真・恋姫☨夢想 革命 張郃転生伝   作:青二蒼

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張郃伝が意外と人気で何よりです。

一応は、歴史に沿ってある程度進めていきますので興味のある方はぜひに調べてみて下さい。

この戦いにこの人いたっけ?はNGです。
ある程度なんでこまけえことはいいんだよ!


四章:於夫羅との戦い

 

 そんな訳で、反董卓連合への参加する将は麗羽様、猪々子、斗詩、真直となった。

 まあ、それ以外は反董卓連合にいませんでしたしね。

 ある意味では外史の修正力とでも言うのでしょうか?

 筋書き通りには進んでいるのでしょう。

 結局のところ、治めている土地を空き地にする訳にはいかないですし、妥当な話ではあります。

 つまりは我々は留守番です。

「という訳で、我々は内政のお時間でございます。久々にゆっくり仕事が出来そうでございます」

 沮授こと真名を小夜(シャオイェ)は今までに見たことない程に上機嫌です。

 いつもやさぐれた感じしか見てないので、ここまで憑き物が落ちたみたいな表情は初めてなんですが。

 ニコニコとは言いませんが、普通に目に生気を宿しています。

 最早、誰ですかあなた状態。

「わ~、シャオちゃんがキラキラしてる」

「キラキラ……まあ、キラキラね。あたしもあんな表情は初めて見た」

 私より付き合いの短い、銀鈴(インリン)美紅(メイホン)すらも順番に様子に気付いている。

「さて、張楊という者が河内(かだい)にてお嬢様と合流したそうでございます。どうやら反董卓連合に際して、山東(さんとん)の諸侯も立ち上がったようで……それに便乗するような形でありますね」

 張楊という人物はその話を聞く限りは機を見て敏という感じですね。

 少なくとも一角の将であるのが何となく分かります。

「真直殿によると汜水関を抜け順調に進軍はしているようでございます」

「あら、結構堅〜い関のはずですけど。抜けたのね」

「ぶっ……」

 思わず、桂藍さんの言い方に小さく吹き出してしまう。

 ヤバい、オタクなせいで卑猥(ひわい)に聞こえてしまった。

 というか、桂藍さん狙って言ってます?

