真・恋姫☨夢想 革命 張郃転生伝   作:青二蒼

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休暇も近いし、いつになくハイテンションのままに書きなぐる。
久々に筆が乗りまくるのでとりあえず勢いで書いていく。

すみませんが、別世界の話は少しお待ちを。
同時並行的にしてますので。


三章:仕官への道のり

 

 田豊こと真直(まぁち)と知り合って共に仕官先を求めて旅をすることになった、張郃こと俺――立花 空――は今日も大陸を歩く。

 真直のおかげで周辺の地形がある程度分かるのはありがたく、近くの街にも最適な道で行ける。

 おかげで賊と出会う回数も気持ち的に減ってる気がする。

 別の州の情報もある程度は知ってるみたいなので仕官先については真直に任せてる。

「やはり、兵を流動的に動かすのが要でしょうね。まあ、私は指揮なんてしたことがないので絵空事でしかないのでしょうが」

「本当に学がないんですか? (くう)殿。私は教えてて、たまに恐ろしい人を育て上げてしまいそうな予感がして恐いんですが……」

 はい、本来の張郃であれば30年以上戦い続ける歴戦の猛将になります。

 俺に適用されるかは知らんが。

 ここ最近は歩きながら真直が俺に兵法書の覚えてる部分を出題し、どういうことかを俺なりに解釈して、真直が実際に合ってるかどうかを解説する。

 簡単に言えばクイズ方式だな。

 歩きながら話してると、あっという間に時間が過ぎるので退屈を潰すのには最適だ。

 歩きすぎた時は近くに街や村があれば路銀を使ってあるいは武働きで下宿してしばらく休み、砂の入った箱を使って文字の練習だ。

 紙なんてこの時代は高価だし、製紙技術も進んでない。

 基本的に文書関係は竹簡――竹の巻物的なやつが主流だしな。

 真直のおかげで少しはこの世界での学がついたと言えよう。

「真直さんの教え方がよろしいのでしょう。いい先生が出来て私は嬉しいです」

「先生なんて大層なものではないですけどね」

「そう、卑下しなくても。私にとっては師ですから、それでいいじゃないですか」

「空殿は楽しそうですね……」 

「私は真直さんと一緒で楽しいんですが、真直さんはそうではないんですか? それは少々、悲しいですね」

「ぐっ……たまに空殿の純真さが眩しいです」

 とまあ、真直とはそれなりに打ち解けてると思う。

 そもそもクビになって途方もなくなって、弱ってた彼女が俺に心を許すのはそう難しい話ではなかった。

「そう言えば、胃痛は大丈夫なんですか?」

「ええ、まあ……空殿と話してる内にマシにはなってきました」

 と、疲れたような顔で真直は語る。

 胃痛でたまに夜、うなされてる辺り割と重症な気がする。

 不憫なのはカワイイという時もあるが、こうも目のあたりにすると心配もする。

「軍師だからと言って昼夜問わず頭を使う必要はないと思いますけどね。ましてや今は流浪の身ですし、気楽にいきましょうよ」

「うぅ、でも……いつまでもこのままという訳には……路銀を空殿に工面して貰い続けるのも私が不甲斐ないばかりに……ごめんなさい」

 いや、まあ……確かに道行く途中で賊に襲われては返り討ちにしてお金を奪ったり、襲われてる人を助けた謝礼を少しばかり貰ったりしてる。

 時には良さそうな剣とか金物を換金したりと、確かに俺の働きの方が大きいのだろうが……

「けれど真直さんのおかげで街に迷わず向かえてる訳ですし、こうして色々と教えて貰えてるので助かってるんですけどね」

「それは、そうかもしれませんが……空殿の足を引っ張ってるような気がして」

 真面目だな~

 だからこそ、胃痛になるんだろうが。

「つまり、もう少しお役に立ちたいと……でしたら真直さんが身売りします?」

「み、身売り!?」

「冗談です」

「ちょっとは突っ込ませて下さい!」

「え? 私に突っ込みたい? もしやそちらの趣味が……」

「いや、何の話ですか?!」

 ごちゃごちゃ考えると、変に内気になるからな。

 経験があるからよく分かる。

 なので、こうしてからかえば変に考える必要もない。

 こうして賑やかに旅はもう少し続く。

 

