の汚れ落としくらいには使ってあげるから」

 

うーん、この毒舌は、俺に向けられてなくてもイラっとするな。

ただ、男たちも他人にアドバイスできるようなレベルじゃなさそうだし、彼女たちの言い分が正しそうではある。

結論として、どちらも悪いと言えそうだ。

 

教官が大きなため息をついた。

 

「キミたちの言いたいことはわかった。だから今日のところはこれで終わりにしよう。お互いに相性が悪かったとして、次からはもうアンタッチャブルな関係にすればいい」

 

「なんでオッサンが仕切ってんだよ。オレたちはそいつらに謝ってもらわないと気が済まないんだ」

 

「それはこっちのセリフよ。そっちこそ今すぐ土下座しなさいな」

 

処置無しだ。(どうしようもない)

 

「教官。これもう、バトルさせるしかないんじゃないですか?勝った方が負けた方に謝る。ジャッジは教官。それしかないでしょう」

 

「だからなんで外野が決めてんだよ」

 

「負けるのが怖いんです?男が三人もいるのに」

 

「あ”あ”ん”?んなわけないだろボケ」

 

「ちょっと、勝手に話を進めないでよ」

 

「そうだよね、か弱い女の子はすみっこで震えてることしかできないよね」

 

「アナタ、言ってはならないことを言ったわね。いいわ吠え面かかせてあげる。切り落としやすいよう首を洗って待ってなさい」

 

元から頭に血が上っていたせいか、両方とも簡単に乗ってきてくれた。

そう思っていたら、教官がやれやれと言った。

 

「ここでの勝手な私闘は禁じられている。競いたいなら、悪魔の討伐数を比べればいいだろう。葛葉、貴様も参加しろ、たきつけたのだから責任を取るべきだ」

 

「俺が葛葉じゃあないんですけど、まあいいか。わっかりましたー」

 

そういうことになった。

 

準備のために荷物を下ろしていると、男たちの一人が聞いてきた。

 

「ずいぶん大きなカバンみたいだけど、何が入ってるんだ?そこまで用意しなくちゃ戦えないのに、オレたちに挑むなんて無謀すぎるだろ」

 

「だよな。オレたちはこの辺りの悪魔を三日間で10匹以上も狩っているんだぜ。諦めた方がいいんじゃないか?」

 

馬鹿にしたように笑う男たちに向けて、カバンの中身を見せる。

 

「ほとんどドロップアイテムだ。もちろん今日獲ったばかりのやつだけどな」

 

「正確には半日だ、次の階層の悪魔の。同じ時間で倍は獲ってもらわないと困るな。この階層ならな」

 

「教官、そんなに獲ってもカバンに入らないんですが」

 

「ならば両手に持って運びたまえよ。マグネタイトは私が持つ」

 

「マグネタイトは携帯端末に預けられるじゃないですか。意味ないですよそれ」

 

なんて話をしていると、男たちがコソコソと話をし始めた。俺の視線に気付くと、急に早口で話し始める。

 

「あっ、そうだ。オレたちこの後、重要な用事があったんだ。悪いけど、この勝負はまた今度ってことで」

 

「そうそう。いやあ、残念だな」

 

「勝負を諦めるのは別にいいけど、それならまず謝ってもらえるか?」

 

「取り決めを守れないなら、キミたちの訓練用異界への出入りを制限してもらうことになるぞ」

 

教官の追い打ちを聞いて顔を引きつらせながら、三人の男はもごもご言った。

 

「さーせんでした」「いご気をつけます」「ちっ、うっせーな」

 

「声が小さい!!」

 

「「「すいませんでした!」」」

 

教官に怒鳴られ、そろって頭を下げた三人は、逃げるように走って行った。

それを見送る俺たちの横に、女性二人がやってくる。

 

「へえ、アナタって見かけによらず、けっこう強いのね。気に入ったわ」

 

「ありがとうございます。私たちを助けてくれて嬉しいです」

 

二人ともなんか距離が近いな?

 

「別にいいけど、そっちは勝負とかは……」

 

「しません。もう意味ないじゃないですか。そのくらい分かってますよね?意地悪なんですからあ」

 

「悔しいけど、実力で負けてるのはハッキリしているわ。勝てる勝負だからこそ仕掛けてきたのよね。まんまと乗せられた自分が馬鹿みたいだわ」

 

喰い気味に答えたうえに、さらに体を寄せてくる。

 

「あの、もしよかったら私たちに戦い方を教えてくれませんか?やっぱり強い人に教えてもらうのが一番いいと思うんです」

 

「勝手に助けておいて、中途半端に投げ出すなんてことはしないわよね?」

 

「いや、そもそも俺が教官に戦い方を習っているところだし。ていうか俺たちこれから帰るところだし。もう疲れたっていうか……。ですよね、教官」

 

「ああ、そうだね」

 

助けを求めると、なぜか式神のグフが教官をなぐさめるように背中を叩いていた。

 

「戦闘を教わるのなら、自分たちに合った相手を探すのが先だ。それにこっちのことは置いておくとしても、キミたちだけでこの先に行くのは勧められない。キミたちも拠点に帰還し、そこで教官を探すといい」