 堅いとか妙にねっとりした言い方ですし。

 そんな私の反応はどうやら気付かれていなかった……

「ふふ♪」

 いえ、気付かれてましたよ。

 視線があった桂藍さんが意味深っぽく微笑んでますよ。

 おかしいですね、桂花と似た容姿なのにどうしてこんなにもエロく見えてしまうのか。

 弁舌に長けるというのは、そういう雰囲気作りも長けるのですか……

 とまあ、そんな私の反応は桂藍さん以外には気付かれてない様子。

「真直さん、大丈夫ですかね……」

 話題を逸らすために真直をダシに使った感じがしますので、心の中で謝っておきます。

「大丈夫でしょう。命は」

「精神は?」

「保証できる訳ないでございます」

 小夜の言葉に、うんうん、と美紅と銀鈴が頷く。

 麗羽様に対する認識が雑いです。

 同意しますけど。

 まあ、帰ってきたら話でも聞きましょう。

 向こうから「聞いてくださいよ~」とか、言いそうですが。

「青州の黄巾の残党の調練も順調よ。というか、色んな諸侯に狙われて生きてるんだから精強というか打たれ強いというか。そんな感じ?」

 武官として美紅はそう報告する。

 しかし、青州兵を引き込んだのは曹操的には手痛い感じですね。

 うん、まあ……本当に大丈夫か心配になってきました。

 もしかしたらここは袁紹ルートの外史の可能性もなくはないですが、そこを考えても仕方ないですね。

 流れに逆らえば私か北郷に変化が訪れるでしょうし。

「なら、調練が済んだものは部隊に組み込むとするでございます。そして、新しい兵を預けるので調練を引き続きよろしくお願いするでございます」

「りょーかい。銀鈴じゃあ、無理だしね」

「銀鈴は部隊として完成されてるので新しい者を組み込むのはなかなか難しいのでございますよ」

 銀鈴の部隊は対異民族、つまりは騎馬隊に対して絶大な威力を発揮する部隊。

 ちょっとした調練だけでは組み込むことが出来ない練度の高さがあります。

 おまけに異民族に対しての戦法のノウハウも普通の調練以上に一朝一夕ではどうにもならないものなので、銀鈴の部隊を精強にするのはかなり難易度が高い。

 まあ、逆を言えば増強する必要があまりないとも言えますが。

「うん〜、ゴメンね。インは新しい人に教えるの苦手だから」

「それは分かるわ……」

 のんびりしてる口調の銀鈴だが、調練は苛烈なのを知ってるので美紅も苦笑い。

 私も丸太を複数人で持った人が勢いをつけて突進してくるのを止めるという調練を見てましたので、アレはヤバいと思いました。

 他が5人で止めてるのに銀鈴1人で止めるのですから、ヤバいと思いました(小並感)。

 小さいのにどこにあんなパゥワーがあるのかと思いましたが……

 許褚や典韋、張飛も小さいけど、とんでもない怪力なのを思い出して考えるのをやめました。

 名のある武将に関しては考えるだけ無駄ですね。

「さて、こっちは順調でございますが……何かあった時のための準備も抜かりないでございます。桂藍殿?」

「そうね~。各部隊は既に増援としていつでも出れるように準備もされてますし、何かが起こっても対処出来るかと」

「まあ、何もないことを祈るでございます。……何か起こる予感しかしないので、イヤな気分に……」

 小夜さんのキラキラタイムが終了した。

 またやさぐれてますよ……

 そして、そんな悪い予感、噂をすれば何とやらという慣用句があるようにフラグは太古からあるのでしょう。

 

 

 そして後日――

「大変です! 於夫羅(おふら)という者が反乱を起こし、張楊殿を人質にしております!」

 と、伝令が部屋に入って来た開口一番にそれです。

 フラグ乙と言いたいくらいですね。

 小夜さんと青州兵について話し合っていたらこれですよ。

「……明日にしてもらって良いでございますか?」

「明日ならやるんですか?」

「いえ、面倒くさいので忘れるつもりでございます」

 おおい……筆頭軍師。

 まあ、いつものことですけど。

「失礼します! 田豊殿からの伝令です。麴義殿に対処していただくようにと、ご下命がありました」

 途中でまた伝令の兵が到着し、そう用件を伝えてくる。

「ふーむ、まあ、あちらの方に報告が早いのは分かるでございますが……真直殿の対処も早いでございますね。とはいえ、放っておいても面倒なことになるので間違いではないでございますね……面倒ですが」

「で、どうします? 後詰めとして準備しますが?」

「そうでございますね……お任せするでございます。美紅殿は待機で、軍師は無くても大丈夫でございましょう」

「では準備してきます。ちなみに兵はどれくらいとの話ですか?」

 相手がどれくらいの兵数かは大事です。

 それに於夫羅は漢に服属してるとはいえ異民族。

 私が知らない戦法を取る可能性が高いですからね。

 そのため異民族との戦闘に対して明るいに銀鈴を出すように真直さんも指示を出したのでしょう。

「はっ、1万とのことです」

 まあ、多いには多いですが……大陸の兵数は桁がおかしいので普通くらいですかね。

 兵からの報告の数に私は小夜さんに聞いてみる。

「張郃隊を1万。そして、銀鈴の部隊で何とかなりますかね?」

「それでいいでございます。指揮は銀鈴殿に執らせてください。彼女ほど異民族の戦法に明るい者は我が軍の中では他にいないであります。まあ、それを見越して真直殿は人選したのでございましょうが」

 報告を受けて最適な人材を派遣。

 敵が何者であるかを知らないと出来ないことですね。

 まさしく、敵を知り、己を知る、といったところでしょうか。

 逆に考えれば真直は於夫羅を知ってるということ。

 周辺の主な将のことについては頭に入ってそうですね。

「分かりました。すぐに兵の用意を! 高覧にも伝令を――」

「お名前を呼ばれてただいま来ました!」

 早い早い……

 鈴花がギャグ漫画みたいな感じで扉の前を滑るように横切ってそのまま入ってきた。

 いや、本当にどこから聞いて飛んできたんですか?

