転生したらメガテン世界だった orz   作:天坂クリオ

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これが後編になるつもりだったのだけれど、おかしいなあ。


悪魔召喚プログラム

ある日の昼休み、食後にいつものように友達と話をしていると、携帯端末に着信があった。

発信元を確認して、友達に断って席を外した。

 

「こんちわっす。神主から電話って珍しいですね。何かありました?」

 

『元気そうだね。わりと重大な事件が起きたから、手分けして連絡を回しているところなんだ。そういうわけで答えて欲しいんだけど、悪魔が大量発生してるとか、ない?』

 

「は?冗談とかじゃないですよね?笑えないんですけど。とりあえず、こっちの方では特にそういう話は聞いてません。というか俺よりも、そっちの方が情報集まると思うんですけど」

 

『まあそう思うよね。じゃあもう一つ聞くんだけど……【悪魔召喚プログラム(・・・・・・・・・・)届いたりしてない(・・・・・・・・)?』

 

電話越しのはずなのに、神主からの圧力を感じる。

 

「届いてないですよ。てか、そんな怪しいの届いたら、まずそっちに連絡しますって」

 

『みんながキミみたいだと良かったんだけどね』と神主のため息が聞こえた。

 

『でもさ、【俺たち】だったら普通に開いちゃうと思わない?例えそれが九割ニセモノだと思っててもさ』

 

「あー、そうですね。俺も周りに被害が出なそうな場所にいたら、開いてるかもしれません」

 

メガテニストだったら、誰だってそうすると思う。自分たちの好奇心を優先したがる【俺たち】ならば、なおのことそうだろう。

 

「ん?ということは、まさか【悪魔召喚プログラム】がランダム送信されたんですか?スティーブンから?」

 

『そのまさかさ。いちおう日本のメールサーバーに関しては対策を打ってあったから大半を悪質な迷惑メールとして止められたんだけど、一部がどうやってかすり抜けたらしくてね。うちのメンバーからも二件ほど届いた連絡が来た。潜在的には何件届いているやら」

 

Oh……。それはなんて恐ろしい。

 

『プログラムに関しては、いま技術部が解析してる。でもコレがまた悪質な内容みたいで、ものすごく難航してる。もし見つけたら、開かないようにね。最悪、コンピューターを破壊していいから。被害については【アサイラム】が補償出すよ』

 

神主にここまで言わせるくらい、これは重大な事件だった。

メガテン世界では、米国の天才科学者スティーブンが、偶然に開発した(諸説あり)【悪魔召喚プログラム】を“悪魔の襲撃から世界を守るために”無差別にばらまいたことで、逆に世界中に悪魔が召喚されてしまった。

主人公はそれを受け取った一般人で、生き残ろうとしているうちに悪魔や天使の秘密に近づいていくというストーリーになることが多い。

 

何も知らない一般人が強力な悪魔を召喚してしまい、パクリと食べられてしまうという描写もあったはずだ。

 

やはりスティーブンを監禁しておくべきだったのでは?

 

『ちなみに周回ニキからの情報だけど、スティーブンがプログラムをばらまくのはよくある展開らしいよ。ただ毎回時期とか仕様が違うみたいで、今回はかなり早い方らしい。だからこっちの対策もカンペキじゃなかったんだけどね』

 

『外国まで手が回らなかったのが痛いなあ』と愚痴っている。

 

「もしかして【(株)ドゥームス】のCMで、ネットの詐欺メールの危険性の説明やってたのも対策の一つですか?」

 

『そうだよ。そのおかげでメールを削除したって人の話も入ってきてるから、お金をかけたかいがあったと思ってるよ』

 

なるほど。

【俺たち】は戦える力があるから、制御できていない悪魔を召喚してしまってもなんとかなる可能性が高い。だが一般人は無理だろう。

それに起きるかどうかわからない危険性を伝えるより、実際に起こりうる悪質な詐欺への注意と結びつけた方が、実行してくれる確率は高くなるのは間違いない。

 

