転生したらメガテン世界だった orz   作:天坂クリオ

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ワクチン3回目の副反応でダウンしてました。申し訳ない。


密着!(みんなが見ていることは)秘密のデート!!

【葛葉フレンズのデート実況配信】

 

画面の前の皆様こんにちは!

本日は【ピーピンの覗き見チャンネル】にいらしていただき、まことにありがとうございます。

本日の配信内容は、タイトルの通りとなっております。

皆様ゆっくりしていってくださいね!

 

予定よりも少々早い配信開始で皆様とまどっておられるようですが、実は葛葉フレンズが待ち合わせの30分前から待機しております。

まあ張り切りすぎてる様子を撮影することができて、面白いからワタシ的にはオッケーです。

 

ではさっそくですが、葛葉フレンズのファッションチェックから始めましょう。

ジャケットにジーンズ、そして斜めの肩掛けカバン。ファッション誌から丸パクりしたのがよく分かりますね。

 

えっ?『ちゃんとパンダのアドバイスを活かしているな』ですか。なるほど、あれは先人の知恵のおかげなんですね。

皆様はおおむね好印象なようなので、これ以上のコメントは控えましょう。ワタシが炎上しそうなので。

 

さてさて、そんな話をしている間に、約束の時間まであと10分少々となりました。果たしてお相手は時間通りに来てくれるでしょうか。

皆様は、デートの待ち合わせは何分くらいまでなら遅刻は許しますか?もしくは遅刻したことがありますか?

男の度量が試されるとか、男をじらすべきだとか、それぞれ意見はあるでしょう。ですが遅刻はどれだけ相手をナメているか、相手にナメられているかを計る基準だと個人的には思っております。

一回二回なら許せても、次は無いぞと声を大にして言いたい。

 

おっと?そんな話をしていたら現場に動きがありました。

なにやら普通にカワイイ女子が、葛葉フレンズに声をかけております。

葛葉ちゃんは、普段は和服か学生服を着ているとの情報がありますので、別人による逆ナンでしょうか?

葛葉フレンズも戸惑っています。

では声をひろってみましょう。

 

「えっ、葛葉!?いつもと印象が全然違うからビックリしたよ」

 

「紙越さんと仁科さんに頼んで、一緒に選んでもらったのじゃ。変じゃないかのう?」

 

「すごく似合ってるよ。……テレビとかに出てそうだ」

 

「ありがとう」

 

なんと彼女こそが葛葉ちゃんだった!

フレンズが褒め慣れていないことがよく分かるコメントだが、言いたいことは分かります。そのままテレビドラマに登場しても違和感がない可愛いコーディネートだ。アイドル事務所にスカウトされてもおかしくない!

 

ご視聴中のプロデューサー諸氏、どうですか?え?『アイドルは恋愛禁止だから』だって?

いいじゃないですか、彼氏持ちのアイドルがいたって。

ちょっ、石を投げないでください!すいません失言でした。

 

気を取りなおして実況に戻ります。

本日の目的地は、ジュネスゴールデンモール。移動方法は電車であり、予定より早く来たため待機時間が長くなりますが……、話が盛り上がってて問題なさそうですね。

そろそろ駅の中に移動し始めたほうがいいんじゃないかと、ワタシの方が気になりはじめてきました。

 

「そろそろ電車来るし、行こうか」

 

「うむ、そうしようか雄利(かつとし)さん」

 

「ぐっ」

 

おおっと!?不意の名前呼びでフレンズがぐらついた!これはクリティカルヒットしたか!?

 

初見の方に解説しますと、葛葉フレンズはとある事情により、名字で呼ばれることを禁止されていました。

現在は解禁されているはずですが、果たして葛葉フレンズはどう対応するのか?

 

「大丈夫、行こう、小夜ちゃん」

 

「はい」

 

ああっと!否定せずにそのまま名前呼びで返した!

これにはコメント欄も大騒ぎであります。

 

微笑ましい

お前ら付き合いたての中学生か

爆発しろ

 

ですよねー。ワタシもそう思います。

コメントの流れが早くて追い切れないですね。

二人はそのまま駅へと入って行きます。ワタシもこれから追っていきたいと思います。

それではここで一旦CMです!