 最近私の副将の様子がおかしいんだが。

 と、なろう系の小説みたいなタイトルみたいな言葉が思い浮かぶ。

「で、どちらに行くんですか?」

「まずは斥候ですね。同時に出陣の準備を――」

「いや、鄴の南に向かうでございます。おそらくはそこでございましょう」

 私が指示を出そうとしたところで、小夜さんが面倒そうにしながらも口を挟む。

「説明が面倒でございますので、駐屯する場所から諸々考えてと思って頂ければ。ともかく、そちらの兵達はすぐに張郃隊と麴義隊に準備を始めるよう行くでございます」

 小夜さんの言葉に伝令の兵は「はっ!」と短く返答して退出する。

「信用しますよ。小夜さんは後で面倒になるようなことをしませんからね」

「……相変わらずの美丈夫でございます。ある意味では空殿も面倒な手合でございますね」

「そうですか? そんなに面倒くさいですかね……」

 人の付き合いは十人十色。

 私、そこまで面倒くさい人間にはならないように努力してるつもりなんですが……

 私みたいな性格でも合わない人はいるでしょうし、あまり人のことばかり考えても疲れるのは前世経験で身をもって体験してます。

 小夜さんは、何でも面倒に感じる人ですからあまり気にしないでおきましょう。

「言い方を変えた方が良いでございますね。人たらしでございますよ、空殿は」

「ううむ……そこまで魅力あるとは思いませんが。君主のように人の上に立つような魅力は無いと思ってますし」

「そういう意味じゃないでございますよ。まったく……」

 ちょっとだけ小夜さんが顔を朱に染めて()ねた。

 ふーむ、これはアレですかね?

 無自覚系主人公的なことをしてしまってるような感じがします。

 何だかんだ、小夜さんは頼りになる軍師ですし信頼するのは当然だと思っていますが。

 その当然が嬉しかったりするのでしょうか?

「……好意を抱かれるのは苦手ですか?」

「ッ……早く行くでございます」

 いつも変化に乏しい小夜さんが動揺してる。

 図星だったらしいです。

 これ以上は野暮ですね。

 人の顔色を見て生きてきた前世。

 人間観察として意外と役に立っているようです。

 当時、憂鬱になりながら生きていた身としては複雑な心境ですけどね。

「分かりましたよ。行きますよ、鈴花」

 やさぐれ軍師のカワイイところを見て、私はほっこりしながら鈴花を伴って部屋を出る。

 

 

 進軍して数日――

 鄴の近くを行軍中。

 南皮(なんぴ)に拠点を移してからは、懐かしく思える景色です。

「さて、斥候から連絡は?」

「まだ何もないそうですよ」

 と、鈴花が報告する。

 すっかり彼女も1人の武官ですね。

 義勇軍で戦っていたのが、つい先日のことのようです。

 子供の成長が早いと小さかったのがつい最近のように感じられるアレに近い感じがします。

 まあ、私は独身で生涯を終えましたけどね。

 ……自分で思って悲しくなってきました。

 しかし、前世は前世。

 今の私の場合、伴侶は男性になるわけですが……いや、そうでもない?

 この世界だと女性の皇帝に(きさき)がいるわけですし、ユリユリしてる人が各陣営にいるのでそこまで異性でないといけない訳ではないんですよね。

 前も同じようなことを考えてた気もしますが。

「ふーむ」

「空様? 何か気になることでも?」

「いや、鈴花は恋とか興味あるのかと思いまして」

「ひゃふ!?」

 いきなり可愛らしい声と共に、分かりやすい反応。

 からかい半分でしたが、良いリアクションです。

初心(うぶ)ですね~。何をそんなに驚くことがあるんですか?」

「いえ、空様からそんな言葉が出る想像が無くて」

「普段は酒飲みですからね〜。酒以外に興味がないとでも?」

「そういう訳ではなくて、ですね……」

「分かってますよ。ただの興味本位です。私も恋なんてどうするのかなんて分かりません。でも、今は戦乱でいつ死ぬかも分からぬ身……そう思うと何を遺せばいいのかと考えてしまうのですよ。自分にとっての幸せとは何かをね」

 何もなさずに自分で終えた人生ですし。

 名前以外にも遺したいとは思いますね。

 張郃という歴史の人物以外に何かを。

 そもそも、外史の張郃で私は転生者。

 歴史通りに名を残せるのか分かりませんしね。

「……やっぱり空様は、すごい方ですね」

 何故か鈴花は感心してる。

「そうですか?」

「そうですよ。今を生きるのに必死なのに、自分にとっての幸せについて考える暇が私にはないです。今は、少しでも私の村みたいなことにならないように努力するだけで手一杯ですから」

