とはいえ、趣味のゲームが積みまくってるのでそっちもやりたい。
分身使えませんかね?
ともあれ、恋姫続編いきましょい。
一章:乱終わり、新たな局面を迎えるのこと
黄巾の乱は終わり、火種が
既に朝廷の腐敗と権力の失墜は誰の目にも明らかになってしまいました。
諸侯に協力を要請しなければ乱も平定出来ない。
民の誰もが、噂をするほどに。
次の流れとしては反董卓連合が組まれ、お互いに腹の探り合いでしょう。
それから自らが天下を平定、あるいはその覇権を握る。
ある者は秩序、ある者は民を思い、ある者は故郷を守らんがために。
「沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。ですかね」
などと有名な平家物語の一句を思わず呟きます。
隣で聞いてた
「詩を
「いえ、何となく思っただけです」
「でも、現状をよく表した一節だと思います」
感心されてますが、誤解がありそうで困るんですけどね。
今回はどうやら、大将軍の方から急使が来るとの知らせだった。
略式でよいとの話でしたのでよかったです。
こっちの作法はまだまだ勉強中ですからね。
なので、私と真直は集合のため玉座へと向かっている途中です。
「おはよ〜」
「さて、分かりませんが。おそらくは乱の平定を協力した諸侯への褒賞とかではないでしょうか?」
銀鈴の疑問に真直は自分の予想を話す。
おそらくは、そんなところでしょうね。
大将軍の使いということは、誰か知ってる武将でしょうか?
知ってる武将であれば話もしてみたく思いますけどね。
そうして玉座の間へ主要な者がきっちりと服装を整えて整列する。
略式とはいえ、格式は大事ですよね。
「さて、あのいけすかない大将軍の使いとのお話でしたが誰が来るんですの?」
麗羽様は問い掛けに
「
「聞いたことがありませんわね。天子様の
皇甫嵩……そう言えば、この間の黄巾討伐で山道で助けた旗印にそのような字がありましたね。
真直が呆れている感じからして、同じ者でしょう。
真名は
「まあ、いいですわ。もうすぐ来られるとのお話ですし、きっとわたくしに相応しい褒賞を用意して下さることでしょう」
その自信はいつもどこから来るのやらですね。
その言葉に小夜含めて
程なくして使いが現れた。
妙齢のメガネを掛けた女性。大人の気品を窺わせるような物腰。
皇甫嵩、官軍の中郎将という官位であったはずの武将。
その側にはもう一人、銀髪の豪快そうな雰囲気の女性。
いや、まさかこっちの方で出会うとは意外ですね。
それから皆が一礼をし、皇甫嵩は上座から麗羽様に大将軍の言葉を告げる。
一応は、向こうの方が立場は上ですからね。
「袁本初殿、
皇甫嵩はそう言葉では紡いではいるが、隣の華雄はそうは目で言ってないです。
というか、すみません。
ウチの主君が勝手な行動で被害出しましたよね。
それが分かってるのか、真直も微妙な顔だ。
とはいえ、ここで臣下が出張る訳にもいかないので沈黙する他ない。
「これまでの功績を称え、
「謹んでお受け致しますわ」
あの麗羽様が身を引いている。
まあ、いつも名門だとなんだと格式を口で言ってる人ですからね。
流石にそこら辺は
いつも高飛車なところしか見てませんけど、こういう時は君主ですよね。
「これからも、天子様の忠実なる諸侯としての働きを期待しますわ」
「ええ、主上様に変わらぬ忠義を名族としてお約束致しますわ」
「では、簡単ではありましたけれどこれをもって天子様からの意向、確かにお伝えしました」
「ええ、確かに受け取りましてよ」
お互いに一礼する麗羽様と皇甫嵩。
そのまま立ち去るかと思いきや、
「今日はお泊りになられます? 洛陽までは遠いでしょうし、天子様の使いをタダで返したとなれば名門、袁本初の名が泣きますわ」
「その厚意、ありがたくいただきましょう」
「誰か、主上様の使いを案内しなさい」
言われて女官が歩み出し、速やかに二人を案内する。
皇甫嵩は去り際に一礼し、華雄と共に玉座を去る。
最後に出る前に私を見た気がしますが、気のせいでしょうか?
