恋姫は初めてのエロゲで思い入れ補正ですかね。
一時期は三国志の架空戦記とか流行りまくってましたし。
現状は内政、そして調練に力を入れている。
俺の素人的な警備組織も試行段階ではあるが稼働し始めた。
そして俺が責任者に据えられてる。
まあ、草案を作ったの俺だし仕方ないね。
さらに言えば
なので彼女が警備責任者で俺はその管理責任者という感じだ。
袁紹軍の総司令官は誰かと聞かれれば小夜だしな。
確か、正史でもそんな立ち位置だったと記憶してる。
とりあえずは部署ごとじゃないが、区画を決めてその区画の署長的な人を決めて、あとは警邏のルートを決める。
そこら辺は小夜が頑張ってくれた。
本人は「片手間ですが、とりあえずはこれで〜」と言って決めてくれたが……恐ろしいことをしれっとやってのけた。
やっぱり、頭の作りが違うんじゃないかと比較してしまう。
ともかく、俺は俺で普段の警備状況を見つつどうすれば組織的に上手くいくかを考えるか。
鄴の城の回廊で俺はそれを思案しながら歩いていると、
「空殿、何をされてます〜?」
相変わらずぽけーとした感じの気だるげな小夜が背後から現れた。
「特に何も……しいて言うなら今後のことについて考えていましたかね」
「つまり、お嬢様を見限る算段でございますか~?」
「人聞きの悪いことを……」
「冗談でございます。真直殿を放っては去らぬだろうと
視線を横に向けて自嘲じみた表情をするのは癖なのか小夜はそう言う。
まあ、それもあるな。
あとは自己アピール出来るほど自信がないというのもあるが。
自惚れる訳じゃないが、俺って強いか? という疑問が尽きない。
一度は社会に絶望して生きることを諦めたんだ。
強い心を持ってるとは思えない。
ゲームや何かしらの創作物が俺の唯一の心の拠り所だったから。
まあ、だからこそ主人公と言われる人物に憧れはある。
張郃の名前なんて俺には勿体ないと思ってるし。
話は変わるが、曹操のところに行く気があるかと聞かれればあるが、麗羽様に恩義はあるし見限る気はない。
もしかしたらワンチャン袁紹ルートがあるかもしれないからな。
などと思うのは淡い期待か?
でも、こういうのって結局は収束するところに収束していくみたいな話が王道だしな。
歴史の修正力的な。
「確かに真直さんは放っておけませんね。あの人、すぐに抱え込みますから」
「責任感が強いのは好感ですが、
「それが出来ない実直さが真直さんの良いところですよ」
「……空殿は女性であるのが勿体ない人でございますね」
それ、真直にも言われたんだが。
なんだ……みんなそうまでして俺を男判定したいのか?
それとも王子様ムーブでもしろという世界の意志か?
まあ、女が
「褒め言葉として受け取りますよ」
「それで、結局はこれから何を?」
「警邏ついでに街の状況でも見ておこうかと思いまして。ちょうど、見回りの時間帯ですし」
「では
と、唐突に小夜が申し出てきた。
政務はどうしたと聞きたいが、彼女の場合は聞くだけ野暮だ。
拠点を移しても竹簡だらけの光景は相変わらず。
とりあえず早急なところだけ終わらして適度に休憩でも兼ねているのだろう。
「別に構いませんよ。護衛も兼ねさせて頂きます」
俺がそう言うと小夜は目をパチクリ。
「何もお聞きにならないのでございますね」
「猪々子あたりなら仕事は? と聞きましたよ」
小夜は別にやる気がないだけでやらない訳ではないしな。
むしろ、面倒なことは速攻で終わらせるタイプだ。
「信頼されておりますね〜。嬉しい限りでございます」
わ~い、何故かまた薄ら寒い笑顔し始めたよ、この娘。
日本人形みたいな黒髪、黒目だからヤンデレみたいな顔をされると似合い過ぎて怖い。
「不穏な笑顔ですね」
「気のせいでございます」