 その言葉に私は気付く。

 今を生きることに必死、か。

 戦乱なのでそうですよね。

 私みたいに自身の幸せを考える人は少ないのでしょう。

「まあ、今を生きないと明日もない。当然ですね。今はそれで良いのでしょう。鈴花もたまには良いことを言うのですね」

「酷い!? いえ、空様に比べたら私なんてバカですけど……」

「そんなに私も頭は良くないので、大丈夫です。でも猪々子よりはよく考えてるつもりです」

「猪々子様に対しても酷い」

「誰が猪々子の兵站の目録とか直してると思ってるのですか?」

「……まあ、仕方ないですよね」

 そして彼女は目を逸らして遠くを見た。

 見捨てましたね、鈴花。

 まあ、細かいことを気にしないのが猪々子の魅力でもあり欠点でもあり……というところなので、何とも言えないんですが。

「麴義殿より伝令! 張郃隊は両翼に展開し待機するようにとのことです」

「分かりました! 鈴花、左翼に展開し待機! 私は右翼で待機します」

「御意。では高覧隊! 左翼へと移動せよ!」

 馬を翻し、鈴花は自分の隊を率いて離脱する。

 私と鈴花の隊2つで張郃隊ですからね。

 北郷も楽進、李典、于禁を含めて北郷隊でしょうし。

 大隊と中隊の関係と言った感じですね。

 昔からそんな感じだったとは驚きですが。

 さて、今回の戦は銀鈴が総大将。

 実力は何度か模擬戦をしていますので分かります。

 部隊の運用という意味では、まだまだ私は若輩の身ですしね。

 盗めるモノは盗ませて頂きましょう。

 

 ◆       ◆       ◆

 

 空達が部隊を展開している最中、於夫羅(おふら)の陣中では――

「このようなことは許されません」

 穏やかそうな女性が何かを諫める言葉。

 彼女は張楊(ちょうよう)

 麗羽に合流せんと於夫羅と共に参じた諸侯である。

「何故ですか? 私のような者を虜囚としても何の意味があるのですか?」

「っは、決まってる。反董卓連合軍など、知ったことではない。我々は漢より許しを得て長城より内側に住むことを許された。しかし、その漢に力がないとなれば従う意味もない!」

 勝ち気な黒い瞳と、褐色の肌をした幼さを残した女傑はそうのたまう。

匈奴(きょうど)として、故郷を忘れたことはない。北と南、別れたとしても我らは匈奴だ」

「そうですか。しかし、袁紹殿に反乱したところでその先があるとは思えませんが」

「ふん、ならば先を作れば良いんだ! 我々が新たな民と王としてな」

 何とも浅慮な、と張楊はその様子を見ていた。

 その直後だった。

「――相手が動き出しました!」

 伝令の兵が於夫羅に報告に来る。

 その言葉に於夫羅は待っていた、とばかりに獰猛(どうもう)に目を光らせる。

「来たか……しかし、君主のいない軍など恐れるに足らん。我らの部族の戦いに奴等は不慣れだ! 蹂躙してやれ!」

 号令を発すると同時に、兵は沸き立つ。

 しかしこれは、間違いである。

 相手には異民族に対して長年戦い続けた猛者(もさ)が存在することを於夫羅の軍は誰も知らない。

 これが麹義の勇猛さを示した最初の戦いである。

 

 ◆       ◆       ◆

 