 

…………

 

(数時間後)

 

…………

 

うーん、楽しそう。実に楽しそうですねえ。あまりにも幸せそうなデートすぎて、一部の皆様のヘイトが高まっているご様子ですね。

そんな皆様に耳寄りな情報です。ゴールデンモール横の未整備地区で不法ガイア教一派の【電波感謝協会】が非合法儀式の準備を始めているようです。

壁よりも殴りがいのある相手の出現が予想されますので、どうぞ奮ってご参加ください。

 

それ以外の方は引き続きチャンネルをご視聴ください。

 

さてさて葛葉フレンズは、次はどうやらゲームセンターに向かうようです。

 

なんで映画じゃないのか!

ここは映画に決まっているでしょう!?

今ならあの話題作が絶賛上映中なのに、なんで映画を選ばないのか。映画だったなら撮影中に偶然カメラに写っても仕方ないってなるの……ごはぁ!?

 

(大きく揺れる画面。真面目そうな男の顔がドアップで写る)

 

パトくんいきなり何をするんですか。まだワタシは何もしてませんよ?ワタシは与えられた職務を忠実に熟しているだけでありまして……ああ!アームロックはヤメテ!人が、人が見てるから!!

 

唐突なイケメンの出現で草

おい異形頭スキーネキ、コイツらお前の式神だろ、なんとかしろよ

 

ファッ!?このイケメンって式神なの???

 

ピーピンが偵察特化でパトが見破り・捕縛得意のコンビ。元ネタは映画泥棒だな

 

式主の異形頭スキーネキは、このカップルを間近で見るために存在感空気を極めているという変態腐女子筆頭ぶりよ

 

待って意味がわからない

 

つまり「推しの空気になりたい」を実現した変態

 

しかも古参で準幹部級の実力を持ってるらしい。上層部はホント変態ばっかだな

 

言葉の意味はわかるんだけど、今の僕には理解できない

 

お見苦しいところを見せてしまい、大変失礼しました。

皆様は勝手に盛り上がっていただいているようで、ワタシは安心しています。

 

さて気を取りなおして実況に戻りましょう。

葛葉フレンズはちょうど両替を終えたところのようです。

向かう先はメガテンといえばプリクラ……ではなく、その前にあるクレーンゲームのようですね。

葛葉ちゃんが現在プレイ中で、狙っているのはぬいぐるみキーホルダーでしょうか?

 

カードゲームのかわいいモンスターのようですが、葛葉ちゃんはゲームやるんでしょうかね?

失敗続きのようで、ここでフレンズに交代しました。

 

フレンズは躊躇せずに500円玉を複数投入しています。すぐには取れないと宣言しているようなものですが、ある意味いさぎよいですね。

 

予想通りフレンズは苦戦しているようですね。

皆様はクレーンゲームは得意ですか?クレーンゲームにもいろいろな種類がありますよね。

単純にクレーンでつり上げるものや、下に引き下ろすもの。さらには棒で押して落とすものなど、クレーンゲーム要素のないクレーンゲームもありますよね。

 

おっと、そんな話をしているうちに取れたようですね。意外と早かった。

取れたのは二頭身のミイラのようですが、果たして葛葉ちゃんの反応は?

 

……喜んでます!うれしそうだ。

アレが良かったのか。カワイイと言えなくもないですが、独特なセンスしてますね。

 

フレンズはガッツポーズを取っています。

 

オレなら一発で取れた

いくら金をつぎ込んでるんだよザコが

金かけ過ぎだろ

あんなのがいいのか?センス悪いなあ

 

 

ひがみコメ大杉だろw

お金は関係ないでしょう

好きな人が自分のために取ってくれたってのがいいんじゃないかな

だからオマエラはモテないんだぞ

 

 

ヤメロその言葉はオレに効く

それ言われたら戦争しかないだろ

 

 

コメント欄は平常運転のようで、ワタシは安心してます。まさに実家のようですね。

 

ちょうどいいので、今のうちにCMへ行きましょう。

 