「ふふ、おーっほっほっほ! おーっほっほっほ! 遂にこのわたくしも天子様の直属の軍という訳ですわね」
麗羽様は喜んでますけど、小夜は呆れてる。
「どう考えても形だけでございましょう。あの肉屋将軍が力ある諸侯を傍に置いておく訳がないでございます」
小夜と真直は何となく今回の任命について思うところがあるのか、そんな顔をしてる。
というか肉屋将軍って、何進が元肉屋なのは周知の事実なんですね。
「ま、お嬢様が適当に満足してるようでございますのでしばらく大人しくしてるでございましょう」
「小夜さん……本音は隠して下さいよ」
「真直殿もいい加減に楽になるでございます。あ、それとお嬢様と一緒に禁中に行くのは任せるでございます」
「ええッ!? 私が行くんですか?」
すんごい勢いで小夜さん、真直に投げましたね。
禁中とは、まあ簡単に言えば天子様がいる居城ですね。
「誰があんなクソ面倒臭いところ行くでございますか。それに、洛陽でのことは真直殿の方が詳しいでしょう? 元は朝廷の文官なのでございますし」
いつものジト目でいつもより毒を吐く小夜さん。
心底行きたくないんでしょうね。
「それは……そうですが。あの、空殿? 一緒に来てくれませんか?」
何で私に助けを求めるんですか?
そのまま真直はうるうるした感じで私を見てくる。
やめてくださいよ、そんな捨てられた子犬みたいな感じ。
まあ、麗羽様と二人だけだとストレスマッハになりそうですから付き合いますけど――
「道中まででしたら……というか、猪々子と斗詩も一緒に行くでしょう? 官位のない私が行ってもどうかと思うのですが……」
「いえ、空さん。私も文ちゃんも官位ないですよ」
斗詩の言葉に私は、「ああ……」と納得します。
官位持ってそうなの、元朝廷の真直と麗羽様くらいしかいなかったですね……ウチ。
他にもいそうですけど。
「道中の護衛だけでいいのでお願いします!」
懇願にも似た感じで必死ですね。
まあ、真直だけではいざという時にはフォロー出来ないでしょうし、斗詩は猪々子で手一杯でしょうしね。
「分かりましたよ」
「面倒見がいいね」
美紅がそれを見て、微笑ましそうにしてる。
「頼られるのは嬉しいですけど、妙に私ばかりな気がするんですが?」
「いいじゃん、でもやっぱり男前だね。やるう」
「美紅さん、来たときと人が違いません?」
私は思わずツッコむ。
慣れてくると素でも出るんですかね?
「そんなことないって」
快活な笑顔は変わらず。
なんか、陽キャのオーラを最近は強く感じます。
元々がオタクで静かな方が好きな私にはちょっとたまにノリが辛い。
そのまま解散となり、いつも通りに調練へと繰り出す。
副官の
「さて、事前に知らせたように今日は槍の演練です。黄巾の時は馬はいませんでしたが、異民族のように馬を使う戦があるかもしれません。分かりますね?」
『ハッ!』
兵士は私の問い掛けに返事をする。
「張郃隊の基本は!」
『美しく、華麗に!』
あるゲームのキャラを意識はしてます、若干。
でも、実際追い求めてみると結構いい感じに練度が高くなってるんですよね。
「統率が美しければ、強力な攻撃を。華麗な進軍は素早い展開を。それが皆を守ります! では、太鼓に合わせて突きを始め!」
今となっては調練も慣れたものです。
太鼓に合わせ、
『ハッ!』
声と共に突きを繰り出す。
何度か突きをやらせて、
「次、防御陣形!」
打ち手が太鼓を二回鳴らしたところで、全員が外を向き槍を構える。
「正面!」
今度は一回鳴らして、私の方へ一斉に向いて構える。
それからまた、突きを繰り返す。
今日は防御と正面への構え直し、そして突きだけです。
単純な反復演練ほど大事ですね。
集団での複雑な動きなんて一朝一夕では身につきません。
それこそゲームじゃないですし。
「では、しばし休憩です。四半刻後に太鼓が鳴れば整列し再開です」
四半刻とは大体は三十分ですね。
この時代だと細かい時間がありませんから、メリハリをつけるのが大変です。
鈴花が近くに来て感心する。
「すごいですね、空様。まだ数日しか経ってない者もいるのに」
「雰囲気に慣れさせれば何となく分かるものですよ。そこまで難しいことでもありません」
集団心理ってヤツですね。