 早速、両軍がぶつかった訳ですが……

 初動からもう、ダメとしか言いようがありませんね。

 相手は騎馬を中心とした突撃、しかし正面からぶつかった銀鈴の部隊を前に出鼻を(くじ)かれてます。

 於夫羅の軍は最初の攻撃に失敗したと見て良いでしょう。

 そして、我々はと言いますと――

「今です!」

 と、どこぞの無双の諸葛亮みたいな掛け声と共に一斉に矢を放つ。

 いや、言ってみたかったんですよね。

 しかし、やってる事は結構えげつないことです。

 銀鈴の部隊の守りを前に於夫羅の軍の後方が崩れる。

 その崩れた場所に向かって、両翼にいる私と鈴花の部隊が矢を射かける。

 かなりの打撃でしょう。

 目に見えて瓦解(がかい)しています。

 あっさりの撃破……異民族に対して長年戦って来た銀鈴の経験の賜物(たまもの)ですね。

 ここまで崩れたとなれば、立て直しは難しいと目に見えて分かります。

 これを立て直せたら相手は相当の手練(てだ)れということになりますが……そんな様子もありません。

 むしろ、混乱は広がってる感じです。

 そのまま銀鈴の部隊は前線を押し上げています。

 同時に、伝令の兵が来る。

「張郃様! 麹義様より伝令! このまま陣を崩さずに前進せよと!」

「分かりました。全軍! そのまま真っ直ぐに前進! 麹義隊との距離を保ち、陣を崩さずに前進せよ!」 

 すかさず各小隊に伝わるように近くの伝令に触れを出す。

 しばらくして、麹義の隊が止まったと同時にこちらも足を止めて――

「よし! 斉射!」

 足を止めて撃ったら、麹義隊と歩調を合わせるように再び前進する。

 それを繰り返す。

 やれやれ……せめて我々の両翼のどちらかを襲撃していればまだ勝ちの目もあったでしょうに。

 まあ、対策はしてましたけどね。

 それでも弓兵が多く、歩兵としては少ないのでそれなりに被害が出たでしょう。

 相手の陣容が分かればどこを攻めればいいかぐらいは分かりそうなものだと思いましたが……

 ま、それが難しいからこその兵法がある訳ですし。

 相手は、それに特に明るくなかったと見るべきですかね。

 特に苦労をすることもなく麹義の隊は散々に於夫羅の軍を蹴散らしてしまった。

「さすがは我が軍の対異民族の最終兵器ですね」

 と、思ったままを口に出す。

 ディス・イズ・スパルタ(中国)って感じです。

 防御はまさしく最大の攻撃なりを体現した戦法。

 しかし、あの練度の部隊がホイホイ作れる訳でもないので、異民族というか対騎馬に関しては銀鈴さん頼りですね。

 部隊が再編されるのを見て、私達も銀鈴さんの部隊へ合流するように動く。

「無事ですか?」

「問題ありません」

 先頭に立つ、血塗れの鎧となった銀鈴さんは私の言葉に何の感慨もなく返す。

 いかにも将軍という目付き。

 普段のホンワカしてる彼女を見てると二重人格かと思うほどの変わりようです。

 それから、兜を脱いだかと思うと――

「疲れたね~」

 へにゃっとして、いつもの彼女に戻る。

 オンオフが激しいですね……

 しかし、返り血を浴びてる感じからして相当に激しい戦闘だった訳で。

 騎馬相手に正面から耐え反撃するのですから、遠目から見てもその激しさはよく分かるというもの。

「早く湯浴(ゆあ)みしたいな~。あんまり、こういう姿を見せたくもないし」

「まあ、戦果の証とでも思いましょう」

 血生臭いですけどね。

 しかし、そういうことではないらしく銀鈴は目を鋭くする。

「異民族の血に(けが)れてるみたいだから、ヤなの~」

 口調こそのんびりしてますけど、何だかヤバ気な雰囲気。

 何だか闇が深そうなので何も聞きません。

「空様~!」

 と、鈴花が元気よくこちらに向かってくる。

「ああ、ご苦労様です鈴花」

「上手くいきましたね! さすがは銀鈴様です!」

 私の労いの言葉もそこそこに銀鈴の指揮にいたく感じ入ったように鈴花は目を輝かせる。

 模擬戦でボロ負けしても何の禍根もなく羨望(せんぼう)を向ける鈴花の純粋さは何とも、気持ちのいいものです。

「うん、あんまり戦上手じゃないからよかったね~」

「そうなんですか?」

「予想してなかっただけかもだけどね~」

「しかし、こんな董卓を討つべしの雰囲気で唐突に裏切るのはよく分かりませんね。きっと、私以上にバカなのでしょう」

 うーん、於夫羅という見ず知らずの人が知らずの内に評価が下がってる。

 銀鈴と鈴花にここまで大したことないと言われると、陰キャの私には何故か自分が言われてるみたいでグサグサくる。

 まあ、被害妄想なんですが……未だに自信は持てずですね。

 前世のトラウマが大きすぎるせいでしょうか。

「ともあれ、我々の勝利です」

「そっか~。かちどきだ~」

 気の抜けるような緩い感じで勝鬨(かちどき)を発するように言う銀鈴ですが、周りの兵士は「うおおおおおおおおおお!」と大地を震わせる声を発する。

 特に、麹義隊の声がヤバい。

 声1つで部隊の精強さが違う感じがしますね。

 まあ、隊のみんなに愛されてるんでしょう。

「では、凱旋(がいせん)ですね」

 帰ることを提案し戦場をあとにする。

 

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