真・恋姫☨夢想 革命 張郃転生伝   作:青二蒼

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最近、アホみたいに執筆してる気がする。

おかげで時間が足りません。


拠点フェイズ(朱霊1):恋多き人

 黄巾党が討伐されて(つか)の間の平和が訪れました。

 今はそれぞれが英気を養い、また乱で負った傷を癒やし、立ち直る時ですね。

 街を見回っていると、戦乱になる度に困窮する人が増えるかと思うと何とも言えない気持ちになる。

 今となってはこの世界の武将ですが、比較的平和な現代社会を思うと話し合いで解決出来ないかと理想を語りたくもなります。

 帝を象徴として日本のように投票で国家の代表を決めて、民の言葉を反映させる。

 そんな理想論を。

「諸行無常、ですかね……」

 今は諸侯が牙を研いでいる時で、その内に反董卓連合軍も組まれることでしょう。

 今は武官として出来る限りをしておくしかない。

 それはそれとして、

「さっきから誰ですか? 覗いているのは」

 中庭の東屋で読書中といういつもの日課をしていると視線を感じる。

 敵意はないっぽいですが、妙に視線がねっとりしてるんですよね。

 私も気配というものが分かるようになるとは。

 それから特に隠れている意味もないと感じたのか素直に出てくる。

「ああ、悪かったわ。ちょっと見慣れない人だから気になっただけ」

 と、木の陰から美紅(メイホン)が現れた。

「何やってるんですか? 美紅さん」

 真名を言った瞬間、血相を変えていつの間にか喉元に突き付けられる三尖刀。

 ええ……?

 私は命の危機より、何故突き付けられるかの困惑が先に出る。

「どこの侍女か知らないけど、あたしの真名を許した覚えはないわ」

 あんたもかい……

 最近オフの時は少女らしく愛らしい中華風ロリータな服で過ごしてるんですが、私と認識されないんですけど。

 そんなに解釈不一致ですか?

何故(なにゆえ)か理由は聞いておくわ。真名の神聖さを知らない世間知らずではないでしょ?」

「……あの勘違いされてると思いますが、空です」

 この下りは何回もやってるんですけど。

 情報共有ぐらい誰かしませんか?

 それとも、私が主張しないとダメな感じですかね?

 私が名乗れば美紅は目をパチクリ。

「え、ウソ?」

「ウソを言ってどうなるんですか? 張郃将軍の真名を騙る意味もないでしょ」

「え、だって……いつもは冷静で男前な感じで――」

 というのでまだ半信半疑なので開いて下ろしてた髪の先を結わえる。

 これでいつもの髪型なので分かるでしょう。

「はい、どうですか?」

「え、ええええええ!?」

 三尖刀を下ろして、驚愕しながら口元に手を添える美紅。

「めっちゃカワイイ。マジで?」

 唐突にギャルみたいな口調になってる。

 元からといえば、そんな話し方するとは思っていましたけど。

 何とも素っぽい反応。

「まあ、いいですけど。私だって女の子ですよ。ちょっとくらいは少女らしくしてもいいじゃないですか……」

 男の意識なんてもうこの見た目で気にするのはやめました。

 逆に今は見た目と私の印象のギャップで悲しみが出てくる。

 しおらしく言うと、

「ゴメン。そういうつもりじゃなかったわ。というか正直、惚れたわ」

「惚れるって……なんですか」

「え? いつもは凛々しいのに実は愛らしいとかメッチャいい。あたし、そういうの弱くて」

 ギャップ萌ってやつですかね。

 気持ちは分からないでもないんですが。

「お詫びにあたしの部屋くる? お茶でもご馳走するわ。それにあんまり話す機会もなかったし」

「まあ、それは確かにそうですね。黄巾の乱も終わったことですし」

 と、私は美紅に連れられて部屋に案内される。

 

 