◇◇◇

 

【伊吹雄利】

 

俺は葛葉とともにジュネスゴールデンモールへとやってきた。

休日だからか他の客が多いので、はぐれないようにと手を差し出すと、おずおずと握り返された。

 

葛葉も緊張しているのか、指先が冷たくて少し震えている気がする。

すべすべしててやわらかい。

 

にやけそうになるキモい自分を押さえつけて、なんでもない振りをしながら手を引いて進む。

駅からモールの入り口までの途中に何やら配っている人がいるが、ティッシュ配りやら宗教の勧誘っぽかったのでスルーする。

 

モールの入り口をくぐれば、賑やかな店が並ぶ空間が先まで続いているのが見えた。

 

「わあ、すごい」

 

葛葉が小さくつぶやきつつ身を寄せてくる。

早足で奥に向かう人の流れに圧倒されているようなので、店に近づいてゆっくり歩くことにした。

 

「いろんな店があるのう。こんなに物があって、他から無くなったりはしないのじゃろうか」

 

「人がたくさんいるから、物もたくさんあるんだろ。ここは近くに住宅地もあるし、遠くから来る人も多いみたいだしな」

 

「あれは菓子なのか?その隣のは知っておるぞ。むかしお婆さまに買ってもらったやつじゃ」

 

「駄菓子か。懐かしいな。何か買っていくか?」

 

「いや、いい。他にもたくさんあるんじゃろ?そっちを見てみたいからのう」

 

瞳が子供のようにキラキラ輝いている。

一緒にいる俺も楽しい気分になりながら、ゆっくりと店を巡っていった。

 

当初の予定では葛葉の服を見て回るはずだったが、すでに服を買っていたことでその計画はなしになった。

予定が崩れてどうなるかと思ったが、心配はまったく必要なかった。

特に買い物をせずとも話をしながら歩いているだけで楽しい。文字通り飛び上がらないように、浮き足立つ気分をがんばって抑えていた。

 

次に行く場所を複数提案すると、ゲームセンターに興味を示した。ちなみに映画館はやはり乗り気ではなかった。

 

クレーンゲームでミイラをモチーフにした人形を取ってプレゼントすると、花がほころんだような笑顔を見せてくれた。

普段がクールなだけに、この笑顔は破壊力が高すぎる。

デートが始まってからドキドキしっぱなしで、心臓が落ち着くヒマがない。

 

だいぶ時間が経ったので、心臓の休憩をかねて、先日のデート会議の時に決められていた店に行くことにした。

 

「小夜ちゃん、次は俺が行きたい店あるんだ」

 

「もちろんよいぞ。何の店なのじゃ?」

 

「いわゆる武器屋だよ。俺たち専用のカードを見せれば入れるんだ」

 

その店は、見た目は普通のオモチャ屋だった。模型などの箱物が多く並んでいて、客はそれほど多くはない。

店員に【黒札】(ブラックカード)を見せると、待ってましたとばかりに奥へ案内された。

奥の部屋は意外なほど広く、ショーケースの中に様々な武器防具が並べられている。ここにあるのは全体のごく一部で、強力なものはカタログから注文して取り寄せる形式らしい。

 

「保管するためのコストもかかりますからね。店内にあるのは保管しやすい一般流通品か、もしくは所持するのにも制限がかかる扱いづらいものです。たとえば持ち歩くだけで悪魔が寄って来やすくなる黄金の爪とかですね」

 

「そういうものこそ倉庫に閉まっておくべきでは?」

 

「所持していなければ、客寄せになるんですよ、これが」

 

お客様は神様ならぬ悪魔ですってことかな?