『それで話の続きだけど、葛葉フレンズがいるのって【軽高】だろ?ハザマは大丈夫か、早めに確認してもらおうと思ってね』

 

「うちは【軽子坂学園】ですよ。【軽子坂高校】じゃないです。俺も過去に遡って調べてみたけど、【狭間】って名字の生徒は見つかりませんでしたよ」

 

ハザマとは、【女神転生if……】に登場したラスボスである狭間偉出夫(はざまいでお)のことだ。

ゲームのハザマは天才だったが、複雑な家庭環境のせいでひねくれていて、そのせいで周囲からイジメを受けていた。

ある日偶然届いた【悪魔召喚プログラム】を解析し、【魔界】の存在を発見。そしてその一部を掌握し、【魔神皇】として君臨。自分をイジメた生徒たちに復讐するために、【軽子坂高校】を魔界に落とした。

というストーリーだった。

 

「ハザマもいないし、白の学ラン着ている生徒も見てないです。だから大丈夫だと思いますけど」

 

そう説明したが、神主は信じられないことを言ってきた。

 

『いやいや、ハザマはいるよ。ちゃんと調べたもの。まあ、名字が違ってたから、気付かなかったのかもしれないけどね。というか、原作を履修してるなら気付いてほしかったな』

 

「えっ、マジですか。名字が違うって、なんて名前なんです?」

 

赤根沢(・・・)だよ。赤根沢偉出夫。この世界のハザマは父親ではなく、母親に引き取られていたんだ。まあ家庭環境が変わって性格もマシになってるかもだけど……』

 

「その名字、むっちゃ心当たりあります。すぐに探しにいきます」

 

『おっけー、よろしくね。プログラムが届いてから時間経ってないから大丈夫だと思うけど、気をつけて』

 

神主からの電話を切って、葛葉へ協力を求める。とりあえずは赤根沢先輩を見つけなければ。

 

 

 

三年のクラスを探していると、弓道部主将の美綴先輩を見つけた。赤根沢先輩の居場所を聞くと、最近は【コンピューター研究部】によく行っているらしい。

ちょっとマズいかもしれない。

 

「ちなみに赤根沢先輩のフルネームって何でしたっけ?」

 

「赤根沢偉出夫だけど?」

 

やっぱり当たりだった。orz。

なんで気付かなかった俺。性格とか服装とか表情が違いすぎで、思い至らなかったんだよ。

 

葛葉と合流してコンピ研の部室に向かうが、そこは妙に静かな気配が満ちていた。

 

「ふむ、どうやら内側から結界が張られているようじゃな。待っておれ、すぐに解除する」

 

「いや、そんな時間はない。強引にいくから、ちょっと離れててくれ」

 

「あっ、待て」

 

「破ァ!」

 

【衝撃】込めた拳で殴ると、扉が内側に向けて外れた。扉が壊れなかったあたり、かなり頑丈な結界だったのだろう。

反動で手がちょっと痛い。

 

「馬鹿者が。何が起こるかわからんのだぞ。急ぎすぎだ」

 

葛葉からの叱責を背後にコンピ研の部室に入ると、一つだけ電源の入ったコンピューターの前で尻餅をついている赤根沢先輩と、宙に浮かぶ青白い悪魔を見つけた。

 

「赤根沢先輩!」

 

「おまえら、どうして。いや、そんな場合じゃない。いますぐここから逃げろ!」

 

「そんなわけにはいきません!」

 

さすがに刀を校内に持ち込めてはいないが、普通の悪魔なら素手でも戦える。

そのつもりでいたのだが、悪魔はニヤリと笑うと開いたドアから姿をくらました。

 

「逃げたのか?」

 

悪魔の気配が離れていく。だがあまり遠くへは行ってなさそうだ。

赤根沢先輩に駆け寄るが、ケガはなさそうだ。

 

「この馬鹿。せっかくこの部室に閉じ込めていたのに、外へ逃げられたじゃないか。どうしてくれる」

 

「でも、先輩が危なかったじゃないですか。このパソコンで動いているの、【悪魔召喚プログラム】ですよね」

 