みんなが上を向いてれば何となく上を向いてしまうように、新人でも同じ動作をするのであれば難しくはないでしょう。
実際に動くとなれば練度の差は出るでしょうけどね。
今となっては武将ですが現場仕事を思い出します。
半日が経って、今日の調練は終了する。
「では、本日の調練は終了する! 今日もよくやってくれましたね」
にへらっと、最後に柔らかい笑顔で労う。
女性の笑顔でやる気が出ない訳がないですからね。
元々が男だった心理を利用してる感じはしますが、せっかくの女性の体なんですし利用しない訳にはいきません。
「では、明日も頑張りましょう」
『おおおお!』
盛り上がりますね〜
そのまま兵達は解散していく。
隣にいる鈴花に、私は言葉を掛ける。
「鈴花もそろそろ、副官は卒業ですかね」
「え? まだ早いですよ、空様……」
もじもじして自信なさげな鈴花。
私はもう
実戦経験は豊富とは言えませんが、それでも十分に指揮は出来ると思うんですが。
「失礼、あなたが張郃将軍?」
私と鈴花が話していると皇甫嵩が私に話しかけて来た。
離れたところで調練も見てたみたいですし。
私はすぐに拳と手を合わせて一礼する。
「はっ、皇甫嵩殿ですね。確かに私は張郃です」
「ああ、そう固くならなくても結構よ。お礼を申し上げに来たの」
「礼、ですか?」
「ええ、過日の黄巾討伐で山道からの窮地を救っていただきありがとう。お陰で大きな被害なく撤退することが出来たわ」
と、謝辞を述べられる。
わざわざそれを言う為に使者も受けたんですかね?
皇甫嵩の高潔さは知ってますけど……原作知識的な意味で。
「礼を申される程ではありませんよ。元はと言えば、麗羽様のせいですし」
私が疲れた顔をすると、鈴花も目が泳ぐ。
その表情で皇甫嵩は何となく察してくれるだろう。
「えっと……大変なのね」
「そうです。なので礼は不要ですよ」
「しかし、兵の調練は見事なものでした。練度もあり、士気も高い」
軍人らしく、皇甫嵩は真面目な顔になる。
まさか皇甫嵩に評価されるとは……
女性でも名のある将には変わりないですし。
何とも元一般人としては気恥ずかしいですね。
張郃とはいえ、まだまだ私は無名でしょうし。
「うむ、実に見事だ」
皇甫嵩に続けて、華雄がその姿を現した。
「おや、華雄殿」
「一人で行かないでほしいものだな。私だって礼を尽くさねばと思っていたのだぞ」
「それは失礼しましたわ」
皇甫嵩と華雄はそんなやり取りをする。
随分と名を覚えられたものです。
軽いマッチポンプな気がしないでもないですが。
「官軍を預かる将軍に覚えられるとは望外の喜びです。ですが、先の戦での事は我が君主の勇み足によるもの。よって礼は不要です」
私の言葉に、ほう、とまた両将軍は感心する。
「失礼。あと謝罪させて下さい。てっきり恩着せがましい者ではないかと、内心疑っていました」
「空様はそのようなことしません! 本当に失礼な考えです」
と、鈴花が皇甫嵩の言葉に子供っぽく憤慨する。
「鈴花、下がりなさい。腹の内など言わなければ知られないものなのに、わざわざそれを謝罪してくれたのです。誠実なことでしょう。それを咎めるのは
「は、はい……」
私の言葉に、素直に下がる鈴花。
大人とは――"おとな"ではなく、器量のある人とか徳のある人です。
孟子や論語といった儒学でよく使われる言葉でもあります。
皇甫嵩の懸念も無理からぬことで、腐敗が進んでいる朝廷では誰が取り入ろうとしているか分かったものではないでしょうけどね。
「ふふ、思ったより良い人ね。この時代にあなた程の人はそう多くないでしょう」
「いえ、私なんて元はただの村娘です。洛陽では様々な噂が流れていますが、人となりについては私は基本的に自らの目と耳で見たものしかあまり信じませんので」
噂なんて尾ひれ背ひれ付いてくるものですからね。
この時代にニュースとか新聞とか情報を仕入れるものがないので基本的に噂だよりになったりする訳ですが、火の無い所に煙は立たないった感じで、少なくない人数がそれを信じたりする訳です。
私はそんなのに流されないつもりです。
現代社会でも情報が錯綜していて、何が真実かなんて分からないものですし。
そう考えるといつの時代も変わらないものだったりするのですかね?