俺が指摘するとすぐにパッといつものタレ目で気だるげな表情に戻る。
何かを企んでる感じはするが、あまり気にしない方がいいだろう。
隠しもしないあたり、俺が食いつくのを待ってるとかいう罠かもしれん。
「そうですか。では行きましょう」
「はい、お願いします〜」
「ところで、真名を預けてから妙に心を開いてません?」
「信頼しているのですよ〜。心を許したから真名を預けたのでございますから、何ら不思議ではないでしょう?」
言われればそのとおりだが、不穏な感じが抜けきれないな。
別に俺を貶める類いじゃないだろうが。
鄴の街へと繰り出した俺と小夜はそのまま街を巡視する。
「通りは多く、店の種類は豊富。文句はない発展具合ではございますが……やはり、黄巾の賊絡みで不穏な気配。ああ、仕事が増える……」
街の様子を見て、小夜がいきなりやさぐれ始めた。
「しかし、警備組織が上手く機能すれば治安もマシになるでしょう」
「結局は
るのでございます……」
「…………」
何やってもやさぐれるじゃん、この
まあ、今に始まった話ではないのでツッコミはしないが。
「おお、張将軍じゃないか!」
何て思ってると急に声を掛けられたのでそちらを見れば人混みの中に見慣れた顔。
最近、この
「これは大将。お元気そうで何よりです」
「ハハ、将軍に大将なんてむず痒くていけねえや。それはそうといい酒が入ったんだ。また買ってくれると嬉しいね」
「手空きになりましたらね」
「その時はまた頼むよ。持って帰る分も頼んでおきますんで」
「それはありがたいことです。では、私達はこれで」
「ええ、頑張ってくだせえ」
いい感じの話も聞けたところでオジさんはどこかへ行った。
「お酒がお好きでございますね」
オジさんが去って開口一番に小夜がツッコんできた。
俺は苦笑混じりに返す。
「分かりやすい娯楽ですからね」
現代社会は娯楽が溢れ過ぎてるから今でも物足りなく思う。
「さて南が今日の見回りですし、行きましょうか。都方面もちょうどそちらですし人の出入りも多いでしょう」
「一番目に入る治安でございましょうからね」
と、俺と小夜は南の区画を巡回する。
分かったこととしてはもう少し整備しないと雑多に過ぎるというところだ。
案の定、都やらから流れてくる商人や人達で溢れている。
治安も微妙な感じだ。
変なのが紛れてても目立たないだろう。
木を隠すなら森の中、人を隠すなら人の中ってヤツだ。
警備人員もこっちの方に割り振った方が良いのではないかと、小夜と話しながらも無事にーー
「うわあぁぁぁ! 賊だー!」
とはいかないか……
黄巾の乱の真っ只中なんだから、無事に終わる方が珍しいだろう。
やるべき事はやらなければならないので迅速に行動する。
「そこの者、止まれ!」
誰かを呼び止める声に足を止める。
動き出そうと思いきや、前方からウチの兵に追われていると思われる男が一人、人混みを押しのけるように走ってくる。
片腕で抱えられる程だが何やら小さくはない袋を抱えてる。
うーん……どう取り押さえたものか……
あんまり往来で剣を抜いたら向こうを刺激するだけ。
大体、振り回すには狭すぎるし危険も多い。
向こうが手段を選ばなくなったらそれこそ被害が出る。
徒手とかあんまり経験ないから自信ないんだがな~
なんて考えてる内にそこまで迫ってきた。
冷静に分析してる場合じゃないな……
「クソっ!!」
賊は悪態を大きく吐いたかと思えば古びた剣を抜きやがった。
さっきまで人混みであった場所が割れて失せた。
賊の逃走する足が格段に速くなる。
やば、油断した。
そして、賊は小夜に向かっていく。
俺はどうでもいいが、女の子を狙うとは卑劣なヤツめ。
「小夜!!」
すぐさま彼女の手を取り、くるりと賊から小夜を守れるよう回転するように背中を向けつつ
回し蹴り!