 部屋に着けば、部屋の中はあんまり私と変わらない。

 シンプルな感じです。

「今お茶入れるわ。適当に座って」

 言われて私は椅子に腰掛ける。

 武官なだけあって武器の手入れ道具が少しだけ見え、根は真面目な感じがする。

 しばらくしてお茶が出され、向かいに美紅が座る。

「どうぞ。あんまり褒められた腕じゃないけど」

「これはどうもです」

 出されたお茶を少し息で冷まして、一口。

 侍女が淹れてくれたものとは違う、渋い感じがする。

 しかし、程よい苦味。

 そんな私を見る美紅はどこか楽しげです。

「ふふ、いいじゃん」

「何がです?」

「その服。他に何か着るの?」

「まあ、色々と探してるところですけど。普段が普段ですからイマイチ理解されてなくてですね」

「男前過ぎるんじゃない? 凛々しいなってあたしも思うし」

 美紅は正直に私の印象を言う。

 そんなにイケメンというか、王子様ムーブしてるつもりはないんですが。

 うーん、女が惚れる女になってしまってるのでしょうか?

 キャリアウーマン的な。

「でも、今日の姿を見てあたしもやられたわ。普段と違う姿ってこんなにも心にくるものなんだなって」

 ぐいぐいと言ってくる美紅に私は少し言葉に困る。

 陽キャみたいな感じで、ちょっと距離感が近い気がします。

「ちょっと嬉しいです。私ってあまり似合ってないのかと」

 でも、素直に少女らしく見てくれたのは嬉しく感じる。

 猪々子には似合わない的なこと言われましたし。

「メッチャ似合うって。何なら今から襲ってもいい」

「いや、それはちょっと……」

 いくら女同士の貞操概念が緩いからと言ってそこまで踏み込むつもりはないんですが。

「というか襲いたい」

 ……あれ?

 何か、美紅の目がおかしい気がするんですけど。

 肉食的な、獲物を見つけたようなそんな目です。

「真名を許しあった仲だし別にちょっとくらいは裸の付き合いよくない?」

「ちょっと何を言ってるか分からないんですが――」

 本能的にヤバい気がします。

 椅子から立ち上がって中腰になってじりじりと、仕合をするような間合いをお互いに取り始める。

 こんなにも貞操の危機を感じたのは初めてなんですけど?!

 賊とかに襲われた時よりずっとヤバいんですが。

 まずは、注意を逸らさないと無理ですね。

 手合わせで分かってますが、美紅は力任せじゃなく技量があるタイプ。

 しかもここは彼女の部屋。

 寝台に追い込まれたら間違いなくヤバい。

 別に興味が無いわけじゃないですけど、ちょっとそんな気分でも雰囲気でもありませんし。

 というかそんなことして今後どうやって顔を合わせるんですか。

 美紅は気にしないでしょうが、私には未知過ぎる体験なのでどう考えても対処出来るわけない。

 ここは一旦、諦めた感じを出しつつ。

「……あの、分かりました。優しくして、下さい」

 指を軽く咥えて渾身の照れを魅せる。

「そこでそれは卑怯でしょ……」

 私の魅了に美紅が構えを解いたのが見えた。

 ――今です!

 三十六計逃げるに如かず!

 部屋を脱兎のごとく飛び出す。

「誘っといてそれはないでしょ!! 待てー!!」

「いやああああああああ!!」

 この世界で初めて私は絶叫しました。

 

 

 とりあえず、撒かないことにはどうしようもないですね!

 こんな時には、

真直(まぁち)さん!」

「うわあ!? 空殿?」

 執務室に飛び込み、真直の机の下に滑り込む。

「美紅さんが来ますが誤魔化して下さい、お願いしますっ」

「ええ、分かりました?」

 あんまり深く聞かずに疑問を覚えつつも真直は了承してくれた。

 程なくして、廊下から足音が近付くのが聞こえる。

「真直、空を見なかった?」

「扉を開けたと思ったら廊下の窓から出られましたけど……」

 上手い嘘を言いますね。

「こっちに注意を向ける為に扉を開けたんだ……戦上手なだけはあるわ。窓からってことは、あっちかな? ありがとう真直」

 それからすぐに美紅の足音が離れる。

 ……行きましたね。

「助かりました真直さん」

「空殿が取り乱すなんて初めて見ましたけど、何があったんですか?」

 机の下から出て、真直にお礼を言うと彼女から至極真っ当な疑問を聞かれる。

「なんと言いますか、惚れられたんですかね?」

「意味が分かりませんよ」

「ですよね。どう言えばいいのか、私の普段との違いに心を打たれたと言いますか……」

「あ~……」

 私のこの説明ですぐに真直は理解を示す。

 頭の回転が早い。

「美紅殿は惚れやすいんでしょうか? 確かに空殿の普段と今の姿の違いに惹かれなくもないですが……」

 私を観察するように真直が分析する。

 そう言えば、そんなことも言ってましたね。

 恋多き女というやつでしょうか?