 

「ちぇー、しかたないなあ。でもでも、帰り道は同じなんだし一緒に来てくれますよね?私、力だけはあるから、荷物くらい運びますよ。まかせてください」

 

「わたしも、出てくる雑魚の露払いくらいするわ。親切にも助けてくれたのだもの、そのくらいはしないとね」

 

「どっちも必要ないんだけど……。教官、どうすればいいですか?」

 

「好きなようにしたまえ。どちらにしても今日の結果は変わらない」

 

「なんですか、それ」

 

とりあえず荷物は自分で持ち、そのかわりに道中の雑魚は任せることにした。

 

 

 

 

拠点に帰還した後、連絡先の交換を迫ってくる彼女たちからなんとか逃げることに成功し、やっと夕食にありつくことができた。

 

教官が連れてきてくれたのは【俺たち】が運営に関わっている焼き肉屋で、小さな個室を選ぶことができた。

 

「彼女たちって、なんであんなに俺に寄ってくるんですか?教官の方が俺より強いでしょ」

 

「私には妻子がいる。おそらくそれを見抜いていたんだろう。貴様のような若い男は、二人とも相手をしてくれると思ったんじゃないのか?」

 

「教官、ひょっとしてモテなかったからスネてます?」

 

「スネとらんわい!」

 

教官はビールを飲み干すと、泡のヒゲをぬぐいながら続ける。

 

「いいか葛葉、よく聞くのだぞ。貴様はこれからも、今日のように若い女性に言い寄られることになるだろう。昨今の世界事情を考えると、これは当然だ」

 

「ないですよ。それに世界事情って……」

 

「いいや、間違いなくある。メシア教の被害者や地方を管理している霊能力など、自分たちの将来の不安を打ち消すために、我々【終末アサイラム山梨支部】を頼る者が増えている。彼らにとって我々【転生者】というSSRの血統は、喉から手が出るほど欲しいものなのだ」

 

「ちょっと待って下さい。その、【終末アサイラム山梨支部】ってなんです?」

 

「【俺たち】の名前だ。つい先日、スレの安価で決まったものだ。本スレくらい毎日確認したまえよ」

 

安価ぁーーー!

 

「もうちょっとマシな名前はなかったんですか?なんかこう、まともなやつとか」

 

「まともなもので納得する【俺たち】だと思うのか?そもそも、安価は絶対だ。それに場合によっては【ガイア連合】とか【メシア教絶対に○す団】になる可能性もあったんだぞ。それから比べれたら……どっちもどっちだろう」

 

個人的には【メシア教絶対に○す団】に一票入れたい。

 

「終末に備えた我々のアサイラム(保護施設)だと思えば、ふさわしい名前だと思うがな。まあ【ガイア】に関しては、絶対に入れないようにしてくれと周回ニキが神主に頼み込んでいたようだが」

 

「また周回ニキの周回知識ですか。あの人っていったい何周目なんですかね」

 

「知らんよ」

 

肉が焼けたので、山盛りのごはんに乗せて一口でほおばる。うん、美味しい。

 

「まあとにかく、貴様もこれからはハニートラップに気をつけるべきだ。でないと、噂の美少女葛葉に刺されることになるやも知れんぞ」

 

「ぶほっっっ!?」

 

思わず吹き出してしまう。

教官は予想していたのか、紙の前掛けで飛んできたごはんをガードしていた。

 

「ゲホッ。く、葛葉は関係ないじゃないですか」

 

「関係あるだろ。葛葉は貴様のパートナーなのだろう?ならば捨てられないようしっかりと手を掴んでおくべきだ。逆に聞くが、葛葉が見知らぬ男を連れてきたらどう思う?」

 

「それは……」

 

その場面を想像すると、胸の奥に黒い炎が燃え上がった気がした。

 

「むっちゃムカつきます」

 

「そうだろう。ならば、貴様は相手にそういう気持ちを起こさせないようにすべきだ。貴様の性格だと、その辺りをハッキリさせておいた方がよいだろう。次に会う時までに、覚悟を決めておけ」

 

「覚悟?覚悟って何のですか」

 

「これ以上は言わん。自分で考えることだな」

 

教官はそう言って、サラダをもしゃもしゃほうばった。

 

肉を味わうどころではなくなってしまったが、むしゃくしゃしたのでとりあえず腹いっぱい食べておいた。




【終末アサイラム】
本編()とは別世界線ということで、名前をマジで悩みました。
ガイア別に存在するって言っちゃってるし。

【教官】
ラルさん。
コスプレ&なりきり勢。
教育関係にプラス補正の入るスキル持ち。
式神は青いモビルスーツ型。


【女性二人】
ハワイ出身のメシア教被害者。今の名前はメルトとリップ。
メルトは四肢切断。リップは拷問&母体改造途中で救出された。
手足は改造式神で、技術班が(変な方向で)頑張った結果。
拷問により顔や体がひどく傷つけられていたが、治療班によって完治した。
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