 

「あー、今日は野宿ですね」

「私の見立てでは日が落ちる前には街に着くはずなのに、ああ、私はなんてことを……! ごめんなさいごめんなさい!」

 話してる内に計算が狂ったのか、街には辿り着かずに陽が落ちきった。

 辺りは段々と薄暗く、夜の景色に変わっていく。

 対して真直は腰を折りそうなほどに謝罪してくる。

 別に野宿は初めてではないし、そう悲観するほどでもない。

 どこかの山道なのだから取りあえずは寝れそうな穴倉でも探すしかない。

 何となくこんな予感はしたので、ある程度のあたりはつけてる。

「取りあえずは少し戻りましょう。いい感じの横穴がありましたし」

「まさか、野宿なんて……うぅ……」

「軍師なら野営してるのでは?」

「野営と野宿じゃ雲泥の差です」

 まあ、そりゃそうだ。

 あー、水浴びしたい……

 この時代に風呂の文化はあっても入浴の文化はあまりないしな~

 日本人なので毎日風呂には入りたいが、そもそも文化レベル的にお湯を気軽に沸かす技術がない。

 話に聞くと、沐浴(もくよく)という入浴の文化らしいが三日に一度は髪を洗って五日に一度は入浴というか体を清めなさい的な命令があるらしい。

 朝廷では風呂が入れるのか聞いたら真直が教えてくれた。

 流石に臭いが気になるらしい。

 まあ、俺は毎日水に浸した手拭いとか何かしらの布で体を清めてた。寒い時は水の布を火で温めて拭いたりと、そんな感じで衛生を保ってる。

 取りあえずは目星をつけてた山道の崖側にある大きめの横穴で野宿。

 火を焚けば2人で横に寝るには少し狭いので俺は座って寝る。

 我ながら侍みたいな寝方だな。

 それに真直の方が体力的には俺に劣るし、襲われた時を考えればこうするのが最善ではあるだろう。

「あの、空殿は寝ないのですか?」

「座って寝ますよ。何かに襲われたら対応できるのは私だけでしょ? すぐ動けるようにしてるだけです」

「空殿は、同じ女性にしては勿体無いですよね」

 そう言われると中身が男なので否定も出来ない。

 うーん……複雑だ。

 苦笑いしてた俺を見て、失礼だと思い至ったのか真直は慌てて否定する。

「ああ、あの、その女性らしくないという訳ではなくてですね。同じ女性にしては頼りがいがあると言いますか……」

 俺はそんな真直の様子を見て思わず吹き出す。

 当然、俺の反応に真直はツッコむ。

「な、何で笑うんですか!?」

「いえ……こう言っては失礼ですが真直さんは軍師の割によく取り乱すものだと思っていまして。まあ、少し可愛らしく見えて」

「それって子供見る慈愛の眼差し的なやつじゃないですか?」

「ええ、面倒見がいがありますね」

「ぐっ……そんなことを言う空殿は知りません! 寝ます!」

 不貞腐れたのか顔を少し赤くして真直はこちらに背を向けるように寝てしまった。

 やれやれ……長くはないが、短くもないこの旅で彼女を見ているとどうも放っておけないな。

 何だかんだ愛され属性があるんじゃないかと最近は思う。

 どっかの未来の話だが、袁紹も彼女を心配して見舞いにはくるらしいし。

「はい、おやすみなさい真直さん」

 なんて考えながらも俺は就寝の言葉を掛ける。

 袁紹のところに行くまでは面倒を見ておくか……そう思いながら俺も意識を少し閉じる。

 

 ◆       ◆       ◆

 