今日はネタ武器を見に来たわけではないので、本題をさっさと済ませてもらうことにする。

 

「連絡いただいたものは、向こうの個室にご用意してあります。確認はご本人様だけにしていただきたいので、お連れ様はこちらでお待ちいただければと思います」

 

「わかった。待っておるからな」

 

小さく手を振ってくれたので同じく振り返す。

 

案内された部屋には、いくつもの品物が並べられていた。

そのラインナップを見て、思わずため息が出てしまう。予想できていたとはいえ、ヒドいものばかりだった。

 

お手頃価格の優秀装備   【ハイレグアーマー】

             【にゃん2クロー】

 

高価格だけど高品質高性能 【大天使のブラ】

             【クイーンウィップ】

             【ノルニルリング】

 

超高価格。でも超高性能  【歓喜の寝具】(持ち歩くだけで仲間のHPを回復し続ける)

 

これらは先日のデート会議の後に俺に分からないよう安価で選ばれたものだ。

俺はこの中から葛葉へのプレゼントを選ばなくてはならない。

 

「どれも制作者様が自信を持ってオススメしています。品質保証つきですし、【黒札】割引も効きますよ」

 

「それでもバカ高いですけどね」

 

「それだけの素材と技術が使われていますから」

 

そうなのだ。ネタ臭が強い装備ばかりだが、悪魔との戦闘に役立つのは間違いない。これがゲームの中ならば、金を使い切っても買う価値があるものばかりだ。

 

でも、残念ながらこれは現実である。

俺が、葛葉に、ハイレグアーマーをプレゼントとかできるわけないだろ!加減しろバカ!!

 

 

「パーティーメンバーに配っている人もいますよ?」

 

俺にできないことをやってのける。そこにしびれるしあこがれる。ただしマネはできない。

くり返すが、デートでのプレゼントだぞ。そっちの変態性を押しつけるな。

 

ただ、強制的に指定されたものを買うことにならなくて助かった。

選ぶ余地があるのは救いである。

 

「こちらの【歓喜の寝具】が当店オススメですよ?」

 

「そもそも金が足りません」

 

「そんな!」

 

持ち歩くだけでHP回復するとか超性能すぎるんだよなあ。

ソウルハッカーズの【秘神 カンギテン】の魔晶変化品だったっけ?

そもそも歓喜天は夫婦仲とか子宝に功徳のある神様だったはずだ。これを提案したヤツは俺の困った顔を想像してほくそ笑んでいるに違いない。

 

次の候補は武器だけど、【にゃん2クロー】も【クイーンウィップ】も葛葉が使えるのか疑問である。

使い慣れない武器を渡されても困るだけだろう。

 

だとすれば選択肢は一つしか残らない。

高額ではあるが、今まで稼いだ分があるので問題ない。

これからも一緒に戦うことも考えれば、必要経費と言えるだろう。

 

「じゃあ、コレをお願いします」

 

「はい、承りました!ラッピングはサービスしますね♥」

 

店員はやけに高いテンションでそれを包んでいく。

まともなものだから、からかうためのネタに使われる心配はないと思うのだが?

 

カードで支払いを済ませてプレゼントを受け取り、部屋から出る。

 

「待たせて悪かった。退屈だったろ?」

 

「気にするな。こちらも買いたいものが見つかったから問題ない」

 

葛葉も何かをポーチにしまったようだった。

 

「雄利さんは、新しい刀が見つかったのかや?」

 

「刀?ああ、七星村正は修理に出してるよ。技の反動で刀身までダメージ負ってたけど、ちゃんと直るって言ってもらえたから。今回はそれとは別な買い物だ」

 

そう答えると、さっきまで葛葉の相手をしていた店員が咳払いをした。

何かあったのかなと思ったら、葛葉がおずおずと切り出してきた。

 

「そ、その。それなら、わしから服でも贈らせてもらえぬだろうか。今まで色々と世話になっておるし、せめてもの礼に、それで良ければなのだが」

 

「それなら喜んで」

 

「良かった。こんど葛葉家に来る時用にも、あったほうがいいと思っていたしのう。ではさっそく、採寸を頼もうか」

 

葛葉の言葉で、店員がメジャーを持って素早く寄ってくる。

 

「えっ、そんな本格的なの?既製品でいいんだけど」

 

「お任せください、プロですから。きっと気に入っていただける衣装をバッチリ作成したします」

 

手慣れた対応に抗うこともできずに、あっという間に採寸されてしまった。




葛葉フレンズは、先日の会議+そこでの指令だけだと考えています。
撮影されているのには気づいていません。
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