賊の持ってた剣の柄を狙って下から打ち上げるように
そのまま飛んでった剣が俺の方へとゆっくり落ちてきたので、左手でキャッチして賊の喉に切っ先を向けてやる。
狙ってたとはいえ上手くいったな。
「大人しく縛につきなさい。それとも惨めに死にますか?」
殺気を込めて俺は問い掛ける。
「なッ……くっ……!」
男は何が起こったか分からないながらも、目の前の現実に膝をつく。
「張郃将軍!? お手を煩わせてしまい申し訳ありません」
追い付いた警備兵の二人の内、一人が声を上げながら片膝をついて謝罪を述べる。
こういうムーブはまだ慣れないが、努めて将軍っぽく振る舞う。
「大事ありません。しかし、次からはもう少し早く対処しなさい。我らの対応の遅れは民の被害ですからね」
「ハッ! ほら、さっさと立て!」
警備兵に捕らえられ、賊の男は連れ去られようとしていた。
「ああ、すみません〜。そこの者達〜」
そこに小夜は待ったを掛ける。
「これは沮授様!? 何でしょうか!」
「今日まで捕らえた者を指定した日に
「わ、分かりました!」
そして今度こそ賊は連れ去られた。
「やれやれですね」
一件落着だが、何とも騒がしい一日になってしまった。
「ところで、空殿」
「はい、ああ……ご無事ですか小夜さん」
「無事でございますので離して欲しいのです〜」
あ、ああ……そうだった。
小夜の手を引いて抱き寄せるように
腕の中に美幼女。
前世なら羨むシチュエーションだな。
しかし、悲しいかな……反応する股間のモノがないんだよな。
いや、何を考えてる俺。
「失礼しました」
謝罪しつつ、離れる。
「まったく、
「大事な軍師殿を失うわけにはいきませんからね」
「……本当に女性なのが勿体ない人でございます」
などと小夜はいつも通り視線を外して言うが、気のせいか顔が少し赤い。
確かにさっきのは王子様的なムーブだったな。
思い返すとちょっと恥ずかしい感じだ。
小夜と別れ、今日は珍しく風呂がある日なので入浴。
この時代の風呂は貴重だな、本当に。
給湯システムが無いのだから無理もない話だ。
「あ〜、美味し♪」
と俺は風呂で一杯。
この時代にこれをやる人は俺が多分初めてだろう。
お盆みたいなのがあって良かった。
我ながらオッサン臭いか?
しかし、今の俺はスレンダービューティーなんだから絵になるはずだ。
……そう言えば、自分の体を分析する機会なかったな。
村の時なんて自警団だったし、村を出てからも賊討伐だ、内政だと忙しかったし。
しかし日本の温泉みたいに風呂場に鏡なんてない。
当然だがこの時代の鏡は貴重なものだ。
でも、何故か現代と遜色ないレベルの鏡があるのは謎だ。
まあ、そこは置いといて……仕方ないのでお猪口的な杯にお酒を入れてその水面に写った自分を見る。
風呂の水面で見ればいいだろうって?
結構水面が歪んでる上に湯気であまり見えないんだよ。
空色の長い髪、ツリ目気味の紫の瞳、以前よりは大人びた細めの顔立ち。
だけど魏の宿命か微妙にまだ幼い感じを残してる。
胸、微妙……もとい微乳だ。
この世界の曹操といい勝負。
舞をやってたおかげか肢体はしなやかで細い。
そんな容姿の自分についてどうなのかと聞かれれば、色々困る。
うーん、世の性転換転生者はどんな気持ちなのか是非とも参考に聞きたい。
聞けるか知らんけど。
そして、誰かが入浴してくる気配がする。
「誰かと思えば、空殿でございますか?」
湯気で微妙に見えないが声からして
ものぐさだがちゃんと入浴はするんだな。
そう何気に失礼なことを考える。
「ええ、そうですよ」
合法的に女湯に入れるのは役得な感じだ。
まあ、そんな男の感性なんて薄れつつあるが……
ゲームならイベントシーンだなと、アホなことを考えていると小夜がそのまま近付いてくる。
当然ながら大事なところは布で隠してはいる。
「……ここでも酒なんてバカでございますか?」
俺の様子を見て開口一番に見下される。
「そう言われましても飲みたいんです」
「まあいいでございますが」
それから何故か俺の体の一部分をジッと見始める。
「……生えてないでございますね」
「どこ見てるんですか……」
思わず脚を組んで見えないようにする。
流石にじろじろ見られると気恥ずかしい。
「いえ、もしかしたらと思ったので」
「あったら堂々と入ってませんから」
思わずツッコむ。
そこまで肝は太くない。
そもそもデリカシーないだろ。
「まあ、そうですよね~」
言いながら小夜は体を洗いに離れていく。
「お背中でも流しましょうか?」
「……いいんでございますか?」
「いいんでございます」
てっきり断られると思っていたが、普通に返してきたので対応する。
俺は風呂場から上がり、先に腰掛けに座った小夜は背中をこちらに向ける。
「一人では面倒なので助かるのです」
いやはや、どこまでものぐさなんだかと思いながらも背中を布で擦る。
そして何故かある石鹸を使用。
服屋が時代を先取りしすぎてるので、日用品関係の細かいところを気にするのをやめた。
「
「いい感じでございます。前もお願いします」
前、だと……?
アレとかアソコがある前を洗えと……
適当にやろう。
流石にねっとり洗うつもりはない。
「はいはい」
適当に返事をしつつそのまま腕とか脇とか洗う。
真直みたいなムッチリではないが、肉付きがある。
それから胸を洗おうとした瞬間、衝撃が走る。
私より胸が、あるッ!?