「しばらくこの格好は控えた方がいいのですかね」

 普段と違う服を着るというのは新鮮で結構気に入ってたんですが。

 それと一つ気付いたことがあり、尋ねる。

「真直さんにこの姿、見せましたっけ? 見せてなかったならよく気付きましたね」

「軍師ですよ? ささいな機微に気付けなくてどうするんですか」

 呆れるように、さも当然という感じで真直は答えた。

 桂花は気付かなかったんですがね。

 付き合いの長さでしょうか?

 しかし、休養を取るはずがいきなりとんでもない事態になりました。

 あの様子だとしばらくは出歩けなさそうです。

「美紅殿が諦めるまで、ここにいます?」

「そうしたいですけど、仕事をしてる人のところに居座るのも悪いですし」

「空殿でしたら別に気にしませんけど……」

 と、真直は言ってくれていますがそこまで世話になるつもりはないです。

 他に安全な場所でも探しましょう。

 というか、部屋に戻りますか。

「お騒がせしてすみませんね。あとは部屋でゆっくりしてます」

「お気をつけて」

 そう真直に見送られ、私は軽く会釈して退室する。

 やれやれと思いながら扉を開けて部屋に戻ると――

 そこには笑顔で立ってる美紅がいる。

「お帰り〜待ってたよ♪」

 バタン! 当然ながら勢いよく扉を閉める。

 先回りされたかッ。

 扉が開けられそうになり、抑え込んでいると向こうから声がする。

「ちょ、待って! 何もしないから!」

「さっき襲ってきて信じられると思いますか!」

「冷静になったから! 信じて!」

 その言葉をどこまで信じればいいのか分からないので扉をすぐには開けない。

 しかし、武将ニ人の力に扉が先に悲鳴を上げてる気配がしたので力は多少緩める。

「本当ですよね?」

「ホントホント、衝動が出ちゃっただけ」

 そういうの困るんですけど!

 それって再発する恐れがあるってことですよね?

 しかしまあ、口調的には落ち着いてる感じなので信用は一応しつつも警戒は怠らず扉をゆっくり開ける。

 半ドアの状態で様子を確認しつつ、言葉を掛ける。

「今度襲ったら本気で抵抗しますよ」

「大丈夫、多分」

「そこは言い切って下さいよ」

「空が誘惑しなかったらいいだけよ」

 私は誘惑してるつもりなんてこれっぽっちもないんですがね。

 いつの間に私は無自覚系小悪魔キャラになったんですか?

 とりあえず襲い掛かる気配はないので扉を開けて部屋に入る。

「自制出来ないんですか」

「えー、無理」

「即答ッ?!」

「カワイイのも好きだし、カッコいいのも好きなのよ」

 感受性豊かなんでしょうか?

 美紅はいつもどおりにニカッと快活に笑う。

 まあ、ある意味では真っ直ぐですね。

 自分の欲望に忠実と言い換えてもいいかもしれませんが。

 気持ちも分からなくもないですし。

「恋多き人ですね」

「うーん、そうかも。軽いかな、私?」

「軽いとは何となく違う気もしますが」

 美紅はどことなく口調から軽い感じはするが、別に気持ちまで軽い感じはしない。

 何でしょうかね?