 張郃殿――空殿は、このご時世には珍しい誠実な人だった。

 助けられて親切な人かと思ったら、いきなり私が欲しいなんて言われたのはビックリしたけど。

 私の知識が欲しいって意味だと思わなかった。

 紛らわしいんだから。

 空殿は農村出身だなんて言うけど、正直この旅の中で色々と話してる内に学がないなんて言ってるのが嘘じゃないかと疑ってもいた。

 あまりにも兵法に対して理解が早いし、自分なりに戦術を考えてる。

 私は寝ながら少しだけ顔を空殿の方に向ける。

 今だって私を守るために穴の奥に私を配置して空殿はすぐに出られるように出入り口に座ってる。

 左手は右腰にある直刀をすぐ抜けるように寄っている。

 すごいなあ……

 戦場でも武官の戦いを見ているけど、空殿は洗練されてるとでも言うべきか美しく見えるし。

 賊を追い払う時も舞うような戦い方に相手は複数でも上手く捉えられないでいたし、多対一に慣れてるみたいだった。

 ああいう人がいたら策も幅広く立てようもあるんだけどな……

 能力に見合った戦術じゃないと策に溺れるだけだし。

 この旅で私、いいところないな~

 空殿は勉強が出来て満足そうだけど、何度も命を救われてるみたいなものだから私自身は釣り合いがとれてるようには思えない。

 だから……空殿が仕官できるまでとことん付き合う。

 そう心に決めました。

 そうじゃないとこれまでの御恩に報いれませんし。

「…………すぅ、すぅ」

 どうやら空殿も疲れてはおられるようで、寝息が聞こえる。

 案外、可愛らしい寝顔なんですね。

 普段は少し凛々しく見えるのに。

 

 ◆       ◆       ◆

 

 不意に目を開けて見れば明け方。

 座ったままじゃああんまり寝た気にならないよなあ、やっぱり。

 同時に不穏な感じもしたから起きたというのもある。

 最近は一般人が、元一般人でさらに一般人(笑)(カッコわらい)になりそうな感じだ。

 つまりはお前の普通はおかしいみたいな状態に近付いてる気がする。

 ……取りあえず、この気配は賊かな?

 こんな明け方まで待ってたってことは人数が揃うのを待ってた感じだろう。

 10人以上いるように思える。

 こんないたいけな少女2人に10人以上って……

 もしかしたらどっかの村を襲った帰りとかかもしれない。

 で、そこに少女2人が野宿。

 ぐへへ、祝勝記念に宴会としゃれこもうや、的な?

 取りあえずは平静を装って、真直を起こす。

「真直さん、明け方ですよ」

「……空殿? もう、朝ですか」

「ええ、ついでに静かに聞いてください。賊に囲まれました」

「ッ!? 何人、ですか?」

 軍師なだけあって、状況を把握するのを優先する切り替え方に貫禄が見える。

 変に取り乱さない感じが実に頼もしい。

「さあ? 気配だけですけど10人以上はいそうですね。あんまり変な行動をすると今にも襲い掛かってきてあーんなことやこーんな事をされそうな感じですし」

「あの……随分と余裕そうですね」

「これでも結構、焦ってますよ。取り乱しても意味ないと思ってるだけで」

 焚火の残り火を足で軽く消して、真直を立たせる。

 その間も俺はどうするか真直と考える。

「どこで襲ってくると思います?」

「そうですね。この山道では森の中に隠れられて見失う可能性もあるでしょうから、確実なのは山道を抜ける平野の直前くらいでしょうか? 隠れる場所さえなければ見失いませんし、追い詰めるのは容易ですから」

「そうですか。なら、しばらくは安全そうですね」

「本当に焦ってるんですか?」

 真直は疑わしい目で見てるが、内心は「やべえよやべえよ」って思ってるよ。

 真剣にマジでどうしよう?

「ともかく、このまま進むしかないのでしょう」

 俺はそう提案して真直と山道を進む。

 本当に真直の見立て通りに賊は山の中で襲うつもりはないらしい。

 動きが慣れてやがるな。

 ここら辺を縄張りにしてる山賊か?