「そう……では
それは本当に自らの言葉通りに私が噂に流されない者であるかを試す問い掛けでした。
「そうですね。"洛陽"の皇甫嵩将軍ではなく、誠実な将でとても不正をよしとする人ではないというのが、私の皇甫嵩殿の印象です」
「そう。でも、私はあなたの思うような人ではないかもしれないわよ」
自己評価が低いですね。
というより、洛陽の話を聞いてるのであれば好印象など抱くはずがないと思ってる感じです。
「周りに火がついていれば関係ないところでも煙は立っているように見えるものですよ」
風評被害って言うやつですね。
関係者ではあるかもしれませんが、不正をしてないのに不正をしてると思われる。
「華雄殿もそのようには見えませんしね。自らの名声は勝ち取るような人でしょう」
「うむ、洛陽での連中のやり方は気に入らん。将であるなら武勇を示してこその名声だ。気に入ったぞ張郃殿、話が分かるではないか」
私の言葉に華雄は破顔する。
別に取り入る訳ではないですが、悪印象を与える意味もないですしね。
「そう。会えてよかったわ、張郃殿」
「はっ。私もです、皇甫嵩殿、華雄殿」
「それはそれとして、私としては一戦交えてみたいがな。その精錬された立ち振舞い。何とも興味がある」
うーん、何とも武官らしい思考。
皇甫嵩は華雄のそれを咎める。
「華雄殿、今日は休みましょう。彼女もここの将としての職務が残っているでしょう」
「ふむ、そうだな。今回は使者であるし我々も忙しい身だ。別の機会に手合わせ願おう」
と華雄は言って、皇甫嵩と共に調練所を去っていった。
別に私は「強えヤツと戦うのワクワクすっぞ」的なタイプではないんですけどね。
「さっきから鈴花は何やってるんですか?」
「いえ……少しでも研鑽しようと」
だからといって今のやり取りをその竹簡に書いてる訳じゃありませんよね?
というか、どっから墨と筆を出してるんですか?
真面目な部下に私は苦笑する。
後日――皇甫嵩と華雄は無事、南皮を出立していった。
それから近日中にまた朝廷から使いが来られ、遂に洛陽へ至る。
それは皇帝直轄の地と言ってもよい場所です。
今で言えば首都圏みたいなものですね。
なので、活気はありますが……妙な雰囲気を漂わせまくりです。
「ここが洛陽ですか」
「初めて訪れる割には落ち着いてますね、空
殿」
「そんな田舎丸出しみたいに騒いだりしませんよ」
すごいはすごいですが、現代社会の都会を知ってる身としてはあまり感動がありませんね。
それに、インドアだったので観光地に感動を覚えるタイプではなかったですし。
どちらかと言えば、片田舎ぐらいが好きです。
どちらかと言えば真直が別の意味で深刻そうですが。
「うぅ……胃が痛い。なんで戻って来たんでしょう……」
「洛陽を知ってて官位持ってる人がいないからですよ」
「正直、官位なんて返上したいです。どうせ私の言葉なんて誰も聞いてくれませんし……」
何というネガティブ。
まあ、いい思い出なさそうですしね。
「大丈夫ですよ。真直さんは頼りになる軍師です。武官として私は真直さんの期待にお応えしますよ」
と励ましてみれば真直は私の胸に飛び込んでくる。
「うぅ……空殿ぉ!」
感極まった感じで、真直が抱き締めてくる。
なんですかね、この絵面。
ロリに甘える委員長キャラって感じなんですけど。
自分でロリって言って悲しくなってきました。
うん、私はロリじゃなくて美少女です。
元男が何を言ってるかって話ですけど。
「なあ、斗詩。あたいたち何を見せられてるんだ?」
「ほら、真直さんも色々と大変だから」
猪々子の言葉に何とも言えない回答をする斗詩。
「何をやってますの? 真直さんさっさと行きますわよ」
「あ、待って下さいよ麗羽様ぁ!」
麗羽様がさっさと行ってしまって現実に返り、真直はそれに続く。
さて、我々はある意味ではお留守番な訳ですが。
「はぁ~腹減った。斗詩に姉貴、飯でもいこうぜ」
「まあ、任命式には参加できないもんね」
「官位ないですからね。手持ち無沙汰ですし、時間を潰しておきましょう」
猪々子に同調して久々に三人で食事へと向かう。
その途中で視界の端に、"彼"を見つけた。
――北郷一刀。
この世界では初めて見る彼を。
外史はこれから新たな局面を迎える、といったところでしょう。
果たして同じ道を歩むのか分かりませんが。
ましてや違う君主を頂く今となっては、どうなるかも分からないですがね。
ま、友達として気には掛けておくさ。
仕事の関係とか疲労の関係で感想の返信が遅れるのはご容赦下さい(今更)