思わず一人称が変わるほどに動揺した。
服の上だとないように見えた。さっきも湯気でよく見えなかったし。
着痩せするタイプだったのか。
サイズ的にこの世界で言うなら
だが、決して貧と言える大きさではないのは間違いない。
「着痩せする方だったんですね」
「そうでございますね。まあ、
本当にどうでもいいのか、小夜はそのままぐてーとしている。
「癖のある髪ですね……もったいない」
「別に気にしないのでございます」
彼女のボサボサした黒髪が少し気になる。
今は湿気で比較的真っ直ぐだが、未だにハネてるところがある。
風呂場じゃなかったらもっと凄いからな。
「はい、終わりましたよ」
そのまま近くの桶にお湯を入れて小夜の頭から流す。
これ以上洗ったら放送コード的に引っ掛かる表現が出てきてしまう。
テレビなんてないけど。
「んっ……どうもでございます」
そのまま俺は風呂場に戻って飲み直そうと思いきや、そのまま膝の上に小夜が乗ってきた。
気持ちのいい荷重が膝の上に掛かるが、何故に俺に座ってくるのか……
「何で私の上に乗ってくるんですか……」
「……? 駄目でございますか?」
思ったままの疑問をぶつけてみるが、小夜は小首を傾げるだけだ。
カワイイ。おっと、本音が。
それはそうと、別に駄目じゃないが……
「草案を詰めたのはほとんど
貸しをエサにしてきやがった。
「はぁ、分かりましたよ。どのようにお返しすれば良いですか?」
「そうでございますね~。代わりではありませんが、
アレ? 何か不穏な気配。
しかもそれって、自分は何でもする的な表現なのでは?
「ただ、どこか別の所へ士官するなど許さないのでございます」
「私なんて大した者ではありませんよ」
「
先見の明とも言うべきか、小夜はこれから起こることを予期している感じだ。
「それが敵に回るかもしれないのであれば……フフ、残念でございますが……此方も全力を出すしかなくなってしまうようです」
……一気に酔いが冷めてきた。
後ろに顔を向け、チラリと俺を見るその横目はすごく冷めた目だった。
いっそ敵に回るくらいなら……
それは面倒を先に片付けておきたいという小夜らしい発言でもあった。
「それに真直殿がどうなってもいいというのでございましたら、致し方ないですね」
あまつさえ人質まで出してきたぞ。
「分かりました、分かりましたから……そう怖い話は勘弁して下さい」
「なら約束して欲しいのでございます。
「また引っ掛かる言い方ですね。麗羽様じゃなく?」
「主君が敗れた時では口実を与えます。先がないとなれば脱兎の如く逃げれるでしょう。しかし、個人であれば別に負けようが
やっぱり軍師ヤベエわ……
俺がこの話を聞いてもし裏切った時の処置まで考えてやがる。
逆に考えれば、やましいことしなかったら問題はない話なんだが……
「そうまでして欲しいなんて、熱烈ですね」
「お嬢様がバカでなければ別に空殿をどうこうするつもりはなかったのでございます。度量しかないお嬢様をお恨み下さい」
度量が広いのは認めてるんだ……
実際、名家うんぬんかんぬん言ってるがあんまり陣営に入る人材の身分にあんまりこだわりないよな、麗羽様。
「分かりました。我が真名に誓って約束致しましょう」
「……あっさりでございますね」
「そもそも去る気はないですよ。売り込むほどの名声がないですし、私もこう見えて面倒くさがりなんです」
俺の解答が意外だったのか、小夜は少しばかりで呆気にとられてた。
大体、いい待遇だし外に出たところで顔見知りもいなければ伝手もないのだ。
今の陣営に不満はない。
……ゴメン、やっぱりある。
頼むから麗羽様は何もしないでくれ。
しかし、なし崩し的に袁紹陣営に収まっちまったな。
「それで? 小夜さんをどう扱ってもいいとの話でしたが……」
ちょっとからかい混じりにさっきのことを掘り返すように言ってみる。
「……痛いのは勘弁でございます」
なぜそこで顔を赤くする。
「残念ながらそちらの趣味はございませんね」
「美丈夫のような振る舞いでございますのに……」
「だから女ですから」
風呂場にいながら肝が冷えた話を聞かされたが、同時に小夜との裸の付き合いで距離は縮んだような気がする。
寿命も少し縮んだ。
軍師コワイ。