「さて、こうなると……とれる策は1つだと思うのですが、どう思います? 軍師殿」

「それは……」

 真直は言葉を詰まらせる。

 どうやら俺の考えは間違ってないらしく、真直の頭脳でも最善の策がそれしかないらしい。

「ま、何とかなりますよ。真直さんが逃げ切れるなら私も気を遣わずに戦えますし」

「空殿……」

「平野が見えてきましたよ。さて、やりますか」

「はい、ご武運を……」

 真直は悲しそうな顔をする。

「なんて顔してるんですか? ほら、邪魔ですからさっさと行ってください。私1人ならどうとでもなりますから」

 やれやれとばかりに俺は軽口を叩く。

 そう簡単に死ぬとは思わないけど、少し怖いな。

 だけど……悲しいかな、命のやり取りには慣れてしまった。

「…………ッ!!」

 真直はそのまま悔しそうな表情で山道を走り抜ける。

 その真直の前を塞ぐように賊が一気に数人飛び出してきた。

 はいはい……さっさと道を空けてくださいね!

 そう内心で思いながら一気に加速して真直を追い越し、賊の首を一気に交差した両腕を開くと同時に掻き斬る。

 両腕に小手をし、その小手から伸びるのは五つの鉄の爪。

 ……何でかしっくりくる。父の見立ては間違いではなかった。

 鉤爪(かぎづめ)を得物に俺は、挑発をする。

「低俗な欲の満たし方知らぬ獣どもには私達は勿体無い。山の獣と乳繰り合っていた方がお似合いですよ!」

「なんだと!!」「へっ、お前を人質にあの女を引っ立ててやる! やっちまえ!」

 わーお、この程度の挑発で群がってくるとは……単純だなお前ら。

 何でか隠れてた連中も飛び出してきて俺に群がってくる。

 いや、マジで多い。

 50人くらいいるんじゃ……

 そう思うが、後ろの真直を追う気がないなら気兼ねなく出来そうだ。

「ま、何とか踊ってみますよ」

 俺は軽口を叩きながら敵の一団にそのまま向かっていく。

 敵の中、舞うように俺はひたすらに斬りまくる。

 ただ単に囲めばいいと思っているのか、間合いも気にせずに賊は1人1人襲ってくる。

 同時に掛かるとかの頭がないらしい。

 背後を狙おうとするヤツもいたが、そういう時は変に正面を相手にせず適当にいなしては舞うようにくるりと足を軸に回転。そして鉤爪で足を掻き斬れば少し距離を取れば相手をしなくて済む。

 痛みを堪えて襲い掛かる胆力はないらしい。

 体の一部を爪で抉ればどんどん相手は疲弊していく。

 取りあえずは1人1人を丁寧に倒すのではなく、手数で攻める。

「美しくないですね。獣の棒振りでは民を脅すので精一杯なんでしょうけど!」

 取りあえず、動きの鈍ったヤツから首を斬る。

 首さえ斬ればあとは勝手に死んでくれるだろう。

 我ながらエグイ戦い方してるが、正面で真面目に斬り合ってるのがアホらしいんだから仕方ない。

「ひ、ひい!?」「なんで当たらねえんだ!」

 1人を囲めるのはおそらくだがせいぜい5人だ。それ以上に囲んで襲い掛かったとしてもお互いに邪魔になるだけ。

 5人倒していくのを10回繰り返せば、いつの間にか死んでるだろう。

 あとは後ろで油断してる連中のど真ん中に飛び込んで首の位置くらいで両腕を広げ、足を軸に回転すれば……簡単に一気に5、6人は倒せる。

「うわああ!」「まだ数はこっちが上なんだ! 怯むな! そのまま押しつぶしちまえ!」

 ヤケか、はたまた本当にそう思ってるのか。

 賊はまだ襲ってくる。

「ちょっと待ったー! でりゃあああああああ!!」

 何と、ここで助っ人登場?