「そうだよ。オマエ、知っているのか。数日前に突然届いてね。怪しいとは思ったけどなかなかよくできてたから解析していたんだ。だが中身が混沌としたスパゲッティーコードになっていて、ちっとも美しくなかった。アレを作ったヤツは狂ってるよ」

 

妙なところに怒っていらっしゃる。

 

「だから少しでも修正してやろうとしてたら、スパゲッティー部分は後から付け足されたものだとわかったんだ。本来のプログラムはかなり整っていて、なかなか美しかった。そっちを作ったのはボクと同じ天才で間違いない。スパゲッティーの大部分は取り除けたんだけど、最後の一部に手をつけた途端に勝手に動き出して、気付いたらあんなのが出てきたのさ」

 

先輩がパソコンを操作すると、先ほど見た悪魔の画像が出てきた。

 

「【夜魔:ワイルドハント】。このプログラムで色々と制限をつけることができたから、うまくやればパソコンの中に送り返せるはずだ。ただ、そのためには直接交渉しなければならない。ちょうどいいから、お前らにも協力してもらうぞ」

 

「まかせてください。これでも悪魔と何度も戦っているんで」

 

「戦っている?」

 

自信満々に答えると、理解できないとでも言いたそうな顔をされた。

 

「とりあえずこのプログラム通りなら、人を襲えない設定になっているから心配はないと思うんだが、活動エネルギーだと思われる保有マグネタイトの量がちっとも減ってない。むしろ増えていってる。食事ではない方法で吸収しているのかも」

 

「それ、放っておいたらマズいことになりますよ。どこにいるか分かりますか?」

 

「まて、居場所を表示する……なっ!?数が増えてるだと」

 

「【ワイルドハント】って、嵐の軍団って意味もあったはずです。だからたくさん出現してもおかしくないですよ」

 

「冷静に分析してる場合か。くそっ、ボクはここでヤツの増殖を抑える。オマエは直接行って話をつけるんだ。携帯端末を貸せ」

 

端末を渡すと、赤根沢先輩が何かをダウンロードした。

 

「とりあえず、悪魔会話と送還のプログラムを送っておいた。直接話をつけて、送り返してやってくれ。お前が本当に戦えるか知らないが、無理はするなよ」

 

「わかりました」

 

「葛葉の方は、ボクから通話をつないだままにしてくれ。その方が連絡が早くできるからな」

 

「うむ、承知した」

 

そうして、葛葉とともに校内を走り回ることになった。

 

窓の外では強い風が吹き始め、空を黒雲が覆っていく。【嵐の軍団】が、雷雲を呼んでいるのかもしれない。

 

ワイルドハントの居場所は先輩が教えてくれるので、そこを目指して移動する。

校内のそこここで生徒や先生がぐったりしているが、マグネタイトを少し吸われただけであり、命の危険はなかったので放置している。これも先輩が設定した制限とやらのおかげなのだろう。

 

霊能力に目覚めたことで抵抗力を得ていなければ、俺もこうなっていたかもしれない。

 

一年の教室でマグネタイトを集めているワイルドハントを見つけたので、悪魔会話プログラムを起動する。

 

「生徒たちからマグネタイトを吸い取るのをやめろ。お前たちは人に危害を加えられないはずだろ」

 

『我々は、ただ存在してるいだけだ。呼吸するとこをヤメロとういのか?』

 

「そうだ。地上は悪魔が生きれる場所じゃない。自分で海中に入ってきたのに、呼吸できないと文句を言うのはお門違いだ」

 

『だが我々は呼び出さたれのだ。帰る法方がない』

 

「つまりそれが見つかれば帰るんだな?」

 

『そう考えもてよい』

 

「言ったな?【悪魔帰還プログラム】起動。さあ、自分で言ったとおり、魔界へ帰れ」

 

『……むう、本当に用意るすとは、しかなたい。いれわたとおりにしよう』

 

悪魔が携帯端末に吸い込まれていく。これでまず一体だ。

 

「先輩?」

 