 その時に全力というか、自分に正直ではあるでしょう。

 

 

 そんなことがあった別の日。

「本日の議題はここまでです。解散してください」

 治水関係と農作物についての話が終わり、斗詩が解散を宣言する。

 うーん、黄巾の乱は終われど残党の話が目立つ。

 爪痕はそこかしこにありますね。

「乱が終わっても治まったとは言えないわね」

「仕方ないでございます。今となっては朝廷の腐敗は火を見るより明らか。今回の乱で露呈したと言っても過言ではございませぬ」

 美紅の言葉に同意し、その理由を述べる小夜(シャオイェ)

「んあ? どうしたんだ斗詩?」

「もう朝議終わったよ、文ちゃん」

「あちゃー、寝ちゃってたか……」

 相変わらずの猪々子に起こした斗詩は呆れる。

 というか、議題に入り始めてすぐに寝てましたよね。

「まったく、猪々子さんしっかりして下さいます? そんなことではこの袁本初の名に傷がついてしまいますわ」

「そういう姫は何の話か分かってるんですか?」

「まだこの名門袁家の領内で黄巾の残党がいるという話でしょう? それぐらい分かってますわよ」

 と麗羽様は猪々子の質問に答えてますけど、内容が浅いですよ。

 残党だけじゃなく復興の為の治水と農作、あとは今後の方針とか重要なことも話してた気がするんですけどね。

「復興の話もございますけどね。しかし、残党……どうしたものでございますか。お隣の青州は荒れ放題で州牧になる者はおらず。北の公孫賛が半ば管理してはおりますが、あそこを治める者はいないようでございますし」

 小夜さんの言うとおり、この冀州の東に隣接する青州は今では黄巾党の残党の温床になっている。

 土地は荒れて復興には長い時間と資金、おまけに残党を処理しなければならない。

 それには必然的に国力を割かないと行けない訳なので。

 自国を割いてまで復興しようという物好きはいない訳です。

「何とか兵として引き込めませんかね? 黄巾を生き延びた残党。敗残とは言え、諸侯から生き延びたということはそれなりに屈強なのでは?」

 瞬間、軍師達に衝撃が走る。

「なるほど、空殿の政策をあちらにも適応すれば人的な国力は増すでございますね。向こうは困窮してるのでございましょうし」

「食と住があるのであれば、文句はないでしょうし。安定した雇用を保証すれば――」

「いいんじゃないかしら? まあ、問題は養える国力があるか否か」

 小夜、真直、桂藍の順で意見を述べる。

 いつの間にか会議の第二回戦が始まってしまいました。

 というか、私って余計なことを言いましたかね?

 何か袁紹軍が強力になるような予感がします。

「久方ぶりに色々と道筋が見えた気がするでございます。ふふふ……」

 また、小夜さんがいつもの上機嫌で黒い顔をし始めた。

「あ……今のメッチャ良い」

 そして、いけない人が反応し始めた。

 そんな一面でもいいんかいッ。

 一応は大丈夫か、確認しておく。

「美紅さん?」

「いや、ゴメン。今の小夜の一面がキュンときた」

 その言葉に私は嫌な予感がする。

 これは……撤退準備ですかね。

「小夜さん、逃げた方がいいですよ」

「いきなり何を言ってるでございますか、空殿」

 いきなりも何も身内から刺客と言いますか。

 美女が野獣になると言いますか。

「そろそろ昼時ね。小夜、一緒にいかない?」

 ダメだこの人。

 誘い文句がヤバい上にあなたが昼ご飯みたいになりそうです。

 仕方ないので強行撤退。

 小夜さんを抱えてすぐにその場から逃げます。

「ひゃっ――空殿、昼間から何やってるでございますか!」

「いや、こうでもしないとおそらくは――」

 チラリと後ろを見れば美紅が肉食的な目で走ってくる。

「ちょっと、空! なに小夜を攫ってんのよ! あんたも狙ってたわけ?!」

「一緒にしないで下さい! 狙ってるのはそっちでしょうが!」

 そして小夜はキョトンとした顔からジト目。

「一体何でございますか?」

「端的に言いますと美紅に襲われるんですよ!」

 ギャップ萌えってどう日本語で言えばいいんだ!

 ともかく、このままでは内の軍師筆頭が攻城される。

 そして美紅の様子を観察してた小夜は何となく理解したようで――

「……節操ないんでございますね。空殿、何とかお願いします」

「気楽に言ってくれますね?!」

 その後、何とか城中を全力で逃げ回って美紅は落ち着いた。

 貞操は何とか守れました。

 しかし、今後の振る舞いをどうしようかと真剣に考えさせられる事件であった。

 

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