 ピンチに見えて結構余裕だったので何とかなりそうだったが、ともかく目の前の集団が吹き飛んだ。

 意外に人って飛ぶんだな。

 テレビがあったらちょっと一部では放送できないモノも飛んでるけど。

「うわあああああああ!?」「だ、誰だお前は!」

「へん、この文醜様がお前らに名乗る名なんてない!」

「名乗ってるよ……文ちゃん」

「あれ? そうだっけ?」

 聞き覚えのある声。

 そして、金ぴかの鎧をまとった兵士がいるのを見てすぐに察した。

「空殿! 大丈夫ですか!?」

 真直も彼女らに随伴するように俺に呼び掛けている。

 賊共はどうやらそっちに気を取られているようなので俺はすぐに真直を安心させるために、賊の肩を踏み台に飛び石のように渡って跳んでいく。跳ぶついでに鉤爪で首1つ貰い。

「真直さん、ご無事で何よりです」

 着地したところで俺は何でもないようにアピールする。

「平然と戻ってきましたね……さっきの私の心配を返してほしくなりました」

「いやーあぶなかったですよ」

「何でそんな棒読みなんですか……余裕って言ってるようにしか聞こえませんから」

 真直の呆れるようないいツッコミに俺は少し笑う。

 それはそうと、気を取り直して――

「真直さん、こちらのどこかの軍勢と思われる方々は?」

「彼女たちは袁紹の武将だそうです」

 はい、知ってます。

 真直の言葉に俺は内心焦る。

 マジかー韓馥じゃなくていきなり袁紹か……

 薄れつつある原作を思い出したわ……そう言えば連合の時に既に袁紹のところに真直いたわ。

「ようし! お前ら、たかが100にも満たない賊どもをぶっ飛ばすぞ! 突撃ぃぃ!」

 雄叫びを上げてボーイッシュな印象を受ける文醜はそのまま兵を連れて空気を読まずに攻め入った。

「ああ、もう文ちゃん!? また勝手に……。鎮圧したらすぐにお話をお伺いしますから待っててくださいね! 顔良隊、援護に向かいます!」

 と、黒髪おかっぱの少女の顔良も文醜に続いて突撃して行った。

 たかが50の賊にオーバーキルな突撃な気もするが、まあ……暴徒の鎮圧は迅速にしないとどこから仲間を引き連れるか分からないしな。

 いや、50どころか半分くらいは減らした気もするが。

「しかし、運が良かったです。まさか袁紹軍が近くの暴徒鎮圧に乗り出していて」

 いや、俺としては運がない方だと思う。

 真直の胃痛がマッハになる未来しか見えない。

「ともかく、このまま袁家に仕官できれば嬉しいですけど」

「三公を輩出した袁家ですよ? そう簡単に仕官できるとは思えません」

 

 

 

「いいですわよ。仕官を認めても」

「そうですよね。こんな野良軍師なんて仕官できる訳って――えええええええ!?」

「何を驚いてらっしゃいますの? 仕官を認めると、そう言ってますわよ」

 そうして文醜と顔良に一応は助けられて道中で仕官の話をすると、あれよあれよと言うまでもなく豫洲(よしゅう)汝南郡(じょなんぐん)にある袁紹の居城に案内された。

 そうして玉座の間で座る彼女は、はい……すごく金髪です。

 立ち振る舞いは高貴さを感じさせるがやっぱりダメだ……原作が邪魔して残念なものを見る感じになりそう。

「ちょうど軍師が欲しいと思っておりましたの。この名門たる袁家に何か足りないかと考えていたらそう、華麗な策を授けて下さる軍師が足りませんと思ってましたの」

 あんた策とか関係ないじゃん。

 俺は内心でツッコんでるが立場が違いすぎるので空気を読む。

 官位についてはよく分からん。

 この時点で太守なのか県令なのか刺史なのか全然知らないし。

 ともかく一つの居城がある上にこの時点での勢力としてはどでかいのは間違いない。

「それと、そちらの方は? 何だか田舎臭い雰囲気の方みたいですけど」

 まあ、農村出身なのでそう言われても仕方がないが……何とも言えないな。

 袁紹の人物像はある程度一方的だが知ってる訳だし。

 腹を立てるというより呆れが先に来るな。

「はっ! 私は姓を張、名は郃、(あざな)儁乂(しゅんがい)と申します。田豊殿と同じく、仕官先を求めて旅をしておりました。そして賊に襲われたところを文醜と顔良殿に救われた次第。感謝の言葉もありません」