小さな声が聞こえた。

その声の主は、先日告白してきた少女のようだ。他の生徒と同じく衰弱してるが、意識が残っているので大丈夫だろう。

 

『うまくいったみたいだな。つぎは下の階だ。急げよ』

 

生きているなら、問題ない。

先輩の声に急かされながら、教室を後にした。

 

 

 

 

その後の交渉は、順調とはいかなかった。

こいつらはそれぞれ繋がりがあるのか、前と同じ方法では帰ってくれなかった。

そのためマグネタイトやマッカ、あるいはアイテムを要求してくる。

 

前回の報酬として、神主から大量のアイテムを貰っておいてよかった。まさかこんな事で役に立つとは思ってもいなかったが。

 

渡せるものはだいたい渡していたが、葛葉の精神力を要求してきた相手は殴り合ってようやくお帰りいただいた。

 

「少しくらいなら大丈夫なんじゃが」

 

「加減してくれるか分からないだろ」

 

「危害を加えない制約があるのであろう?」

 

「許可することで、その制約が外れるかもしれないだろ」

 

「お主は心配性じゃのう」

 

自分のだったら我慢すればいいが、他人だと加減が分からないから許可できない。

そんなことをくり返しながら、ようやく最後の一体まで減らすことができた。

 

 

 

つかまれば帰還させられると思ったのか、最後の一体は校舎内を逃げ回っていた。

なので葛葉と協力して逃げ道のない屋上へ追い詰める。

空は暗雲がたれこめ、強い風が吹いていて、今にも雨が降りそうだ。

 

「てこずらせやがって。もう逃げられないぞ」

 

「まるで悪役のセリフじゃな」

 

うるさいよ。無駄に走り回されて、余裕がなくなっているんだ。

 

『ワタシを喚び出てしおいて、なぜまた送り返そうとるすのか。ワタシは喚び出れさた対価を求める』

 

「さんざんマグネタイトを吸収しておいて、この上さらに何かよこせって言うのかよ」

 

『あられはワタシであってワタシでなはい。だらかワタシは対価を求める』

 

いままで散々貢がされて、さらに要求されるのか。手に入るのが学園の平和だけというのが悔しいが、断ると帰ってくれないから要求をのむしかない。

 

『では……マッカで即決しうよ。10万マッカ。それでうどだ』

 

「ふざけんな!いくらなんでもボリすぎだ!!」

 

思わず叫んでしまった。

しまったと思ったが、悪魔の方も本気で言っていたわけではなさそうだった。

 

『冗談だ。ではそうだな。15000マッカでうどだ?』

 

それでも十分高い。だが払えないわけではない。

もう少し値切りたいが、断ったらそれで終わりになりそうだ。買おうと思っていた新装備は諦めるしかないだろう。

 

「わかったよ。ほら、持っていけ」

 

マッカ支払いアプリを起動すると『テッテレー!』と音が鳴り、支払いが完了した。

 

『まかさ本当に支払えるとは。戦闘にならずに済んでよかったな。いいだろう。これで縁は結ばれた。困ったことがあればたま呼ぶがよい』

 

「もう二度と来るな」

 

最後の1体が、送還プログラムによって消えていく。

 

ワイルドハントが消えたことで、風がやんで雷鳴もおさまった。

 

「終わったようじゃな。ワシは今回、役に立てなかったのう」

 

「いや、連絡役がいて助かったよ。それに、ケガがなくてよかった」

 

痛いのは俺の財布くらいなものだ。それだけの被害で済んでよかった。

コンピ研の部室へ帰ろうとすると、屋上への出入り口に誰かが立っているのが見えた。

それは名前は思い出せないが、あの日に告白してきた後輩女子だった。




今回のあの人の名前は、バレるかもしれないから早く続きを書かないとと焦ってました。
まあ全キャラをフルネームで憶えている人なんてそんなにいないよね。
しかもifというクソ難しいゲームの全ルートをクリアしてる人なんてさらにいないよね。

悪魔の言葉は誤字ではありません。マッド口調の亜種だと思ってください。
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