 と、俺は片膝を着き無難な言葉を並べる。

 それに対して袁紹は機嫌をよくする。

「あら、随分と礼節を弁えてる方じゃありませんの。それにその(あざな)はとても美しいですわね」

 名前を褒められるとは、意外だな。

 この袁紹の事だから語感がいいとかそんな感じか?

「そうなんですか? 麗羽様?」

「何か、意味があるとか?」

 袁紹の傍に控えてる文醜、顔良が俺と同じくそれぞれ疑問を持つ。

「あら、知りませんの? 彼女の(あざな)はそうですわね……簡単に言えば優れた人みたいな意味ですわ」

 ……マジで?

 漢字の1つ1つに意味があるのは知ってるけど、儁乂にそんな意味あったの?!

 というかそんなのを知ってる袁紹は確かに教養はあるらしい。

 私塾で曹操より成績は良かったらしいし、まさかこんな所で変な優秀さを見せられるとは……

「袁紹殿、どうか私と共に張郃殿も仕官をお認め頂けませんか? 彼女は確かに優秀です。必ずや、袁紹殿のお役に立てるかと」

 真直さん!?

 勝手に仕官する方向で話を進めないで?!

 いや、でも……真直を放っておく訳にいかないしな……

 これで断固として断ってお別れするのも寂しい気はするし。

「ふむ、そうですわね……武将は何人いても困りませんしいいでしょう」

 決断はえええ?!

 流石の顔良も驚いてる。

「麗羽様、いくら何でも早すぎます……」

「何を細かいこと言ってますの斗詩さん。名門たる袁家、2人増えたところで何も問題にはなりませんわ。おーっほっほっほ!」

 何だろうな……確かに表裏はないし、真直の言う朝廷の腐敗に比べれば袁紹がマシに思える。

 別に常識がちょっとぶっ飛んでるだけで性根が腐ってる訳ではないし。

「という訳で、我が袁家に入れることを光栄に思いなさい。もちろん、わたくしの威光を汚すことは許しませんわよ」

「はっ! ありがたき幸せ」「感謝いたします」

 

 

  

 取りあえずは今日は休んでいいとお許しが出たので真直と共に玉座の間をあとにする。

 それからしばらく居城から離れたところで、

「やりましたよ空殿! まさかあの袁家に拾ってもらえるなんて! これは、運が向いてきたと言いましょうか空殿と一緒に仕官できるとは嬉しいです」

 眩しいほどに喜んでいらっしゃる真直さん。

 うわあ……こんなに喜んでるのを見ると色々と言い辛い雰囲気になる。

「……そうですね」

 変な間が空いての返答。

 微妙な表情してるだろうなと俺自身思う。

「ともかく、これで空殿にようやく恩を返せそうです。あ、今まで通りに色々と聞いてくださいね。仕官は初めてでしょうし」

 喜びが大きいのか、俺のことには気付いていない。

 どうやら真直は俺に助けられっぱなしだったのをようやく返せることにも喜んでるらしい。

 本当になんていい()なんや……オジサン的には眩しすぎてこっちが胃痛になりそうだよ。

「そうですね。これからもよろしくお願いしますよ、先生」

「はい。よろしくされますとも」

 結局、袁紹陣営に組み込まれたがもしかしたら俺がいる事で何かが変わるかもしれない。

 それに1人じゃないから何とかなる……といいなあ。

 こうして俺は新たに張郃としての人生を少しなぞることとなった。

 




恋姫勢で好きなのは、馬超こと翠かな?

無印からあのツンデレ具合がいい感じ。

軍師枠なら真直さんですかね~
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